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The Organic Chemistry of Biological Pathways(生体内経路の有機化学) cover

化学

化学

The Organic Chemistry of Biological Pathways(生体内経路の有機化学)

John McMurry; Tadhg Begley

英語原題: The Organic Chemistry of Biological Pathways

酵素が結合をつくり、切断する有機反応機構を通して代謝を説明する教科書。マクマリーとベグリーは、生体内経路の反応を限られた数の機構型に分類し、それらを用いて主要な生体分子の分解と生合成、そしてこれらの変換を可能にする補因子を順に解き明かす。

前提知識: 学部の有機化学を一通りと、生化学の入門。

難易度レベル
上級
学術レベル
学部
bioorganic chemistryenzyme mechanismsmetabolismbiosynthesisreaction mechanisms

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

McMurry, J. E., & Begley, T. P. (2016). The Organic Chemistry of Biological Pathways (2nd ed.). W. H. Freeman (Macmillan Learning).

章の要約

本書は全9章と四つの付録から成る。生化学に繰り返し現れる有機反応機構の復習から始まり、主要な生体分子のクラスを紹介し、次にそれらのクラス(脂質、炭水化物、タンパク質、ヌクレオチド、二次代謝産物)の代謝経路を順にたどり、最後にそこまでに見てきた反応パターンと酵素触媒の一般原理をまとめる。著者らは、酵素の構造ではなく、基質分子の反応性と各段階の巻き矢印による詳細に注意を向け続ける。

第1章:生物化学における有機反応機構

生化学の経路に見られる基本的な有機反応機構を概観する短い復習章。二学期分の有機化学を修めた読者が、経路の章を機構の言葉で読めるように準備する。

第2章:生体分子とそのキラリティー

主要な生体分子のクラスの概説で、そのキラリティーも含む。

第3〜6章:脂質とその代謝/第4章/アミノ酸代謝/ヌクレオチド代謝

これらの章が本書の中核であり、主要な生体分子のクラスの主要な代謝経路を丸ごと一章ずつ使って扱う。第3章は脂質とその代謝を扱う。第4章は、出版社の紹介文で炭水化物が置かれている位置、すなわち脂質とタンパク質の間にある。第5章はアミノ酸代謝、第6章はヌクレオチド代謝を扱う。これらの章を通じて、よく出てくる補酵素が現れ、典型的な生物学的変換の例が積み重なっていく。

第7章:いくつかの天然物の生合成

二次代謝産物に関する章で、本書の順序では最後の生体分子クラスにあたり、いくつかの天然物の生合成を扱う。

第8章:生物学的変換のまとめ

自然が繰り返し用いる反応パターンと機構をまとめ、各経路の章を限られた主題の変奏として読めるようにする。

第9章:酵素触媒作用の化学的原理

酵素触媒作用の一般的な主題を扱う、簡潔な締めくくりの章。

付録

四つの付録は、PyMOL によるタンパク質構造の可視化、KEGG と BRENDA データベースの利用、章末問題の解答、本書で用いる略語である。

主要概念

第1〜2章

  • 繰り返し現れる有機反応機構:生化学反応の基礎にある、結合の形成と切断の少数の段階。
  • 生体分子のクラスとキラリティー:本書がたどる経路に関わる分子の種類と、その立体化学。

第3〜7章

  • 脂質、炭水化物、アミノ酸、ヌクレオチドの代謝経路:各クラスの分解と合成を段階ごとに記述する。
  • 補酵素:経路の多くの変換を担う補因子。
  • 二次代謝産物の生合成:いくつかの天然物がどのように組み立てられるか。

第8〜9章

  • 生物学的変換のパターン:多くの経路を説明する限られた反応の型。
  • 酵素触媒作用の一般原理:酵素が触媒する反応に共通する化学的な主題。

批判的分析

長所

  • 機構を最優先にした構成。 出版社は、著者らが基質分子の反応性パターンと個々の反応の巻き矢印による詳細に焦点を保っていると述べており、本書は有機化学から代謝へかかる橋になっている。
  • 明快な順序。 機構の復習、生体分子の紹介、経路の章、そして二つのまとめの章へと進み、機構から経路、さらに一般的パターンへと展開する。
  • 第2版での更新。 出版社は、第2版ですべての機構が更新され、より詳しく知りたい読者のために最近の文献への参照が数百件示されていると述べている。
  • 学習のための道具。 付録には PyMOL や KEGG・BRENDA データベースの使い方の案内と、章末問題の解答がある。

短所

  • 有機化学の素養が前提。 著者らは、通常の二学期分の大学有機化学に相当する基礎を想定しており、第1章は簡潔な復習にとどまる。
  • 酵素の構造や調節には手薄。 出版社自身の説明によれば焦点は基質の反応性と個々の反応段階にあり、目次にはタンパク質構造、遺伝子発現、代謝の調節の章もない。これらが必要な読者は、一般的な生化学の教科書を用意する必要がある。
  • クラスによっては簡潔な扱い。 全9章で、生体分子の各クラスに一章ずつが当てられているため、取り上げられる経路は選択されたものであり、網羅的ではない。

コースにおける位置づけ

生化学コースの中で、本書は一般的な教科書に対する有機反応機構の副読本である。Berg の Biochemistry は、タンパク質の構造と機能、代謝、遺伝子発現と調節を包括的に分子レベルで扱い、Biochemistry: A Short Course はその方針の一学期版である。Biochemistry: Concepts and Connections は化学の観点から書かれ、生物学的過程の背後にある物理的・化学的原理を強調する。Lorch の Biochemistry: A Very Short Introduction と Goodsell の The Machinery of Life は、この分野が初めての読者向けの短い入門書である。

McMurry と Begley の本は、生化学の概説と有機化学の全課程を終えたあと、一般的な教科書の代謝の章と並行して読むのがよく、経路の各段階がなぜそのように進むのかを理解するのに役立つ。

本書の使い方

本書は、生物体内の化学反応をより深く理解したい学部上級生と大学院生のために書かれている。明示された前提は通常の二学期分の有機化学であり、生化学入門の履修は役に立つが前提とはされていない。

実用的な進め方は次のとおり。

  • 第1章と第2章から始める。 有機化学を習ったばかりでもそうする。第1章の機構の用語はそれ以降のあらゆる箇所で使われる。
  • 経路の章(第3〜7章)は、コースに合わせた順で読む。 機構を手で書き、繰り返し現れる補酵素を追跡する。
  • いくつかの経路の章を読んだ後に、第8章でまとめ、 第9章を短い締めくくりとして読む。
  • 付録を使う。 PyMOL と KEGG・BRENDA データベースで構造や経路を探索し、解答で章末問題を確認する。