01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Binney, J. (2016). Astrophysics: A Very Short Introduction. Oxford University Press.
章の要約
本書は序文、8つの章、参考文献案内、索引からなり、約160ページである(記載によって144〜176ページと幅がある)。出版社は本書を、数学を少し含む概念的な扱いに挑みたい読者のための、明快で厳密な入門書と述べている。述べられた方法は、エネルギー、質量、運動量という基本原理に、相対性理論と量子力学を加えて、高速回転するミリ秒パルサーから巨大な渦巻銀河の衝突までの現象に適用するというものである。以下の章題は出版社のもので、記述は題と出版社の説明が裏づける範囲にとどめる。
第1章:大きな考え方
冒頭の章は、本書が拠り所とする主な考え方を紹介する。出版社がエネルギー、質量、運動量、相対性理論、量子力学を強調していることから、後の章が応用する物理がここにまとめられていると考えられる。
第2章:星と星の間のガス
星間ガスについての章。出版社は、理解の対象として、惑星系、恒星、銀河とともにこれを挙げている。
第3章:恒星
恒星の構造と進化。この分野の中心的な対象である。出版社は、物理が紹介される現象の一つに超新星を挙げている。
第4章:降着
出版社は、降着円盤とジェットの物理が紹介されると特記しており、この章は降着に当てられている。
第5章:惑星系
惑星系の構造と進化。出版社の説明では、天体物理学が理解を目指す対象の一つとして挙げられている。
第6章:相対論的天体物理学
出版社によれば、本書は特殊相対性理論と一般相対性理論の天体物理学への応用を簡潔に述べており、この章が相対性理論を応用する場である。紹介文にあるミリ秒パルサーはこの領域に属する。
第7章:銀河
銀河についての章で、出版社の言い方では巨大な渦巻銀河の衝突を含む。銀河力学は著者自身の研究の専門である。
第8章:全体像
題からみて、最終章は一歩引いて全体像を見る。出版社は宇宙全体も天体物理学の範囲に数えている。
主要概念
第1–3章:原理、星間ガス、恒星
- エネルギー、質量、運動量:出版社が本書の土台として挙げる基本原理。
- 星間ガス:第2章の話題。
- 恒星:第3章。
第4–8章:降着、相対性理論、銀河、宇宙
- 降着円盤とジェット:第4章。
- 天体物理学への相対性理論の応用:第6章。
- 銀河の衝突:第7章。
批判的分析
長所
- 物理が先にある。 出版社は、本書が少数の原理を幅広い天体に適用するものだと述べており、対象を並べるのではなく、なぜそう振る舞うかを説明する。
- 研究者としての力量のある著者。 著者は王立協会会員で、オックスフォード大学のルドルフ・パイエルス理論物理学センターの長であり、銀河力学を専門とする。
- コンパクトな範囲。 8つの章が一冊の小さな本の中で星間物質から宇宙までを扱い、次の一歩のための参考文献案内も付く。
- 単なる記述的な説明より高い水準。 出版社は、数学を少し含む概念的な扱いに挑みたい読者に向けた本だと述べている。
短所
- 数学が含まれる。 このシリーズのごく軽い本と違い、出版社は扱いに多少の数学が含まれると述べているので、ページのメタデータにある「方程式は最小限」という記述は慎重に受け取るべきである。
- 意図的に短い。 約160ページでは体系的な授業にはならない。目次では大規模な全体像は最終章の1つだけで、観測技術の章もないため、どちらかを求める読者は別の本が必要になる。
- 第三者の評価が少ない。 学術誌の書評は見つからなかったので、読者の経験についての記述は出版社の説明と著者の経歴に依拠している。
コースにおける位置づけ
Binney の本は、開かれた記述的な概説と教科書の間に位置する。OpenStax の Astronomy 2e は数学の少ない広い入門課程で、より緩やかな出発点である。Maoz の Astrophysics in a Nutshell は1学期分の上級学部向けの教科書で、桁を見積もる方法で主な結果を導く。Carroll と Ostlie の An Introduction to Modern Astrophysics は微積分に基づく総合的な教科書兼参考書である。
Liddle の An Introduction to Modern Cosmology は、Binney が最終章で簡潔に扱う宇宙論の側面を取り上げ、Dodelson と Schmidt の Modern Cosmology は大学院向けの教科書である。これらから選ぶ前に分野の物理的な像をつかむには、Binney が最も早い道である。
本書の使い方
ページのメタデータは、学校レベルの物理のみを前提として挙げている。基礎的な力学、重力、エネルギーになじんでいる読者が最も得るものが大きい。
実践的な進め方は次のとおり。
- 通して読む。 8つの章は短く、星間ガスから恒星、降着、銀河へと並んでいる。
- 第3、4、6章で立ち止まる。 これらは本書の中心的な物理の考え方を恒星、降着、相対論的な天体に適用しており、Maoz のような教科書への最良の準備になる。
- 量の一覧をつくる。 方法がエネルギー、質量、運動量に基づいているので、各章がそれらをどう使うかを記録する。恒星から銀河まで、同じいくつかの考え方が繰り返し現れる。
- 観測と組み合わせる。 各章に登場する天体を、入門書の画像やデータと照らし合わせ、物理と天文学者が見ているものを結びつける。
- 参考文献案内を使う。 巻末の著者の案内に従って、次の水準へ進む。
