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Political Geography: A Critical Introduction(政治地理学:批判的入門) cover

地理学

地理学

Political Geography: A Critical Introduction(政治地理学:批判的入門)

Sara Smith

英語原題: Political Geography: A Critical Introduction

政治地理学を、世界秩序から身体や日常生活に至るあらゆるスケールにおける空間の中の権力の研究として提示する入門教科書。市民権、国民、領域、境界から、都市、社会運動、地政学、安全保障を経て生政治へと進み、フェミニズム、ポストコロニアル、批判的視点を全章に織り込んでいる。

前提知識: 人文地理学または政治学の入門以外に予備知識は不要。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Smith, S. (2020). Political Geography: A Critical Introduction. Wiley-Blackwell. Critical Introductions to Geography.

章の要約

本書は約310ページ、13章からなり、そのあいだに10篇の短い「仕事中の地理学者(Geographer at Work)」が挟まれている。そこでは政治地理学者たち――その多くは出版社のいう「新進の研究者」――が自らの研究を語り、最初の一篇はスミス自身によるものである。国家から始めて外へ広げていくのではなく、市民権と国民から、領域、国境、都市、社会運動を経て、脱植民地化、地政学、安全保障、親密さ、生政治、そして未来へと進む順序になっている。出版社は、批判的、ポストコロニアル、フェミニストの視点がすべての章に織り込まれていると説明しており、たとえば第2章は、エピグラフと読者への問いかけで始まり、研究の事例を通じて議論を進め、主題別に整理された読書案内で終わる。

第1章:序論

冒頭の章は本書のアプローチを示す。出版社は政治地理学を、権力闘争がそれが起こる場所を形づくり、またその場所によって形づくられる仕方を研究するものと定義している。第2章は、カテゴリーが思考を構造化し、目の前にあるものを見えなくすることがあるという、この章の主題の一つに立ち返る。章の後にはスミス自身の「仕事中の地理学者」が続く。

第2章:市民権は機能しない

この章は、国境で「アメリカ人」と呼ばれることを拒んだオードラ・シンプソンの体験(「私はモホークだ」)から始まり、読者に、自分の市民権を初めて意識したのはいつかと問いかける。市民権を、権利と責任を伴う法的な関係、「権利をもつ権利」と定義したうえで、市民権は必ず一部の人々を守りそこなうと論じる。続く節では、「日常的な」市民権とドリーマーズや DACA の学生たち、人種・セクシュアリティ・ジェンダー・アイデンティティによる市民権の不均等さ(法律上の権利と事実上の権利のずれを、デートの相手にキスしてロンドンのパブを追い出された男性の例で示す)、反乱的市民権(抗議の「キス・イン」からサンパウロの不法占拠者まで)、そして1972年にキャンベラに設けられたアボリジナル・テント大使館を中心とする、入植者国家の市民権に対する先住民の拒否が扱われる。この章は、安全保障、生政治、地政学についての後の章を予告している。

第3章:国民を生きる

この章はナショナリズムと国民への帰属に目を向ける。出版社は、忠誠心を形づくるナショナリズムの役割を本書の主題の一つに挙げており、第2章は、承認と主権の問題がここで再び取り上げられると述べている。章の後にはミシェル・デイグルの「仕事中の地理学者」が続く。

第4〜5章:権力/領域、国家/国境

比較的短い二つの章が、領域と、国家およびその国境という中核概念を扱い、それぞれの後に「仕事中の地理学者」(アジーザット・ジョンソン、アリ・ハムダン)が続く。出版社は、本書がこの分野の多くの主要概念のヨーロッパ中心的な起源を扱っていると述べている。

第6〜7章:都市政治、社会運動

本書は続いて、都市政治と社会運動の空間的側面を検討し、ウィリー・ライトの「仕事中の地理学者」が添えられる。

第8章:政治地理学を脱植民地化する?

疑問符のついた章題は、この分野に対する脱植民地的な批判を扱う章であることを示している。出版社の紹介文では、政治地理学への批判が脱植民地、フェミニスト、クィアの運動とどのように交差するかという点と結びつけられている。その後にデオンドレ・スマイルズの「仕事中の地理学者」が続く。

第9〜11章:地政学、安全保障、親密な地政学

三つの章は、地政学と、国際関係と安全保障の関係から、「親密な地政学」――スミス自身の研究の焦点である、グローバルな政治と身体や日常生活との結びつき――へと進む。第2章は、第10章で大量収監の問題に立ち返ると予告している。これらの章には、エドガー・サンドバルとパヴィトラ・ヴァスデヴァンの「仕事中の地理学者」が添えられる。

第12〜13章:生政治と生そのもの、未来の生――廃墟のなかで

最後の二章は、生命と人口の統治である生政治を扱い、締めくくりの章で未来を扱う。出版社の挙げる主題には、政治における人間以外のアクターの影響も含まれている。本書はメイベル・ガーガンの「仕事中の地理学者」で閉じられる。

主要概念

第1〜3章:序論/市民権は機能しない/国民を生きる

  • 「権利をもつ権利」としての市民権:国家との法的な関係であり、その構造上、一部の人々を保護の外に置く。
  • 法律上の市民権と事実上の市民権:法のうえで保持される権利と、日常生活で実際に行使できる権利。
  • 反乱的市民権:国家から与えられるのではなく、周縁化された人々が新たな政治行動の空間を通じて主張する市民権。
  • 拒否と先住民の主権:入植者国家の市民権を拒み、先住民の国の自治を選ぶこと。

第4〜8章:領域、国家、都市、運動、脱植民地化

  • 領域:権力によって主張され管理される空間であり、歴史をもつ中核概念として扱われる。
  • 国境:国家の境界であり、第2章では人種化され、ジェンダー化された国民アイデンティティがつくられる場として示される。
  • 学問の脱植民地化:政治地理学の諸概念のヨーロッパ中心的な起源を問い直すこと。

第9〜13章:地政学、安全保障、親密さ、生政治、未来

  • 地政学と安全保障:国家と国際関係の空間的実践、そしてそれによって誰が安全になり、誰が不安全にされるのか。
  • 親密な地政学:地政学は国家を通じてだけでなく、身体、愛、友情、出産を通じてもつくられるという考え。
  • 生政治:生命、身体、人口に対して行使される権力。

批判的分析

長所

  • 生きられた経験を通じた政治地理学。 第2章は、パスポートや入国審査の列での読者自身の経験から出発し、具体的な事例(ノースカロライナの DACA の学生たち、ロンドンのパブ、アボリジナル・テント大使館)から議論を組み立てるので、この分野に初めて触れる学生にも抽象的な概念が実感をもって理解できる。
  • 研究を報告するだけでなく見せる。 出版社は、政治地理学者がどのように研究を行うかを示す事例研究を強調しており、10篇の「仕事中の地理学者」は、10人の政治地理学者による研究の直接の記述となっている。
  • 一貫した批判的視点。 フェミニスト、ポストコロニアル、クィア、先住民の研究が、最後に付け足されるのではなく各主題に組み込まれており、本書は学問の諸概念のヨーロッパ中心的な起源にも正面から取り組んでいる。
  • さらなる学習への手厚い案内。 第2章の読書案内は主題別(たとえば入植者植民地主義と先住民の主権、トランスの地理学)に整理されており、一つの主題を研究文献へとたどりやすい。

短所

  • 従来の基本的主題が手薄。 選挙地理学や世界システム分析に充てられた章はなく、領域と国家の章は本書で最も短い部類に入る。従来型の内容を必要とする学生は、もう一冊のテキストを求めることになる。
  • 北米と入植者植民地への重点。 第2章の事例は主に米国、英国、カナダ、オーストラリアのもので、ブラジルが主な例外である。
  • 時代に結びついた記述。 トランプ政権下の DACA や「近づく」ブレグジットについての議論は、本書を2019〜2020年に位置づけている。学生はその後の展開を確認する必要がある。

コースにおける位置づけ

スミスの本は、このコースの政治地理学の概説書のなかで最も取りつきやすく、最も明確に批判的な一冊である。クラウス・ドッズの Geopolitics: A Very Short Introduction は、20世紀初頭の理論家から批判的アプローチまで地政学的思考をたどる短い副読本で、第9〜11章の背景知識として役に立つ。より従来型で包括的な枠組みを求めるなら、フリントとテイラーの Political Geography: World-Economy, Nation-State and Locality が世界システム分析とグローバルからローカルまでのスケールによって分野を組み立てており、ペインターとジェフリーの Political Geography は、国家、領域、市民権、ナショナリズム、地政学を軸にした理論志向のテキストである。スミスをどちらかと並べて読むと、同じ概念がいかに異なる仕方で枠づけられうるかが分かる。

一つの概念を深めるには、スチュアート・エルデンの The Birth of Territory が西洋政治思想における領域の観念をたどっており、第4章からの自然な次の一歩となる。ハーム・デ・ブレイの Why Geography Matters More Than Ever は、グローバルな政治における場所、距離、資源について、これとは対照的な、より大きな議論を提示している。

本書の使い方

出版社は本書を、政治地理学に初めて触れる学生にも取りつきやすく、概観を求める大学院生にも有用なものとして示している。政治地理学の予備知識は必要ない。

  • まず第1〜2章を読む。 本書のアプローチと、カテゴリーを問い直す習慣がそこで確立され、本書の残りはそれに依拠している。
  • 授業では順序どおりに読むか、 主題ごとにまとめる。アイデンティティと帰属(第2〜3章)、領域と国家(第4〜5章)、都市と運動(第6〜7章)、グローバルなものと親密なもの(第9〜12章)であり、第8章がそれらをつなぐ蝶番となる。
  • 「仕事中の地理学者」を研究課題の手本にする。 それぞれの研究者の問い、方法、調査地に注目する。
  • 冒頭の問いに答える。 第2章は読者自身の市民権の経験を問うところから始まる。章がそのように始まる場合には、読む前と後に短い答えを書くと、その章が何を変えたかが分かる。
  • 試験が従来の政治地理学の範囲を求める場合は、 従来型のテキスト(フリントとテイラー、あるいはペインターとジェフリー)と組み合わせる。