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Tissue Engineering(組織工学) cover

生体医工学

生体医工学

Tissue Engineering(組織工学)

Clemens van Blitterswijk; Jan De Boer

英語原題: Tissue Engineering

この分野に初めて取り組む読者向けに構成された、組織工学と再生医療の編著教科書。前半では幹細胞と細胞シグナル伝達から生体材料、足場、バイオリアクターまで生物学と材料の基礎を示し、後半ではそれらを特定の組織や臓器に応用し、製造と臨床応用までの過程をたどる。

前提知識: 学部レベルの細胞生物学と、ある程度の材料科学または化学。入門的な生理学の知識があると役立つ。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
tissue engineeringregenerative medicinebiomaterialsstem cellsscaffolds教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

van Blitterswijk, C., & De Boer, J. (Eds.). (2022). Tissue Engineering (3rd ed.). Academic Press.

章の要約

第3版は、21の章からなり約750ページの編集書で、80名を超える執筆者が寄稿している。出版社によれば、本書は組織工学の基礎と、選ばれた臓器・組織の組織工学とに分けた節で全面的に改訂されたもので、基礎生物学、生体工学、基礎医学を学ぶ学部生・大学院生に理解しやすい言葉で書かれ、この分野の初学者に向けた明確な章立てを備えている。また、基礎科学の応用を例証する臨床応用の事例研究を含むとも述べている。内容は、細胞と生物学的原理から、材料と作製技術を経て、個別の組織へ進み、最後に製造と臨床への橋渡しに至る。

第1章:An Introduction to Tissue Engineering; the Topic and the Book(組織工学入門:主題と本書)

Jorge Alfredo Uquillas、Lorenzo Moroni、Jan de Boer による、約12ページの章。章の要旨によれば、教育ツールとしての第3版と想定される読者の概観、この分野の起源、限界、可能性についての議論、訓練中の組織工学者が持つべき姿勢の定義を行い、各章の使い方についての詳しい推奨で締めくくられる。

第2〜4章:Stem Cells(幹細胞);Tissue Formation During Embryogenesis(胚発生における組織形成);Cellular Signaling(細胞シグナル伝達)

生物学的基礎。Mark Pittenger と Candace Kerr による第2章は約57ページで、比較的長い章の一つである。第3章(Karperien、Roelen、Passier、Gibbs)は胚における組織形成を、第4章(LaPointe と Kilian)は細胞間のシグナル伝達を扱う。

第5〜9章:Extracellular Matrix as a Bioscaffold(生体足場としての細胞外マトリックス);Synthetic Biomaterials(合成バイオマテリアル);Degradation of Biomaterials(バイオマテリアルの分解);Cell–Material Interactions(細胞と材料の相互作用);Biomaterials Discovery(バイオマテリアルの探索)

材料のまとまり。細胞外マトリックス由来の天然足場(Sicari、Londono、Dziki、Badylak)、合成バイオマテリアル(Aldana、Bauer、Baker)、バイオマテリアルがどのように分解するか(Hynes ほか、約47ページ)、細胞が材料とどのように相互作用するか(Donnelly ほか)、新しいバイオマテリアルを発見するための実験的・計算的アプローチ(Hook ほか)を扱う。

第10〜14章:Microfabrication Technology(微細加工技術);Scaffold Design and Fabrication(足場の設計と作製);Controlled Release Strategies(制御放出戦略);Bioreactors(バイオリアクター);Strategies to Promote Vascularization, Survival, and Functionality of Engineered Tissues(人工組織の血管新生、生存、機能を促す戦略)

工学のまとまり。微細加工(Nie、Truckenmüller、Takeuchi)、足場の設計と作製(Hutmacher、Tandon、Dalton)、シグナルの制御放出(Rice、Martino、Bobbala、Scott、Hubbell、約44ページ)、研究と製造のためのバイオリアクター(Egger ほか)、血管新生によって人工組織を生かし続ける問題(Filippi ほか)を扱う。

第15〜19章:Skin Tissue Engineering and Keratinocyte Stem Cell Therapy(皮膚の組織工学とケラチノサイト幹細胞療法);Cartilage and Bone Regeneration(軟骨と骨の再生);Tissue Engineering of the Nervous System(神経系の組織工学);Principles of Cardiovascular Tissue Engineering(心血管組織工学の原理);Tissue Engineering of Organ Systems(器官系の組織工学)

応用のまとまり。皮膚とケラチノサイト幹細胞療法(Hannen ほか)、軟骨と骨(Lindahl、Brittberg ほか、約51ページでこのまとまりでは最長)、神経系(Dalton、Pêgo ほか)、心血管組織工学(Chen と Cohen)、器官系(Jorgensen と Atala)を扱う。

第20〜21章:Product and Process Design: Scalable and Sustainable Tissue-Engineered Product Manufacturing(製品とプロセスの設計:スケーラブルで持続可能な組織工学製品の製造);Clinical Translation(臨床への橋渡し)

最後の章は、実験室から患者までの道筋をたどる。製造設計(Claes、Heck、Sonnaert、Schrooten ほか)と臨床への橋渡し(Joly、Marechal、Van Assche、Moos、Luyten)で、それぞれ約30ページである。

主要概念

第1〜4章:細胞とシグナル

  • 幹細胞:人工組織の構成要素を供給する細胞。
  • 胚における組織形成:工学のモデルとしての発生。
  • 細胞シグナル伝達:細胞の挙動を方向づける分子間のコミュニケーション。

第5〜9章:材料

  • 生体足場としての細胞外マトリックス:組織由来のマトリックスを足場として使うこと。
  • 合成バイオマテリアルとその分解:人工の材料と、それが体内でどう分解するか。
  • 細胞と材料の相互作用:材料が細胞にどう影響するか。
  • バイオマテリアルの探索:新しい材料を見つけるための実験的・計算的方法。

第10〜14章:工学的な道具

  • 微細加工と足場設計:材料を小さなスケールで成形すること。
  • 制御放出:シグナルを時間をかけて届けること。
  • バイオリアクター:研究と製造のために組織を育てる装置。
  • 血管新生:人工組織に血管を通して供給すること。

第15〜21章:組織、製造、臨床

  • 組織ごとの組織工学:皮膚、軟骨と骨、神経系、心血管組織、器官系。
  • スケーラブルで持続可能な製造:人工組織製品のための製品・プロセス設計。
  • 臨床への橋渡し:実験室の製品から臨床使用に至る道筋。

批判的分析

長所

  • 初学者に向く論理的な構成。 出版社はこの分野の初学者に向けた明確な構成を強調しており、目次もそれを裏づけている。細胞、材料、作製とバイオリアクター、組織、そして製造と臨床への橋渡しの順である。
  • 専門の寄稿者。 各章に執筆者が示されており、制御放出の Hubbell、足場の Hutmacher と Dalton、器官系の Atala、細胞外マトリックスの Badylak などが含まれる。
  • 全過程をカバー。 製品・プロセス設計と臨床への橋渡しの章により、本書は科学を超えて製造と臨床にまで広がる。
  • 教育上の工夫。 序章は各章の使い方を勧めており、出版社は臨床応用の事例研究も挙げている。

短所

  • 深さと長さにばらつきがある。 80名を超える執筆者がいるため、章の長さは約12ページから57ページまでまちまちで、幹細胞と分解を扱う基礎の章は長く、入門的な授業の水準を超えるかもしれない。
  • 応用の章は選択的。 個別の組織を扱う章は5つだけである。出版社は骨格筋、腱、靭帯、眼、免疫系工学についての新しい内容に言及しているが、これらは目次に独立した章題としては現れないので、どこで扱われているかを確認する必要がある。
  • 前提知識。 出版社は読者を、基礎生物学、生体工学、基礎医学を学ぶ学生としている。細胞生物学の素養が最低限の目安であり、生物学系の学生は材料と作製の章で補助が必要かもしれない。
  • 独立した書評が見つからない。 ここでの評価は、出版社の紹介、目次、序章の要旨に基づく。

コースにおける位置づけ

このコース一覧のなかで、van Blitterswijk と De Boer は複数著者によるコースの教科書である。Ravi Birla の Introduction to Tissue Engineering は、組織工学を工学的な設計問題として示す単著の入門書で、よりやさしい最初の一冊になる。Jonathan Slack の Stem Cells: A Very Short Introduction は、幹細胞と再生医療の短い解説で、第2章の準備に使える。

Ioannis Yannas の Tissue and Organ Regeneration in Adults は、創傷治癒と再生材料に焦点を当てたモノグラフで、ある足場が再生を誘導し、別の足場はしないのはなぜかを深く知りたい大学院生に向く。Lanza らの Principles of Tissue Engineering は、細胞生物学、バイオマテリアル、足場、再生医療への応用を扱う包括的な参考書で、本書のあとに、あるいは本書の各章が簡潔にしか扱わない話題について並行して参照するのに適する。

本書の使い方

本書は、生体医工学、生物工学、生物科学を学ぶ上級の学部生・大学院生と、この分野に入る研究者に向く。細胞生物学の素養が最低限の目安で、第5〜11章では材料科学や化学の知識があると役に立つ。

実践的な読み方は次のとおりである。

  • 最初に: 第1章。他の章の使い方についての指針が書かれている。
  • 中核: 第2、5、6、8、11、14章。幹細胞、マトリックスと合成材料による足場、細胞と材料の相互作用、足場の作製、血管新生を扱う。
  • 関心に応じて: 発生生物学とシグナル伝達は第3、4章。材料の分解と探索は第7、9章。作製、放出、バイオリアクターは第10、12、13章。自分が扱う組織については第15〜19章。
  • 橋渡しのために: 製品を開発しようとする人は第20、21章。

組織の章は、関連する基礎の章を読んだあとに読み、各組織が必要とするもの(細胞、足場、シグナル、血管供給)を、前の章と結びつける表を作るとよい。この分野が初めてなら、始める前に Slack や Birla の短い本を読む。