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Introduction to Materials Science and Engineering: A Design-Led Approach(材料科学・工学入門:設計主導のアプローチ) cover

工学

工学

Introduction to Materials Science and Engineering: A Design-Led Approach(材料科学・工学入門:設計主導のアプローチ)

Michael F. Ashby; Hugh Shercliff; David Cebon

英語原題: Introduction to Materials Science and Engineering: A Design-Led Approach

技術者が材料に何を求めるかから出発し、その特性を説明する科学へとさかのぼる、材料の最初の科目のための教科書。より大部の Materials: Engineering, Science, Processing and Design の著者たちが執筆し、各特性をそれが制約する設計上の用途と、加工によってそれをどう変えられるかに結びつける。

前提知識: 高校レベルの物理、化学、数学。材料の科目の既習は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
materials sciencematerials selectionmechanical propertiesmicrostructure教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Ashby, M. F., Shercliff, H., & Cebon, D. (2023). Introduction to Materials Science and Engineering: A Design-Led Approach. Butterworth-Heinemann (Elsevier).

章の要約

本書は約700ページで、12の章、練習を要する話題を扱う4つの「ガイド付き学習ユニット(Guided Learning Units)」、そして材料特性データの付録からなる。出版社は本書の方法を「設計主導」と説明している。まず事例研究を通じて特性を分析し、設計上の要求と照らし合わせ、そのあとで各特性の背後にある科学を扱うという順序である。章題にもこの構成が表れており、力学的特性はそれぞれ、その特性が制約となる応用の種類と組み合わされている。

第1章:序論――材料の歴史、分類、特性

冒頭の章は材料を歴史的な文脈に置き、材料をクラスに分類し、技術者が材料を比較するときに用いる特性を導入する。

第2章:材料、プロセス、設計

本書全体の土台となる結びつきを示す章である。設計には適切な特性をもつ材料が必要であり、その特性は材料の加工方法に左右される。

第3章:材料特性と微細組織――概観と原子スケールの基礎

ここで科学的な内容が始まる。特性が微細組織と原子スケールの構造からどのように生じるかを概観する。第1ガイド付き学習ユニット(結晶学)がこの章を補う。

第4〜6章:弾性剛性と剛性制約の応用/塑性・降伏・延性と強度制約の応用/破壊・疲労と破壊制約の応用

本書の力学の中核。各章はひとつの特性群(弾性剛性、降伏・塑性・延性、破壊と疲労)を取り上げ、その特性が制約となる設計、すなわちたわみすぎてはならない部品、降伏してはならない部品、壊れてはならない部品と組み合わせる。

第7〜8章:材料と熱――熱的特性/高温の材料――拡散とクリープ

温度に関する2章。まず材料の熱的特性を扱い、次に高温で使用される場合、つまり拡散とゆっくりしたクリープ変形が性能を支配する場合を扱う。

第9章:表面――摩擦、摩耗、酸化、腐食

表面で起こる現象を扱う章で、力学的には摩擦と摩耗、化学的には酸化と腐食を取り上げる。

第10章:機能特性――電気的、磁気的、光学的

力学以外の特性を扱う唯一の章で、電気的・磁気的・光学的なふるまいを扱う。

第11章:製造プロセスと微細組織の変化

加工の話題に戻り、製造を微細組織、ひいては特性が決まる段階として扱う。第3・第4ガイド付き学習ユニット(プロセス選択、状態図と相変態)がこの章を支える。

第12章:材料、環境、持続可能性

本書は材料利用の環境面と持続可能性で締めくくられる。

ガイド付き学習ユニット1〜4と付録A

4つのユニットは「結晶学の簡単な考え方」「設計における材料選択」「設計におけるプロセス選択」「状態図と相変態」である。出版社はこれらを、本章とは別に展開した話題と説明している。付録Aには材料特性データがまとめられている。

主要概念

第1〜3章:材料、設計、微細組織

  • 材料のクラス:工学材料を、特徴的な特性範囲をもつ族に分類すること。
  • 材料・プロセス・設計の三角形:設計要求、材料選択、加工経路は一体として決めなければならないという考え方。
  • 微細組織:原子スケールより大きなスケールでの材料の内部構造。原子間結合と測定可能な特性とをつなぐ。

第4〜6章:力学的特性

  • 剛性制約設計:弾性率と形状で決まる荷重下のたわみを、許容範囲内に収めなければならない部品の設計。
  • 降伏と延性:永久変形の始まりと、破壊までに変形できる能力。強度制約の応用を支配する。
  • 破壊と疲労:一度の荷重または繰り返し荷重のもとでき裂が進展して起こる破損。

第7〜10章:熱的・表面・機能特性

  • クリープ:高温で拡散に支配されて進む、時間に依存したゆっくりした変形。
  • 腐食と酸化:環境による表面の化学的な侵食。
  • 機能特性:力学的性能とは区別される、電気的・磁気的・光学的なふるまい。

第11〜12章とガイド付き学習ユニット

  • 加工と微細組織の変化:製造工程が微細組織を変え、それによって特性が変わること。
  • 状態図:組成と温度に応じた合金の平衡相を示す図。
  • 材料とプロセスの選択:設計要求に照らして、候補となる材料とプロセスを体系的に選ぶこと。

批判的分析

長所

  • 設計の問いが先に来る。 出版社の説明によれば、特性はまず現実の事例研究を通じて設計と照らし合わされ、そのあとで科学的な起源が検討される。章題はこの構成を一貫して示しており、とくに第4〜6章では各特性がそれが制約する応用とともに名指しされている。想定読者は、結晶学よりも材料が何のためにあるかに動機づけられる学生である。
  • 視覚的な伝達。 アシュビーの他の教科書と同様に、本書は材料特性チャートと模式図に大きく依拠している。出版社によれば、これらは特性がどこから来るのか、どう変えられるのか、何が限界を決めるのかを示すために使われている。
  • 数学的負担が小さい。 出版社は、本書が最初の材料の授業に必要な最小限の数学しか要求しないと述べており、複数の工学分野の学生が受ける1年次の科目に適している。
  • 切り離せる演習ユニット。 結晶学、選択の方法、状態図は本章ではなくガイド付き学習ユニットに置かれている。教員は適切な時期にそれらを組み込むことができ、ある話題で追加の練習が必要な学生はどこを見ればよいかがわかる。教員向けには解答マニュアルと図版集が用意されている。

短所

  • 科学的内容は深さより幅。 原子スケールの基礎は概観の1章のみで、電気・磁気・光学特性は1章を共有している。材料系や電気系の学生は、これらの話題について科学を軸にした教科書が別に必要になる。
  • 相変態が本筋に入っていない。 状態図はガイド付き学習ユニットとしてのみ登場するため、合金の微細組織を中心に据える授業では、そのユニットを意図的に前倒しする必要がある。
  • 最初の授業としては長い。 約700ページあり、ほとんどの1学期の科目で扱える量を超えているため、教員は取捨選択を迫られる。

コースにおける位置づけ

材料のコースに挙げられた本格的な教科書のなかで、本書は最も設計寄りである。クリストファー・ホールの Materials: A Very Short Introduction は分野全体を専門用語を抑えて語る短い本で、本書に取りかかる前に数晩で読める。キャリスターとレズウィッシュの Materials Science and Engineering: An Introduction は似た範囲を逆の順序で扱い、原子間結合と結晶構造から始めて特性へと積み上げ、状態図も本筋に含めている。アシュビーの特性優先のアプローチでは構造の扱いが軽すぎると感じる学生は、第3章・第8章・第11章と第4ガイド付き学習ユニットの伴読書としてキャリスターを使うとよい。

最初の授業の後には、ポーター、イースターリング、シェリフの Phase Transformations in Metals and Alloys が、本書では学習ユニットでしか扱わない物理冶金学を深める。マイヤーズとチャウラの Mechanical Behavior of Materials は、第4〜8章が設計に用いる剛性、降伏、破壊、クリープの背後にあるメカニズムを説明する。

本書の使い方

出版社は本書を、材料・機械・化学・土木・航空工学で最初の材料の授業を受ける学部生に向けている。高校レベルの数学・物理・化学があれば始められる。

実際的な読書計画:

  • 中核の流れ: 第1〜6章を順に読む。材料のクラスと特性、材料・プロセス・設計のつながり、微細組織の基礎、そして3つの力学的特性の章を導入する部分である。第3章と並行して第1ガイド付き学習ユニット(結晶学)に取り組む。
  • 早めに選択の技能を: 第4章を終えたら第2ガイド付き学習ユニット(材料選択)に取り組む価値がある。付録Aのデータを使って選択を練習すると、後の章の設計面に具体的な手がかりができる。
  • 科目の後半: 熱的・高温・表面のふるまいについて第7〜9章、続いて加工と状態図について第11章を第3・第4ガイド付き学習ユニットとともに読む。
  • 選択的に読む部分: 機能特性が必要な学生は第10章、持続可能性を扱う授業では第12章。

各特性の章について、その特性が制約となる部品をひとつ挙げ、それを改善するためにどの材料特性を変えるかを説明できるか確かめるとよい。授業で結晶構造や状態図を詳しく問われる場合は、キャリスターと組み合わせて使うこと。