01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
MacKinnon, D., & Cumbers, A. (2018). An Introduction to Economic Geography: Globalisation, Uneven Development and Place (3rd ed.). Routledge.
章の要約
第3版は14章を5部に分けている。出版社によれば、本書は「グローバル化、不均等発展、場所という主題に支えられ」、現代の経済地理学の多様性を伝え、グローバルな経済再編の社会的・空間的な影響を探るものである。批判的な地理学の視点を、新自由主義、金融化、イノベーション、新しい技術といった主題と結びつけている。出版社の別の紹介文には、著者が構成を見直し、より明快で順を追った叙述にしたとある。
第1部 第1–3章:経済地理学への導入/経済地理学のアプローチ/地域特化からグローバルな統合へ:生産の地理の変化
基礎の部では、この分野とその主要なアプローチ、そして地域に特化した生産からグローバルな統合へという長い移行を示す。3つの章はそれぞれ約23、32、39ページで、生産の地理の変化を扱う第3章がこの部でもっとも長い。
第2部 第4–7章:解き放たれた資本? 金融と投資の空間的回路/資本主義を管理する:国家と経済ガバナンスの変化/仕事と雇用の再編/開発の地理
「経済の景観の再形成:動態と帰結」は、経済を作り替える力とその帰結に目を向ける。金融と投資、資本主義経済を統治する国家の役割、仕事と雇用の再編、そして開発を扱う。出版社は、金融の章をこの版で新しくなった章の1つとして挙げている。
第3部 第8–10章:都市をつなぐ:交通、通信、デジタル経済/グローバル生産ネットワークと地域開発/都市の集積、イノベーション、創造性
「都市経済と地域経済の再構築」は、分析を都市と地域のレベルに下ろす。交通、通信、デジタル経済、グローバル生産ネットワークと地域開発とのつながり、そして都市経済における集積、イノベーション、創造性を扱う。デジタル経済についての内容は、この版で新たに加わった。
第4部 第11–13章:消費と小売/経済地理学と環境/もう1つの経済地理
「経済生活の再編成」は、消費と小売、経済と環境の関係、そして支配的なモデルの外にある経済的実践を扱う。出版社は、消費と環境をこの版の新しい内容として挙げ、現代的な主題の中にエネルギー転換とオルタナティブな経済的実践を挙げている。
第5部 第14章:結論
約6ページの短い締めくくりの章で、議論をまとめる。
主要概念
第1–3章:基礎
- グローバル化:世界中で生産と交換がますます統合されること。本書の3つの組織主題の1つ。
- 不均等発展:資本主義経済が場所ごとに異なる経済的帰結をもたらすこと。2つ目の主題。
- 場所:それぞれの地点に固有の性格と状況。3つ目の主題。
第4–7章:動態と帰結
- 金融と投資の空間的回路:資本が場所のあいだを移動すること、およびそれを誰が統制するのかという問い。
- 経済ガバナンス:国家が資本主義経済を管理し形づくる方法。
- 仕事と雇用の再編:仕事の組織のされ方と地理の変化。
第8–14章:都市、地域、経済生活
- グローバル生産ネットワーク:地域や企業を世界規模の生産システムに結びつけるもの。本書では地域開発と結びつけられている。
- 集積、イノベーション、創造性:経済活動が都市に集中すること、およびそれを生産的にする過程。
- 消費と小売:商品がどう売られ、買われるかの地理。
- もう1つの経済地理:主流の資本主義モデルから外れた経済的実践。
批判的分析
長所
- 明快な枠組み。 グローバル化、不均等発展、場所という3つの主題が5部構成の本書を貫いており、話題の一覧よりも各章のつながりが見えやすい。
- 政治経済学に文化的・制度的な洞察を組み合わせている。 出版社によれば、本書は開かれた政治経済学的アプローチをとり、文化的・制度的な洞察で補っている。そのため学生は、各話題について複数の視点に触れることになる。
- 地理的な範囲のバランス。 出版社は、事例や例が多様な国々から取られ、先進国と途上国の両方が扱われていると説明しており、自国中心の扱いにはなっていない。
- 学習のための工夫。 出版社は、章ごとの概念図、囲み記事の事例、考察のための問いと練習問題、そして重要な概念を明確にする地図・表・写真を挙げている。
- 入門書として認められている。 Coe、Kelly、Yeung の見本の章は、MacKinnon と Cumbers を経済地理学へのさらなる入門書の1つに挙げている。
短所
- 結論が非常に短い。 最後の章は約6ページで、本書の分量から想像されるほどには、末尾での総括が厚くない。読者は自分で糸口をつなぎ合わせる必要がある。
- 政治経済学の色合いが強い。 出版社はこのアプローチを経済再編への批判的な地理学的視点として提示している。立地理論や地域経済の形式モデルを中立的に概観したい学生は、別の資料が必要になる。目次にはどちらも独立した章がない。
- 刊行時点での制約。 本書は2018年の刊行で、出版社は当時の状況を、グローバル化の継続と経済ナショナリズムの高まりとの緊張として説明している。その後の出来事は、パンデミックとそれに続く変化を含め、本書の範囲の外にある。
- 構成が改められた版。 出版社は、構成が見直され、章が追加されたと述べている。以前の版を使っている読者は、章の順序が異なることに気づくだろう。
コースにおける位置づけ
このコースの書目の中で、MacKinnon と Cumbers の本と、Coe、Kelly、Yeung の Economic Geography: A Contemporary Introduction は2冊の包括的な入門書であり、どちらも中心教科書になりうる。Coe、Kelly、Yeung は章題を問いの形にし、15章で主要な経済主体を順にたどる。MacKinnon と Cumbers は3つの主題を軸に据え、都市と地域に1つの部を割いている。同じ領域を別の角度から読み直したい学生は、もう1冊を並べて読むことができる。
Aoyama、Murphy、Hanson の Key Concepts in Economic Geography は、中心概念についての簡潔な短い論考集で、手早い参照用になる。Dicken の Global Shift は、多国籍企業、国家、労働、消費者、市民社会を通じて経済のグローバル化を詳述しており、本書の第3章と生産ネットワークの章を発展させる。Combes、Mayer、Thisse の Economic Geography: The Integration of Regions and Nations は、新経済地理学のモデルと計量的手法を扱う大学院向けの教科書である。Rodrigue の The Geography of Transport Systems は、交通ネットワークの分かりやすい概説で、第8章と併せて読める。
本書の使い方
出版社は本書を、経済地理学、グローバル化研究、より広く人文地理学の授業を履修する学部生のための教科書として紹介しており、計画学、経営学、経済学の学生にも関心を持たれるとしている。前提知識は示されていない。
- 中核: まず第1部(第1–3章)を読む。3つの主題がそこで示されるからである。そのあと第4–7章で主要な過程をつかむ。
- 関心に応じて選ぶ: 都市と地域の経済なら第3部、消費、環境、オルタナティブなら第4部。
- 本文中の工夫を使う: 章ごとの概念図と考察のための問いに取り組み、囲み記事の事例を、その章の議論の短い実例として読む。
- 結論は最後に読み、 そのあと、よく知っている1つの場所で3つの主題を試してみる。
