01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Chopra, A. K. (2022). Dynamics of Structures: Theory and Applications to Earthquake Engineering (6th ed.). Pearson.
章の要約
本書は3部24章からなり、巻末に周波数領域による応答解析法の付録、記号表、一部の問題の解答が付く。各部は、単自由度系から多自由度系へ、そして建物の地震解析・設計・評価へと進む。出版社によれば、125を超える詳細な例題と600点の図があり、地震時の構造物の挙動を写した写真も収められている。
第1部:Single-Degree-of-Freedom Systems(単自由度系)
第1章:Equations of Motion, Problem Statement, and Solution Methods(運動方程式、問題の設定、解法)
最も単純な構造モデルの運動方程式を立て、動的解析の問題とその解法を示す。
第2–5章:Free Vibration;Response to Harmonic and Periodic Excitations;Response to Arbitrary, Step, and Pulse Excitations;Numerical Evaluation of Dynamic Response(自由振動;調和・周期的加振への応答;任意・階段・パルス加振への応答;動的応答の数値計算)
単自由度系の応答を、一般性の低いものから高いものへと順に組み立てる。自由振動、調和荷重と周期荷重、任意・階段・パルス荷重、そして応答を求める数値的方法である。
第6–7章:Earthquake Response of Linear Systems;Earthquake Response of Inelastic Systems(線形系の地震応答;非弾性系の地震応答)
単自由度系の理論を地盤の運動に適用する。まず線形系、次に非弾性系を扱う。第6版では第6章に、敷地の地震設計用スペクトルを作る現代的な方法の節が加わった。
第8章:Generalized Single-Degree-of-Freedom Systems(一般化単自由度系)
単自由度モデルを、一つの一般化座標に帰着できる系へ拡張する。
第2部:Multi-Degree-of-Freedom Systems(多自由度系)
第9–12章:Equations of Motion, Problem Statement, and Solution Methods;Free Vibration;Damping in Structures;Dynamic Analysis and Response of Linear Systems(運動方程式、問題の設定、解法;自由振動;構造物の減衰;線形系の動的解析と応答)
第1部の構成を多自由度系に対して繰り返す。運動方程式、自由振動、構造物の減衰を扱う章、線形系の動的解析と応答である。
第13–16章:Earthquake Analysis of Linear Systems;Analysis of Nonclassically Damped Linear Systems;Reduction of Degrees of Freedom;Numerical Evaluation of Dynamic Response(線形系の地震解析;非古典的減衰をもつ線形系の解析;自由度の縮約;動的応答の数値計算)
多自由度の線形系の地震解析、減衰が古典的な形に合わない系、自由度の数を減らす方法、応答の数値計算を扱う。
第17–18章:Systems with Distributed Mass and Elasticity;Introduction to the Finite Element Method(質量と弾性が分布する系;有限要素法入門)
離散モデルから質量と弾性が分布する系へ移り、有限要素法を導入する。
第3部:Earthquake Response, Design, and Evaluation of Multistory Buildings(多層建物の地震応答、設計、評価)
第19–20章:Earthquake Response of Linearly Elastic Buildings;Earthquake Analysis and Response of Inelastic Buildings(線形弾性建物の地震応答;非弾性建物の地震解析と応答)
多自由度系の理論を多層建物に適用する。まず線形弾性、次に非弾性の場合である。出版社によれば、建物の非線形時刻歴解析における減衰のモデル化に関する最近の研究が第20章に取り入れられている。
第21章:Earthquake Dynamics of Base-Isolated Buildings(免震建物の地震時挙動)
免震建物の動力学を扱う。第6版には免震装置の試験データが含まれている。
第22章:Earthquake Dynamics of Building–Soil Interaction(建物と地盤の相互作用の地震時挙動)
第6版で新たに加わった章。高度な話題を導入し、建物の設計に地盤と構造物の相互作用を取り入れるために建築基準が定める方法を説明する。
第23–24章:Structural Dynamics in Building Codes;Structural Dynamics in Building Evaluation Guidelines(建築基準における構造動力学;建物評価指針における構造動力学)
理論を建築基準と評価指針に結びつける。第6版には、米国、カナダ、メキシコの基準とユーロコードの現行版が含まれている。
主要概念
第1部:単自由度系(第1–8章)
- 運動方程式:動的問題を定める支配方程式。第1章で導入される。
- 各種加振への応答:自由振動、調和荷重・周期荷重、任意・階段・パルス荷重に対する系の応答。
- 地震応答と設計スペクトル:線形系と非弾性系の地盤運動への応答。
- 一般化単自由度系:一つの座標に帰着できるモデル。
第2部:多自由度系(第9–18章)
- 構造物の減衰:減衰の記述の仕方。非古典的減衰の系は別に扱われる。
- 自由度の縮約:自由度を取り除いてモデルを簡単にすること。
- 分布質量と弾性、有限要素法:連続体系のモデルとその数値的な扱い。
第3部:建物(第19–24章)
- 建物の非弾性応答:建物の非線形時刻歴解析。
- 免震:建物を地盤の運動から隔離すること。
- 地盤と構造物の相互作用:支持地盤が建物の応答に及ぼす影響。
- 建築基準と評価指針:動力学と基準の実務とのつながり。
批判的分析
長所
- 構造動力学の予備知識を前提としない。 出版社は、この難しい主題をできるだけ平易に示し、自習できる詳しさにしていると述べている。
- 多数の詳細な例題。 出版社は125を超える例題と600点の図を挙げ、解析手順は要点をまとめてあるので再現しやすいと述べている。
- 物理的な洞察と実際の構造物。 構造物の理想化モデルを実際の構造物の性質と比較すること、解析手順への物理的な洞察を重視すること、地震時の構造物の動きの写真を載せることが特色として挙げられている。
- 実務へ至る一貫した道筋。 三つの部は、単自由度系の理論から建物の応答、建築基準と評価指針へと進むので、一つの主題を原理から基準の利用までたどれる。
短所
- 地震に重点がある。 書名と第3部は地震工学に焦点を当てており、目次には風などほかの動的荷重を扱う章はない。
- 建物の設計に至るのが遅い。 第3部は第1部と第2部の後にあるため、建物の耐震設計は24章の流れの中で後ろに現れる。
- 基準の章が版に結びついている。 第23章は、この版の時点での米国、カナダ、メキシコの基準とユーロコードの現行版を扱う。そのため、その後に改訂された基準で仕事をする読者は、新しい文書を参照する必要がある。
コースにおける位置づけ
このコースの書目の中で、Chopraは動力学に特化した教科書である。Hibblerの Structural Analysis とMegsonの Structural and Stress Analysis は構造の静的解析を扱い、McGuire、Gallagher、Ziemianの Matrix Structural Analysis は弾性安定を含むマトリックス剛性法を展開する。これらは多自由度系の章の自然な基礎となる。
Gordonの Structures: Or Why Things Don't Fall Down と、Ji、Bell、Ellisの Understanding and Using Structural Concepts は、構造物の挙動についての非技術的または視覚的な入門書で、この分野が初めての読者の準備に役立つ。授業が振動や地震荷重に移るときに、Chopraに進む。
本書の使い方
出版社は、構造動力学の予備知識を前提とせず、自習できる詳しさの教科書として本書を提示している。構造の静的解析(マトリックス法を含む)に加え、基礎的な力学、線形代数、常微分方程式が適切な背景となる。
実際的な進め方は次のとおり。
- 中核: 第1部(第1–8章)を順に、続いて第2部の第9–13章。
- 発展: 非古典的減衰、自由度の縮約、分布系、有限要素法を扱う第14–18章。授業に応じて選ぶ。
- 応用: 地震工学のための第3部。第22章(地盤と構造物の相互作用)は最も高度な章である。
問題に取りかかる前に例題を読み込み、巻末の一部の問題の解答で結果を確かめる。
