01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Shively, W. P., & Endersby, J. W. (2025). The Craft of Political Research (11th ed.). Routledge.
章の要約
第11版は約244ページ、全11章のコンパクトな本である。出版社は、政治学の研究デザインと分析への非技術的な入門書であり、研究者が行う選択を中心に据えると説明している。まず興味深い問いを立て、次にできるだけ多くの代替的説明を排除するように探究を設計する。強調されるのは分析の「舞台裏」、つまりなぜそのように測定するのか、なぜあるデザインを別のものより選ぶのか、なぜそのように分析するのかであり、ソフトウェアや計算の教本ではなく概念のレベルで進む。章題は大きく三段階に分かれる。問いと理論の設定(第1〜3章)、測定(第4〜5章)、デザインと推論(第6〜11章)である。
第1〜2章:研究を行う;政治理論と研究テーマ
冒頭の2章は、研究には何が含まれるか、理論やテーマがどのように研究上の問いにつながるかを扱う。出版社の説明は、これらの章が答える問いを挙げている。理論はどう発展させるのか、よい研究上の問いとは何か。
第3章:次元的思考の重要性
概念を次元の観点から考える章。説明は多次元的概念を学生が出会う話題の一つに挙げており、その考え方を題名で示すのがこの章である。出版社はまた、今版で、複数の変数を組み合わせて測定の信頼性と妥当性を高める指数と尺度の節が加わったと述べているが、目次からはそれがどの章にあるかはわからない。
第4〜5章:測定の問題:正確さ;測定の問題:精度
測定についての2章。説明は妥当性、信頼性、測定水準、ランダムおよび非ランダムな測定誤差を話題に挙げており、目次で測定を置いているのがこの2章である。出版社はさらに、ダウンロード可能な定量データ源を含む、公開データの収集に関する新しい節にも言及している。
第6章:因果的思考
出版社が、今版で新たに設けたと述べる二つの独立した章の一つで、因果関係と研究デザインがそれぞれ独立に扱われるようになった。
第7章:研究のデザイン
その二つ目の章。説明によれば、本書は実験的デザインと準実験的デザインを扱い、出版社はデザインを代替的説明を排除する手段として位置づけている。
第8章:研究対象の観察の選択
事例や観察をどう選ぶか。説明は標本抽出と事例選択を話題に挙げている。
第9〜11章:統計入門:間隔データの関係の測定;関係の測定に関するさらなる話題;推論、あるいは研究に賭ける方法
統計の部分。説明は統計的推論と回帰・相関分析を挙げ、第11章の題は、推論を証拠から結論を引き出す際の賭けに結びつけている。出版社は、全体を通じて強調されるのは技法の論理とそれを選ぶ理由だと述べる。
主要概念
第1〜3章:問い、理論、概念
- 研究上の問い:本書は何が問いを興味深くするのかという問いから始まる。
- 次元的思考:概念を複数の次元をもつものとして扱うこと。第3章の主題。
- 指数と尺度:変数を組み合わせて測定を改善するもので、今版で加わった節。
第4〜5章:測定
- 正確さと精度:章題に示された二つの測定上の問題。
- 妥当性と信頼性:出版社が挙げる測定の基準。
- 測定水準:出版社が測定の内容とあわせて挙げる話題。
第6〜8章:因果、デザイン、事例選択
- 因果的思考:第6章。
- 研究デザイン:代替的説明を排除する手段。
- 実験的・準実験的デザイン:説明が挙げるデザイン。
- 事例選択と標本抽出:観察がどのように選ばれるか。
第9〜11章:統計
- 関係の測定:間隔データに対する相関と回帰。
- 統計的推論:標本から、より大きな母集団についての結論へ進むこと。
批判的分析
長所
- 機械的でなく概念的。 著者は、概念のレベルで進め、技法の背後にある推論に重点を置くと述べている。ソフトウェアを学ぶ前に、研究がなぜそう行われるのかを理解したい読者に合う。
- デザインが中心。 代替的説明を排除するように探究を設計するという組織原理が、理論、測定、因果、デザインの各章を、最後に置かれた統計の各章に結びつけている。
- 因果とデザインを別の章で扱う。 新版は両者にそれぞれ1章を与えており、何が何の原因かという問いと、それをどう研究するかという問いを区別しやすい。
- 短く、例が国際的。 約244ページで1科目の中で読み通せる。出版社は、アメリカ、イギリス、カナダ、ラテンアメリカ、アフリカなどの例と、更新された国際データを含むと述べている。
短所
- 実践的な統計の授業ではない。 統計は最後の3章にしか出てこず、出版社は計算よりも概念を強調している。分析を自分で実行する学生には、ソフトウェアの手引きや計量方法の教科書が別に必要になる。
- 質的方法の扱いは目次からは限られる。 事例選択や準実験的デザインは挙げられているが、インタビュー、文書館調査、エスノグラフィーの章は目次にない。質的な部分を含む授業では補足の読み物が必要になる。
- 公開された書評が少ない。 出版社のページにはこの版の書評が載っていない。
コースにおける位置づけ
研究方法の書目の中で、研究をどう設計し、証拠についてどう推論するかを扱う、短く非技術的な出発点である。Kellstedt と Whitten の The Fundamentals of Political Science Research は、理論、因果、研究デザイン、測定という一部同じ範囲を扱うが、その先で確率、仮説検定、重回帰まで進むので、自分で統計分析を行う学生にはこちらが向く。Halperin と Heath の Political Research: Methods and Practical Skills は、社会科学の哲学から質的・量的データの実際の収集と分析までを扱う方法論の教科書で、自分のプロジェクトを計画する学生に適している。
King、Keohane、Verba の Designing Social Inquiry は質的研究と量的研究が同じ推論の論理に従うと主張し、Gerring の Social Science Methodology は共通の基準を求める大学院向けの論述である。どちらも基礎をすでに知っている読者向けである。Shepsle の Analyzing Politics が紹介するのは研究方法ではなく合理的選択理論である。したがって Shively と Endersby の本は、これらのどれよりも前に読む最初の一冊として適している。
本書の使い方
本書は、政治学の研究方法入門科目の学部生と、政治研究を批判的に読みたい人に向く。出版社は非技術的な入門書と位置づけており、具体的な前提条件は示されていない。
実際的な進め方は次のとおり。
- まず第1〜2章。 関心のあるテーマについて研究上の問いを書いてみる。
- 中核。 第3〜8章が本書の中心である。概念、測定、因果的推論、デザイン、事例選択。それぞれを自分の書いた問いに当てはめる。
- 統計。 第9〜11章は計算の細部では統計の教科書より簡略である。関係と推論の論理を理解するために読み、実際に分析を行うなら統計の教科書やソフトウェアの手引きを併用する。
- 併読の仕方。 公刊された政治学の論文を一つ選び、概念をどう定義しているか、どの代替的説明を排除しているか、なぜその事例を選んだのかを一段落で書き、第4〜8章と照らして理解を確かめる。
