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The Age of Sustainable Development(持続可能な開発の時代) cover

地理学

地理学

The Age of Sustainable Development(持続可能な開発の時代)

Jeffrey D. Sachs

英語原題: The Age of Sustainable Development

経済学者が学生と一般読者のために書いた、図版の多い幅広い開発入門書で、オンライン講座と並行して作られた。サックスは持続可能な開発を、経済成長、社会的包摂、環境の持続可能性を組み合わせたものとして扱い、地図、図表、国別の事例を用いて、なぜある地域は繁栄し別の地域は貧しいままなのかを説明する。

前提知識: 不要。経済学や統計学の素養は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Sachs, J. D. (2015). The Age of Sustainable Development. Foreword by Ban Ki-moon. Columbia University Press.

章の要約

本書は全14章、xvi+543ページで、当時の国連事務総長潘基文による序文、著者による序文、参考文献、索引を備える。出版社によれば、本書はコロンビア大学地球研究所の所長として、またミレニアム開発目標について国連に助言した著者の年月と、同じ考えを紹介して人気を集めたオンライン講座に基づいており、関連する補助教材も公開された。サックスは持続可能な開発を、経済・社会・環境の相互作用を分析する方法であると同時に、規範的な目標としても扱う。章の流れは、定義と世界の不平等(第1〜2章)から、不均等な発展の歴史と原因、極度の貧困の解消(第3〜5章)、地球の限界(第6章)、一連の分野別の章(第7〜13章)を経て、持続可能な開発目標(第14章)へと進む。Udo E. Simonisは International Journal of Social Economics(2017年)の書評で、どの章も十分に資料で裏づけられ、世界規模のグラフと統計で図解されていると評した。

第1章:持続可能な開発入門

サックスは「混み合った惑星」から出発する。人口は1750年のおよそ9倍、世界経済は工業化以前よりはるかに大きく、その成長はいまや複数の面で同時に環境を脅かしている。彼は持続可能な開発を、分析的なアプローチであると同時に、経済的繁栄、社会的包摂、環境の持続可能性、良い統治(グッド・ガバナンス)という四つの目標をもつ規範的な枠組みとして定義する。

第2章:不平等な世界

国家間および国内の不平等(都市と農村の格差を含む)と、福祉を測定することの難しさを概観する。Simonisは、一人当たり所得による順位と人間開発指数による順位を比べると大きく食い違いうることを示した比較に注目している。

第3〜5章:経済発展の小史、なぜある国は発展し他の国は貧しいままだったのか、極度の貧困をなくす

これらの章は経済間の収斂と分岐を検討する。すなわち経済発展の歴史、ある国が発展し他の国が貧しいままだった理由、そして極度の貧困をどのように終わらせうるかである。サックスは、教育、保健、農業、エネルギー、交通、金融においてそのための手段はかつてなく強力になっていると論じ、各国の歴史、地理、経済構造に合わせて診断を下す「臨床経済学」を提唱する。このアプローチはミレニアム・ビレッジ・プロジェクトでも用いられた。

第6章:プラネタリー・バウンダリー

ヨハン・ロックストロームらの研究に依拠し、サックスは成長の継続を環境の限界と両立させることができるのかを問う。彼の答えは、世界経済が根本的に異なる仕方で発展する場合に限り可能だというものである。例としてエネルギーと食料のシステムを論じ、成長を資源利用と環境への影響から切り離す「デカップリング」の考え方を紹介し、人権を尊重した自発的な出生率の低下を主張する。

第7〜11章:社会的包摂、万人のための教育、万人のための保健、食料安全保障、レジリエントな都市

分野別の章が続き、それぞれ統計で裏づけられ、国連とその宣言や規約、ミレニアム開発目標と持続可能な開発目標の役割に注意が払われている。都市の章は、インフラ、水、廃棄物を含め、都市を持続可能でレジリエントにするものは何かを考察し、都市のスモッグ、地震の被害、停電の写真を掲げる。

第12〜13章:気候変動、生物多様性を守り生態系サービスを保護する

第12章は、人為的な気候変動の基礎科学とその帰結、緩和、適応、そして脱炭素化の政治を扱う。第13章は生物多様性、森林、海洋への脅威を扱い、「第六の大絶滅」という言葉を用い、生物多様性条約以降の国際的な対応を概観する。

第14章:持続可能な開発目標

最終章は、2015年に採択された持続可能な開発目標を、豊かな国にも貧しい国にも等しく適用される普遍的な課題として提示する。世界が大きく軌道を外れていることの指摘から始まり、ジェイン・ジェイコブズ、マーティン・リース、ジェームズ・ラヴロックを引きながら、人類の対応能力への疑念を検討し、アイデアこそが重要であり突破口は開けるという主張で締めくくられる。

主要概念

第1〜2章:分野の定義

  • 持続可能な開発:経済・社会・環境のシステムの相互作用を理解する方法であると同時に、まっとうな生活のための共有された目標の集まり。
  • 四つの目標:経済的繁栄、社会的包摂、環境の持続可能性、良い統治。
  • 所得と人間開発:一人当たり所得と人間開発指数で国を順位づけると、福祉について異なる像が得られる。

第3〜6章:成長、貧困、限界

  • 収斂と分岐:貧しい経済が豊かな経済に追いつくのか、さらに引き離されるのか。
  • 臨床経済学:政策を処方する前に、国の個別の条件に即して開発上の問題を診断すること。
  • プラネタリー・バウンダリー:人類が安全に活動できる環境上の限界。
  • デカップリング:経済成長を資源利用と環境への影響から切り離すこと。

第7〜14章:分野と目標

  • ミレニアム開発目標と持続可能な開発目標:2000〜2015年と2015年以降の国連の目標枠組み。
  • レジリエントな都市:インフラと計画によって衝撃に耐えられる都市。
  • 緩和、適応、脱炭素化:気候変動への主要な対応。
  • 生態系サービス:人々が生物多様性と生態系から得る便益。

批判的分析

長所

  • 一冊での幅広さ。 本書は経済史、貧困、保健、教育、ジェンダー、食料、都市、気候、生物多様性にわたる。出版社のページに掲載された推薦文もこの点を強調しており、ジャレド・ダイアモンドは「一冊に収められた十冊のすばらしい本」と呼び、Choiceはその「驚くべき幅広さ」を称えている。
  • データと図解。 Simonisはすべての章が十分に資料で裏づけられ、世界規模のグラフと統計で図解されていると述べ、出版社が引用するPublishers Weeklyも明快な文章と豊富な統計を指摘している。本書は補助的なオンライン教材と関連講座を備えた教育用の本として作られている。
  • 統合された枠組み。 第1章の四つの目標と第6章のプラネタリー・バウンダリーの議論が、続く分野別の章に一貫した枠組みを与えており、学生は貧困、環境、統治がどのようにつながっているかを見ることができる。
  • 学生と一般読者向けの記述。 出版社が引用する Journal of Economic Literature のMatthew E. Kahnは、本書を一般読者向けに書かれ、環境経済学や開発経済学、公衆衛生、環境学の授業で補助テキストとして使える本だと述べている。

短所

  • 分量。 本書を高く評価したSimonisも、500ページを超える本書は最も広い読者層に届くには大部すぎると判断し、縮約版を求めた。全体を課題にする授業は少ないだろう。
  • 議論の余地がある定義。 Simonisは、持続可能な開発の定義の中に「持続可能な」という語が使われていることに疑問を呈し、何をもって良い統治とするかは議論の余地があると述べている。
  • 提唱者の視点。 サックスは政策アドバイザーとして、またミレニアム・ビレッジ・プロジェクトを含む、本書で論じるプログラムの責任者として書いている。貧困をなくすための彼のアプローチは数ある立場の一つであり、開発と援助に対する批判的な視点を併せて読むべきである。
  • 2015年で止まっている。 本書は持続可能な開発目標が採択された時期に刊行されたため、その後の進捗ではなく発足時点の目標を描いている。統計は更新が必要である。

コースにおける位置づけ

開発地理学のリストの中で、本書は一般読者と学生に向けた、世界の開発についての幅広くデータの豊富な概説である。センの Development as Freedom と密接に対をなす。センは開発が何のためにあるのかという評価の議論を与え、サックスは実証的な全体像と開発目標という政策課題を提供する。Potterらの Geographies of Development とWillisの Theories and Practices of Development は、サックスのアプローチを競合する諸理論の中に位置づける教科書である。とくにWillisは近代化論から新自由主義、草の根的アプローチに至る開発理論の変遷をたどっており、援助、投資、国際目標を重視するサックスの立場を位置づけるのに役立つ。

Sheppardらの A World of Difference は、開発を植民地主義、市場、政策によって形づくられた論争的なものとして扱う、本格的な批判的開発地理学であり、サックスのよりテクノクラート的な楽観に対する自然な対抗軸となる。The Companion to Development Studies は個々の論争についての短い章を収めており、サックスの分野別の章のどれを掘り下げるのにも使える。

本書の使い方

経済学や統計学の予備知識は前提とされていない。地理学、開発研究、環境学、公衆衛生の1年生や、持続可能な開発の全体像を一冊で得たい読者に適している。

実践的な読み方の提案:

  • 中核: 第1、2、4、6章。定義、世界の不平等の姿、不均等な発展の説明、そして残りの部分が依拠するプラネタリー・バウンダリーの議論が得られる。
  • 貧困のまとまり: 成長と貧困削減に重点を置く授業では第3章と第5章。
  • 授業のテーマに応じた分野別の章: 第7〜13章はそれぞれ一つの分野を扱い、個別に課題にできる。包摂、教育、保健、食料、都市、気候、生物多様性を扱う授業の週に合わせるとよい。
  • 最後に第14章で持続可能な開発目標を読む。

最新のデータと組み合わせて読むとよい。各分野の章の数値を、国連の毎年の持続可能な開発目標報告や世界銀行の指標と照らし合わせ、本書の2015年時点の見通しとその後の進捗を比べる。批判的に読むためには、第3〜5章を A World of Difference のような批判的なテキストや、競合する理論についてのWillisの説明と突き合わせるとよい。出版社の補助教材と関連するオンライン講座は自習の助けになる。