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定量化学分析 cover

化学

化学

定量化学分析

Daniel C. Harris; Charles A. Lucy

英語原題: Quantitative Chemical Analysis

分析化学の教科書で、定量分析の技法、統計的方法、現代の機器分析を扱い、実際の応用を重視している。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
分析化学定量分析化学統計学分光学クロマトグラフィー電気分析法酸塩基滴定品質保証

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Harris, D. C., & Lucy, C. A. (2026). Quantitative Chemical Analysis (11th ed.). Macmillan Learning.

章の要約

出版社の目次には、0から27までの番号が付いた28の章が、章題のみで示されている。第10版(2020年)は同じ著者によるが、章番号や一部の章題が異なる可能性があるため、手元の版の目次を確認すること。現行版の順序は、分析の過程と測定に始まり、統計と検量を経て、平衡と滴定の長いまとまりに入り、そのあとに試料採取と各種の機器分析法が続く。

第0章:The Analytical Process(分析の過程)

番号が0の導入章で、測定に関する各章の前に置かれている。章題は、分析の過程を本書の最初の主題として掲げている。

第1〜3章:Chemical Measurements(化学測定);Tools of the Trade(実験の道具);Experimental Error and Uncertainty(実験誤差と不確かさ)

測定に関する三つの基礎の章で、化学測定の量と単位、実験室の器具、実験誤差と不確かさの性質を扱う。

第4〜5章:Statistics(統計);Quality Assurance and Calibration Methods(品質保証と検量法)

統計と品質保証が、検量法とともに、平衡の化学よりも前に置かれている。著者紹介は、共著者の Charles Lucy が統計、分光光度法、クロマトグラフィーの各章に最も影響を与えたとし、データのグラフによる検討を重視した章末問題をもたらしたと述べている。

第6〜12章:Chemical Equilibrium(化学平衡);Let the Titrations Begin(滴定を始めよう);Activity and the Systematic Treatment of Equilibrium(活量と平衡の系統的な扱い);Monoprotic Acid-Base Equilibria(一塩基酸塩基平衡);Polyprotic Acid-Base Equilibria(多塩基酸塩基平衡);Acid-Base Titrations(酸塩基滴定);Analytical Complexation(分析における錯形成)

本書で最も長いまとまりで、平衡とそれに依存する滴定を扱う七つの章が連続する。滴定は、平衡の一般論の章のすぐあとの第7章で導入され、酸塩基平衡の章(一塩基、続いて多塩基)は酸塩基滴定の章へとつながる。第8章は活量と平衡問題の系統的な扱いを論じ、第12章の錯形成でこのまとまりが閉じられる。

第13章:Sampling and Sample Preparation(試料採取と試料調製)

代表的な試料の入手と調製を扱う一つの章で、平衡のまとまりのあと、機器分析法の前に置かれている。

第14〜17章:Fundamentals of Electrochemistry(電気化学の基礎);Electrodes and Potentiometry(電極とポテンシオメトリー);Redox Titrations(酸化還元滴定);Electroanalytical Techniques(電気分析法)

電気化学は基礎から始まり、電極とポテンシオメトリーへ進む。酸化還元滴定は、ポテンシオメトリーと第17章の電気分析法のあいだに置かれている。

第18〜22章:Fundamentals of Spectrophotometry(分光光度法の基礎);Applications of Spectrophotometry(分光光度法の応用);Spectrophotometers(分光光度計);Atomic Spectroscopy(原子分光法);Mass Spectrometry(質量分析)

分光光度法は、原理、応用、装置の三章に分けられている。原子分光法と質量分析は、それぞれ独立した章として続く。

第23〜26章:Introduction to Chromatography(クロマトグラフィー入門);Gas Chromatography(ガスクロマトグラフィー);High-Performance Liquid Chromatography(高速液体クロマトグラフィー);Chromatographic Methods and Capillary Electrophoresis(クロマトグラフィー法とキャピラリー電気泳動)

クロマトグラフィー全般の章のあとにガスクロマトグラフィーとHPLCが続き、最後の章がその他のクロマトグラフィー法とキャピラリー電気泳動を扱う。

第27章:Gravimetric and Combustion Analysis(重量分析と燃焼分析)

最終章は重量分析と燃焼分析をまとめて扱い、本書の末尾に置かれている。

主要概念

第0〜5章:過程、測定、統計

  • 分析の過程:化学的な問いが分析結果になるまでの順序(第0章)。
  • 実験誤差と不確かさ:測定値の信頼性(第3章)。
  • 統計、品質保証、検量:結果を評価し標準化する道具(第4〜5章)。

第6〜13章:平衡、滴定、試料採取

  • 活量と平衡の系統的な扱い:実在の溶液や複数の平衡を含む問題の扱い(第8章)。
  • 酸塩基平衡と錯形成の平衡:一塩基・多塩基の系と分析における錯形成(第9、10、12章)。
  • 滴定:酸塩基滴定(第11章)と、のちの酸化還元滴定(第16章)。
  • 試料採取と試料調製:分析対象の物質を得ること(第13章)。

第14〜27章:機器分析法と古典的方法

  • ポテンシオメトリーと電気分析法:電極と電気化学的測定(第14〜17章)。
  • 分光光度法、原子分光法、質量分析:光学的測定と質量に基づく測定(第18〜22章)。
  • クロマトグラフィーとキャピラリー電気泳動:分離法(第23〜26章)。
  • 重量分析と燃焼分析:質量による測定(第27章)。

批判的分析

長所

  • 一冊で幅広い。 目次は、測定と統計、平衡と滴定、試料採取、電気化学、分光光度法、原子分光法、質量分析、クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、重量分析と燃焼分析を含んでおり、一冊で一年間の分析化学の授業を支えることができる。
  • 解答面の支援が充実している。 出版社によれば、本書には解答が完全に示された例題(Examples)と演習(Exercises)、巻末に答えのある問題(Problems)、別冊の解答集があり、現行版では例題に付く「Test Yourself」問題にも完全な解答が用意されている。
  • 研究素材を使った問題。 Charles Lucy の著者紹介は、新たな章末問題がデータのグラフによる検討を重視し、原著論文や研究論文に取材し、クロマトグラフィーのシミュレーターなどのオンラインツールを用いていると説明している。
  • 話題性のある構成。 出版社は、各章の導入や例が文献から取られていること、現行版では分析化学に携わる人々の紹介が25件以上とキャリア情報が加えられたこと、図のキャプション、欄外の注、動画で学部生の研究が明示されていることを述べている。

短所

  • 前半の平衡の比重が大きい。 試料採取や機器分析の章が現れる前に、平衡と滴定を扱う七つの章(第6〜12章)が連続する。機器分析を早く扱いたい授業では、読む順序を組み替える必要がある。
  • 大部で、版によって異なる。 28章は一つの授業で扱える範囲を超えており、出版社は第10版(2020年)のあとにも新版を出しているため、読書リストや解答集の章番号は版によって異なる。
  • 出版社の主張は独立した根拠ではない。 「gold standard」や「rigorous」といった表現は出版社の販売ページに由来する。上記の目次と問題の支援に関する記述が、確認できる部分である。

コースにおける位置づけ

このリストの分析化学の本のうち、Harris と Lucy の本と Harvey の本は、分量のある総合的な教科書の二つである。Harvey の Analytical Chemistry 2.1 は、同程度の水準で自由に使える無料の選択肢で、全15章からなり、方法開発と品質保証の独立した章をもつ。両書は、統計、平衡、滴定、主要な機器分析の系統で重なる。Harris 自身の Exploring Chemical Analysis は、本書より短く数式の少ない姉妹版と説明されており、やさしい最初の一巡や、別の説明を得るための資料として使える。

本書の先に進むには、Rouessac 夫妻の Chemical Analysis: Modern Instrumentation Methods and Techniques が機器に重点を置き、Skoog、Holler、Crouch の Principles of Instrumental Analysis が上級の機器分析の教科書であり、Bard、Faulkner、White の Electrochemical Methods は第14〜17章の電気化学を発展させる大学院レベルの扱いである。

本書の使い方

一般化学を終え、分析化学の授業を受ける学生を対象とする。出版社のページには、正式な前提条件は示されていない。主教材として使うのが最も適しており、前半は順に読み、そのあとは選択的に使うとよい。

一年間の授業での実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第0〜5章(分析の過程、測定、誤差、統計、検量)、第6〜12章(平衡と滴定)、第13章(試料採取)。
  • 機器分析のまとまり(授業の重点に応じて選ぶ): 第14〜17章の電気化学、第18〜21章の分光光度法と原子分光法、第23〜26章のクロマトグラフィー。短い授業では、質量分析(第22章)とキャピラリー電気泳動(第26章内)が省略しやすい。
  • 最終章: 重量分析と燃焼分析(第27章)は、たとえば滴定の章と並べるなど、どの時点で読んでもよい。

問題の前にまず例題に取り組み、問題は巻末の答えで確かめる。完全な解答には別冊の解答集が必要である。版によって内容が異なるため、古いシラバスの章リストに従う前に、使用している版の目次を確認すること。