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分析化学 2.1 cover

化学

化学

分析化学 2.1

David T. Harvey

英語原題: Analytical Chemistry 2.1

分析化学の最初の授業向けオープン教材です。化学平衡、測定、統計、分光法、クロマトグラフィー、電気化学を通して定量分析を学びます。一般化学を先に履修し、著者サイトから無料本文と関連資料を利用できます。

前提知識: 一般化学を修了していること。代数と対数が扱えれば十分で、微積分は不要です。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Harvey, D. T. (2016). Analytical Chemistry 2.1. David T. Harvey (open access, CC BY-NC-SA 4.0). Free official edition: https://sites.google.com/depauw.edu/dth/analytical-curriculum-projects/analytical-chemistry-2-1

章の要約

本書は、著者の紙の教科書 Modern Analytical Chemistry(McGraw-Hill、2000年)を電子版として作り直したもので、著作権は著者に返還されている。バージョン2.1は2016年夏の公開版である。序文は全15章を四つのまとまりに分けている。全体への導入(第1〜3章)、分析法がなぜ機能するかを理解するための話題(第4〜7章)、主要な分析法の系統(第8〜13章)、分析法の設計と維持(第14〜15章)である。各章の末尾には、キーターム、要約、問題、そして本文中の練習問題の解答が置かれている。

第1〜3章:Introduction to Analytical Chemistry(分析化学入門);Basic Tools of Analytical Chemistry(分析化学の基本的な道具);The Vocabulary of Analytical Chemistry(分析化学の用語)

第1章は、方法を改良し新たに生み出す分析化学と、日常的な化学分析とを区別し、フィードバックのループをもつ5段階の「分析的アプローチ」を示す。問題を定性分析・定量分析・特性評価・基礎的分析に分類し、定性分析はこれ以上扱わないと明記している。第2章は、単位、有効数字、濃度の表し方、化学量論、ガラス器具、溶液調製、表計算ソフト、実験ノートを復習する。第3章は、分析対象物(アナライト)とマトリックス、技法・方法・手順・プロトコルといった基本用語と、方法を選ぶ基準を定義する。序文によれば、以降の章はこの三章の内容に慣れていることを前提としている。

第4章:Evaluating Analytical Data(分析データの評価)

アメリカの1セント硬貨の質量を題材にした統計の章である。中心傾向とばらつき、確定誤差と不確定誤差、不確かさの伝播、確率分布と信頼区間、有意性検定(t検定、F検定、外れ値の検定)、検出限界を扱う。末尾の節では、同じ計算をExcelとRで行う方法を示す。

第5章:Standardizing Analytical Methods(分析法の標準化)

シグナルと分析対象物の量との関係から出発し、方法の感度と試薬ブランクをどう求めるかを問う。外部標準、標準添加、内部標準を比較したうえで、線形回帰(重みなし、重み付き、両変数に誤差がある場合)をかなり詳しく扱い、ここでもExcelとRを用いる。

第6章:Equilibrium Chemistry(平衡化学)

沈殿、酸塩基、錯形成、酸化還元の平衡を復習し、その扱い方を二つ示す。手早く半定量的に考えるためのラダー図と、厳密な平衡計算の系統的な手順である。緩衝液、活量の効果、表計算による解法を経て、ラダー図と厳密計算のどちらを選ぶかについての結びの考察で終わる。

第7章:Collecting and Preparing Samples(試料の採取と調製)

試料採取を誤差の原因として扱う。計画の立て方(どこで、どの種類を、どれだけ、いくつ)、溶液・気体・固体の採取、そして分析対象物と妨害物質の分離を述べる。分離の節では、大きさ、質量または密度、マスキング、状態変化、相間分配による分類を示し、酸塩基平衡や金属–配位子平衡を伴う液–液抽出を取り上げる。

第8〜9章:Gravimetric Methods(重量分析);Titrimetric Methods(滴定分析)

重量分析は、沈殿法、揮発法(熱重量分析を含む)、粒子法を扱う。滴定分析は、酸塩基滴定、錯滴定(EDTA)、酸化還元滴定、沈殿滴定を扱い、どの種類も、滴定曲線、終点の選び方、定量への応用、方法の評価という同じ順序で進む。

第10章:Spectroscopic Methods(分光分析法)

電磁放射の性質と装置の構成要素から始め、吸収(ランベルト・ベールの法則、UV/VisとIR、原子吸光)、フォトルミネセンス、原子発光、散乱(比濁法と比ろう法)へと進む。ここでも各方法は評価で締めくくられる。

第11章:Electrochemical Methods(電気化学的方法)

界面での電気化学的手法に焦点を当てる。ポテンシオメトリー(参照電極、金属電極、膜電極)、クーロメトリー(定電位と定電流)、ボルタンメトリー(ポーラログラフィー、ストリッピング法、アンペロメトリーを含む)である。

第12〜13章:Chromatographic and Electrophoretic Methods(クロマトグラフィーと電気泳動);Kinetic Methods(速度論的方法)

第12章は、カラムクロマトグラフィーの一般理論(分離度、保持係数、選択性、効率)を構築してから、ガスクロマトグラフィー、HPLC、その他の液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動へ進む。第13章は平衡から非平衡の測定へ移り、化学反応速度に基づく方法、放射化学、フローインジェクション分析を扱う。

第14〜15章:Developing a Standard Method(標準法の開発);Quality Assurance(品質保証)

第14章は、最適化(応答曲面、シンプレックス探索、要因配置)から、検証と頑健性試験、共同試験と分散分析による妥当性確認まで、分析法が標準法になる過程をたどる。第15章は第1章の分析的アプローチに戻り、品質管理、内部・外部の品質評価、管理図を扱う。付録には統計表、定数表、反応速度論の復習が収められ、「Additional Resources」の節には章ごとの参考文献と実験が挙げられている。

主要概念

第1〜3章:視点と用語

  • 分析的アプローチ:問題の設定から解決策の提案までの5段階のサイクルで、設計・実験・データ解析がフィードバックのループをなす。
  • アナライトとマトリックス:目的の化学種と、試料中のそれ以外のすべて。
  • 方法選択の基準:正確さ、精度、感度、選択性、頑健性、耐久性、規模、時間、費用。

第4〜5章:データと検量

  • 不確かさの伝播:個々の測定の誤差が、計算された結果にどう合成されるか。
  • 有意性検定:結果を既知の値や互いの結果と比べるためのt検定、F検定、外れ値の検定。
  • 標準化の戦略:外部標準、標準添加、内部標準と、検量線を当てはめるための回帰。

第6〜7章:化学と試料

  • ラダー図:与えられた条件でどの化学種が優勢かを判断するための図式的な近道。
  • 試料採取計画:試料採取の誤差が精度を制限しないよう、試料の種類・大きさ・数を決めること。
  • 液–液抽出:分配による分離で、分配比を用いて記述される。

第8〜11章:古典的方法と機器分析法

  • 重量・容量のシグナル:測定される量としての質量と体積。
  • 当量点と終点:滴定の化学量論的な点と、実際に終了が観察される点。
  • ランベルト・ベールの法則:吸光度が濃度に比例するという、吸収分光法の基礎。
  • ポテンシオメトリー、クーロメトリー、ボルタンメトリー:電位、電荷、電流を分析シグナルとして測る方法。

第12〜15章:分離、速度論、方法の品質

  • 分離度、保持係数、選択性、効率:クロマトグラフィーによる分離を記述する量。
  • 応答曲面:方法の応答が実験因子にどう依存するかを表すもので、探索によって最適条件を見つける。
  • 統計的管理状態:管理図で監視される、日常の分析が妥当性確認されたとおりに動作している状態。

批判的分析

長所

  • 分析法と分析法設計のバランス。 序文は、理論と実践、古典的方法と現代的方法、分析そのものと試料採取・前処理のあいだの均衡を目標に掲げている。実際に、統計、検量、試料採取、方法開発、品質保証にそれぞれ独立した章が当てられており、多くの入門コースでは簡単にしか扱われない話題である。
  • 方法の章が一貫した構成をもつ。 重量分析、滴定、分光、電気化学、クロマトグラフィーの各章は、個々の手法を定量への応用と評価で締めくくるため、方法どうしを比較しやすい。序文によれば、各章の最初の手法は、通常の入門コースで最もよく扱われるものである。
  • 柔軟に使える。 序文は、後ろの章は第4〜7章にほとんど依存しないと述べ、一学期で扱いきれない量の内容があるとも述べている。そのため教員も学習者も取捨選択ができる。
  • 平衡の扱いが適切な比重にとどまる。 序文は、平衡計算が分析化学の代わりになってしまうことを戒め、厳密な方法とラダー図を組み合わせている。第6章の最後でも、どの道具がどの問いに向くかを論じ、平衡は反応速度について何も語らないと指摘している。
  • 計算ソフトが組み込まれている。 統計、回帰、平衡、分散分析にExcelとRが用いられており、第4、5、6、14章の計算を読者が再現できる。
  • 無料で再利用できる。 本文、解答集、章ごとのファイルが、著者によってクリエイティブ・コモンズのライセンスで提供され、同じページに正誤表もある。

短所

  • 意図的な範囲の限定。 定性分析は、カリキュラムの別の箇所で扱われるとの理由で第1章で除外されている。分光の章は光学的方法が中心である。核磁気共鳴と質量分析には独立した章がなく、質量分析はたとえばガスクロマトグラフィーの節で検出器として現れる。
  • 非常に長い。 PDFは1,100ページを超え、序文自身が一つのコースで使い切れる以上の内容を含むと述べている。読者はシラバスか、下に示すような取捨選択の計画がなければ迷いやすい。
  • 形式が古くなっている部分がある。 序文は、埋め込まれたQuickTimeやFlashの動画と、Acrobat固有の機能(注釈ツール、ハイパーリンクによる移動)を前提に説明しており、現在の読者の多くは説明どおりには使えない。
  • 細かな不整合。 章や節の題が版によって異なる(第7章はPDFでは「Collecting and Preparing Samples」だが、著者の章一覧とLibreTextsでは「Obtaining and Preparing Samples for Analysis」)。目次には節番号が重複したり抜けたりしている箇所があり、著者のページには7件の正誤情報が載っている。特定の解答に頼る前に正誤表を確認するとよい。
  • 解答が分かれている。 本文中の練習問題の解答は各章の末尾にあるが、章末問題の答え合わせには別冊の解答集が必要である。

コースにおける位置づけ

本書は、初めての分析化学の授業のための、無料で自由に使える主教材である。Harris と Lucy の Quantitative Chemical Analysis は、同程度の水準にある市販の包括的な代替であり、Harris の Exploring Chemical Analysis は、それより短く数式の少ない姉妹版である。Harvey の説明が分かりにくいときには、どちらも別の説明と問題を提供してくれる。Harvey の特徴は、統計と検量に関する前半の章と、方法開発と品質保証に関する最後の章にある。

機器分析の面では、Rouessac 夫妻の Chemical Analysis: Modern Instrumentation Methods and Techniques が機器分析法の入門であり、Skoog、Holler、Crouch の Principles of Instrumental Analysis が上級向けの扱いである。Harvey の第10〜12章は、そのどちらにもつながる準備になる。Bard、Faulkner、White の Electrochemical Methods は、第11章が終わるところから先を扱う大学院向けの教科書である。

本書の使い方

一般化学を終えた学生に適している。著者サイトの前提条件の記述(代数と対数、微積分は不要)は、本文が要求する内容と合っている。数学は算術、対数、統計が中心で、微積分は、ランベルト・ベールの法則の導出や、第13章とその反応速度論の付録に出てくる積分形の速度式のように、ごく部分的に現れるだけである。

一学期の実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1〜3章を手早く済ませ、第4章(少なくとも4A〜4F節)、第5章の前半、第6章の酸塩基・錯形成・ラダー図の節、第8〜12章それぞれの最初の手法(沈殿重量分析、酸塩基滴定とEDTA滴定、UV/Vis吸収、ポテンシオメトリー、ガスクロマトグラフィーとHPLC)を読む。
  • 任意または二巡目: 第5章の重み付き回帰、第6章の活量の効果、第10章の原子分光とルミネセンス、第11章のボルタンメトリー、第12章のキャピラリー電気泳動、第13章の速度論的方法。
  • 実験を伴う授業向け: 第14章と第15章は、プロジェクトや品質保証の演習と相性がよい。

練習問題は、答えが各章末にあるので、出てきた時点で解くとよい。統計や回帰の問題にはExcelとRの節を活用する。「Additional Resources」の節には、各章に対応する実験や授業内の活動が挙げられている。検索には単一のPDFを、軽い読書には章ごとのファイルを使うとよい。

版と出典

本ガイドは、著者が公開している Analytical Chemistry 2.1 の無料PDF(2016年夏公開版、1,122ページ)に基づく。これは著者のウェブサイト https://sites.google.com/depauw.edu/dth/analytical-curriculum-projects/analytical-chemistry-2-1 から入手したもので、LibreTextsにも掲載されている。序文、詳細な目次の全体、全15章の冒頭部分と章末の要約、および「Additional Resources」の節を参照した。