01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ostaszewski, A. J. (1991). Advanced Mathematical Methods. Cambridge University Press.
章の要約
本書は全23章で、線形代数(第1–16章)と高等微積分(第17–23章)の二部からなり、そのあとに演習問題の一部の解答を収めた第三部が続く。ケンブリッジ大学出版局は、統計学、オペレーションズ・リサーチ、計算機科学、計量経済学、数理経済学に応用できる線形代数と多変数微積分の話題を扱う、自己完結した数学的方法の第二課程として本書を紹介している。掲げる方針は、厳密な理論的アプローチと「料理本」式アプローチとのバランスをとり、具体的で幾何学的な説明を与えることである。
第1–4章:ベクトル空間(復習);ℝⁿの幾何;行列;射影
第I部はベクトル空間の復習から始まり、n次元実空間の幾何、行列、射影へと進む。
第5–8章:スペクトル理論;上三角形への簡約;三重対角形への簡約;逆行列
行列理論の中心部分は、固有値問題(スペクトル理論)、行列を二つの特別な形に簡約する方法、行列の逆を扱う。
第9–13章:凸性;分離超平面定理;線形不等式;線形計画法とゲーム理論;単体法
これらの章は凸集合から出発し、分離超平面定理と線形不等式を経て、線形計画法、ゲーム理論、単体法へ進む。
第14–16章:偏導関数(復習);凸関数;非線形計画法
第I部は偏導関数の復習で締めくくられ、凸集合から凸関数と非線形計画法へ移る。
第17–19章:積分の過程;積分の操作;重積分
高等微積分の部は積分から始まる。積分の過程、積分の操作、重積分である。
第20–22章:微分方程式と差分方程式(復習);ラプラス変換;線形常微分方程式の級数解
続く章は微分方程式と差分方程式を復習し、ラプラス変換と線形常微分方程式の級数解を提示する。
第23章:変分法
最終章は変分法を紹介する。
第III部:選択された演習問題の解答
本書は、選択された演習問題の解答で終わる。
主要概念
第I部:線形代数(第1–16章)
- 射影とスペクトル理論:第4–5章。
- 三角形・三重対角形への簡約:第6–7章。
- 凸性と分離超平面定理:第9–10章。
- 線形計画法、ゲーム理論、単体法:第12–13章。
- 凸関数と非線形計画法:第15–16章。
第II部:高等微積分(第17–23章)
- 積分の操作と重積分:第18–19章。
- ラプラス変換:第21章。
- 常微分方程式の級数解:第22章。
- 変分法:第23章。
批判的分析
長所
- 厳密さと技法の意図的なバランス。 ケンブリッジは、著者が厳密な理論的アプローチと「料理本」式アプローチのバランスを保ち、具体的で幾何学的な説明を用いて、数学を深く学んでいない学生でも理解できるようにしていると述べる。
- 最適化と線形代数が一冊に。 目次は行列理論を、凸性、線形計画法、ゲーム理論、非線形計画法と結びつけており、両方を必要とする読者が複数の本を行き来する必要がない。
- 解答付きの教材。 出版社は、例と演習が豊富で、その大部分に完全な解答があると述べ、第三部には選択された演習問題の解答が集められている。
- くだけた文体。 出版社は、本書を魅力的でくだけた文体で書かれていると説明し、『American Mathematical Monthly』は「すばらしい参考書」と評した。
短所
- 証明よりも応用志向。 第1・14・20章はそれまでの内容の復習である。ケンブリッジは、本書が理論よりも応用に関心のある学生に訴えると述べており、純粋な解析学や代数学の授業のような証明中心の完全な扱いを求める読者は、他の本を探すべきである。
- 主題の範囲が限られる。 第II部は積分、微分方程式、ラプラス変換、変分法を扱う。偏微分方程式や数値解析の一般的な授業ではなく、目次にもそれらの題はない。
- 古い教科書。 本書は1990年(ペーパーバックは1991年1月)に刊行されたので、現在のソフトウェアを使った最適化のアルゴリズム的な扱いを求める読者は、より新しい本を併用する必要がある。
コースにおける位置づけ
本書は数学の書目のうち応用・最適化の部分に属し、その特徴は、土台となる線形代数と微積分を最適化とともに提供する点にある。初等線形代数と微積分を終えた、応用分野の学生のための方法の本である。Ian Jacques の『Mathematics for Economics and Business』は経済学・経営学の学生のために書かれた本であり、Guenin、Könemann、Tunçel の『A Gentle Introduction to Optimization』は、線形代数の最初の授業から線形・整数・非線形計画法を組み立てる。Chong、Lu、Żak の『An Introduction to Optimization』と Boyd、Vandenberghe の『Convex Optimization』は、最適化の理論とアルゴリズムにより深く踏み込むので、Ostaszewski の第9–16章はそれらへの簡潔な準備になる。すでに Guenin、Könemann、Tunçel の本で線形計画法を学んだ読者は、第12–13章をケンブリッジの言う幾何学的な重点をもつ、関連内容の別の扱いとして読めるだろう。Alain Goriely の『Applied Mathematics: A Very Short Introduction』は、応用数学者が何をするかについての非技術的な概観である。
本書の使い方
初等線形代数と微積分を学んだ、統計学、オペレーションズ・リサーチ、計算機科学、計量経済学、数理経済学を専攻する学部2年生や大学院の初学者に向く。
- 線形代数と最適化のルート: 第1–16章を順に読む。第9–13章は凸性と線形計画法の短い授業として読める。
- 読む順序: 本書は線形代数(第1–16章)と高等微積分(第17–23章)に分かれている。自分の分野に合う部を選び、新しい内容に入る前に復習の章(第1・14・20章)で背景を確認する。たとえばラプラス変換と級数解の前に第20章を読む。
- 演習: 演習に取り組み、第III部の解答で方法を確かめる。多くの解答が完全なので、独習にも使える。
