01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Neal, L., & Cameron, R. (2016). A Concise Economic History of the World: From Paleolithic Times to the Present (5th ed.). Oxford University Press.
章の要約
第5版は16章で、前に図表一覧と序文があり、後ろに注釈付き文献目録と索引が付く。掲載情報によって約480〜500ページである。Oxford University Pressは、本書を先史時代から現在までの経済史を広く見渡すものと説明しており、この版は「いっそうグローバルな範囲」をもち、グローバル化が過去の文明と今日の世界経済に及ぼし続ける影響を検討し、地図や図表、全面的に更新された注釈付き文献目録を備えている。
第1章:序論:経済史と世界経済
冒頭の章が、経済史と世界経済を本書の枠組みとして紹介する。
第2〜4章:古代の経済発展、中世ユーラシアの経済発展、中世の危機への経済的対応
3つの章が、近世の世界に先立つ長い期間を扱う。古代世界の発展、中世ユーラシア全体の発展、そして中世の危機に対する経済的な対応である。
第5〜6章:ヨーロッパの回復と世界の他の地域の発見、経済ナショナリズムと帝国主義
次の2つの章は、ヨーロッパの回復と他の地域との出会い、そして経済ナショナリズムと帝国主義の台頭をたどる。
第7〜10章:近代工業の夜明け、世界経済とイギリス資本主義の対峙、制度は近代的経済成長に適応する(しない場合も)、ヨーロッパ諸経済は近代的経済成長に適応する(しない場合も)
この4つの章は、近代工業の始まり、より広い世界経済のイギリス資本主義への反応、そして制度とヨーロッパの諸経済が近代的な経済成長にどう適応したか、あるいは適応できなかったかに関わる。2つの章題の「(しない場合も)」は、適応が一様でなかったことを示している。
第11〜13章:世界経済の成長 1848〜1914年、ヨーロッパにおける発展の広がり 1848〜1914年、ヨーロッパ以外への発展の広がり 1848〜1914年
3つの章が、同じ1848年から1914年の期間を3つの角度から扱う。世界経済の全体、ヨーロッパ内部への発展の広がり、そしてヨーロッパ以外への広がりである。
第14〜16章:国際経済の解体 1914〜1945年、世界経済の再建 1945〜1989年、世界経済の概観 1914〜2014年
最後の3つの章は、1914年から1945年にかけての国際経済の崩壊、第二次世界大戦後のその再建、そして掲載情報にあるとおり、2014年までの世界経済を締めくくる概観を扱う。
主要概念
序論と近代以前の経済(第1〜4章)
- 経済史と世界経済:長期的な変化を検討するための枠組み。
- 古代・中世社会の経済発展:工業化以前の成長と後退のパターン。
近世の拡大(第5〜6章)
- ヨーロッパの回復と世界の他の地域の発見:ヨーロッパと他の地域との経済的接触の拡大。
- 経済ナショナリズムと帝国主義:世界経済を形づくった国家の政策と帝国。
工業化と適応(第7〜13章)
- 近代工業:工業生産の出現と、それがより広い世界経済と対峙したこと。
- 制度的適応:近代的な経済成長に対応して、制度や経済がどのように変わるのか、あるいは変わらないのか。
- 発展の広がり:1848年から1914年にかけて、成長がヨーロッパの内外に広がったこと。
20世紀(第14〜16章)
- 国際経済の解体:両大戦間の世界経済の崩壊。
- 世界経済の再建:1945年以降の復興と成長。
批判的分析
長所
- 1冊で非常に広い時間幅。 目次は、古代の経済から21世紀初頭の世界経済まで16章で読者を導き、本書をこの分野全体を貫く1本の道筋にしている。
- グローバルな枠組み。 出版社はこの版が範囲をいっそうグローバルにしたことを強調しており、ユーラシア、イギリス資本主義と対峙する世界経済、ヨーロッパ以外への発展の広がりを扱う章題がそれを裏づけている。
- 読者への補助。 出版社は図版、地図、図表、全面的に更新された注釈付き文献目録を挙げており、学生がさらに読み進めるための出発点になる。
- 学部生にも読みやすい。 出版社の宣伝文にあるWesleyan UniversityのGiulio Gallarottiの推薦文は、本書がよく書かれており、2年生以上の学生に読みやすいとしている。
短所
- 簡潔な概説。 旧石器時代から現在までを16章で扱うため、各時期の深さには限りがあり、特定の時期や地域について詳しい議論を求める読者は、専門の文献が必要になる。
- 章題でヨーロッパとイギリスの比重が大きい。 いくつかの章題がヨーロッパやイギリス資本主義を中心に据えており、目次からは、他の地域の歴史がヨーロッパよりも少ない章に集中していると読み取れる。
- 後半の章の時期が重なる。 最後の概観は掲載情報では1914〜2014年とされ、その前の2章と重なるため、最後の3章は厳密な年代順ではなく、時期ごとの叙述のあとに総合が来るものとして読むのがよい。
コースにおける位置づけ
Neal と Cameron は、経済史の書目における、時間順の1冊本の概説であり、最初に読む本として妥当である。Joerg Baten が編集した A History of the Global Economy: 1500 to the Present は、時期ではなく世界の地域ごとに構成され、成長、生活水準、人的資本、不平等に関する現在の計量的研究を踏まえている。1500年以降の時期については、自然な2冊目である。
Mark Koyama と Jared Rubin の How the World Became Rich は、地理、制度、文化、人口、植民地主義など、持続的成長の始まりに関する主要な説明を比較検討する読みやすい概説で、Neal と Cameron のヨーロッパの台頭と発展の広がりを扱う章と並べて読むのに適している。Daron Acemoglu と James Robinson の Why Nations Fail は、政治・経済制度が繁栄の差を説明すると論じ、Douglass North の Institutions, Institutional Change and Economic Performance は、制度的アプローチを体系的に論じた著書である。どちらも制度的適応を扱う章とつながる。Acemoglu と Robinson の Economic Origins of Dictatorship and Democracy は研究書で、これらのなかでは最初の一読に最も向かない。
本書の使い方
本書は、一般経済史、グローバル化の歴史、世界の発展を学ぶ学部生と大学院生を対象としている。出版社は前提知識を挙げていない。経済学原理水準の科目が妥当な土台であり、生産性のような基本概念になじんでいると、工業化と成長の章で役に立つ。
実際的な進め方は次のとおりである。
- 全体を通して読む: 第1章の枠組みから始めて、章を順に読む。
- 短い道筋: 近代以前の背景として第1〜4章、ヨーロッパの台頭と工業化として第5〜10章、19世紀の世界経済として第11〜13章。
- 20世紀: 第14・15章、そして第16章の締めくくりの概観。
- さらに深く: 注釈付き文献目録を使って、特定の時期や地域の読み物を選ぶ。第9・10章を制度に関する本と、第5〜10章を成長がなぜ始まったかを論じる主題別の本と組み合わせる。
地図、図表、表を使って地域や時期を比較し、同じ年代を3つの角度から扱う第11〜13章がどう組み合わさるかに注意する。
