01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ibach, H., & Lüth, H. (2009). Solid-State Physics: An Introduction to Principles of Materials Science (4th ed.). Springer.
章の要約
第4版は書誌記録で「大幅に改訂・増補」された版とされ、約530ページに12章、104の問題、18の「パネル」を収める。パネルは章末に置かれた独立の節で、実験手法と実験室での実際を説明する。出版社は、パネルが実験的側面と最近の発展を際立たせると述べている。以下の章題と、言及する節やパネルの主題は、印刷された目次に従う。
第1章:固体における化学結合
本書は結晶格子からではなく、周期表と結合の種類(共有結合、イオン結合、金属結合、水素結合、ファンデルワールス結合)から始め、固体の構造を記述する前に、なぜ固体がまとまっているのかを確かめる。
第2章:固体物質の構造
結晶格子、点対称性、32の結晶点群、単純な結晶構造を扱い、続いて材料科学に重点を置いた二つの話題、すなわち合金の状態図と固体中の欠陥を取り上げる。
第3章:周期構造による回折
回折の一般理論から、逆格子、ラウエ条件とブラッグ条件、ブリルアン・ゾーン、構造因子、構造解析の方法へと進む。続く二つのパネルは、さまざまな粒子による回折実験と、X線干渉法およびX線トポグラフィーを扱う。
第4章:結晶中の原子の動力学
原子間ポテンシャルと二原子線形鎖から格子振動を導き、散乱によるフォノン分光と結晶の弾性的性質を扱う。パネルはラマン分光を取り上げる。
第5章:熱的性質
フォノンの状態密度、比熱、非調和効果、熱膨張、フォノンによる熱伝導を扱い、低温での実験についてのパネルがある。
第6章:固体中の「自由」電子
自由電子気体、フェルミ統計、金属の電子比熱を扱い、さらに遮蔽とモット転移、熱電子放出へと広げる。
第7章:固体の電子バンド構造
電子状態の対称性、ほぼ自由な電子の近似と強束縛近似、バンド構造の例、そして非晶質固体を含む状態密度を扱う。パネルは光電子分光を説明する。
第8章:磁性
反磁性と常磁性、交換相互作用、強磁性のバンドモデルとその温度依存性、局在電子の強磁性的結合、反強磁性、スピン波、結晶磁気異方性を扱う。二つのパネルは静磁スピン波と、巨大磁気抵抗(GMR)効果を含む薄膜系の磁性を取り上げる。
第9章:電子の運動と輸送現象
有効質量、正孔、電子の散乱、ボルツマン方程式と緩和時間、金属の電気伝導度、熱電効果、ヴィーデマン=フランツ則、局在電子による伝導、ナノ構造における量子輸送を扱う。パネルは量子振動とフェルミ面のトポロジーを扱う。
第10章:超伝導
第12章に次ぐ長さの章で、約80ページある。基本的な現象とロンドン方程式から、クーパー対とBCS基底状態を経て、励起スペクトル、超伝導電流、磁束の量子化、第二種超伝導体、高温超伝導体へと進む。二つのパネルは一電子トンネル効果とジョセフソン効果を扱う。
第11章:物質の誘電的性質
誘電関数、吸収、調和振動子モデル、縦波と横波の基準モード、表面波、反射率、局所場、強誘電体を扱い、続いて自由電子気体、バンド間遷移、励起子、電子のエネルギー損失を取り上げる。三つのパネルは新しい光学材料、赤外分光、全反射阻害(frustrated total reflection)法を扱う。
第12章:半導体
最も長い章(約100ページ)で、主要な半導体の性質、真性および不純物添加半導体のキャリア密度、伝導度、p–n接合とショットキー接触、ヘテロ構造と超格子、主要な半導体デバイスを扱う。五つのパネルがホール効果、サイクロトロン共鳴、シュブニコフ=ド・ハース振動と量子ホール効果、半導体エピタキシー、ナノ構造の作製を取り上げる。
主要概念
第1〜5章:構造と格子
- 化学結合:固体をまとめている結合の種類。本書の出発点である。
- 逆格子とブリルアン・ゾーン:回折と、電子およびフォノンの状態を扱うための枠組み。
- フォノン:量子化された格子振動。散乱によって測定され、比熱と熱伝導を担う。
- 欠陥と状態図:実際の材料にとって重要な、完全結晶からのずれ。
第6〜9章:電子
- フェルミ気体:金属の自由電子モデルとその統計。
- バンド構造:周期ポテンシャル中の電子のエネルギー準位。ほぼ自由な電子の極限と強束縛の極限から近づく。
- 交換相互作用:強磁性と反強磁性の起源。
- ボルツマン方程式:散乱と緩和時間による輸送の記述。
第10〜12章:超伝導体、誘電体、半導体
- BCS理論:クーパー対による超伝導の記述。
- 誘電関数:格子振動から電子遷移まで、電磁場に対する固体の応答。
- ドーピングとp–n接合:キャリア密度の制御と半導体デバイスの基礎。
- ヘテロ構造と超格子:層状の半導体構造。
批判的分析
長所
- 理論と並ぶ実験。 回折やラマン分光から光電子分光、トンネル効果、エピタキシーまでの18のパネルは、各章で扱う量がどのように測定され、構造がどのように作られるかを説明する。出版社はこれを本書の際立った特徴として示しており、実験室で働くことになる読者に向いている。
- 材料科学への志向。 副題が示すとおり、本書は固体物理学を材料に結びつける。第2章の合金の状態図と欠陥、第12章のデバイス、パネルでの薄膜磁性とナノ構造がその例である。出版社は物理学、材料科学、電気工学の学生を対象としている。
- 半導体と超伝導の充実した扱い。 第10章と第12章で全体の約3分の1を占め、BCS理論、ジョセフソン・トンネル効果、ヘテロ構造、デバイスを詳しく扱う。
- 各章に問題。 すべての章が問題で終わり、合計104問ある。
短所
- 要求される数学的水準が高い。 本書はSpringerの「Advanced Texts in Physics」シリーズで刊行されており、BCS基底状態やボルツマン方程式などの話題は、学部レベルの量子力学、電磁気学、統計物理学を前提とする。
- 2009年の版。 第4版はトポロジカル物質のようなその後の発展より前のもので、それらは目次に現れない。必要な読者は新しいテキストに頼る必要がある。
- パネルは構造上オプション。 実験のパネルは議論の主筋の外に置かれているため、授業ではどれを課すかを決めなければならない。本章だけを読む学生は、実験的な重点の多くを失う。
コースにおける位置づけ
Ibach & Lüthは、固体物理学の2回目の授業、あるいは量子力学に強く、実験と材料に関心のある学生の最初の授業に向いている。本コースの書目には、より穏やかな本が三冊ある。HofmannのSolid State Physics: An Introductionは形式的な数学を最小限に抑えた短い入門書であり、SimonのThe Oxford Solid State Basicsは1学期の学部講義から生まれた本、HookとHallのSolid State Physicsは形式的な道具立てより物理的な推論を重視する。これらのどれかを先に読むと、Ibach & Lüthの第6〜9章が読みやすくなる。
KittelのIntroduction to Solid State Physicsは、簡潔で物理を優先する書き方でほぼ同じ物理的範囲を扱う。Ibach & Lüthとの主な違いは実験のパネルと材料への重点であり、二冊を並行して使うこともできる。GirvinとYangのModern Condensed Matter Physicsは大学院レベルの次の一歩で、トポロジカル相、量子ホール効果の物理、量子磁性など、Ibach & Lüthの範囲を超える内容を加える。
本書の使い方
本書は、量子力学、電磁気学、統計物理学を履修した物理学、材料科学、電気工学の学生を対象としている。
実践的な計画:
- 中核の流れ: 第1〜7章を順に読むと、結合、構造、回折、フォノン、熱的性質、自由電子、バンド理論という、あらゆる固体物理学の授業の土台が得られる。
- その後は関心に応じて選ぶ: エレクトロニクスとデバイスには第9章(輸送)と第12章(半導体)、磁性には第8章、超伝導には第10章、光学的性質には第11章。
- パネルは選んで課す: 学生が出会うことになる実験に関係するパネル、たとえば回折(パネルI)、光電子分光(パネルV)、ホール効果(パネルXIV)を選ぶ。
各章末の問題に取り組むこと。本書は密度が高いので、同じテーマについてSimonやHook & Hallのような穏やかなテキストを先に読み、導出がわかりにくいときにはKittelを別の説明として使うとよい。
