01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bejan, A. (2016). Advanced Engineering Thermodynamics (4th ed.). Wiley.
章の要約
第4版は13章と短い付録から成り、記号表と索引を含めて約750ページである。出版社は、これを多くの熱力学の教科書の基礎的な範囲を超え、熱力学の第一法則・第二法則を太陽エネルギー、冷凍、空調、熱流体設計、化学設計、コンストラクタル設計などの工学的応用に結びつける本と説明している。最初の五章は法則、エントロピー生成、エクセルギーを述べる。中間の章は相、反応系、動力を扱い、後半の章はこのアプローチを冷凍、エントロピー生成最小化、不可逆熱力学、コンストラクタル法則に適用する。各章の末尾には参考文献と演習問題がある。
第1章:第一法則
節は、用語、閉じた系、仕事の移動、熱の移動、エネルギー変化、開いた系、そしてこの法則の歴史を扱う。冒頭の節は、あらゆる解析の最初の一歩が系とその境界を曖昧さなく定義することだと強調し、境界の選び方を誤るとエントロピー生成の源が隠れてしまうことを示す。これは出版社のいう基礎の「凝縮された」復習で、後の章が必要とする点を意識して書かれている。
第2章:第二法則
閉じた系での第二法則は、一つ、二つ、任意の数の熱源に接するサイクルを通じて展開され、続いて開いた系、局所平衡、エントロピー最大とエネルギー最小の原理が扱われる。その後に二つの公理的な扱いが続く。カラテオドリの二つの公理と、「伝熱屋」の二つの公理である。章は歴史の節で終わる。
第3章:エントロピー生成、すなわちエクセルギー破壊
この章は失われた有効仕事とエントロピー生成を結びつけ、熱機関、冷凍、ヒートポンプのサイクルや、非流れ過程と定常流れ過程に適用する。続いてエントロピー生成の機構(温度差を越える伝熱、摩擦を伴う流れ、混合)を挙げ、樹枝状の流れやエントロピー生成数を含むエントロピー生成最小化を導入する。
第4章:単相系
簡単な系、平衡条件、基本関係(エネルギー表示とエントロピー表示、オイラーの式、ギブス–デュエムの関係)、ルジャンドル変換、熱力学的性質間の関係(マクスウェルの関係式、ブリッジマンの表、ヤコビアン)、部分モル量、理想気体混合物と実在気体混合物を扱う。
第5章:エクセルギー解析
非流れ系、流れ系、および一般化したエクセルギー解析が述べられ、続いて空調(湿り空気、液体水のエクセルギー、蒸発冷却)の節がある。
第6章:多相系
章はエネルギー最小の原理とそのエンタルピー、ヘルムホルツ、ギブスの形から始まり、簡単な系の安定性、気体と液体の状態の連続性(ファン・デル・ワールスの状態方程式とマクスウェルの等面積則を含む)、相図とギブスの相律、対応状態へと進む。
第7章:化学反応系
主題は、化学平衡、親和力とル・シャトリエ–ブラウンの原理、不可逆反応、定常流れ燃焼(化学量論、第一法則と第二法則、最大出力)、燃料の化学エクセルギー、定容燃焼である。
第8章:発電
この章は、大きさの制約のもとでの最大出力と高温の流れからの最大出力、外部および内部の不可逆性、先進的な蒸気タービン、ガスタービン、複合発電プラントを扱う。
第9章:太陽光発電
熱放射の熱力学的性質から始まり、放射を伴う可逆および不可逆過程、閉じた黒体放射の理想的な変換、集熱面積あたりの出力の最大化、対流で冷却される集熱器、地球外の太陽光発電所、気候、自己ポンプ作用による大気循環へと進む。
第10章:冷凍
内容には、ジュール–トムソン膨張、仕事を生む膨張、ブレイトンサイクル、中間冷却、液化、内部熱漏れのある冷凍機モデル、磁気冷凍が含まれ、第三法則で終わる。
第11章:エントロピー生成最小化
この章は、伝熱と流体の流れにおいて競合する不可逆性、平衡した向流熱交換器、貯蔵システム、出力最大化とエントロピー生成最小化の関係を論じ、エントロピー生成最小化からコンストラクタル法則へと進む。
第12章:不可逆熱力学
共役な流束と力、線形化関係と相反関係、熱電現象(ペルチェ、ゼーベック、トムソン)、異方性媒質での熱伝導、物質拡散を扱う。
第13章:コンストラクタル法則
最後の章はコンストラクタル法則を定式化し、無生物の流れの系(河川流域や乱流構造など)と生物の流れの系(体表からの熱損失、呼吸、移動など)に適用し、さらに規模の経済、成長と拡散、時間の矢に及ぶ。付録には、定数、数学公式、変分法、いくつかの状態の物性データが載っている。
主要概念
第1〜3章:法則とエントロピー生成
- 系と境界:系を曖昧さなく定義し、熱の移動とエントロピーの移動が境界を越えて保たれるようにする。
- エントロピー生成(エクセルギー破壊):本書全体で使われる、失われた有効仕事の尺度。
- エントロピー生成最小化:第3章で導入され、第11章で展開される設計手法。
第4〜7章:性質、エクセルギー、相、反応
- 基本関係とルジャンドル変換:性質間の関係の形式的な基礎。
- エクセルギー解析:有効仕事によって流れ系と非流れ系を評価する。
- 安定性と相平衡:エネルギー最小の原理、ギブスの相律、ファン・デル・ワールスの状態方程式。
- 親和力と化学エクセルギー:反応と燃料の熱力学。
第8〜13章:応用と拡張
- 制約下の最大出力:大きさと不可逆性に制約された発電。
- 不可逆熱力学:流束、力、相反性。
- コンストラクタル法則:流れの系がより流れやすい方向へ進化するという命題。
批判的分析
長所
- エントロピー生成が貫く糸になっている。 第3章がエントロピー生成(エクセルギー破壊)を導入し、第11章がその最小化を展開し、第5、8、10章がエクセルギーと不可逆性を空調、発電所、冷凍に適用する。第二法則は単なる言明ではなく設計の道具として働く。
- 基礎への丁寧さ。 第1章の最初の節は、系、境界、そして性質と仕事や熱のような量との違いを論じ、第2章は第二法則の二つの公理的な扱いと歴史の節を持つ。基礎を知っていて、枠組みがなぜそのように作られているかを知りたい読者を助ける。
- 応用の幅。 目次には、太陽エネルギー、気候、冷凍から磁気冷凍と第三法則、燃焼、熱電効果、生物の流れの系までが含まれる。
- 各章に演習問題と参考文献。 各章は参考文献と演習問題で終わる。出版社は、第4版で例題と宿題の問題が追加されたと述べている。
短所
- 最初の授業ではない。 本書は基礎的な熱力学を知っていることを前提とする。第1章は凝縮された復習であり、出版社も導入の章を応用に入る前の簡単な復習と説明している。
- 独自の視点がある。 第11章と第13章は著者自身のエントロピー生成最小化とコンストラクタル法則を展開しており、出版社は著者をコンストラクタルの考え方の創始者としている。熱力学のあらゆる方法を中立に概観したい読者は、ほかの本が必要である。
- 範囲に取捨選択がある。 目次には統計熱力学の章はなく、発電の章は最大出力と「先進的な」蒸気・ガスタービンプラントを軸にしており、最初の授業で扱う基本的なサイクルではない。
- 分量。 出版社の数え方で約800ページあり、一学期の授業で扱える範囲を超えるため、教員や読者は章を選ぶ必要がある。
コースにおける位置づけ
Bejanは、熱力学のリストの中で上級者向けの、第二課程にあたる本である。Michael Moranらの Fundamentals of Engineering Thermodynamics、Claus BorgnakkeとRichard Sonntagの Fundamentals of Thermodynamics、Yunus Cengelらの Thermodynamics: An Engineering Approach、Stephen TurnsとLaura Pauleyの Thermodynamics: Concepts and Applications は、性質、第一法則と第二法則、サイクルを、またいくつかは反応系を築く、最初の課程の工学教科書である。Peter Atkinsの The Laws of Thermodynamics: A Very Short Introduction は、四つの法則を簡潔に物理的に説明する。
Bejanの第1章は圧縮された復習にすぎないので、まずこれらの教科書のどれかを読む。エクセルギー、エントロピー生成、効率を目指す設計に関心が移ったとき、最初の課程の後でBejanに進む。
本書の使い方
本書は、すでに熱力学の授業を終え、微積分に慣れた工学分野の大学院生と上級の学部生に向いている。エクセルギー、動力サイクル、熱交換器の設計を研究する人の参考書にもなる。
実際的な進め方:
- 中核: 法則とエントロピー生成の第1〜3章、次にエクセルギー解析の第5章。
- 分野に応じて選ぶ: 性質の関係と相平衡には第4章と第6章、燃焼と反応系には第7章、動力と冷凍には第8〜10章。
- 設計手法: エントロピー生成最小化の第11章とコンストラクタル法則の第13章。後者は独立した単元として読める。
- 練習: 各章末の演習問題を解き、第1章と第2章の歴史の節で背景を知る。
