01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Atrill, P., & McLaney, E. (2025). Accounting and Finance for Non-Specialists (13th ed.). Pearson.
章の要約
第13版(約570ページ)は、導入の章と、3部に分かれた11の章からなる。財務会計(5章)、管理会計(3章)、ファイナンス(3章)である。巻末資料は充実しており、用語集、自己評価問題・批判的検討問題・多肢選択問題・章末演習問題の解答、現在価値表を収める。出版社は本書を、財務会計、管理会計、財務管理で広く用いられる技法への入門書であり、アクティビティ、演習、実例を軸に構成されていると説明している。
第1章:会計とファイナンスへの導入
冒頭の章は、会計とファイナンスとは何か、それが企業の意思決定をどのように支えるかを示し、続く3部の背景とする。
第2章:財政状態の測定と報告
財務会計を扱う第1部は、財政状態計算書(貸借対照表)とそこで報告される要素の導入から始まる。
第3章:財務業績の測定と報告
この章は損益計算書と、ある期間の利益の測定に移る。
第4章:株式会社の会計
ここでは株式会社の会計に話が移る。
第5章:キャッシュフローの測定と報告
この章は、三つ目の主要財務諸表であるキャッシュフロー計算書を扱う。
第6章:財務諸表の分析と解釈
第1部の最後の章は、それまでの章で作成した財務諸表をどのように分析し解釈するかを示す。
第7章:原価の関連性と原価の動き
管理会計を扱う第2部は、特定の意思決定に関連する原価と、活動量の変化に応じて原価がどう動くかから始まる。
第8章:全部原価計算
この章は、事業のすべての原価を製品やサービスに配賦する全部原価計算を扱う。
第9章:予算
管理会計の最後の章は、計画と統制の道具としての予算を扱う。
第10章:設備投資の意思決定
ファイナンスを扱う第3部は、長期投資プロジェクトの評価から始まる。付録Eの現在価値表が、その割引計算を支える。
第11章:事業の資金調達
この章は、事業が利用できる資金源に移る。
第12章:運転資本の管理
本書は、事業が日々の営業に必要とする短期の資産と負債、すなわち運転資本の管理で締めくくられる。
主要概念
第1〜6章:財務会計
- 財政状態計算書:ある時点で事業が何を所有し、何を負っているかの報告。
- 損益計算書:ある期間に得た利益または損失の報告。
- キャッシュフロー計算書:ある期間に生み出され使われた現金の報告。利益とは区別される。
- 財務諸表分析:財務諸表を解釈して、事業の業績と財政状態を評価すること。
第7〜9章:管理会計
- 関連原価と原価の動き:意思決定にとって重要な原価を見極め、活動量の変化に原価がどう反応するかを知ること。
- 全部原価計算:事業のすべての原価を産出物に負担させること。
- 予算:次の期間の財務計画を立て、それを統制に用いること。
第10〜12章:ファイナンス
- 設備投資の評価:現在価値による割引を含め、長期プロジェクトを評価すること。
- 資金源:事業が資金を調達する方法。
- 運転資本管理:日々の営業のための短期の資産と負債を管理すること。
批判的分析
長所
- 三つの分野を一冊で。 3部構成によって、専門家でない読者を財務会計、管理会計、ビジネス・ファイナンスへと導く。一つの科目で、財務諸表の作成と読み方、原価と予算が意思決定にどう役立つか、投資の評価と資金調達の方法をカバーできる。
- 演習と独習に向いた作り。 出版社はアクティビティ、演習、実例を強調しており、付録には自己評価問題、批判的検討問題、多肢選択問題、章末演習問題の解答が収められている。
- 定評のある教科書。 本書は第13版を数え、用語集を備え、採用する教員向けにオンラインのコース(MyLab Accounting)も用意されている。
短所
- 広さと引き換えの浅さ。 各分野に充てられるのは3〜5章なので、株式会社の会計や資金調達といったテーマは発展させられるというより導入される程度である。専門に進む学生には、より詳しいテキストが必要になる。
- ファイナンスは企業レベルにとどまる。 第3部は投資評価、資金源、運転資本を扱うが、目次にはリスクとリターン、ポートフォリオ理論、証券の評価、デリバティブといった、本来の金融経済学のテーマの章はない。
- ルールと監督を独立して扱っていない。 目次には会計基準、国際的な相違、規制、監査に関する章がない。これらは、公表される財務諸表がなぜそのような形をしているのかを理解するうえで重要なテーマである。
コースにおける位置づけ
金融経済学のリストの中で、本書は実践的な学習を始めるための主要な教科書である。クリストファー・ノーブスの Accounting: A Very Short Introduction は、はるかに短く技術的でない概観で、最初に読むのに適している。本書が独立した章として扱わない会計基準、国際的な相違、規制、監査を取り上げているが、問題集ではなく簡潔な概観であり、ファイナンスは扱わない。ノーブスを先に読み、そのうえでアトリルとマクレイニーに取り組めば、背景と実践を組み合わせられる。
本書の後は、三つの部のそれぞれをさらに深めることができる。リビーらの教科書 Financial Accounting は第1部の内容を本格的な分量で展開する。アトリル(と共著者)の Management Accounting for Decision Makers と Financial Management for Decision Makers は、それぞれ第2部と第3部を発展させるもので、同じ著者による本として自然に続けて読める。資産価格理論とデリバティブについては、別の科目と別の本が必要である。
本書の使い方
本書は、経済学、工学、法学、経営学一般など、別の学位課程の一部として会計とファイナンスを学ぶ、会計士を目指していない学生のために書かれている。会計やファイナンスの予備知識は必要なく、基本的な算数ができれば十分である。
1学期の科目のための推奨プラン:
- 中核となる流れ(第1〜6章): 各財務諸表は前のものの上に築かれるので、第1部は順番に読むこと。章中のアクティビティは答えに飛ばず、その都度取り組むこと。それが本書が技法を教える主な方法である。
- 管理会計(第7〜9章): 科目が原価計算から始まる場合は、第1部とは独立に読むことができる。
- ファイナンス(第10〜12章): 第10章は付録Eの現在価値表に依拠する。その演習に取り組む前に、割引計算に慣れておくこと。
独習する場合は、各章の最後に自己評価問題といくつかの演習問題に取り組み、十分に試みたうえで初めて付録の解答を確認すること。多肢選択問題と批判的検討問題は試験前の復習に適している。会計ルールと監査についてより広い背景を必要とする学生は、第1部と並行してノーブスの短い本を加えるとよい。
