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Biomaterials: The Intersection of Biology and Materials Science(バイオマテリアル:生物学と材料科学の交差点) cover

生体医工学

生体医工学

Biomaterials: The Intersection of Biology and Materials Science(バイオマテリアル:生物学と材料科学の交差点)

Johnna S. Temenoff; Antonios G. Mikos

英語原題: Biomaterials: The Intersection of Biology and Materials Science

材料科学と生物学を並行して組み立てながらバイオマテリアルを紹介する学部向け教科書。金属、セラミックス、高分子の構造と特性が体内での振る舞いをどう決めるか、そしてタンパク質、細胞、組織が埋植材料にどう応答するかを説明する。

前提知識: 化学と生物学の入門科目。材料科学の入門があると役立つが前提ではない。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
biomaterialsbiocompatibilityhost responsematerials science教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Temenoff, J. S., & Mikos, A. G. (2022). Biomaterials: The Intersection of Biology and Materials Science (2nd ed.). Pearson.

章の要約

第2版(Pearson、2022年6月、約520ページ)は、2008年の初版の14章の章題をそのまま引き継ぎ、そのあとに付録と略語・記号の一覧が続く。前半7章はバイオマテリアルを材料として扱い、後半7章はそれに対する生体の反応を扱う。出版社によれば、新版では材料科学の新しい話題と最新の生物学的手法が加わり、新しい問題、例題、カラー図版が追加された。以下の節見出しは初版の公開目次によるものである。章題は第2版でも変わっていないが、新版で節レベルにどのような改訂があったかは公表されていない。その目次では、各章の終わりに要約、問題、参考文献、追加の読み物があり、ほとんどの章にはそのテーマを研究するための実験手法を紹介する「Techniques」の節がある。

第1章:生体医用材料

分野の概観である。バイオマテリアルとは何か、それに対する生体の反応、製品試験と米国食品医薬品局(FDA)による承認、バイオマテリアルの種類、加工、重要な性質、そして後の章で必要になる化学の原理の復習を扱う。

第2章:バイオマテリアルの化学構造

金属、セラミックス、高分子の結合と、原子・分子レベルの構造を扱い、材料のキャラクタリゼーション手法を導入する。

第3章:バイオマテリアルの物理的性質

原子の集まりからバルク材料へと進む。結晶性とその線欠陥・面欠陥・体積欠陥、高分子の結晶性、結晶性材料と非結晶性材料の熱転移、そして熱分析を扱う。

第4章:バイオマテリアルの力学的性質

力学試験の様式とそれに伴う計算、破壊と破損、疲労と疲労試験、力学的性質を改善する方法を扱う。

第5章:バイオマテリアルの劣化

生体環境における劣化を扱う。金属とセラミックスの腐食と劣化、高分子の劣化、意図的に生分解性とした材料、そして劣化の程度を測る分析法である。

第6章:バイオマテリアルの加工

バルクの性質を改善するための加工、望みの形状をつくるための加工、生体適合性を高めるための加工を扱う。

第7章:バイオマテリアルの表面特性

表面化学と表面生物学の概念、物理化学的および生物学的な表面改質、表面特性と劣化の関係、パターニング技術、表面のキャラクタリゼーションを扱う。

第8章:タンパク質とバイオマテリアルの相互作用

生物学への橋渡しとなる章である。タンパク質吸着の熱力学、タンパク質の構造、輸送と吸着の速度論、吸着の可逆性、タンパク質の種類と量を調べる分析法を扱う。

第9章:細胞とバイオマテリアルの相互作用

細胞の構造、細胞外環境、環境との相互作用が細胞機能に及ぼす影響、接着・伸展・遊走のモデル、細胞と材料の相互作用を調べる分析法を扱う。

第10章:バイオマテリアルの埋植と急性炎症

自然免疫と獲得免疫の概観、炎症の臨床徴候とその原因、顆粒球の役割、急性炎症の終息、in vitro の分析法を扱う。

第11章:創傷治癒とバイオマテリアルの存在

急性炎症のあとに起こることを扱う。肉芽組織、異物反応、線維性被包、慢性炎症、4種類の転帰、皮膚の創傷治癒における修復と再生の違い、in vivo の分析法である。

第12章:バイオマテリアルに対する免疫応答

獲得免疫をさらに詳しく扱う。抗原提示とリンパ球の成熟、B細胞と抗体、T細胞、補体系、バイオマテリアルに対する望ましくない免疫応答、免疫学的分析法である。

第13章:バイオマテリアルと血栓症

止血、血小板の役割、凝固カスケード、血栓形成を抑える方法、内皮の役割、血液適合性の試験を扱う。

第14章:バイオマテリアルの感染、腫瘍形成、石灰化

インプラントが引き起こしうるその他の問題、すなわち機器関連感染、腫瘍形成、病的石灰化を扱い、それぞれを研究するための実験手法を示す。

主要概念

第1–7章:材料

  • 構造と性質の関係:金属、セラミックス、高分子における結合と構造が、その物理的・力学的ふるまいをどのように決めるか。
  • 結晶性と欠陥:原子や分子鎖の配列とその不完全さで、強度や熱的なふるまいを左右する。
  • 劣化:体内での金属の腐食や高分子の分解で、望ましくない場合も、意図的に設計される場合もある。
  • 表面改質:材料の表面だけを化学的または生物学的に変え、生体の反応を制御すること。

第8–9章:タンパク質と細胞

  • タンパク質吸着:インプラントが熱力学的な駆動力によってすばやくタンパク質に覆われる現象で、その後に起こるすべてを方向づける。
  • 細胞の接着と遊走:細胞が材料に付着し、広がり、移動する様子と、それが細胞機能をどう変えるか。

第10–14章:宿主反応

  • 炎症と異物反応:急性炎症から慢性炎症、異物反応、線維性被包へと進む一連の過程。
  • 自然免疫と獲得免疫:埋め込まれた材料に反応しうる、補体を含む一般的および特異的な防御。
  • 血液適合性:血液に接する材料が血小板の活性化や凝固を引き起こすかどうか。
  • 遅発性の合併症:インプラントの不具合の形としての感染、腫瘍形成、石灰化。

批判的分析

長所

  • 明快な二部構成の論理。 本書はまず材料の語彙(構造、性質、劣化、加工、表面)を築き、そのうえで生体の反応を、タンパク質吸着から細胞との相互作用、炎症、創傷治癒、免疫、血栓症、遅発性合併症へと順を追ってたどる。学生は各テーマの位置づけを見通すことができる。
  • 手法が組み込まれている。 初版の目次では、ほとんどの章に、性質や反応をどのように測定するかを扱う「Techniques」の節があり、キャラクタリゼーションや熱分析からタンパク質の分析法、in vitro・in vivo の炎症の分析法にまで及ぶ。これは学生が実験に取り組み、研究論文を読むための準備になる。
  • 生物学の知識がない工学系学生にも取り組みやすい。 Google Books に引用された著者の序文によれば、本書は基礎的な化学と物理を前提とするが、偏微分方程式や、細胞生物学・生化学の知識は必要としない。生物学はタンパク質のレベルから順に教えられる。
  • 定評のある教科書。 著者らは初版によって2010年の Meriam/Wiley Distinguished Author Award を受けており、第2版はその構成を保ちながら、新しい内容、問題、カラー図版を加えている。

短所

  • 特定の材料群や医療機器を扱う章が少ない。 本書は材料の系統や臨床応用ではなく、性質と反応によって構成されているため、たとえば整形外科用や心臓血管用の機器を扱う章はない。出版社が述べているのは、章の中の「厳選された詳しい応用例」だけである。
  • 規制と設計は付随的。 FDA の承認は独立した章ではなく第1章の一節として扱われ、最終章も機器の設計や規制ではなく合併症を扱う。
  • 工学系の学生が対象。 序文は2年次以上の工学系学部生を対象としている。生物学系の学生には材料の章(第2~4章)が難しく感じられるかもしれず、本書は物理と化学の知識を前提とする。
  • 改訂内容についての公開情報が少ない。 出版社は第2版でどの節が変わったかを示していないため、初版から移行する教員は新しい問題や話題を自分で確認する必要がある。

コースにおける位置づけ

Temenoff と Mikos の本は、このコースで材料と生物学を一緒に教える2冊の入門書の1つである。Chen と Thouas の Biomaterials: A Basic Introduction は、主題を材料の分類(金属、セラミックス、高分子、複合材料)で構成し、解剖学、疾患、組織学に長い独立した部を充てる。これに対して Temenoff と Mikos は、性質と宿主反応の段階によって構成している。どの材料がどこで使われるかを知りたい学生は Chen と Thouas と組み合わせるとよく、生体反応のメカニズムを知りたい学生には Temenoff と Mikos のほうが体系的である。Agrawal らの Introduction to Biomaterials はより短い授業用教科書で、滅菌、ドラッグデリバリー、組織工学、医療機器にまで範囲を広げている。

Biomaterials Science: An Introduction to Materials in Medicine の2つの版(Ratner ら、2004年;Wagner ら、2020年)は多数の著者による大部の参考書で、どのテーマについても、とくに応用と規制について、さらに深く調べるときに参照するとよい。Jonathan Black の Biological Performance of Materials は生体適合性についての大学院レベルのモノグラフで、第5章と第10~14章の内容を引き継ぐ。

本書の使い方

本書は、生体医工学の2年次以上の学部生や、最初のバイオマテリアルの授業を受ける材料工学・化学工学の学生に向いている。基礎的な化学と物理は必要だが、細胞生物学は第8~12章で補われるため必要ない。

1学期の授業での実践的な進め方:

  • 材料の基礎: 第1~4章を順に読む。材料科学の背景がある学生は第2~3章を速く進めてよいが、分野の全体像と FDA の手続きを示す第1章は飛ばさないこと。
  • 橋渡しの章: 第5~7章(劣化、加工、表面)は、材料と体内の環境を結びつける。第7章は後に続く内容に不可欠である。
  • 生体の反応: 第8~12章は一続きの物語をなしており、タンパク質吸着から獲得免疫まで順に読むべきである。
  • 特化した反応: 第13章と第14章は授業の重点に応じて選ぶことができ、たとえば血液に接する機器を扱うなら第13章を選ぶ。

章末の問題に取り組み、「Techniques」の節を使って、各テーマが実験室でどのように測定されるかと結びつけるとよい。応用と規制については、Biomaterials Science のような参考書や、関係する規制当局のガイダンスを並行して読むこと。