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Political Geography(政治地理学) cover

地理学

地理学

Political Geography(政治地理学)

Joe Painter; Alex Jeffrey

英語原題: Political Geography

政治地理学を、権力、空間、政治が互いをどのように形づくるかの研究として扱う、理論志向の教科書。世界の地域を概観するのではなく、社会地理学・文化地理学の考え方を、国家形成、福祉国家からワークフェア国家への転換、民主主義と市民権、都市、アイデンティティ政治と社会運動、ナショナリズム、帝国主義、地政学に適用する。

前提知識: 人文地理学または政治学の入門科目と、基本的な社会理論への一定の理解。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
political geographystatecitizenshipnationalismgeopolitics教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Painter, J., & Jeffrey, A. (2009). Political Geography: An Introduction to Space and Power (2nd ed.). SAGE Publications.

章の要約

本書は約250ページのコンパクトな教科書で、第2版への序文、序論、九つの章、文献目録からなる。ジョー・ペインターが以前に単著として出した『Politics, Geography and Political Geography』(1995年)の後継にあたり、今回はアレックス・ジェフリーとの共著である。序論で著者たちは、社会地理学・文化地理学の観念(意味、言説、主体性とアイデンティティ、地理的知識の批判、人間の主体的行為)を、「大文字のPolitics」すなわち公式の制度に適用することを目的に掲げ、世界の政治地理のあらゆる変化を網羅的に叙述するのではなく、選んだ事例によって自分たちの取り組み方を示すのだと述べている。

序論

人文地理学の下位分野の境界が曖昧になってきたことと「文化論的転回」を、本書の知的背景として説明する。想定する読者(政治地理学・文化地理学の履修者と、空間・場所・政治過程に関心をもつ人びと)を述べ、九つの章の概要を示す。著者たちによれば、取り上げる主題は政治地理学にとって従来どおりのものだが、その扱い方はそうではないことをねらっている。

第1章:政治、地理、政治地理学

枠組みを示す章である。公式の政治(政府、政党、選挙)と非公式の政治(「政治はどこにでもある」)を区別し、権力は拡散的で「毛細管的」だとするミシェル・フーコーの考え方を紹介し、社会的実践の物質的側面と言説的側面を分けて、「ティーンエイジャー」の発明を例にその点を説明する。続いて、全体で用いる六つの要素からなる枠組みを示す。人びとと彼らの競合するニーズ、戦略的行為、資源と権力、制度、権威と主権、政治的アイデンティティである。著者たちはこれを雛形ではなく、考え方の道具として提示している。章はさらに、政治を空間、場所、景観、環境と関連づけ、政治地理学を人文地理学のなかに位置づける。

第2–3章:国家形成;福祉国家からワークフェア国家へ

第2章は、国民国家体制の成立と国家形成の過程を扱い、古典的な見方と、ガバナンスや統治性に関する最近の研究を並べる。第3章は、多くの自由民主主義国が、労働市場と社会の調整について福祉型からワークフェア型へ移ってきた過程をたどり、国家戦略の再編の一例として示す。

第4–5章:民主主義、市民権、選挙;政治と都市

第4章は、二十世紀後半の自由民主主義国家の組織と役割の変化、およびその拡大が政治参加をどう変えたかを見る。市民権と選挙の地理の変化、民主主義のモデルに注意が払われる。第5章は、現代の都市変容と、都市インフラ、ジェントリフィケーション、公共圏の政治を扱う。

第6–7章:アイデンティティの政治と社会運動;ナショナリズムと地域主義

第6章は、アイデンティティの政治と社会運動の発展との関係を検討し、労働組合を軸とした労働運動から、草の根の新しい行動形態への移行をたどる。第7章は、国民、ナショナリズム、地域主義の政治地理を探り、固定的とされてきたアイデンティティや領域化を、社会的に構築されたものとして扱う。

第8–9章:帝国主義とポストコロニアリズム;地政学と反地政学

第8章は、帝国主義と、植民地主義が西洋、旧植民地、そこに住む人びとの関係に及ぼす現在も続く影響を扱い、理論は世界システム論からポスト構造主義的な説明にまで及ぶ。第9章は、地政学という語の歴史と、地政学的観念に隠された権力/知の関係を明らかにする近年の批判的・フェミニスト的研究を検討する。序論によれば、地政学は初版以来最も注目を集めた分野である。

主要概念

第1章:枠組み

  • 公式の政治と非公式の政治:公式の政治は憲法上の統治制度とその機関であり、非公式の政治は日常生活全体に及ぶ。
  • 毛細管的権力:近代社会では権力が単一の中心からではなく、日常的な関係を通じて作用するという、フーコーの考え方。
  • 物質的実践と言説的実践:社会的実践は、モノの組織化と、それに結びついた観念や意味の両方を含む。
  • 権威、正当化、主権:支配の主張は主張にすぎず、正当なものと見えるようにされる必要がある。

第2–9章:主題

  • 国家形成と統治性:国民国家体制がどのように生まれ、統治が制度や技術を通じてどう行われるか。
  • 福祉からワークフェアへ:社会的調整に関する国家戦略の再編。
  • 市民権と選挙地理:参加と代表が空間のなかでどう組織されるか。
  • アイデンティティと領域の社会的構築:国民、地域、運動は、所与ではなく生産されたものである。
  • 批判的・フェミニスト的地政学;反地政学:地政学的観念を、それが隠す権力と引き起こす抵抗という観点から読むこと。

批判的分析

長所

  • 明確に示された取り組み方。 序論は、取っている視角(公式の政治に適用された社会・文化地理学)を説明し、第1章は使いやすい六要素の枠組みを示す。著者たちは、後の章でより個別の理論を評価するときの手引きとして、これを用いるとしている。
  • 幅広いが整理された範囲。 九つの章は、国家と民主主義から、都市、運動、ナショナリズムを経て、帝国と地政学に至る。出版社は、社会的・文化的な側面に焦点を保ちつつ、この分野全体を系統的に概観する本として紹介している。
  • 第2版での改訂。 出版社は、この版を改訂・更新されたものと説明している。序論は、初版以来最も注目を集めた地政学が、批判的・フェミニスト的研究を通じて検討されると述べている。
  • 学部生にとっての読みやすさ。 出版社は、学部向けの中核的な資料として本書を紹介しており、出版社のページにある教員のコメントは、主要な論点を読みやすく魅力的な文体で押さえた優れた概観だと評している。

短所

  • 意図的に選択的であること。 著者たちは、世界の政治地理の完全な叙述は行わず、事例は枠組みを例示するためのものだと述べている。地域別や世界システム全体の叙述を求める読者には、別の本が必要である。
  • 領域や国境を独立に扱う章がないこと。 目次には、領域、境界、空間秩序としての国際体制を扱う章がない。領域化は民族主義の章のなかに、領域は第1章の枠組みのなかに現れるが、いずれも独立した主題ではない。
  • 事例が古いこと。 冒頭の章は2008年までの政治的変化を概観しており、最近の動向は含まれない。
  • 理論が先行すること。 第1章は最初から、権力と言説に関するフーコー的な概念を身につけることを読者に求める。社会理論に多少なじんだ学生には向くが、初学者には負担になりうる。

コースにおける位置づけ

このコースの読書リストのなかで、本書は概念を軸にした教科書であり、短い入門書と専門的な研究書のあいだに位置する。クラウス・ドッズの『Geopolitics: A Very Short Introduction』とサラ・スミスの『Political Geography: A Critical Introduction』は、より簡潔な出発点である。スミスは、領域、主権、国民、国境を扱い、フェミニスト的・反植民地主義的な視角も取り入れる。フリントとテイラーの『Political Geography: World-Economy, Nation-State, and Locality』は、世界システムの枠組みで組み立てられたより幅広い教科書であり、ペインターとジェフリーのフーコーの影響を受けた社会理論と対照的に読める。

ハーム・デ・ブレイの『Why Geography Matters More Than Ever』は、枠組みを提示するのではなく、場所、国境、資源についての一般的な議論を展開する。スチュアート・エルデンの『The Birth of Territory』は、一つの概念の歴史研究であり、ペインターとジェフリーが間接的にしか扱わない領域を主題とするため、自然な次の一冊となる。

本書の使い方

本書は、入門的な人文地理学または政治学の科目を履修した、地理学、政治学、国際関係論の二、三年次の学部生に向いている。基礎的な社会理論になじんでいると助けになるが、主要な用語は本文で導入される。

実践的な進め方は次のとおり。

  • 序論と第1章を最初に読み、後の章を読み進めるときに六要素の枠組みに戻る。
  • 中核の章: 標準的な政治地理学の授業なら第2、4、7、9章。国家再編には第3章、帝国には第8章を加える。
  • 関心に応じて選ぶ: 都市・計画系の学生には第5章、社会運動に関心のある人には第6章。
  • 領域と国境を扱う本と組み合わせる。 たとえばスミスと併読し、第9章はドッズと並べて読む。

文献目録を使って理論的な原典にあたり、六つの要素を現在の政治的争点に当てはめて、枠組みを試してみるとよい。