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環境化学 cover

化学

化学

環境化学

Stanley E. Manahan

英語原題: Environmental Chemistry

大気、水、土壌、生物系に化学の原理を応用する教科書です。環境中の循環、汚染物質、有害化学物質を取り上げ、化学と持続可能性、産業エコロジー、グリーンケミストリーの関係も解説します。一般化学の基礎がある学生に適しています。

前提知識: 一般化学を修了していること。汚染物質と毒性化学の節では有機化学の知識が役立ちます。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
environmental chemistryatmospherewater chemistrypollutionsustainability

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Manahan, S. E. (2022). Environmental Chemistry (11th ed.). CRC Press.

章の要約

出版社は24の章題を以下の順序で示しているが、節の見出しは載せていない(ここでの章番号はその順序に従う)。出版社の説明によれば、本書は以前の版で好評だった構成、すなわち五つの環境圏に基づき、持続可能性、産業エコロジー、グリーンケミストリーと結びつける方式を踏襲している。章題はこれを裏づけており、水圏、大気圏、地圏、人間圏、生物圏のそれぞれに、その名を冠した章がある。

第1章:Environmental Chemistry: An Essential Discipline in Coping with Challenges Facing Humankind(環境化学:人類が直面する課題に対処するために欠かせない学問)

冒頭の章は、この主題を人類が直面する課題に取り組むために必要な学問として位置づけ、そのあとで各圏へと進む。

第2〜7章:The Hydrosphere and Water Chemistry(水圏と水の化学);Oxidation/Reduction in Aquatic Chemistry(水圏化学における酸化還元);Phase Interactions in Aquatic Chemistry(水圏化学における相間相互作用);Aquatic Microbial Biochemistry(水圏の微生物生化学);Water Pollutants and Water Pollution(水の汚染物質と水質汚濁);World Water Crisis and Climate Change: Water Renovation and Recycling(世界の水危機と気候変動:水の再生と再利用)

水に関する六つの章。水圏と天然水の化学から始まり、酸化還元反応、相間相互作用、水生微生物の生化学を取り上げたのち、汚染物質と汚濁に移り、世界の水危機、気候変動、水の再生と再利用で終わる。

第8〜13章:The Atmosphere and Atmospheric Chemistry(大気圏と大気化学);Particles in the Atmosphere(大気中の粒子);Gaseous Inorganic Air Pollutants(気体状無機大気汚染物質);Organic Air Pollutants(有機大気汚染物質);Photochemical Smog(光化学スモッグ);The Endangered Global Atmosphere(脅かされる地球大気)

大気圏には水圏と同じ分量のまとまりが充てられている。大気化学全般の章に続いて、粒子、無機の気体状汚染物質、有機汚染物質、光化学スモッグの順に進み、脅かされる地球大気の章で閉じられる。

第14〜15章:The Geosphere and Geochemistry(地圏と地球化学);Soil: Earth's Lifeline(土壌:地球の生命線)

固体地球を扱う、より短いまとまりで、地球化学全般と土壌を取り上げる。

第16〜20章:The Anthrosphere: Industrial Ecology and Green Chemistry(人間圏:産業エコロジーとグリーンケミストリー);Resources and Sustainable Materials(資源と持続可能な材料);Sustainable Energy: The Key to Everything(持続可能なエネルギー:すべての鍵);The Nature, Sources, and Environmental Chemistry of Hazardous Wastes(有害廃棄物の性質、発生源、環境化学);Industrial Ecology for Waste Minimization, Utilization, and Treatment(廃棄物の削減・利用・処理のための産業エコロジー)

このまとまりの章題には、出版社の説明が重要概念として挙げる持続可能性、産業エコロジー、グリーンケミストリーの主題が現れている。順序は、人間圏(環境のうち人間が作り出したり改変したりした部分)から、材料とエネルギーを経て、有害廃棄物と、それらを減らし、利用し、処理するための産業エコロジー的な取り組みへと進む。

第21〜24章:The Biosphere: Environmental Biochemistry(生物圏:環境生化学);Toxicological Chemistry(毒性化学);Toxicological Chemistry of Chemical Substances(化学物質の毒性化学);Chemical Analysis in Environmental and Toxicological Chemistry(環境化学と毒性化学における化学分析)

最後のまとまりは生命系を扱う。環境生化学に続いて、毒性化学の二つの章(まず一般原理、次に個々の物質)があり、環境と毒性の研究における化学分析の章で終わる。出版社は、第11版で、疾病とパンデミックを気候変動などの他の懸念と結びついた環境問題として扱う内容が加わったと述べているが、どの章にあるかは示していない。

主要概念

第1〜7章:枠組みと水

  • 学問としての環境化学:人類の課題に応えるうえでのこの分野の役割(第1章)。
  • 水圏化学:天然水における酸化還元反応と相間相互作用(第3〜4章)。
  • 水質汚濁と水の再生:汚染物質、汚濁、再利用、世界の水危機(第6〜7章)。

第8〜15章:大気と大地

  • 大気化学:粒子や光化学スモッグを含む大気の化学(第8〜12章)。
  • 大気汚染物質:無機の気体と有機化合物(第10〜11章)。
  • 地球化学と土壌:地圏と土壌の化学(第14〜15章)。

第16〜24章:持続可能性、廃棄物、生物界

  • 産業エコロジーとグリーンケミストリー:人間圏と廃棄物の削減(第16章と第20章)。
  • 持続可能な材料とエネルギー:持続可能性の課題としての資源とエネルギー(第17〜18章)。
  • 有害廃棄物:その性質、発生源、環境化学(第19章)。
  • 毒性化学と化学分析:化学物質が生物に及ぼす影響と、それを検出する分析法(第22〜24章)。

批判的分析

長所

  • 一冊で幅広い。 24章は、水、大気、大地、人工環境、生命系に加えて、持続可能性、産業エコロジー、有害廃棄物、毒性学にまたがる。分野全体を一か所で知りたい学生は、ここで見つけることができる。
  • 長く使われてきた標準的な教科書。 著者紹介は、本書が1972年に初めて刊行され、今回が第11版であると述べており、歴史のある書物である。
  • 分析の面も含む。 最後の章が環境化学と毒性化学における化学分析に充てられている。この主題は著者自身の専門に近く、著者紹介には分析化学の博士号とある。
  • 新しい話題が加わっている。 出版社は、病原体や疾病、過去と最近のパンデミックを環境問題として扱う新しい内容と、補助資料を追加した新しい付属ウェブサイトを強調している。

短所

  • 深さより広さ。 764ページ、24章で多くの主題を概観するため、一つの圏を詳しく扱いたい読者(たとえば大気の定量的モデリング)には、専門の教科書が別に必要である。
  • 演習の内容が説明されていない。 出版社の説明は、解説、例、補助資料に触れているが、問題集や例題については述べていない。授業でどれだけ練習問題を使えるかは、実物か付属ウェブサイトで確認する必要がある。
  • 想定する読者が広い。 出版社は、本書が幅広い読者に向き、他分野の学位をもつ大学院生にも適していると述べている。したがって水準は、特定分野の深い予備知識ではなく、すべての読者に求められる一般化学の基礎によって決まる。

コースにおける位置づけ

このリストの環境化学・グリーンケミストリーの本のうち、Manahan の本は、五つの圏と持続可能性の話題をまとめて扱う最も幅広い概説である。Raff と Hites の Elements of Environmental Chemistry は、単位換算、物質収支、反応速度論を使って問題解決を軸に組み立てられた、短く定量的な入門書と説明されている。濃度、寿命、フラックスを計算したい読者に向いており、Manahan の記述的な内容と並べて使える。アメリカ化学会のもとで作られた Chemistry in Context は、社会と環境の問題を通して化学を教える本で、化学の基礎が限られた読者には入りやすい。

深く学ぶには、Seinfeld と Pandis の Atmospheric Chemistry and Physics が第8〜13章を発展させる大気の大学院向け教科書であり、Schwarzenbach、Gschwend、Imboden の Environmental Organic Chemistry は、有機化合物が環境中でどのように分配され変化するかを扱う大学院レベルの本である。Lancaster の Green Chemistry: An Introductory Text は、Manahan が人間圏と産業エコロジーの章で扱う設計原理を発展させている。

本書の使い方

一般化学を修了し、環境システムとその汚染を幅広く知りたい学生に向いている。出版社は化学専攻に限らない読者を想定しており、化学者だけでなく環境科学の学生も対象にしていることがうかがえる。

実践的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 全体の枠組みとして第1章、続いて授業に合う圏を読む。水なら第2〜7章、大気なら第8〜13章である。多くの読者は両方が必要で、土壌の章(第15章)も合わせて読むとよい。
  • 持続可能性と廃棄物: 第16〜20章は、グリーンケミストリー、産業エコロジー、資源、エネルギーを扱う。このまとまりは、本書が Lancaster の本と重なる部分である。
  • 健康と方法: 第21〜24章は毒性学と分析で、第24章は、プロジェクトを計画する際の分析法の参照にも役立つ。
  • 任意: 化学中心の授業では、地圏の章(第14章)と水圏の微生物生化学の章(第5章)を短縮してよい。

本書は概説なので、授業で計算が必要な場合は定量的な教科書と組み合わせ、出版社が述べている追加資料には付属ウェブサイトを利用するとよい。