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Ecology: A Very Short Introduction(生態学:超入門) cover

生物学

生物学

Ecology: A Very Short Introduction(生態学:超入門)

Jaboury Ghazoul

英語原題: Ecology: A Very Short Introduction

博物学から出発し、保全や環境政策に知見を提供する科学へと発展してきた生態学を紹介する短い入門書。生物の分布と個体数を説明するために生態学者が用いる中心的な考え方と、それらが実際の問題にどのように応用されるかを示す。

前提知識: 生態学の予備知識は不要で、高校までの理科の知識で足りる。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
ecologyecosystemsbiodiversityconservationenvironmental policyvery short introduction

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Ghazoul, J. (2020). Ecology: A Very Short Introduction. Oxford University Press.

章の要約

本書は2020年8月にオックスフォード大学出版局の「Very Short Introductions」シリーズで刊行された約144ページの本で、序文と図版一覧、8つの章、読書案内、索引からなる(一部の販売サイトにはいまも7章構成の目次が載っているが、これは刊行前のものである。以下の章題は、オックスフォードの Very Short Introductions オンライン版に収められた刊行版のものである)。出版社は本書を、生態学が博物学から環境政策と管理を導く予測科学へと成長した過程をたどり、理論が実践をどう形づくってきたかを示し、生態学の考え方が文化や政治にどう影響してきたかを考察する本と説明している。全体の流れは、定義と歴史から、中核となる科学(個体群、群集、未解決の問い)を経て、応用、文化、そしてこの学問の将来へと進む。

第1章:生態学とは何か

冒頭の章は、生態学を生物どうしおよび生物と環境との相互作用と定義し(環境は舞台、生態学はそこで演じられる芝居である)、生態学と進化が互いに依存していることを強調する。生態学のパターンは歴史と地理に左右されるため物理学ほど法則的でない理由を論じ、生態学という科学を、しばしば同一視される環境保護主義と区別する。

第2章:生態学の夜明け

主要な人物を通して語られる歴史である。植物はその性質に合った場所で育つと述べたテオフラストス、「生態系」という語を作り、生物と環境をあわせて考えるべきだと主張したアーサー・タンズリー、チャールズ・エルトンの数のピラミッド、そして同じ資源をめぐって競争する二種のうち一方が他方を排除することを示したゲオルギー・ガウゼの競争実験。章の最後では、数理的・予測的なモデルの台頭と、それを用いた転換点の特定が取り上げられる。

第3章:個体群

個体群はなぜ急増し、崩壊するのか。この章は、天候、食物、捕食者、密度依存的に働く競争を比較検討し、環境収容力、r選択種とK選択種の対比、そして繁殖と成長や生存のあいだのような生活史のトレードオフを導入する。

第4章:群集

相利共生(考えられているより稀で、搾取的な関係に変わりやすい)から出発し、失われると群集全体に影響が連鎖するキーストーン種、遷移、そして生態系をエネルギーと物質の流れとみなすレイモンド・リンデマンの見方へと進む。これらのパターンはすべて、個々の生物のあいだの無数の拮抗的・協力的な相互作用から生じると論じる。

第5章:単純で複雑な問い

この章は未解決の難問を、トップダウンとボトムアップの説明を対比させながら取り上げる。植物の防御と植食者の軍拡競争、50ヘクタールの熱帯林の区画にどうして千種を超える樹木が存在しうるのか、同じ森林の樹木が変化に異なる反応を示すときにニッチの概念は成り立つのか、複雑さは安定をもたらすのか、そして私たちはこれほど多くの種を必要とするのか。最後の問いについて、著者は人間中心的でない答え方を勧める。

第6章:応用生態学

再生可能な資源や、制御または保全したい個体群の管理に生態学の理論を応用する章である。例として、食物連鎖の底辺の変化が頂点に影響した事例としてのタラ漁業の崩壊、アメリカの森林における気候と火災の様相の変化、害虫や病原体に対する種の混植の利用、そして実験室での成功が野外では失敗した生物的防除が挙げられる。章は全体論的な取り組みを主張する。

第7章:文化の中の生態学

この章は、生態学の考え方が道徳や政治の思想にどのように移っていったかを検討し、科学が生態学的な良心を生み出したのかを問う。ガイア理論、ディープ・エコロジー、文化生態学、聖なる生態学(Sacred Ecology)を概観する。

第8章:未来の生態学

最後の章は、衛星、ソフトウェア、数理モデル、DNA参照ライブラリー、リモートセンシングのデータが、生態学の扱う規模と気候変動を追跡する能力を広げた一方で、逆説的に生態学者を野外調査から遠ざけていることを論じる。結びはレジリエンスである。生態系は今後数十年に極端な撹乱に直面し、それに応じる能力は、人間による生態系の構成の改変にも左右される。

主要概念

第1–2章:生態学とは何か、どこから来たか

  • 生態学と環境保護主義:相互作用の科学であり、しばしば同一視される政治運動とは区別される。
  • 生態系:生物とその物理的環境を一つのシステムとして扱うこと。タンズリーの用語。
  • 数のピラミッド:食物連鎖を上るにつれて数が減るというエルトンの図式。
  • 競争排除:一つの資源をめぐって競争する二種は無期限には共存できないというガウゼの発見。

第3–5章:中核となる科学

  • 密度依存と環境収容力:混み合いが個体群をどのように調節するか、資源が維持できる個体群の大きさ。
  • r選択・K選択とトレードオフ:対照的な生活史戦略と、それを形づくるコスト。
  • 相利共生とキーストーン種:協力的な相互作用と、失われると群集全体に影響が連鎖する種。
  • 遷移とエネルギーの流れ:時間に伴う群集の変化と、エネルギーと物質の流れとしてのリンデマンの生態系。
  • トップダウン制御とボトムアップ制御、ニッチ、多様性と安定性:未解決の問いに取り組むための枠組み。

第6–8章:応用、文化、将来

  • 応用個体群生態学:収穫される種や害をなす種の管理。
  • 生物的防除:生物を用いて害虫を抑えること、そしてそれが失敗しうる理由。
  • ガイア理論とディープ・エコロジー:生態学の考え方に依拠する文化的・倫理的な運動。
  • レジリエンス:撹乱を吸収し、そこから回復する生態系の能力。

批判的分析

長所

  • 人と実験を通して考え方を示す。 第2章は中心的な概念(生態系、数のピラミッド、競争排除)をタンズリー、エルトン、ガウゼの仕事を通して紹介するため、読者は考え方そのものと、それがどのように確立されたかの両方を学べる。
  • 未解決の問いに率直である。 一つの章(第5章)がまるごと未解決の問題、すなわち熱帯の樹木の多様性から多様性と安定性の論争までにあてられ、第1章は生態学がなぜ物理学ほど予測的でないのかを率直に論じる。
  • 科学、応用、文化を一緒に扱う。 第6–7章は漁業、火災、害虫防除からガイア理論やディープ・エコロジーへと進み、科学としての生態学と世界観としての生態学を区別する助けになる。この区別は第1章から本書が示しているものである。
  • 新しい。 2020年の刊行で、DNA参照ライブラリーやリモートセンシングといった現在の手法を論じている。出版社が引用する Conservation Biology の書評は、本書を総合的で読みやすい出発点であり、学部生にもよい資料になると評した。

短所

  • 非常に短い。 約144ページのため、中核となる科学は三つの章(個体群、群集、未解決の問い)に収まっており、目次には生理生態学、生物地理学、地球規模の生態学に割かれた章はない。
  • 定量的な展開がない。 モデルは論じられるが実際に解かれることはなく、演習もない。個体群成長の式やデータ解析には教科書が必要である。
  • 例が限られている。 応用の章はいくつかの事例(タラ漁業、北米の森林火災、害虫防除)に依拠しているため、保全の実践の扱いは体系的というより例示的である。

コースにおける位置づけ

本書は生態学のコースの書目の中で最も短く、最も専門性の低い一冊であり、最初の授業の前か、それと並行して読む見取り図となる本である。Sher と Molles の Ecology: Concepts and Applications と、Bowman と Hacker の Ecology は自然な最初の教科書で、物理的環境と個々の生物から、個体群、種間相互作用を経て、群集、生態系、地球規模の生態学へと進み、応用例や事例研究を備えている。Relyea の Ecology: The Economy of Nature は適応とデータ解析を軸に話題を構成し、生態学のデータを扱う演習を含む。

Begon と Townsend の Ecology: From Individuals to Ecosystems は入門的な生物学を終えた学生向けの幅広く一貫した教科書であり、Mittelbach と McGill の Community Ecology は、ガズールが第4–5章で提起する問い(共存、多様性、安定性)を大学院レベルでまとめた本である。分野の見取り図と歴史を得るためにまずガズールを読み、方法を学ぶために教科書を読むとよい。

本書の使い方

本書が前提とするのは学校で学ぶ一般的な理科だけであり、これから生態学や環境科学を学ぶ学生、生態学とは何か(そして何でないか)を理解する必要がある政策、地理学、人文学の学生、そして一般の読者に向いている。

実践的な読み方は次のとおり。

  • まず第1–2章を読む。 生態学と環境保護主義の区別と、歴史的な概念(生態系、数のピラミッド、競争排除)は全体を通じて繰り返し出てくる。
  • 第3–5章が科学の中核である。 概念(環境収容力、r/K、キーストーン種、遷移、ニッチ)のリストを作り、それぞれを教科書の章で調べて定量的な形を確認する。
  • 第5章は議論に使う。 その問い、とりわけ「私たちはこれほど多くの種を必要とするのか」は、ゼミのよい題材になる。
  • 第6–8章は関心に応じて: 管理と保全(第6章)、環境倫理と政治(第7章)、方法とレジリエンス(第8章)。

より深く学ぶには読書案内をたどり、本書自体には演習がないので、教科書の問題や野外・実験室での作業と組み合わせるとよい。