01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Shepsle, K. A. (2010). Analyzing Politics: Rationality, Behavior, and Institutions (2nd ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
本書は約550ページ、全17章が4部に分かれている。出版社の言葉によれば、その目的は、合理的選択理論の基礎を学部生にもわかるよう、平易で技術的でない言葉で示し、事例研究、図解、例を用いて、さまざまな政治的状況の分析のしかたを教えることである。第2版では、更新された事例と例、新しい練習問題と討論課題に加え、多くの章末に、社会科学の文献にある実験を紹介する「Experimental Corner」が加えられた。
第I部:導入(第1〜2章)
第1章「It Isn't Rocket Science, but...」(ロケット科学ではないが……)は、本書の企図と、本書が教える推論のしかたを示す。第2章「合理性:選択のモデル」は、以後のすべてが土台とする個人の選択モデルを導入する。
第II部:集団的選択(第3〜7章)
この五つの章は個人から集団へと進む。「集団的選択分析の始め方」「集団的選択と多数決」「多数決の空間モデル」「戦略的行動:洗練、偽装、操作」「投票方式と選挙制度」である。これらは、個人の選好が投票ルールによってどう合成されるか、空間的設定で多数決が何をもたらすか、そしてそうした手続きの中で参加者が戦略的にどう行動するかを検討する。
第III部:協力、集合行為、公共財(第8〜10章)
第8章「協力」、第9章「集合行為」、第10章「公共財、外部性、コモンズ」は、協力、集合行為、そして公共財・外部性・コモンズを順に取り上げ、共同行動という一般的な問題から具体的な事例へと進む。
第IV部:制度(第11〜17章)
最後の部は制度に目を向ける。第11章「制度:総論」が枠組みを示す。続く章は個別の場面を順に扱う。「立法府」「官僚制と政府間関係」「リーダーシップ」「裁判所と裁判官」「内閣制と議院内閣制民主主義」である。第17章「最後の教訓」が本書を締めくくる。
主要概念
第I部:合理性
- 合理的選択:一貫した選好に従って選択肢の中から選ぶ個人のモデルで、第2章の出発点。
第II部:集団的選択
- 多数決:第4・5章で検討される集団の意思決定ルール。空間的表現を含む。
- 戦略的行動:第6章が集団的選択の一部として扱う、洗練、偽装、操作。
- 投票方式と選挙制度:選好を集合的結果に変える手続きで、第7章の主題。
第III部:協力と集合行為
- 協力と集合行為:第8・9章の主題で、分析を集団内の選択から共同行動へと広げる。
- 公共財、外部性、コモンズ:協力と集合行為の一般的な議論に続く、第10章の主題。
第IV部:制度
- 制度:規則と取り決め。第11章で総論として扱われ、その後、立法府、官僚制、リーダーシップ、裁判所、内閣制で扱われる。
批判的分析
長所
- 非専門家向けに書かれている。 Norton は本書を、事例研究、図解、例に基づき、形式的な数学ではなく平易で技術的でない言葉で合理的選択理論に入る手段として紹介している。
- 積み上げる構成。 四つの部は、個人から集団へ、集団的選択から協力へ、そして制度へと進み、各部が次の部のための道具を与える。
- 制度の幅広さ。 第IV部は、立法府、官僚制と政府間関係、リーダーシップ、裁判所と裁判官、内閣制と議院内閣制民主主義を扱い、同じ方法がアメリカ連邦議会をはるかに超えて使われる様子を示す。
- 能動的な学習への支援。 第2版には練習問題と討論課題があり、「Experimental Corner」が理論を実験的証拠に結びつける。
短所
- 単一のアプローチ。 本書が教えるのは政治を研究する一つの方法、合理的選択と形式理論である。アプローチを比較したい読者や、研究の設計と検証のしかたを学びたい読者は、別の本を必要とする。
- 分量。 約550ページは、技術的でない入門書としては長く、授業では通常、その中から選んで使う。
- 通常の意味での方法論の本ではない。 研究方法のグループに入ってはいるが、目次を見ると政治の理論とモデルについての本であり、データ収集、測定、統計的推論の章はない。
コースにおける位置づけ
このコースの他の本の多くは、研究のしかたを教える。Kellstedt と Whitten の The Fundamentals of Political Science Research は、因果理論と研究設計から記述統計、仮説検定、回帰へと進む。Shively と Endersby の The Craft of Political Research は、設計と分析の短く技術的でない入門書である。Halperin と Heath の Political Research: Methods and Practical Skills は、社会科学の哲学、プロジェクトの設計、データの実際の収集と分析を扱う。King、Keohane、Verba の Designing Social Inquiry と Gerring の Social Science Methodology は、推論と、定性・定量研究の基準をより高度に論じる。
Shepsle の本が与えるのは別のものである。政治の形式理論への入門だ。選択、投票、制度のモデルがどう作られ、何を予測するかを知るために読む本であり、同じく理論から出発する Kellstedt と Whitten のような研究設計の教科書とよく組み合わさる。また、合理的選択の論理をアメリカ政治に適用する Mayhew の Congress: The Electoral Connection や Aldrich の Why Parties? の有益な伴読でもある。
本書の使い方
本書は学部生と、数学的素養なしに合理的選択のアプローチを学びたい人を対象としている。必要なのは、簡単な代数記号に慣れていることと、抽象的な推論に付き合う根気である。
実際の進め方は次のとおり。
- 中核: まず第I部と第II部を読む。第2章から第5章が、選択と多数決の基本モデルを与え、残りはこれに依存する。
- 選択: 関心に応じて、第6・7章(戦略と選挙制度)と第III部(協力と集合行為)から選ぶ。第III部は、コモンズと集合行為の文献への自然な準備になる。
- 応用: 自分の分野に合う第IV部の制度の章を読む。たとえば立法府なら第12章、裁判所なら第15章、そして学んだ教訓をまとめた第17章である。
- 練習: 練習問題と討論課題に取り組み、「Experimental Corner」を読んで、モデルが証拠とどう対応するかを確かめる。
