01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ji, T., Bell, A. J., & Ellis, B. R. (2015). Understanding and Using Structural Concepts (2nd ed.). CRC Press.
章の要約
第2版は約390ページ、白黒図版555点を収める。概説の章のあとに三つの部が続く。静力学(Statics、12章)、動力学(Dynamics、7章)、統合(Synthesis、4章)であり、出版社によれば最後の部は今回の版で新たに加わった。第1部と第2部のほぼすべての章は、定義と概念、理論的背景、模型による実演、実例という同じ4段階の構成をとる。実演は通常の授業で使えることを想定した簡単な物理模型であり、実例はその概念が実際の工学構造物でどう働いているかを示す。
第1章:Overview of Structural Concepts(構造概念の概説)
構造概念とは何か、なぜ学ぶ価値があるのかを問い、それを学ぶための方法を述べ、本書の構成を説明し、本書の使い方を助言する短い導入の章。
第1部 第2–7章:Equilibrium(つり合い);Centre of Mass(重心);Effect of Different Cross Sections(断面形状の影響);Stress Distribution(応力分布);Bending(曲げ);Shear and Torsion(せん断とねじり)
静力学の前半は、構造力学の最初の授業で学ぶ基本的な考え方を扱う。つり合いの条件、重心と安定性におけるその役割、断面の形が剛性と強度にどう影響するか、応力がどう分布するか、そして曲げ、せん断、ねじりを受ける部材の挙動である。各テーマに10〜18ページほどの章が割り当てられている。構造解析の教科書では長い章の中で扱われることの多い概念を、ここでは一つずつ切り出して実演してみせる。
第1部 第8–13章:Span and Deflection(スパンとたわみ);Direct Force Paths(直接的な力の経路);Smaller Internal Forces(より小さな内力);Buckling(座屈);Prestress(プレストレス);Horizontal Movements of Structures Induced by Vertical Loads(鉛直荷重による構造物の水平変位)
静力学の後半は、部材の挙動から設計の考え方へと進む。スパンとたわみの章は、部材の長さとたわみの大きさを関係づける。直接的な力の経路と、より小さな内力を扱う2章では、どの構造形式がより効率よく荷重を伝えるかを判断するための基準が示される(節見出しには「定義、概念と基準」「概念と一つの基準」とある)。第1部は、座屈、プレストレス、そしてあまりなじみのない話題である鉛直荷重による水平変位で締めくくられる。
第2部 第14–17章:Energy Exchange(エネルギーの交換);Pendulums(振り子);Free Vibration(自由振動);Resonance(共振)
動力学は運動エネルギーと位置エネルギーの交換から始まり、振り子を橋渡しにして自由振動と共振へ進む。同じ4段階の章構成が引き継がれるので、動的な挙動は、実際の構造物での使われ方より先に模型を通して紹介される。
第2部 第18–20章:Damping in Structures(構造物の減衰);Vibration Reduction(振動の低減);Human Body Models in Structural Vibration(構造振動における人体モデル)
動力学の残りの章は、振動がどのように散逸し制御されるかを扱い、構造振動における人体のモデル化、つまり構造物を利用する人々をその動的な系の一部として扱う章で終わる。この章では模型による実演の代わりに「実演試験」が置かれている。
第3部 第21–24章:Static and Modal Stiffnesses(静的剛性とモード剛性);Static and Dynamic Problems(静的問題と動的問題);Experimental and Theoretical Studies(実験的研究と理論的研究);Theory and Practice(理論と実務)
統合の部では形式が変わり、各章が独自の節とまとめを持つ。第21章は静的剛性とモード剛性を定義し、両者の関係を導き、検証し、応用する。第22章は静的な量と動的な量を結びつける。最大変位、座屈荷重、張力、周期荷重が、それぞれ一次固有振動数や等価静的荷重と関係づけられる。第23章は、実験と理論の関係を六つのモデル(比較、統合、検証、説明、創造、拡張)に分類する。第24章は構造概念の理論的・実務的な源を考察し、理論と実務の間の隔たりをどう埋めるかを論じる。
主要概念
第1章と第1部:静力学
- 構造概念:物理的に理解でき、その後の解析と設計に使える構造挙動の原理。何がそれに当たるかは第1章で論じられる。
- つり合いと重心:静止している物体の条件と、その重量が作用する点。安定性の基礎となる。
- 断面と曲げ:断面の形と向きが、曲げ、せん断、ねじりに対する部材の抵抗をどう左右するか。
- 直接的な力の経路:力が支点までより短く直接的な経路をたどるほど、構造物は荷重を効率よく伝えるという考え方。
- より小さな内力:内力が小さくなるように構造物を構成すること。代替案を比べるための基準とともに示される。
- 座屈とプレストレス:圧縮部材の不安定と、構造物の挙動を改善するためにあらかじめ力を導入すること。
第2部:動力学
- エネルギーの交換:振動の根底にある、運動エネルギーと位置エネルギーの相互変換。
- 固有振動数と共振:構造物が自由に振動するときの振動数と、その近くで荷重が作用したときに生じる大きな応答。
- 減衰と振動低減:振動エネルギーの散逸と、望ましくない振動を抑える対策。
- 人体モデル:人を、自らが利用する構造物と相互作用する動的な系として表すこと。
第3部:統合
- 静的剛性とモード剛性:静的荷重のもとでの剛性と、振動モードに結びついた剛性という二つの尺度と、その関係。
- 静的・動的な関係:変位、座屈荷重、ケーブル張力と一次固有振動数との結びつき。
- 実験と理論の関係モデル:実験的研究と理論的研究が互いを支える六つのあり方。
批判的分析
長所
- 物理的な実演。 出版社の紹介は、通常の授業で使える簡単な実演模型を強調しており、ほぼすべての章に模型による実演の節がある。Peter Bullmanは『The Structural Engineer』誌の書評で、著者らは物理模型を使って構造概念を示すことで知られており、本書は彼らの考えをより広く利用できるようにするだろうと述べている。
- 予測しやすい構成。 定義、理論、実演、実例という型が繰り返されるので、読者は各概念を単独で取り上げ、直観から理論へ、さらに実際の構造物へと進むことができる。オックスフォード大学のMartin Williamsは出版社のページに寄せた推薦文で、学生が混乱しがちな多くの構造概念は、数学に頼らずに簡単な物理的な言葉で理解できると述べている。
- 静力学と動力学を一冊で。 減衰、振動低減、人と構造物の相互作用を含む動力学の7章は、多くの入門的な構造の教科書の範囲を超えている。コヴェントリー大学のMessaoud Saidaniは、この両方を扱う点と、実験と理論の関係を論じる点を、構造解析の本としては珍しいと評している。
- 研究に基づく内容。 JiとBellはマンチェスター大学の上級講師で、あらゆるレベルで構造解析と構造設計を教えてきた(Jiは構造動力学と構造概念を研究している)。Ellisは建築研究所(Building Research Establishment)の元技術部長で、その仕事には構造物の現地での試験と観測が含まれていた。出版社は、本書が最新の研究に基づく教材を取り入れていると記している。統合の部と人体モデルの章にそれが表れている。
短所
- 主教材ではなく補助教材。 Williamsは本書を、より解析的な構造の教科書を補うものと位置づけている。不静定構造の解析法やマトリクス法は展開されず、理論の節も完全な導出ではなく短い背景説明である。
- 想定読者が広い。 出版社は、全学年の学生、大学院生、建築学の学生、コンサルタントを読者に挙げている。特に第3部のモード剛性、静的・動的な関係、実験の理論は、1年生が持っている以上の知識を前提とする。
- 材料と設計規準の章がない。 目次には、特定の材料(鋼、コンクリート、木材)や規準に基づく設計を扱う章が見当たらない。本書は部材設計ではなく、構造物全般に通じる概念を扱う本である。
コースにおける位置づけ
このコースの中で、本書は二種類の読み物の間に位置する。J. E. Gordonの『Structures: Or Why Things Don't Fall Down』は一般読者と初学者向けの数式に頼らない解説で、最初に読むにはより穏やかな一冊である。Ji、Bell、Ellisは同じ直観的な方法をさらに進め、各概念に定義、短い理論、工学の実例を加えている。Hibbelerの『Structural Analysis』とMegsonの『Structural and Stress Analysis』は、静定・不静定構造の解析法を例題とともに展開する解析的な教科書である。本書はそれらと並行して1章ずつ読み、計算が何を意味しているのかを物理的に説明するものとして使うのがよい。
より専門的な二冊は、本書の特定の部分とつながっている。McGuire、Gallagher、Ziemianの『Matrix Structural Analysis』は、第1部と第21章が物理的に扱う剛性の考え方を定式化する。Chopraの『Dynamics of Structures』は、第2部が振り子、共振、減衰を通して導入する振動理論を本格的に展開する。第2部と第22章は、構造動力学の授業の前の予習として役に立つ。
本書の使い方
本書は、1年生以上の土木・構造工学の学生、技術に関心のある建築学の学生、そして直観を鍛えたい技術者に向いている。第1部に必要なのは高校までの数学と、工学部の初期に学ぶ初歩的な静力学だけである。第2部は基礎的な力学を前提とする。第3部は、構造解析と構造動力学の両方を学んでから読むのがよい。
実践的な読み方:
- まず第1章を読む。 本書の構成と使い方が説明されている。
- 第1部は、最初の構造力学や構造解析の授業と並行して読む。 章を講義に対応させるとよい。第2–7章は静力学と材料力学に、第8–13章は設計と安定性の導入に合わせる。
- 4段階の構成を能動的に使う。 定義を読み、各模型実演の結果を読む前に予測してみる。可能なら簡単な模型を自分で作る。そのうえで、実例の中や身近な建物・橋の中にその概念を探す。
- 第2部は、カリキュラムで初めて振動が出てきたとき、あるいは構造動力学の授業の前に読む。 第20章は、利用者が構造物の振動にどう影響するかに関心がなければ省いてよい。
- 第3部は後で読むものと考える。 第21–22章は動力学を学んだ学生に、第23–24章は試験と解析を組み合わせるプロジェクトや研究を始める学生に向いている。
各章は独立しているので、せん断、座屈、共振など、つまずいている話題に直接進むこともできる。本書が意図的に短くしている計算については、解析的な教科書を手元に置いておくとよい。
