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工学

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熱力学:工学的アプローチ

Yunus A. Cengel; Michael A. Boles; Mehmet Kanoglu

英語原題: Thermodynamics: An Engineering Approach

工業熱力学の教科書で、全18章。基本概念、エネルギー解析、純物質の性質から、第二法則、エントロピー、エクセルギーを経て、動力・冷凍サイクル、熱力学的関係式、混合気体、化学反応、平衡、圧縮性流れへと進む。図、応用例、約400問の選択式「理解度チェック」問題が自習を助ける。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
熱力学エントロピーエクセルギーサイクル物性第一法則第二法則

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Çengel, Y. A., Boles, M. A., & Kanoğlu, M. (2024). Thermodynamics: An Engineering Approach (10th ed., international student edition). McGraw-Hill.

章の要約

第10版は18章からなる。出版社は本書を、学生にやさしく自習しやすいものと説明し、図版、例題、現実の応用を用いて書かれていて、学ぶ最善の方法は実践であるというのが著者の考えだとしている。出版社による本版の説明には具体的な点がいくつかあり、それぞれが関わる章の下に記す。カタログは章題を挙げ、出版社の版の説明が具体的な情報を加えている。

第1〜2章:序論と基本概念、エネルギー、エネルギー移動と一般的なエネルギー解析(Introduction and Basic Concepts; Energy, Energy Transfer, and General Energy Analysis)

冒頭の2章は、基本的な用語を整え、そのうえでエネルギーとその移動を、一般的なエネルギー解析の土台として導入する。版の説明によれば、2018年のキログラム、モル、アンペア、ケルビンの再定義がこの2章に取り入れられている。

第3章:純物質の性質(Properties of Pure Substances)

純物質の性質を扱う章は、閉じた系と検査体積のエネルギー解析より前に置かれている。

第4〜5章:閉じた系のエネルギー解析、検査体積の質量・エネルギー解析(Energy Analysis of Closed Systems; Mass and Energy Analysis of Control Volumes)

第1法則はまず閉じた系に、次に検査体積に適用され、質量とエネルギーが合わせて解析される。

第6〜8章:熱力学第2法則、エントロピー、エントロピー解析(The Second Law of Thermodynamics; Entropy; Entropy Analysis)

第2法則の後に、エントロピーの2つの章が続く。出版社によれば、第9版の長いエントロピーの章は本版で2つに分けられ、第7章はエントロピーの基礎を、第8章はその工学的応用とエントロピー収支を扱う。これは、教員が内容を選んで講義しやすくするためである。第7章では、理想気体の等エントロピー過程に使われる相対圧力と相対比体積の関数が除かれ、代わりに新しいエントロピー関数s+が定義されて空気表に載せられた。これにより、圧力ではなく比体積が与えられたときに、比熱が変化する理想気体のエントロピー変化を求められる。

第9章:エクセルギー(Exergy)

版の説明によれば、エクセルギーの章では、静止した質量と流れる流体の比エクセルギーにx_nonflowとx_flowの記号を使い、x、X、Ẋがエネルギーのe、E、Ėと対応するようにしている。章には、約−160 °Cの液化天然ガスなどの極低温の応用が加えられた。エネルギー収支では、正味のエネルギー移動がQ_net,in + W_net,inと書かれ、負の値は出力を意味する。

第10〜12章:ガス動力サイクル、蒸気・複合動力サイクル、冷凍サイクル(Gas Power Cycles; Vapor and Combined Power Cycles; Refrigeration Cycles)

3つの章が動力サイクルと冷凍サイクルを扱う。ガス動力サイクル、蒸気・複合動力サイクル、冷凍サイクルである。

第13〜15章:熱力学的性質の関係式、気体混合物、気体・蒸気混合物と空気調和(Thermodynamic Property Relations; Gas Mixtures; Gas-Vapor Mixtures and Air-Conditioning)

これらの章は、性質の関係式、気体の混合物、気体と蒸気の混合物(空気調和を含む)を扱う。

第16〜18章:化学反応、化学平衡と相平衡、圧縮性流れ(Chemical Reactions; Chemical and Phase Equilibrium; Compressible Flow)

最後の3章は、化学反応、化学平衡と相平衡、圧縮性流れを扱う。

主要概念

以下の説明は、目次と版の説明が挙げている概念の一般的な定義である。

第1〜5章:基本概念、エネルギー、性質、第1法則

  • エネルギー解析:熱と仕事によるエネルギー移動の収支をとること。閉じた系と検査体積に適用される。
  • 純物質:化学組成が一定の物質で、その性質は計算に使えるよう表にまとめられている。
  • 検査体積:物質が流れ込む領域で、質量収支とエネルギー収支で解析される。

第6〜9章:第2法則、エントロピー、エクセルギー

  • 熱力学第2法則:過程の向きとサイクルの効率に限界を与える法則。
  • エントロピーとs+関数:第7章で導入される性質と、比熱が変化する理想気体のための新しい関数。
  • エクセルギー:環境に対する系の仕事の潜在能力。本版で改められた記号を用いる。

第10〜18章:サイクル、関係式、混合物、反応、平衡、圧縮性流れ

  • ガス・蒸気・冷凍サイクル:機関、発電所、冷凍機の解析に使う理想化されたサイクル。
  • 気体・蒸気混合物:湿り空気のような混合物で、空気調和と結びつく。
  • 化学平衡と相平衡:系が自発的に変化しなくなる条件。
  • 圧縮性流れ:密度変化が無視できない速度での気体の流れ。

批判的分析

長所

  • 意図的にわかりやすい文体。 出版社は、本書を学生にやさしく自習向きで、最も難しい主題でも読みやすくわかりやすいものと述べ、魅力的な図版、例題、現実の応用を伴うとしている。
  • 自己確認の仕組み。 第10版の目立つ新機能は、ほとんどの節末にある約400問の選択式「Check Your Understanding」で、概念に重点を置き、数値が出てくる問題は電卓なしで答えられるようになっている。
  • 1冊で広い範囲。 18章は基本概念から化学・相平衡と圧縮性流れまで進むので、1冊で入門科目とその続きの科目を支えられる。
  • 本版の変更点がはっきりしている。 エントロピーを2章に分けたこと、s+関数、改められたエクセルギーの記号、SI単位の再定義は、本版が問題だけでなく構成と記号を改めたことを示している。

短所

  • 改訂は記号と相互参照に影響する。 第9版の学習ガイドや解答ノートを使う人は、新しいエントロピーの章番号、相対圧力・相対比体積の関数に代わるs+、変更されたエクセルギーの記号、新しいエネルギー収支の符号の約束に合わせる必要がある。
  • 分量。 ペーパーバックは書店の情報では1,000ページ近くあり、すべての章を使い切れる科目はない。教員は後半の章から選ぶことになる。
  • 専用の伝熱の章がない。 18の章題は一般的なエネルギー移動を扱うが、伝熱を主題としては扱っていないので、伝熱へ進む科目には別の教科書が必要になる。このコースの書籍リストには数冊ある。

コースにおける位置づけ

Çengel、Boles、Kanoğluの本は、標準的な工学熱力学の科目の主教科書である。BorgnakkeとSonntagの Fundamentals of Thermodynamics は最も近い代替で、その国際版は13章で、性質から第1・第2法則を経てエクセルギー、サイクル、混合物、関係式、化学反応へと進み、本書にあるような平衡と圧縮性流れの章を持たない。Moran、Shapiro、Boettner、Baileyの Fundamentals of Engineering Thermodynamics は、体系的なもう1冊の主教科書であり、TurnsとPauleyの Thermodynamics: Concepts and Applications は、より平易で例題中心の入門書である。

Peter Atkinsの The Laws of Thermodynamics: A Very Short Introduction は、科目の前または並行して、4つの法則の簡潔な概念的概観を与えてくれる。同じリストにある物理寄りの本、たとえばSchroederの An Introduction to Thermal Physics は、微視的状態の数え上げによってエントロピーを定義し、工学的な見方を補える。Bejanの Advanced Engineering Thermodynamics は大学院レベルの続編で、エクセルギーとエントロピー生成を設計の道具にする。

本書の使い方

本書は、最初の熱力学の科目を取る工学系の学生や、読みやすく、応用例の豊富な主教科書を求める人に向いている。想定される素養は、微積分と入門物理である。

  • 核心: 第1〜9章を順に。各節の後でまずCheck Your Understandingの問題で確認し、それから章末の計算問題に進む。
  • サイクルと応用: 動力、冷凍、空気調和の科目では第10〜12章と第15章。
  • 発展または任意: 第13、14、16、17、18章は、性質の関係式、混合物、化学反応、平衡、圧縮性流れで、シラバスに応じて使う。

旧版を使っている場合は、エントロピーの各章の番号や空気表の列が異なることを想定しておくこと。