01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Simon, S. H. (2013). The Oxford Solid State Basics. Oxford University Press.
章の要約
本書は7つの部にまとめられた23の章からなり、2つの付録(解答つきの模擬試験、他の良書のリスト)が続く。著者はオックスフォード大学の理論凝縮系物理学者である。著者がオックスフォードの3年次の固体物理学の授業のために書いた講義ノートの2012年の草稿は、物理学科のサイトで公開されており、よく似た構成をとっている。
第1章:凝縮系物理学について
凝縮系物理学とは何か、なぜ学ぶ価値があるのかを述べる短い導入の章である。
第I部、第2–4章:微視的構造を考えない固体:固体物理学の初期
固体の比熱:ボルツマン、アインシュタイン、デバイ/金属中の電子:ドルーデ理論/金属中の電子 続き:ゾンマーフェルト(自由電子)理論。部の題名は、これらを固体物理学の初期、つまり固体をその微視的構造を考えずに扱うモデルとして位置づけている。
第II部、第5–7章:物質の構造
周期表/固体を結びつけるもの:化学結合/物質の種類。この部は、原子がなぜ結合して固体になるのかという化学的な背景を与える。
第III部、第8–11章:1次元の固体の簡単なモデル
圧縮率、音、熱膨張の1次元モデル/1次元の単原子鎖の振動/1次元の二原子鎖の振動/強結合鎖(幕間と予告)。振動と、強結合によるバンドの考え方の最初の姿が、3次元の幾何学が登場する前に1次元で展開される。
第IV部、第12–13章:固体の幾何学
結晶構造/逆格子、ブリルアンゾーン、結晶中の波。
第V部、第14章:中性子線・X線回折
結晶による波の散乱。結晶構造を調べる手段としての散乱だけを扱う部である。
第VI部、第15–18章:固体中の電子
周期ポテンシャル中の電子/絶縁体、半導体、金属/半導体物理学/半導体デバイス。
第VII部、第19–23章:磁性と平均場理論
原子の磁性:常磁性と反磁性/磁気秩序/磁区とヒステリシス/平均場理論/相互作用からの磁性:ハバード模型。
主要概念
第1–7章:初期のモデルと物質
- 比熱のモデル:固体の熱容量についてのボルツマン、アインシュタイン、デバイの説明。
- ドルーデ理論とゾンマーフェルト理論:金属の古典的および量子的な自由電子モデル。
- 化学結合:固体を結びつける相互作用と、その結果生じる物質の種類。
第8–14章:1次元モデル、幾何学、回折
- 鎖の振動:格子力学の単原子と二原子の1次元モデル。
- 強結合:結合した原子軌道の鎖で、バンドの予告として早い段階で導入される。
- 逆格子とブリルアンゾーン:結晶中の波を記述する空間。
- 結晶による波の散乱:中性子線とX線の回折の原理。
第15–23章:電子と磁性
- 周期ポテンシャル中の電子:エネルギーバンドの舞台。
- 絶縁体、半導体、金属:バンドの占有による区別。
- 平均場理論:磁気秩序の近似的な扱い。
- ハバード模型:相互作用に由来する磁性に用いられる模型。
批判的分析
長所
- 段階的に築くように設計された配列。 初期のモデルが最初に来て、次に1次元の簡単なモデル、そして3次元の幾何学、回折、電子と続く。強結合についての「幕間と予告」の章は、3次元の完全な扱いの前にバンドの考え方を導入しようとする意図的な工夫を示している。
- コンパクトな1冊で幅広い最初の授業。 23の章には、化学結合と物質の種類(第II部)、独立した部としての回折、半導体とデバイス、そしてハバード模型で終わる磁性の5つの章が含まれる。
- 授業向けの付録。 付録Aは解答つきの模擬試験で、付録Bは他の良書のリストなので、学生は自分を試し、他の教科書へ進める。講義ノートの草稿にも、注釈つきの推薦図書のリストがある。
短所
- 網羅的ではない。 目次に超伝導の章はなく、本書は磁性とハバード模型で終わるため、より広い範囲を求める読者にはより長い教科書が必要である。講義ノートの草稿は、点群の対称性が除かれ、超伝導が試験範囲外であるシラバスについて述べている。
- オックスフォードの色が濃い重点。 著者は講義ノートで、オックスフォードはほとんどの授業に比べて散乱理論に「極めて重い」と述べており、本書も回折に独立した部を与えている。バランスの異なるシラバスで学ぶ読者には、一部が過剰に感じられるかもしれない。
- 前提知識が明記されていない。 出版社の掲載情報には前提知識が書かれていない。第I部の比熱モデルと電子気体の理論は、基本的な量子力学と統計力学を前提としている。
コースにおける位置づけ
Simon の本は1学期向けのコンパクトな扱いであり、このコースの書目の中では、最もやさしい入門書と標準的な長い教科書の中間に位置する。Hofmann の Solid State Physics: An Introduction と Hook と Hall の Solid State Physics は、この分野に初めて触れる学生のための最初の入門書である。Hook と Hall は形式的な道具立てよりも物理的な推論を重んじ、著者自身のノートは、これを学生がよく最も気に入る本として挙げている。Kittel の Introduction to Solid State Physics は、結晶構造と格子振動から、磁気的、誘電的、超伝導的な性質まで進む、長く定評のある教科書であり、Ibach と Lüth の Solid-State Physics は材料と実験技術に重点を置いた翻訳書である。
Simon は、コンパクトな1つの授業の主教材として使うことも、Kittel や Ibach と Lüth の前に読むこともできる。Girvin と Yang の Modern Condensed Matter Physics は大学院レベルの続編で、Simon が締めくくるハバード模型の先にある、トポロジカル相、量子ホール効果などの現代的な話題を扱う。
本書の使い方
本書は、量子力学の最初の授業と基礎的な統計力学を履修した物理学科の3年生に向いている。第III部の1次元モデル、第IV部の逆格子、第VI部のバンドの描像が、この分野の中核を成す。
1学期の授業の読み方としては、第1–4章を背景と初期のモデルとして読み、化学になじみがあれば第5–7章は流し読みし、第8–14章を順に進め、第15–18章を電子の中核とする。第19–23章は選択的に読んでよい。付録Aの模擬試験は時間を計って使い、どの部分でも深く学びたいときは付録Bの書籍リストを参照するとよい。
