01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Clift, B. (2021). Comparative Political Economy: States, Markets and Global Capitalism (2nd ed.). Red Globe Press (Bloomsbury Academic).
章の要約
第2版は14章、約392ページである。著者のベン・クリフト(ウォーリック大学政治経済学教授)は、比較政治経済学(CPE)を、経済を社会的・政治的な文脈の中に「埋め込み直す」方法として提示し、社会的・歴史的・政治的な文脈を取り除いてしまう経済学に対置している。出版社によれば、本書はこの分野とその展開を地図のように示し、資本主義のさまざまな類型を探る分析道具を与え、その根を成長の果実をどう分配すべきかをめぐる競合するビジョンにたどり、CPEを国際政治経済学(IPE)に体系的に結びつける。以下の章の順序は、出版社の目次に従う。
第1~2章:序論――本書の焦点と根拠/比較政治経済学――古典派政治経済学に連なる系譜と国際政治経済学とのつながり
冒頭の章は、本書の目的を示し、CPEを古典派政治経済学およびIPEとの関係の中に位置づける。出版社は、学生の読者向けに「本書の使い方」が拡充されたと述べている。
第3~4章:資本主義と古典派政治経済学/学問分野の政治と比較政治経済学の系譜
知的歴史を扱う二つの章。一つは古典派政治経済学が扱った資本主義、もう一つはCPEの系譜の背後にある学問分野の政治である。
第5~7章:利益に基づく分析と比較政治経済学/制度分析と比較政治経済学/理念分析と比較政治経済学
分析の中核である。題名のとおり、三つの章がそれぞれアプローチの一群、すなわち利益に基づくもの、制度に基づくもの、理念に基づくものを扱う。(小売業者の目次リストでは利益が制度より前に置かれており、初版の章はその逆の順序だった。)
第8~9章:国家の比較政治経済学/比較資本主義
第8章は国家に、第9章は、本書の紹介文が強調する資本主義の諸類型に向かう。出版社によれば、第2版は経済の類型の扱いを、もっぱら西洋に偏った見方を超えて、途上国や新興国の経済にまで広げている。
第10~12章:金融とコーポレート・ガバナンスの比較政治経済学/福祉の比較政治経済学/不平等――先進資本主義を支える政治的・社会的な合意
三つの主題別の章。第12章は今回の版の新章と思われ、出版社は、不平等、ポピュリズム、トランプ、ブレグジットの政治経済学に関する章だと説明している。
第13~14章:比較方法と比較政治経済学/結論
CPEにおける方法を扱う章と、結論。
主要概念
基礎(第1~4章)
- 経済の埋め込み直し:経済的なものは社会的・政治的生活の中で分析されなければならないという、本書の主張。
- 古典派政治経済学:第3章で扱う、知的な出発点。
- IPEとのつながり:第2章で示される、比較と国際という二つの下位分野の結びつき。
アプローチ(第5~7章)
- 利益に基づく分析:行為者の利益による説明。
- 制度分析:制度による説明。
- 理念分析:理念による説明。
主題と方法(第8~14章)
- 比較資本主義:第9章で扱う資本主義の諸類型。
- 金融とコーポレート・ガバナンス、福祉、不平等:続く三つの主題別の章。
- 比較方法:第13章の主題。
批判的分析
長所
- 分野の明快な見取り図。 目次は、この分野の系譜と歴史から、名前の付いた三つのアプローチ群、そして主題、方法へと進む。出版社は、これをCPEの領域と展開を示し、資本主義の諸類型を探る道具を提供するものだと説明している。
- IPEとのつながり。 出版社は、CPEとIPEの体系的な結びつきを強調しており、同じコースで両方の下位分野に出会う学生に役立つ。
- 学生を意識した構成。 第2版では、学生の読者向けに「本書の使い方」が拡充されており、出版社は、本書をCPEとIPEの両方を学ぶ学生への入門書として勧めている。
- 更新された範囲。 不平等、ポピュリズム、トランプ、ブレグジットを扱う新章は、この分野を最近の政治に結びつけ、途上国や新興国を含む経済の範囲の拡大は、以前の西洋中心の見方に応えるものである。
- 単独著者の語り口。 本書は全編が一人の著者によるものなので、編著の概説書よりも、14章を通じた一貫した議論が成り立ちやすい。
短所
- 主題の前に基礎。 歴史、学問分野の背景、アプローチを扱う七つの章(章の半分)が、国家を扱う最初の主題別の章である第8章より前に置かれている。各国の資本主義の中身を早く知りたい学生は、そこまで待たなければならない。
- 限られた主題の範囲。 目次に見られる主題別の章は、国家、比較資本主義、金融とコーポレート・ガバナンス、福祉、不平等である。労使関係、貿易や産業政策、開発を扱う独立した章はなく、より広い経済の範囲は、独立した章ではなく各章の中での追加として述べられている。
- 視点。 出版社は、社会的・政治的文脈を無視する経済学への是正として本書を位置づけている。経済モデルそのものを求める読者は、ほかの資料が必要になる。
- 刊行時期による古さ。 2021年の本は、この分野のその後の展開を扱っていないため、最近の出来事を題材にレポートを書く学生は、補う必要がある。
コースにおける位置づけ
政治経済のリストの中で、本書は比較政治経済学の主教材である。フルチャーの Capitalism: A Very Short Introduction は、資本とは何かを問い、歴史上の事例を使い、国ごとの資本主義の形態を比較する、短くて取り組みやすい入門書で、クリフトの前の穏やかな第一歩になる。オートリーの International Political Economy は、貿易、通貨と金融、開発を基本的な経済モデルとともに扱っており、クリフトが結びつけている国際面の自然な併用書である。
ホールとソスキスの Varieties of Capitalism は、資本主義の多様性の枠組みを打ち出した論集で、比較資本主義を扱う第9章のあとに読むと、その枠組みを原典で確認できる。オルソンの The Logic of Collective Action は、共通の利益をもつ人々がなぜ組織化に失敗しうるかを分析した影響力のある著作で、利益に基づく分析の章に関連する。ペルソンとタベリーニの Political Economics は、経済理論の道具を用いて制度とインセンティブが政策をどう形づくるかを説明する大学院向けの教科書で、本書のより技術的でない扱いに対応する形式的な議論であり、クリフトを理解するのに必須ではない。
本書の使い方
本書は、政治学または経済学から政治経済学に入る学部生に向いている。本サイトの記載によれば、形式的なモデル化や統計は必要ない。どちらかの分野の入門コースを履修していると、語彙の面で役に立つ。
実践的な進め方は次のとおり。
- 最初に読む: 第1章と「本書の使い方」の案内、続いて分野の見取り図として第2章。
- 中核: 利益、制度、理念のアプローチを扱う第5~7章と、比較資本主義を扱う第9章。主題別の章がそれらを応用するたびに、アプローチの章に戻る。
- 関心に応じて選ぶ: 第8章と第10~12章(国家、金融とコーポレート・ガバナンス、福祉、不平等)は、どの順序でも読める。第12章は、最近の政治を重視するコースに向く。
- 知的歴史: 第3~4章は短いコースでは任意だが、この分野自体を論じるレポートに役立つ。
- 締めくくり: コースに研究設計の課題がある場合は、方法を扱う第13章で締めくくり、Varieties of Capitalism のような原典と組み合わせる。
