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Marks' Basic Medical Biochemistry: A Clinical Approach(マークス 基礎医学生化学:臨床的アプローチ) cover

医学

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Marks' Basic Medical Biochemistry: A Clinical Approach(マークス 基礎医学生化学:臨床的アプローチ)

Michael A. Lieberman; Alisa Peet

英語原題: Marks' Basic Medical Biochemistry: A Clinical Approach

患者症例を通して代謝と分子生物学を学ぶ医学生化学の教科書。各章は患者症例の一群(「The Waiting Room」)で始まり、続く生化学がその問題を説明する構成で、燃料代謝、酵素、遺伝子発現、糖質・脂質・窒素の代謝、組織の代謝を扱う。

前提知識: 一般化学・有機化学の初級課程と基礎的な細胞生物学の知識が必要です。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
medical biochemistrymetabolismclinical casesmolecular medicine教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Lieberman, M. A., & Peet, A. (2022). Marks' Basic Medical Biochemistry: A Clinical Approach (6th ed.). Wolters Kluwer.

章の要約

第6版は約1,100ページ、47章からなり、7つのセクションにまとめられている。出版社によれば、各章は「The Waiting Room(待合室)」と呼ばれる患者症例から始まり、その患者の問題を章の生化学が説明していく。章末には章のまとめ、重要事項のリスト、解答と解説付きの復習問題が置かれる。以下の見出しは公表されている目次に従っている。

セクションI:燃料代謝(第1〜3章)

第1章「代謝燃料と食事成分」、第2章「摂食状態(吸収状態)」、第3章「絶食」。本書は分子ではなく身体全体から始まる。食事に含まれる燃料は何か、食後にそれがどうなるか、絶食中に身体がどのように自らに燃料を供給するかを扱う。

セクションII:生化学の化学的・生物学的基礎(第4〜11章)

第4章「水、酸、塩基、緩衝液」、第5章「体を構成する主要化合物の構造」、第6章「タンパク質中のアミノ酸」、第7章「タンパク質の構造と機能の関係」、第8章「触媒としての酵素」、第9章「酵素の調節」、第10章「細胞構造と化学伝達物質によるシグナル伝達」、第11章「核酸の構造」。このセクションは、後の章が前提とする化学と細胞生物学を用意する。

セクションIII:遺伝子発現とタンパク質合成(第12〜18章)

第12章「DNAの合成」、第13章「転写:RNAの合成」、第14章「翻訳:タンパク質の合成」、第15章「遺伝子発現の調節」、第16章「医療における組換えDNA技術の利用」、第17章「がんの分子生物学」、第18章「ヒト遺伝学入門」。分子生物学のセクションはDNAからタンパク質への情報の流れをたどったのち、医学への応用に向かう。すなわち組換えDNA技術、がんの分子基盤、そして本版で新設されたヒト遺伝学の章である。出版社はこの章によって遺伝学の別教材が不要になると説明している。

セクションIV:糖質代謝、燃料の酸化、アデノシン三リン酸の産生(第19〜28章)

第19章「インスリン、グルカゴンその他のホルモンによる燃料代謝調節の基本概念」、第20章「細胞の生体エネルギー論:アデノシン三リン酸とO2」、第21章「糖質の消化・吸収・輸送」、第22章「グルコース、フルクトース、ガラクトースからのアデノシン三リン酸の産生:解糖」、第23章「トリカルボン酸回路」、第24章「酸化的リン酸化とミトコンドリアの機能」、第25章「酸素毒性とフリーラジカルによる傷害」、第26章「グリコーゲンの合成と分解」、第27章「ペントースリン酸経路と、配糖体・乳糖・糖タンパク質・糖脂質の合成」、第28章「糖新生と血糖値の維持」。最大のセクションは、個々の経路に入る前にホルモンによる調節と生体エネルギー論から始まり、消化から解糖、TCA回路、酸化的リン酸化を経て、グリコーゲン、ペントースリン酸経路、糖新生へと進む。

セクションV:脂質代謝(第29〜34章)

第29章「食事性脂質の消化と輸送」、第30章「脂肪酸とケトン体の酸化」、第31章「脂肪酸、トリアシルグリセロール、主要な膜脂質の合成」、第32章「コレステロールの吸収、合成、代謝と行方」、第33章「エタノールの代謝」、第34章「糖質代謝と脂質代謝の統合」。脂質を腸から酸化・合成までたどる。エタノール代謝には独立した章があり、セクションの最後で糖質と脂質の代謝が統合される。

セクションVI:窒素代謝(第35〜40章)

第35章「タンパク質の消化とアミノ酸の吸収」、第36章「アミノ酸窒素の行方:尿素回路」、第37章「アミノ酸の合成と分解」、第38章「テトラヒドロ葉酸、ビタミンB12、S-アデノシルメチオニン」、第39章「プリンとピリミジンの代謝」、第40章「アミノ酸代謝における組織間の関係」。尿素回路による窒素の処理、アミノ酸代謝、一炭素代謝、ヌクレオチド代謝を扱い、セクションVと同じく、異なる組織がどのように役割を分担するかを論じる章で締めくくられる。

セクションVII:組織の代謝(第41〜47章)

第41章「燃料代謝を調節するホルモンの作用」、第42章「赤血球その他の血球の生化学」、第43章「血漿タンパク質、凝固、線溶」、第44章「肝臓の代謝」、第45章「安静時と運動時の筋肉の代謝」、第46章「神経系の代謝」、第47章「細胞外マトリックスと結合組織」。最終セクションはセクションIの全身的な視点に、今度は臓器ごとに立ち返る。ホルモン、血液、肝臓、筋肉、神経組織、結合組織を扱う。

主要概念

セクションI〜II:燃料と基礎

  • 摂食状態と絶食状態:本書の出発点となる二つの代謝状態。食後に燃料がどう蓄えられ、食間にどう放出されるかを表す。
  • 酵素の調節:酵素活性がどのように制御されるか。経路のオン・オフを理解する基礎となる。
  • 化学伝達物質によるシグナル伝達:細胞がホルモンなどのシグナルを受け取る仕組み。後の章で代謝調節の説明に用いられる。

セクションIII:遺伝子発現

  • DNA複製、転写、翻訳:遺伝情報が複製され、タンパク質として発現する段階。
  • 遺伝子発現の調節:細胞がどの遺伝子をいつ発現させるかを制御する仕組み。
  • 医療における組換えDNA技術:分子生物学に基づく実験手法と、その診断・治療への利用。

セクションIV〜VI:代謝経路

  • インスリンとグルカゴンによるホルモン調節:糖質の経路より先に導入され、各経路をその調節との関係で読めるようにしている。
  • 酸化的リン酸化:ミトコンドリアでのATP産生。同じセクションで酸素毒性とフリーラジカル傷害と組み合わされている。
  • 血糖の維持:グリコーゲン代謝と糖新生が血糖値を一定に保つ役割。
  • 尿素回路:アミノ酸由来の窒素が処理される経路。
  • 一炭素代謝:テトラヒドロ葉酸、ビタミンB12、S-アデノシルメチオニンの役割。

セクションVII:組織の代謝

  • 組織間・臓器ごとの代謝:肝臓、筋肉、神経系、血球が代謝においてどのように異なる役割を担うか。

批判的分析

長所

  • すべての章に組み込まれた臨床症例。 出版社によれば、各章は「The Waiting Room」から始まり、その診断と治療は章の内容に依拠する。欄外のClinical NotesとMethod Notes、本文中のClinical CommentsとBiochemical Commentsがこれを支える。
  • 大量の復習問題。 出版社は700問を超える章末復習問題(うち200問以上が本版で新規)を挙げており、USMLE型の試験を念頭に置いた解答と解説が付く。さらにオンラインで計100問のセクション末試験がある。
  • 経路の前に生理学。 目次は摂食時と絶食時の燃料代謝から始まり、インスリンとグルカゴンによる燃料代謝の調節を糖質セクションの冒頭に置いているため、経路は生理学的文脈の中で学ばれる。セクションVとVIはそれぞれ統合の章で終わり、セクションVIIは組織の代謝にあてられている。

短所

  • 分量。 約1,100ページ、47章という分量は、同じコースの復習型の本よりはるかに長い。試験前に手早く全体を確認したい学生にとって、通読するには長すぎる。
  • 医学カリキュラム向けの構成。 症例、臨床的コメント、USMLE志向の問題は医学生向けに設計されている。化学や生物学の背景をもち一般的な生化学教科書を探している読者には、枠組みの多くが化学的というより臨床的に感じられるだろう。
  • 一部の資料はオンラインのみ。 出版社はアニメーション、補足の本文・図表、疾患へのリンク、患者プロフィールの全文をオンライン機能として挙げており、印刷版には著者が提供するすべてが収められているわけではない。

コースにおける位置づけ

本コースの書目の中で、Marksは主要な本格的教科書であり、前臨床の初期に医学生化学を学ぶための本である。より短い本はそれぞれ別の役割を担う。Crash Course Metabolism and Nutritionは試験形式の自己評価を備えた簡潔な復習書で、最初の通読や復習に向く。Lippincott Illustrated Reviews: Biochemistryは同様の範囲をアウトライン形式と要約図で扱い、理解のためにMarksを読み、復習のためにLippincottを使うという組み合わせをとる学生も多い。SalwayのMetabolism at a Glanceは各テーマを経路図として示し、セクションIV〜VIの経路がどうつながるかを確かめるのに適している。

さらに先へ進む本が二冊ある。FraynとEvansのHuman Metabolism: A Regulatory Perspectiveは代謝が臓器をまたいでどのように調節・統合されるかに焦点を当て、Marksの第19章、第34章、第40章とセクションVIIの主題を発展させる。MarshallらのClinical Biochemistry: Metabolic and Clinical Aspectsは疾患の臨床検査を臓器ごとに扱い、Marksの後に臨床へ進む学生に適している。

本書の使い方

本書は、臨床医学への準備として生化学を学ぶ医学生などを対象としている。出版社は正式な前提知識を示していないが、一般化学と有機化学、基礎的な細胞生物学をある程度学んでいれば、セクションIIがずっと読みやすくなる。

実践的な計画:

  • セクションIから始める。 第1〜3章は短く、全体を通じて繰り返し登場する摂食・絶食の枠組みを用意する。
  • セクションIIは必要に応じて。 化学に強い学生は第4〜5章を速く読み進めてよいが、タンパク質、酵素、シグナル伝達を扱う第7〜10章は以降すべての土台である。
  • セクションIV〜VIを中核として読む。 個々の経路の前に第19〜20章を読み、統合の章である第34章と第40章を飛ばさないこと。
  • セクションIIIはカリキュラムに合わせる。 分子生物学と遺伝学が別の科目で教えられる場合、第12〜18章は参照用として使える。
  • セクションVIIを臨床への橋渡しとする。 肝臓、筋肉、血液、神経系の代謝は、それまでの経路が臓器生理学と出会う場所である。

各章ではまずWaiting Roomの症例を読み、章の終わりにそこへ戻るとよい。そのときには生化学が患者の所見を説明できるはずである。復習には章のまとめと重要事項のリストを使い、各章の後に復習問題を解き、オンラインのセクション末試験は試験前にセクション全体を確認するために取っておく。代謝のセクションを読む間、Metabolism at a Glanceのような経路図集を手元に置くと、全体の地図を見失わずにすむ。