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Introduction to Tissue Engineering: Applications and Challenges(組織工学入門:応用と課題) cover

生体医工学

生体医工学

Introduction to Tissue Engineering: Applications and Challenges(組織工学入門:応用と課題)

Ravi Birla

英語原題: Introduction to Tissue Engineering: Applications and Challenges

IEEE Press Series on Biomedical Engineeringの一冊で、単独著者による入門教科書。組織工学を工学的な設計問題として捉え、人工組織を作製する8段階の枠組みを示した上で、細胞、生体材料、作製技術、血管新生、バイオリアクターを扱い、気管、膀胱、肝臓への応用へと進む。

前提知識: 細胞生物学と生理学の入門。工学数学の基礎があると役立つが、ほとんど必要としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Birla, R. (2014). Introduction to Tissue Engineering: Applications and Challenges. Wiley-IEEE Press.

章の要約

本書は全9章、約360ページの単著の教科書で、IEEE Press Series on Biomedical Engineering の一冊である。巻頭には略語一覧と重要用語・概念の解説が置かれている。各章は番号付きの学習目標と章の概観で始まり、まとめ、練習問題、参考文献で終わる。前半の6章で全体の枠組みとそれを支える技術を示し、後半の3章でその枠組みを三つの臓器に当てはめる。

第1章:組織工学入門

本書全体の枠組みを示す章。腎臓と肝臓の移植待機者に関する米国のデータを用いてドナー臓器の慢性的な不足から説き起こし、心血管系の例を通じて組織工学のパラダイムを紹介する。全米科学財団(NSF)、ユージン・ベル、ヴァカンティとランガーによる組織工学の定義を比較したうえで、著者自身の定義を示す。中心となるのは3次元人工組織を作製する8段階のプロセスで、細胞の調達、生体材料の合成、遺伝子操作、足場への細胞播種、センサーの埋め込み、バイオリアクター、血管化、生体内評価からなる。続いて作製を、制御可能な入力と測定可能な出力をもつ設計問題として扱い、三つの構成要素を挙げ、各段階に残る未解決の問題を整理する。後半では、人工組織を評価する指標、画期的な論文(とくにロバート・ランガーの業績)、移植以外での3次元組織の用途、2次元培養と3次元培養の比較、分野の成長、そして遺伝子治療、細胞移植、再生医療など関連分野との違いを扱う。

第2章:組織工学のための細胞

工学系の学生向けに書かれた細胞生物学の章で、細胞の構造と機能、細胞外マトリックス、細胞シグナル伝達、細胞間結合を扱う。次に細胞の調達、細胞移植(その手順、使われる細胞、作用の仕方)、細胞培養の工程を取り上げ、単層2次元培養と組織工学を対比する。最後に幹細胞工学の入門として、ヒト胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、成体幹細胞を紹介する。

第3章:組織工学のための生体材料

生体材料を定義し、その開発の枠組みを提案し、分野の短い歴史を述べる。引張特性とその調整、材料の分解、生体適合性を扱ったあと、生体材料を分類し、生体材料のプラットフォーム、生体模倣材料やスマート材料、モデルとしての細胞外マトリックスを概観し、理想的な生体材料の条件で締めくくる。

第4章:組織作製技術

細胞を組織へと組み上げる方法の概観で、自己組織化、細胞シート工学、足場を用いた作製、細胞・臓器プリンティング、固体自由形状造形、ソフトリソグラフィーとマイクロ流体技術、細胞パターニングを取り上げる。最後に、組織作製を支える理想的なシステムを描く。

第5章:人工組織の血管化

一つの作製段階をもっとも詳しく扱う章。まず生物学(血管新生研究の画期的な成果、脈管形成・血管新生・動脈形成の分子機構)と治療的血管新生から始める。次に人工組織を血管化するための概念的枠組みを組み立て、生体内モデルを概観し、意思決定のためのフローチャートを伴う理想的な戦略を示す。戦略は、生物学的に再現するもの、生物学的に媒介されるもの、生物学に着想を得たものの三つに分類される。

第6章:組織工学のためのバイオリアクター

バイオリアクターを定義・分類し、設計上の考慮点と理想的なバイオリアクターシステムを示す。続いて哺乳類細胞培養用、足場作製用、足場への細胞播種用のバイオリアクターを扱い、灌流システム、機械的伸展、電気刺激へと進む。

第7章:気管の組織工学

三つの臓器の章の最初で、共通の型に沿って進む。気管の構造と機能、臨床上の問題(先天性狭窄、挿管後・気管切開後の狭窄)、その遺伝的制御と現在の治療法を述べ、次に設計上の考慮点、人工気管を作製する工程、実験モデル、二つの臨床研究を取り上げる。

第8章:膀胱の組織工学

同じ型で膀胱を扱う。構造と機能、神経因性膀胱機能障害、外科的膀胱拡大術、膀胱の発生を述べたうえで、設計上の考慮点と作製工程に進む。細胞シート、小腸粘膜下組織、PLGA足場、無細胞グラフト、臓器モデルに基づく方法をそれぞれ節を分けて扱い、臨床研究で終わる。

第9章:肝臓の組織工学

最終章では、肝臓の構造と機能、急性肝不全、移植、再生と発生を述べ、設計上の考慮点と人工肝組織を作製する工程に進む。前の章で扱った基盤技術(幹細胞、表面パターニング、生体材料プラットフォーム、3次元作製、血管化、バイオリアクター)を一つずつ肝臓に当てはめ、スフェロイド培養で締めくくる。

主要概念

第1章:組織工学入門

  • 8段階の作製プロセス:細胞の調達から生体内評価までを貫く、本書の構成原理。
  • 作製としての組織工学:制御可能な入力(細胞の数と種類、線維の組成、多孔性)と、あらかじめ定めた出力指標をもつ工程。
  • 構成要素:機能を担う細胞、構造を担う生体材料、成熟を導くバイオリアクターの三つ。
  • 性能指標:機能的・生物学的・組織学的な指標で、生体の組織と比べて評価する。

第2–3章:細胞、生体材料

  • 細胞の調達:初代細胞と幹細胞(胚性、人工多能性、成体)のどれを使い、どう増やし分化させるかの選択。
  • 細胞移植と組織工学の違い:細胞だけを送り込むか、3次元構造体を作製するか。
  • 生体適合性と分解:材料が宿主とどう相互作用し、時間とともにどう分解するか。
  • 理想的な生体材料:天然材料、合成材料、スマート材料を比べるための目標特性。

第4–6章:作製技術、血管化、バイオリアクター

  • 足場を使わない作製と足場を使う作製:自己組織化や細胞シートと、足場への播種、プリンティング、自由形状造形との対比。
  • 脈管形成・血管新生・動脈形成:血管ができる三つの経路で、血管化戦略の基礎となる。
  • バイオリアクターによる刺激:組織の成熟を導くための灌流、伸展、電気刺激。

第7–9章:気管、膀胱、肝臓

  • 設計上の考慮点:臓器の構造、機能、疾患から人工臓器の要件を導くこと。
  • 臨床応用への移行:気管と膀胱について紹介される臨床研究は、作製プロセスの検証として位置づけられる。

批判的分析

長所

  • 一貫した単一の枠組み。 一人の著者が授業のために書いた本で、第1章の8段階プロセスが全体を通じて繰り返し使われる。著者は、編著書は章ごとに内容が不統一で授業に使いにくいと述べており、本書はその問題を避けている。
  • 授業向けの構成。 各章の学習目標、概観、まとめ、練習問題、巻頭の用語解説、出版社が挙げる教員用スライドにより、課題として指定しやすい。第1章の練習問題は暗記だけでなく推論も求め、たとえば8段階プロセスに二つの段階を加えるとしたら何かを問う。
  • 工学的な捉え方。 第1章の設計変数の考え方と、第3–6章の「理想的な」システムを描く節は、どの手法も明示的な要件に照らして評価する手がかりを学生に与える。
  • 枠組みを適用する臓器の章。 第7–9章はいずれも臨床上の必要から設計上の考慮点、作製工程へと進み、気管と膀胱については臨床研究まで扱うので、一般的な段階が実際の臓器でどう展開するかがわかる。

短所

  • 8段階の扱いの偏り。 細胞、生体材料、血管化、バイオリアクターにはそれぞれ章があるが、目次を見る限り、遺伝子操作、センサーの埋め込み、生体内評価には独立した章がない。
  • 臓器は三つだけ。 皮膚、軟骨、骨、心臓組織(著者自身の研究分野)は第1章で活発な分野として触れられるが、独立した章はない。出版社の紹介文はケーススタディ、今後の方向性に関する節、ペースメーカーや義肢の扱いに言及しているが、いずれも目次に節としては現れない。索引では心臓ペースメーカーはバイオリアクターの章の電気刺激の議論の中にだけ挙がっている。
  • 内容の古さ。 2014年刊行で改訂されていないため、オルガノイド、バイオプリンティング、臨床応用のその後の進展は含まれない。
  • 定量的な輸送現象が少ない。 節の見出しからは概念的・生物学的な扱いが中心であることがうかがえ、厚い構造体における物質移動の限界は独立した話題になっていない。

コースにおける位置づけ

本書はこのコースで最初に読む教科書として自然な位置にある。ジョナサン・スラックの Stem Cells: A Very Short Introduction は幹細胞の生物学と治療を短く平易に解説した本で、第2章の前か並行して読むと、本書が数節で済ませている生物学的背景を補える。ファン・ブリッタースワイクとデ・ブールの Tissue Engineering は約750ページの多著者による編著の教科書で、同じ基礎(細胞、生体材料、足場、バイオリアクター)をより深く、はるかに多くの組織について扱い、製造と臨床応用への移行で終わる。本書の次に読む2冊目として筋が通っている。

ランザ、ランガー、ヴァカンティ、アタラによる Principles of Tissue Engineering は分野の第一人者たちによる大部の参考書で、本書の枠組みに慣れてから特定の組織や技術を調べるのに使うのがよい。イオアニス・ヤナスの Tissue and Organ Regeneration in Adults は、皮膚と末梢神経における誘導再生と足場設計に焦点を絞った専門書で、第3–4章の足場の話題をさらに深めたい学生に向いている。

本書の使い方

生体医工学や生命科学の学部生と大学院初年次の学生に適している。細胞生物学と生理学の入門的な知識があると役立つが、必要な細胞生物学は第2章で復習され、数学はほとんど必要ない。

1学期の授業での実践的な計画:

  • 中核: 第1章を通して読む。以後のすべての章が8段階プロセスと三つの構成要素に立ち返るからである。次に三つの構成要素を順に扱う第2、3、6章。
  • 作製技術と血管化: 第4章と第5章。第5章は分子生物学の内容のため難しく感じられることがあるが、意思決定のフローチャートを確実に理解することが要点である。
  • 応用: 第7–9章から一つか二つを選んで詳しく学ぶか、グループごとに別の臓器を割り当てる。各臓器について設計上の考慮点を列挙して8段階と照らし合わせ、臨床研究が実際にどの段階に取り組んだかを確認する。

各章冒頭の学習目標をチェックリストとして使い、練習問題を復習に用いるとよい。独立した章をもたない段階(遺伝子操作、センサー、生体内評価)や最近の進展は簡単にしか扱われていないので、総説論文やファン・ブリッタースワイクとデ・ブールの該当章と組み合わせて読むとよい。