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Astronomy 2e(天文学 第2版) cover

物理学

物理学

Astronomy 2e(天文学 第2版)

Andrew Fraknoi; David Morrison; Sidney Wolff

英語原題: Astronomy 2e

OpenStax によるオープンな天文学入門教科書で、夜空と太陽系から恒星、銀河、宇宙論までの宇宙を概観する。天文学の知識の背後にある物理的な推論を、数学をあまり使わずに説明し、オープンライセンスでオンライン無料公開されており、印刷版も入手できる。

前提知識: 高校レベルの物理と代数。微分積分は必要ない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
astronomyastrophysicsstars and galaxiescosmologyopen access教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Fraknoi, A., Morrison, D., & Wolff, S. C. (2022). Astronomy 2e (2nd ed.). OpenStax. Free official edition: https://openstax.org/details/books/astronomy-2e

章の要約

第1章:科学と宇宙――駆け足の旅

最初の章は、科学としての天文学、科学的な考えの検証のされ方、自然法則という考え方、科学的記数法と光年、そして遠くを見ることは過去を見ることだという帰結を導入する。続く案内つきの旅は、地球から太陽系、恒星、天の川銀河、銀河、大規模構造へと外に向かい、最後に極微の世界へ戻ってくる。

第2〜3章:空の観測――天文学の誕生/軌道と重力

第2章は地球から見た空(天球、黄道、黄道帯、星座)、古代ギリシャの天文学とプトレマイオスの模型、占星術と天文学を区別する節、そしてコペルニクスとガリレオによる近代天文学の誕生を述べる。第3章はティコ・ブラーエのデータから得られたケプラーの法則、ニュートンの法則と万有引力、太陽系の軌道、人工衛星と宇宙船、そして海王星の発見を含む三体以上の重力を示す。

第4章:地球、月、空

天球座標、季節と地軸の傾き、時刻と暦、月の満ち欠けと運動、潮汐、日食と月食を説明し、潮汐摩擦が地球の自転を遅くすることについてのコラムなどもある。

第5〜6章:放射とスペクトル/天文観測装置

第5章は本書の残りに必要な物理を与える。光の波動としての記述と光子としての記述、電磁スペクトル、分光学、原子の構造、スペクトル線の形成、ドップラー効果である。第6章は望遠鏡、現代の大型望遠鏡、検出器と観測装置、電波望遠鏡と干渉法、宇宙空間の天文台、次世代の超大型望遠鏡を扱う。

第7〜10章:別の世界――太陽系入門/惑星としての地球/クレーターの世界/地球型惑星――金星と火星

太陽系の単元は、惑星の概観、その組成と構造、クレーターの数と放射能による表面の年代測定、太陽系の起源から始まる。続いて地球を地球型惑星の原型として扱い(内部、プレートテクトニクス、大気、生命と気候変動、宇宙からの衝突)、クレーターに覆われた月と水星、そして火星での水と生命の探査を含め、金星と火星の対照的な進化を論じる。

第11〜14章:巨大惑星/環、衛星、冥王星/彗星と小惑星――太陽系のかけら/宇宙からの試料と太陽系の起源

これらの章は、木星・土星・天王星・海王星の探査と大気、ガリレオ衛星、タイタン、トリトン、冥王星とカロン、エンケラドゥスと惑星の環、小惑星、惑星防衛と彗星、そして流星、隕石、太陽系の形成と他の惑星系との比較を扱う。

第15〜16章:太陽――ありふれた恒星/太陽――核の発電所

第15章は太陽の層構造、太陽活動周期、光球より上での活動、そして宇宙天気が地球に及ぼす影響を述べる。第16章は化学的な燃焼や重力収縮では太陽のエネルギーをまかなえない理由を説明し、質量とエネルギーの等価性と核融合を導入し、太陽内部のモデルを示し、日震学と太陽ニュートリノによる観測的な検証を紹介する。

第17〜19章:星の光の分析/恒星――天の国勢調査/天体までの距離

これらの章は恒星の性質の測り方を示す。明るさと等級、色と温度、スペクトル型(褐色矮星を含む)、スペクトルから得られる半径・組成・運動、続いて近くの恒星の調査、連星からの質量、直径、ヘルツシュプルング=ラッセル図、そして最後にレーダーと年周視差から変光星、HR 図へと続く距離のはしごである。

第20〜23章:星と星の間――宇宙のガスとちり/星の誕生と太陽系外惑星の発見/恒星の青年期から老年期まで/恒星の死

恒星進化の流れは、星間物質(ガス、ちり、宇宙線、物質の循環)から始まり、分子雲での星形成と系外惑星の発見とその性質へ進み、星団を検証に用いながら主系列から赤色巨星までの恒星をたどり、白色矮星、超新星、パルサーと中性子星、連星の進化、ガンマ線バーストで終わる。

第24章:ブラックホールと曲がった時空

等価原理と曲がった時空、その検証、時間への影響を通じて一般相対論を導入し、続いてブラックホール、その存在の証拠、そして LIGO と Virgo による重力波天文学を述べる。

第25〜28章:天の川銀河/銀河/活動銀河、クエーサー、超大質量ブラックホール/銀河の進化と分布

天の川銀河の構造、渦巻き構造、質量、中心のブラックホール、恒星の種族、形成に続いて、銀河の発見と分類、銀河系外の距離のはしご、膨張宇宙が扱われる。クエーサーは銀河中心の超大質量ブラックホールとして説明され、この単元は遠方の銀河、合体、大規模構造、暗黒物質、宇宙の構造形成で終わる。

第29章:ビッグバン

宇宙論の章は、宇宙の年齢と加速膨張、宇宙のモデル、初期宇宙、宇宙マイクロ波背景放射、宇宙の構成(暗黒物質と暗黒エネルギー)、インフレーション、人間原理を扱う。

第30章:宇宙の生命

最終章は生命を宇宙的な文脈に置き、アストロバイオロジーと地球上の生命の起源を導入し、居住可能な環境と、太陽系内および系外惑星での生命探査を論じ、地球外知的生命の探査とフェルミのパラドックスで締めくくる。

主要概念

第1章:科学と宇宙――駆け足の旅

  • 光年とルックバックタイム:光が1年間に進む距離、そして遠くの天体は過去の姿で見えるという事実。
  • 天文学における科学的方法:考えは観測によって判断され、検証可能な予測をしなければならない。

第2〜3章:空の観測――天文学の誕生/軌道と重力

  • 天球と黄道:空の見かけの球面と、その上を太陽が1年かけてたどる道筋。
  • ケプラーの法則:楕円軌道、面積速度一定、そして惑星についての P² = a³。
  • 万有引力:ケプラーの法則と宇宙船の運動を説明するニュートンの法則。

第4章:地球、月、空

  • 季節:太陽からの距離の変化ではなく、地軸の23.5°の傾きによって生じる。
  • 潮汐と食:月の重力の差による効果と、太陽・地球・月の並び方による現象。

第5〜6章:放射とスペクトル/天文観測装置

  • スペクトル線:原子のエネルギー準位で決まる波長での放射または吸収で、組成を明らかにする。
  • ドップラー効果:私たちに近づく運動や遠ざかる運動を測る波長のずれ。
  • 集光力と分解能:口径によって決まる望遠鏡の能力で、分解能は大気や干渉法にも左右される。

第7〜10章:別の世界――太陽系入門/惑星としての地球/クレーターの世界/地球型惑星――金星と火星

  • 地球型惑星と巨大惑星:内側の岩石惑星と、ガスや氷に富む外側の惑星の比較。
  • クレーター年代学:衝突クレーターの密度によって惑星表面の年代を推定する方法。
  • 温室効果と分岐した進化:金星、地球、火星がなぜこれほど異なる気候を発達させたのか。

第11〜14章:巨大惑星/環、衛星、冥王星/彗星と小惑星――太陽系のかけら/宇宙からの試料と太陽系の起源

  • 巨大氷惑星と巨大ガス惑星:天王星・海王星と木星・土星の組成の違い。
  • 始原的な天体:初期太陽系の記録を保つ残り物としての小惑星、彗星、隕石。
  • 原始太陽系星雲:太陽と惑星が形成された回転するガス雲。

第15〜16章:太陽――ありふれた恒星/太陽――核の発電所

  • 太陽活動周期と宇宙天気:地球に影響を及ぼす黒点と噴出の11年周期。
  • 陽子‐陽子連鎖反応:水素をヘリウムに変えて太陽を輝かせる核融合の過程。

第17〜19章:星の光の分析/恒星――天の国勢調査/天体までの距離

  • 光度と見かけの明るさ:毎秒放出されるエネルギーと、地球から見た明るさの違い。
  • HR 図:光度と温度の関係を示す図で、恒星を主系列、巨星、白色矮星に整理する。
  • 年周視差と標準光源:近くの恒星の幾何学的な距離と、より遠い天体のための変光星の光度。

第20〜23章:星と星の間――宇宙のガスとちり/星の誕生と太陽系外惑星の発見/恒星の青年期から老年期まで/恒星の死

  • 星間物質:恒星の間にあるガスとちりで、新しい恒星の材料となる。
  • 系外惑星の検出:ドップラー法によるふらつき、トランジットなどの方法で惑星を見つけること。
  • チャンドラセカール限界と超新星:白色矮星の最大質量と、大質量星の爆発的な最期。

第24章:ブラックホールと曲がった時空

  • 等価原理:自由落下は局所的には重力がない状態と区別できない。
  • 事象の地平面:その内側からは何も逃れられない、ブラックホールのまわりの境界。

第25〜28章:天の川銀河/銀河/活動銀河、クエーサー、超大質量ブラックホール/銀河の進化と分布

  • ハッブルの法則:後退速度が距離に比例することで、膨張宇宙の証拠となる。
  • 暗黒物質:回転曲線や銀河の運動から明らかになる見えない質量。
  • 活動銀河核:超大質量ブラックホールへの降着によってエネルギーを得る銀河の中心部。

第29章:ビッグバン

  • 宇宙マイクロ波背景放射:高温の初期宇宙から残された放射。
  • 暗黒エネルギーとインフレーション:加速膨張の原因と、提案されている初期の急激な膨張。

第30章:宇宙の生命

  • アストロバイオロジー:宇宙における生命の起源、進化、分布の研究。
  • ハビタブルゾーン:惑星の表面に液体の水が存在しうる、恒星からの距離の範囲。

批判的分析

長所

  • 理系以外の学生のために書かれている。 序文は、日常的なたとえを用いた明快で専門的でない言葉づかいを掲げ、数学は独立した例題の囲み(PDF を数えると37個)に置かれているので、教員はそれを含めることも省くこともできる。章末の「自分で計算してみよう」の問題も基本的な代数だけを使う。
  • オープン教科書としては新しい内容。 序文は LIGO と Virgo、パーサヴィアランスとインジェニュイティ、ジュノーの成果や最新の系外惑星の統計を挙げており、ブラックホールには独立した章があり、現行の PDF はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の成果にも触れている。
  • 興味を引く工夫。 「つながりを見つけよう」「天文学の旅人たち」(ジョージ・エラリー・ヘールやカール・セーガンなどの伝記)、「天文学の基礎」「自分で見てみよう」といったコラムと、アニメーションや動画への約160の「学習へのリンク」が、内容を歴史、他の科目、観測へと結びつける。
  • よく整理された復習教材。 各章(第2章以降)は重要用語、節ごとの要約、さらに学ぶための資料、グループ活動、復習問題と考察問題、定量的な問題で終わり、付録には惑星、衛星、近い恒星と明るい恒星、日食、星座のデータがある。

短所

  • 物理学専攻の天体物理学には初歩的すぎる。 微積分、放射輸送、恒星構造の方程式、フリードマン方程式は登場せず、定量的な作業は代数に限られるので、本書だけでは天体物理学の講義の演習問題に備えることはできない。
  • 非常に長い。 30章、1,100ページを超える分量は1学期を超えるため、教員は一部を選ぶ必要があり、太陽系の単元だけで8章ある。
  • 解答は教員限定。 序文によれば問題の解答は認証された教員にのみ提供されるので、独習者は自分の答えを確認できない。
  • 物理の扱いが記述的。 HR 図、元素合成、インフレーションといった話題は定性的に説明され、その背後にある推論は導かれるよりも述べられることが多い。

本書で扱う応用

本書はいくつかの箇所で天文学を実際的な関心事と結びつけている。宇宙天気と、それが引き起こしうる停電(第15章)、小惑星と惑星防衛(第13章)、気候変動と地球への宇宙からの影響(第8章)、人工衛星と宇宙船の軌道(第3章)、暦と時刻(第4章)、天文学者が使う観測装置と検出器(第6章)である。「つながりを見つけよう」のコラムは、話題を工学、大衆文化、自然災害などの分野に結びつける。

コースにおける位置づけ

Astronomy 2e は微積分を必要としない幅広い概説書である。Binney の Astrophysics: A Very Short Introduction は、その説明によれば簡潔な概観である。Astronomy 2e は演習つきのはるかに充実した内容を提供し、両者を併せて読むこともできる。Maoz の Astrophysics in a Nutshell と Liddle の An Introduction to Modern Cosmology は微積分に基づく物理を土台にした簡潔な学部向けの教科書である。恒星の性質と進化の語彙を身につけるために Maoz の前に本書の第17〜23章を、膨張、宇宙マイクロ波背景放射、暗黒エネルギーの観測的な描像のために Liddle の前に第26〜29章を読むとよい。

Carroll と Ostlie の An Introduction to Modern Astrophysics と、Dodelson と Schmidt の Modern Cosmology は、物理学・天文学専攻の学生や大学院生向けの、微積分を用いる教科書である。Astronomy 2e はそれらの概念的な背景を与えるが、物理学や天文学を専攻する学生にとってそれらの代わりにはならない。

本書の使い方

本書は、理系の素養のない学生も含め、天文学入門の講義を受ける学生を対象としている。高校レベルの代数で十分であり、付録 A には天文学入門の講義の勉強法についての助言がある。天体物理学と宇宙論の講義では、中核となる流れは第5章(放射とスペクトル)、第15〜19章(太陽と恒星の性質)、第20〜24章(星間物質、恒星進化、ブラックホール)、第25〜29章(銀河と宇宙論)である。第1〜4章と第6章は役に立つ背景であり、太陽系を扱う第7〜14章と第30章は任意としてよい。

各章の予習としてまず要約を読み、数学の例題の囲みに取り組み、定量的な練習として「自分で計算してみよう」の問題に挑むこと。アニメーションには「学習へのリンク」を、さらに深く学ぶには「さらに学ぶための資料」の一覧を使うとよい。オンライン版は更新されるので、引用の際は使用した版を記録し、OpenStax の正誤表を確認すること。

版と出典

本ガイドは、OpenStax の公式ページ https://openstax.org/details/books/astronomy-2e からダウンロードした Astronomy 2e の無料 PDF(第2版、初版刊行2022年、現行 PDF は © 2026 Rice University、CC BY-NC-SA 4.0 ライセンス。主執筆者は Andrew Fraknoi、David Morrison、Sidney C. Wolff)に基づく。序文、目次全体、そして全30章について冒頭の「考えてみよう(Thinking Ahead)」の導入、すべての節の構成、章末の要約(第1章にはない)を参照し、例題とコラムの数も確認している。