索引 / 001 JA
The Engineering Design of Systems: Models and Methods(システムのエンジニアリング設計:モデルと手法) cover

工学

工学

The Engineering Design of Systems: Models and Methods(システムのエンジニアリング設計:モデルと手法)

Dennis M. Buede; William D. Miller

英語原題: The Engineering Design of Systems: Models and Methods

ステークホルダーのニーズと要求から、機能アーキテクチャと物理アーキテクチャを経て統合と認定に至るシステムズエンジニアリングの設計プロセスを、モデルベースで扱う教科書。モデリング言語と意思決定手法が各段階をどう支えるかを示し、第4版ではソフトウェア中心のシステムに合わせて内容を更新している。

前提知識: システムズエンジニアリングまたは工学設計の入門課程、工学プロジェクトの経験、確率の基礎。

難易度レベル
上級
学術レベル
大学院
systems engineeringmodel-based systems engineeringrequirementssystem architectureverification and validation教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Buede, D. M., & Miller, W. D. (2024). The Engineering Design of Systems: Models and Methods (4th ed.). Wiley.

章の要約

本書は3部15章、約464ページで、巻末に用語集、参考文献、歴史的文献の一覧が付く。各章の終わりには問題があり、出版社によれば本文中にケーススタディも組み込まれている。

第1部:Introduction, Overview, and Basic Knowledge(序論、概観、基礎知識)

第1章:Introduction to Systems Engineering(システムズエンジニアリング入門)

システムを、利害関係者の目的を満たすために組織されたハードウェア、ソフトウェア、人、施設、手順として定義し、システム・オブ・システムズを取り上げる。本章はこれを承認型、協調型、指令型、仮想型に分類している。続く節では、システムズエンジニアリングの実施方法(ウォーターフォールモデル、スパイラルモデル、オブジェクト指向設計、コンポーザビリティ工学、アジャイル・システムズエンジニアリングなど)、モデル化の方法(UML、DoDAF、SysML)、アーキテクチャの概念、要求、システムのライフサイクル、設計と統合のプロセス、システムの種類を概観する。

第2章:Overview of the Systems Engineering Design Process(システムズエンジニアリングの設計プロセスの概観)

第2部の詳しい議論に先立ち、システムズエンジニアリングの設計プロセスを概観する。

第3章:Modeling and SysML Modeling(モデル化とSysMLによるモデル化)

モデル化とSysMLモデリング言語を扱う。出版社によれば、この版はSysML 1.0とSysML 2.0の両方に対応している。

第4–5章:Discrete Mathematics: Sets, Relations, and Functions;Graphs and Directed Graphs (Digraphs)(離散数学:集合・関係・関数;グラフと有向グラフ)

設計の章の前に置かれた数学的背景の2章。前者は集合、関係、関数を、後者はグラフと有向グラフを扱う。

第2部:Design and Integration(設計と統合)

第6章:Requirements and Defining the Design Problem(要求と設計問題の定義)

第2部は要求と設計問題の定義から始まる。出版社は利害関係者の要求を扱う主題の一つに挙げている。

第7–9章:Functional Architecture Development;Physical Architecture Development;Allocated Architecture Development(機能アーキテクチャ、物理アーキテクチャ、割当てアーキテクチャの開発)

手法の中核。まず機能アーキテクチャを、次に物理アーキテクチャを開発し、両者を割当てアーキテクチャにまとめる。出版社は論理アーキテクチャの開発も主題に挙げている。

第10章:Interface Design(インタフェース設計)

アーキテクチャの各要素間のインタフェースの設計を扱う。

第11章:Integration and Qualification(統合と適格性確認)

システムを組み上げ、要求を満たすことを示す作業を扱う。出版社の説明は、これを検証と妥当性確認、さらにシステム・オブ・システムズの検証と妥当性確認と結びつけている。

第12章:A Complete Exercise of the Systems Engineering Process(システムズエンジニアリング・プロセスの完全な演習)

運用コンセプトから統合と適格性確認まで、プロセスを最初から最後まで通して行う演習。

第3部:Supplemental Topics(補足的な話題)

第13章:The Value of Systems Engineering(システムズエンジニアリングの価値)

この分野の価値を論じる。

第14章:Decision Analysis for Design Trades(設計トレードのための意思決定分析)

意思決定分析を設計のトレードオフに適用する。出版社は設計トレードのための意思決定分析を主題に挙げている。

第15章:The Science and Analysis of Systems(システムの科学と分析)

システムの科学と分析で締めくくる。出版社はシステムズエンジニアリングの科学的基礎を主題に挙げ、この分野の新しい動向に関する節がこの版で新たに加わったとしている。

主要概念

第1部

  • システム・オブ・システムズ:独立に管理される複数のシステムの集合で、個々のシステムでは実現できない能力をともに提供する。承認型、協調型、指令型、仮想型がある。
  • システムズエンジニアリングの実施方法:ウォーターフォールモデル、スパイラルモデル、オブジェクト指向設計、コンポーザビリティ工学、アジャイル・システムズエンジニアリング。
  • モデリング言語:設計を記録するためのUML、DoDAF、SysML。
  • 集合、関係、関数、グラフ:アーキテクチャを形式化するための数学。

第2部

  • 要求と設計問題:プロセスの出発点。
  • 機能・物理・割当てアーキテクチャ:第7–9章で順に構築される、相互に結びついた三つの視点。
  • インタフェース設計、統合、適格性確認:各部分を接続し、動作することを示す方法。

第3部

  • 設計トレードのための意思決定分析:代替案の構造化された比較。
  • システムズエンジニアリングの価値:この分野の価値についての説明。

批判的分析

長所

  • 一つの手法を要求から適格性確認まで貫く。 第2部は連続する6章で一つの設計プロセスをたどり、その後に第12章の完全な演習が続くため、各ステップを順序どおりに、同じ例の上で確認できる。
  • 数学的背景を含む。 第4章と第5章が設計の章の前に集合、関係、関数、グラフを説明するので、その内容を他で補う必要がない。
  • ソフトウェア中心の実務に対応。 第4版では、モデルベース・システムズエンジニアリング、デジタルエンジニアリング、デジタルスレッド、AI、SysML 1.0と2.0、デジタルツイン、GENESYSソフトウェアが加わり、ミドルアウト工学、リバースエンジニアリング、アジャイル・システムズエンジニアリングの節も新設された。
  • 演習の材料。 各章末に問題があり、出版社は学生・教員向けのコンパニオンサイトも挙げている。

短所

  • 最初の一冊には向かない。 第1部は5章で定義からSysMLと離散数学まで進み、その後の設計手法も全体がモデルベースである。システムズエンジニアリングが初めての読者は、もっと平易な入門書を先に読む方がよいかもしれない。
  • 特定のツールに結びついている。 新版の追加内容はSysMLとGENESYSを軸に構成されており、他のツールを使う読者は読み替えが必要になる。
  • 話題の選択。 目次には信頼性、支援性、コスト分析などを主題とする章がなく、コースの書目の他の教科書がそれらを扱っている。

コースにおける位置づけ

BuedeとMillerは、要求から適格性確認までの設計プロセスをモデルベースで論じている。Dym、Little、Orwinの Engineering Design: A Project-Based Introduction とHoltの Systems Engineering Demystified はいずれも入門書で、前者はプロジェクトを軸にし、後者は初学者向けでSysMLを中心にしている。どちらもBuedeとMillerの前に読める。Kossiakoffらの Systems Engineering Principles and Practice とBlanchardとFabryckyの Systems Engineering and Analysis はライフサイクルに沿って構成された教科書で、後者は意思決定・経済モデルと信頼性・支援性の分析を備える。

Crawley、Cameron、Selvaの System Architecture は初期のアーキテクチャ上の決定とトレードスペースの探索を扱う大学院向けの教科書で、第7–9章と第14章に重なる。アーキテクチャを意思決定の問題としてさらに掘り下げたい読者の併読書となる。

本書の使い方

出版社は、システムズエンジニアリング設計、システムアーキテクチャ、システム統合の学部・大学院の科目の主教科書として適しており、現役のシステムアーキテクト、システムエンジニア、産業エンジニア、エンジニアリング管理者、システムインテグレータの参考書にもなると説明している。

実際的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1章と第2章、続いて第6–12章を順に読む。第12章は、各ステップがどう組み合わさるかの手本として、前の章と並べて読む。
  • 基礎: モデルを作る前に第3章を読む。アーキテクチャの章の記法に補足が必要になったら第4–5章を読む。集合とグラフに慣れている読者は流し読みでよい。
  • 補足: 設計の代替案を比較する必要が出たら第14章、背景を広げるには第13章と第15章。

第6–11章の問題は、自分で選んだ一つのシステムについて解くとよい。各アーキテクチャのステップで作ったモデルを次のステップで再利用できる。