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Introduction to Physical Hydrology(自然水文学入門) cover

地理学

地理学

Introduction to Physical Hydrology(自然水文学入門)

Martin R. Hendriks

英語原題: Introduction to Physical Hydrology

地理学・地球科学の学生向けに、ユトレヒト大学の水文学者が書いた、水が景観の中をどう移動するかについてのコンパクトな入門教科書。大気中の水、地下水、土壌水、地表水を順に扱い、それぞれを記述するのに必要な物理原理と簡単な数学を、例題と演習問題とともに説明する。

前提知識: 基礎的な代数と多少の微積分を含む高校数学、および自然地理学の入門。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Hendriks, M. R. (2010). Introduction to Physical Hydrology. Oxford University Press.

章の要約

本書は約330ページで、短い序章、出版社の紹介文が挙げる四種類の水(大気中の水、地下水、土壌水、地表水)を扱う四つの長い章、短いエピローグ、そして三つの付録からなる。付録は、用いる数学をまとめた「概念ツールキット」、導出を収めた10個の「数学ツールボックス」、練習問題の解答である。最も大きな比重を占めるのは地下水で、本文約275ページのうち約90ページに及ぶ。

第1章:序論

最初の章は本書全体の枠組みを用意する。主要な水の種類、水循環、流域における水文過程、そしてそれらを結びつける水収支である。

第2章:大気中の水

雲の形成と降水の生成から降水の種類へと進み、降水をどう測定するか、面積全体の降水量をどう見積もるかという実際的な問題に移る。後半は蒸発を扱い、蒸発の種類とその測定、ペンマン–モンティース式による推定を取り上げる。

第3章:地下水

15節からなる最も長い章で、いくつかの節には「穴を掘る」「ベルヌーイの助け」「科学の兄弟:ダルシーとオーム」「単純に、被圧で」「オランダ流で」といった打ち解けた題がついている。節見出しによれば、ベルヌーイの式と水理水頭から出発し、帯水層、浸透速度と浸透率、ダルシーの法則、地下水流の屈折、被圧帯水層と連続の式、流線網、地下水流動の様式と系、ガイベン–ヘルツベルグの関係で表される淡水と塩水の境界面、そして地下水水理学へと進む。出版社のオンライン教材には、地下水水理学を扱う第3.15節のテストが含まれている。

第4章:土壌水

不飽和帯は、負の水圧と全ポテンシャルの求め方を通じて導入される。この章は、水分特性曲線、乾燥と湿潤のあいだのヒステリシス、不飽和流、毛管上昇と蒸発による上向きの移動、浸透と浸透降下による下向きの移動、そして選択流を扱う。リチャーズ式の導出は数学ツールボックスに置かれている。

第5章:地表水

最終章は開水路の流れのためにベルヌーイの式に立ち返り、続いて水位、流速、流量の測定、ハイドログラフ解析、概念的な降雨流出モデル、変動流出寄与域の水文学を扱う。

付録:概念ツールキット、数学ツールボックス、練習問題の解答

概念ツールキットは「数学ができなくても」と題された節で始まり、微分と積分を要約し、微分法則の早見表を添える。10個の数学ツールボックスは、被圧帯水層と不圧帯水層における水平流と放射状の流れ、漏水性帯水層、運河や河川のあいだにある涵養を伴う不圧帯水層、リチャーズ式の導出と他の形、開水路の流れを順に扱う。その後に練習問題の解答が続く。

主要概念

第1〜2章:序論/大気中の水

  • 水収支:流域についての流入、流出、貯留変化の収支計算。
  • 面積降水量:地点観測から導かれる、ある地域全体の降水量の推定値。
  • ペンマン–モンティース式:気象データから蒸発量を推定する標準的な方法。

第3章:地下水

  • 水理水頭:地下水の単位重量あたりのエネルギーで、その勾配が流れを生む量。
  • ダルシーの法則:多孔質媒体を通る流れは動水勾配に比例するという法則。本書はオームの法則との類比を用いる。
  • 流線網:流線と等ポテンシャル線からなる、定常地下水流の図式解法。
  • ガイベン–ヘルツベルグの関係:海面より上にある淡水地下水の高さと、その下の淡水–塩水境界面の深さとの関係。

第4章:土壌水

  • 水分特性曲線:土壌水の圧力(吸引圧)と含水量との関係。
  • ヒステリシス:乾燥過程と湿潤過程でその関係が異なること。
  • リチャーズ式:不飽和の水の流れを表す式で、ツールボックスで導出される。

第5章:地表水

  • ハイドログラフ解析:河川の流量記録を成分に分け、流域が雨にどう応答するかを理解すること。
  • 変動流出寄与域:流域のうち洪水流出を生み出す部分が、湿潤状態に応じて広がったり縮んだりするという考え方。

批判的分析

長所

  • 数学を前提とせず、教える。 出版社は、例題、練習問題、数学ツールボックスからなる授業で検証済みの学習の枠組みを強調しており、目次もそれを裏づける。「数学ができない」読者のための概念ツールキット、本文から切り離された段階的な導出、そして本書に収められた練習問題の解答があり、独学にも使える。
  • 物理的原理を一歩ずつ積み上げる。 とくに地下水の章は、ベルヌーイの式と水理水頭からダルシーの法則、連続性、流線網、帯水層の水理へと小さな節を重ねて進み、地表水の章は再びベルヌーイに立ち返るので、同じ原理が本書全体を貫いている。
  • 水文学を教える研究者からの評価。 出版社が掲載する推薦文は、例題、練習問題、数学の扱いを称賛するヒューベルト・サフェナイエ(デルフト工科大学)、数学的道具とコラムを挙げるロジャー・トゥンヴィク(スウェーデン王立工科大学)、コラムの事例研究と解答付きの練習問題を評価するイアン・マドック(ウースター大学)によるものである。本書は、ジョアン・エストラニーによる Progress in Physical Geography 誌(2011年)の文献紹介でも取り上げられている。
  • オンラインでの追加演習。 出版社は、学生向け教材として、対話的なスプレッドシート、多肢選択問題、地下水水理学のテストを挙げている。

短所

  • 物理学中心の狭い範囲。 構成は四種類の水に沿っている。雪と氷、水質と溶質輸送、概念的な降雨流出モデルを超える水文モデリングは目次に現れず、蒸発は大気中の水の章のなかで扱われる。
  • 地下水への偏り。 本文の約3分の1が地下水であり、二つの節題(「オランダ流で」、ガイベン–ヘルツベルグの関係)は著者が教えるオランダという環境を反映している。地表水には同程度の長さの章が割かれているが、節は五つしかない。
  • 2010年の単一の版。 第2版は出ていないため、測定技術や2000年代末以降の研究は反映されていない。

コースにおける位置づけ

このコースは水文学と地形学を組み合わせている。コースの本のうち、ヘンドリクスと S・ローレンス・ディングマンの Physical Hydrology が、水文学を専門に扱う二冊である。ディングマンは、水文学を水循環の陸上部分を扱う地球科学として位置づける、より大部の定量的教科書であり、雪、蒸発散、地下水、流出に加えて、水収支とエネルギー収支をどう測定しモデル化するかを扱う。ヘンドリクスはより穏やかな出発点である。同じ物理的原理を、より手厚い数学的支援と解答付きで展開しており、最初に読み、その後でディングマンを幅と深さのために使うのがよい。

地形学の側では、グーディとヴァイルズの Landscapes and Geomorphology: A Very Short Introduction が地形プロセスを手早く概観させてくれる一方、ハゲットとシャトルワースの Fundamentals of Geomorphology やビアマンとモンゴメリーの Key Concepts in Geomorphology は、河川を含む各プロセス領域を順に扱う幅広い教科書である。ヘンドリクスの土壌水と地表水の章は、それらの章の水文学的な基礎となり、アンダーソンとアンダーソンの定量的な Geomorphology: The Mechanics and Chemistry of Landscapes も、保存則から推論するという同じ習慣の上に成り立っている。

本書の使い方

本書は、ユトレヒト大学ですべての段階の水文学と自然地理学を教える准教授による大学教科書であり、自然地理学や地球科学から水文学に入る学生に向いている。扱いは明確に数学的だが、用いられる微分と積分は概念ツールキットで補われている。

  • 第1章と概念ツールキットから始める。 微積分に不安があれば、第3章の前にツールキットを確認する。
  • 中心となる流れ: 第3章(地下水)と第4章(土壌水)が本書の核であり、第3章で導入される浸透を第4章が引き継ぐ。順に読み、解答を見る前に練習問題に取り組む。
  • ツールボックスは選んで使う。 帯水層の流れとリチャーズ式に関する数学ツールボックスは、2回目の読書や、定量的な比重の大きい授業のために残しておいてよい。
  • 第2章と第5章は、雨量計、蒸発量の推定、流量測定、ハイドログラフ解析といった授業の実習と並行して読める。
  • 幅を補う。 雪、水質、地球規模の水資源、より新しい手法については、ディングマンの教科書や最新の総説論文を使う。