01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Hofmann, P. (2022). Solid State Physics: An Introduction (3rd ed.). Wiley-VCH.
章の要約
第3版は11章と2つの短い付録からなり、全体で288ページである。各章の末尾には参考文献案内と「Discussion and Problems」があり、目次ではこれがDiscussion(議論問題)、Basic Concepts(基本概念問題)、Problems(演習問題)に分かれている。付録Aはベクトル演算とマクスウェル方程式をまとめ、付録Bは基本概念問題の解答を載せている。
第1章:Crystal Structures(結晶構造)
格子、基本単位胞、ウィグナー–ザイツ胞、基底を主に二次元の例で導入し、その後、立方構造、最密構造、共有結合性の構造へ進む。第3部ではX線回折による構造決定をやや詳しく扱い、ブラッグの理論、ミラー指数、一般的な回折理論、逆格子、エワルド作図を説明し、最後に他の手法と非弾性散乱を短く述べる。
第2章:Bonding in Solids(固体の結合)
引力と斥力から始め、イオン結合、共有結合、金属結合、水素結合、ファンデルワールス結合の順に扱う。約14ページの章である。
第3章:Mechanical Properties(力学的性質)
弾性変形(巨視的な描像での弾性定数とポアソン比、続いて微視的な描像)、塑性変形(降伏応力の見積もり、点欠陥、転位とその役割)、破壊を区別して論じる。
第4章:Thermal Properties of the Lattice(格子の熱的性質)
格子振動は単純な調和振動子から出発し、無限および有限の原子鎖、第一ブリルアンゾーン、フォノンを経て三次元固体へ拡張される。続いて格子の比熱(古典論、アインシュタイン模型、デバイ模型)、熱伝導、熱膨張、同素体相転移と融解を扱う。
第5章:Electronic Properties of Metals: Classical Approach(金属の電子的性質:古典的アプローチ)
ドルーデ模型を述べ、直流電気伝導度、ホール効果、金属の光学的反射率、ヴィーデマン–フランツ則に適用する。最後に模型の限界を示し、量子論的取り扱いへの動機づけとする。
第6章:Electronic Properties of Solids: Quantum Mechanical Approach(固体の電子的性質:量子力学的アプローチ)
最も長い章(99〜144ページ)で、エネルギーバンドの考え方と自由電子模型(電子比熱や遮蔽を含む)から始まる。次に電子状態の一般形(ブロッホの定理)、ほとんど自由な電子の模型とバンド形成、強束縛模型、現実の固体のバンド、輸送現象を扱い、重要な考え方の簡単な復習で終わる。
第7章:Semiconductors(半導体)
真性半導体とドープされた半導体、キャリア密度とその温度依存性、電気伝導度を扱い、続いてpn接合、トランジスタ、光電子デバイスといったデバイスを取り上げる。
第8章:Magnetism(磁性)
巨視的記述と量子力学的記述の後、原子および固体における常磁性と反磁性(キュリー常磁性、パウリ常磁性)、そして磁気秩序(交換相互作用、局在スピン、バンド描像、強磁性磁区、ヒステリシス)を論じる。
第9章:Dielectrics(誘電体)
巨視的記述、微視的な分極、局所場、誘電率の周波数依存性(格子振動と電子遷移)を扱い、その後、不純物、強誘電性、圧電性、絶縁破壊を取り上げる。
第10章:Superconductivity(超伝導)
ゼロ抵抗、マイスナー効果、同位体効果が実験事実として示され、続いて現象論とBCS理論、ギャップの実験的検出、超伝導状態のコヒーレンス、第一種・第二種超伝導体、高温超伝導が扱われる。
第11章:Finite Solids and Nanostructures(有限の固体とナノ構造)
最終章は短く、量子閉じ込め、表面と界面、ナノスケールの磁性を扱う。
主要概念
第1〜4章:構造、結合、格子
- ブラヴェ格子、単位胞、基底:目次と第1章の冒頭で、あらゆる結晶を記述するための言葉として示される。
- 逆格子:X線回折の節でエワルド作図とともに導入される。
- フォノンと第一ブリルアンゾーン:量子化された格子振動で、原子鎖を通して導かれる。
- アインシュタイン模型とデバイ模型:格子比熱の二つの近似。
第5〜7章:固体中の電子
- ドルーデ模型:伝導の古典的描像と、書中で示されるその限界。
- ブロッホの定理とエネルギーバンド:電子状態の一般形。ほとんど自由な電子の模型と強束縛模型がバンドへの二つの道筋となる。
- ドーピングとpn接合:半導体デバイスの出発点。
第8〜11章:集団現象と有限サイズの現象
- 交換相互作用と磁気秩序:磁性の章における強磁性の基礎。
- BCS理論と超伝導ギャップ:超伝導の微視的な説明。
- 量子閉じ込め:ナノ構造の章の最初の話題。
批判的分析
長所
- コンパクトで初学者向けの進め方。 全体で288ページと短く、出版社によれば各章は基本原理から出発して徐々に高度な概念へ進み、数式の形式は最小限に抑えられている。第1章が格子をまず二次元で導入するのはその表れである。
- 電子の扱いが古典から量子へ。 ドルーデ模型(第5章)が量子論的取り扱い(第6章)に先立つため、バンドへ移る理由が見えやすい。
- 自習用の素材を内蔵。 出版社は100を超える議論問題と70の演習問題(計算による解法を鍛える問題を含む)、各章末の多肢選択問題を挙げており、解答は書中にある。各章の構成(Discussion、Basic Concepts、Problems)は目次からも確認できる。
- 第3版の改訂。 金属結合と共有結合の説明が分かりやすくなり、ブロッホの定理の証明がより直接的になり、ほとんど自由な電子の模型の扱いが簡単になったと出版社は述べている。
短所
- 意図的に短い。 超伝導は約28ページ、ナノ構造は約10ページで、これらの章は概観にとどまる。目次には量子ホール効果やトポロジカル相などの項目はなく、必要な読者は後続の教科書に進む必要がある。
- 量子力学の入門課程を前提とする。 前提条件と、目次にある自由電子、ブロッホ、BCSの内容から、量子論的な扱いが既習の知識に依拠することがうかがえる。
コースにおける位置づけ
Hofmannは、凝縮系物理の書目に含まれる入門書の一つである。HookとHallのSolid State Physicsも最初の講義向けで、マンチェスター物理学シリーズに属し、より長く、星印付きの任意の節がある。Hofmannはそれより簡潔でモジュール的である。Steven SimonのThe Oxford Solid State Basicsは一学期向けのコンパクトな入門書で、歴史的な模型を量子論的取り扱いの前に説明しており、目的の点でHofmannに最も近い。KittelのIntroduction to Solid State Physicsは長く定評のある参考書で、似た主題をより高い水準で扱う。IbachとLüthのSolid-State Physicsは測定技術のパネルを加え、材料に重点を置く。GirvinとYangのModern Condensed Matter Physicsは大学院向けで、トポロジカル相や量子ホール物理などを扱い、本書の次に進む先となる。
本書の使い方
物理、材料科学、工学、化学の課程で初めて固体物理に触れる学生に向く。基礎物理、量子力学の入門、微積分、線形代数が前提となる。
実践的な進め方としては、第1、4、5、6、7章を主軸とし、結晶構造からフォノンを経てバンド理論と半導体へ進む。第1章では、最初は完全な回折理論よりも格子と代表的な構造が重要で、回折の部分は第4章と並行して読んでもよい。第2章と第3章は短く、さっと読むか背景として使える。第6章の後、第8、9、10章は任意の順で読める。第11章は短い締めくくりの概観である。誘電体と超伝導の章の前に、付録Aでマクスウェル方程式を復習すると役立つ。
演習では、まず議論問題で理解を確かめ、次に基本概念の多肢選択問題を解いて付録Bで確認し、最後に計算を含む演習問題に取り組む。
