01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Humphrey, J. D., & O'Rourke, S. L. (2025). An Introduction to Biomechanics: Solids and Fluids, Analysis and Design (3rd ed.). Springer.
章の要約
第3版は全12章、本文は約690ページ。出版社は、固体と流体のバイオメカニクスの問題を一貫した方法で定式化し解くことを軸とし、非線形弾性、弾性動力学、粘弾性、流体と固体の相互作用を要する複雑な状況には簡単な導入を与えると説明している。概念は、生物学的・生体力学的・臨床的な観察や技術の簡潔な記述によって動機づけられ、基本方程式の導出は完全に示される。
第1章:Introduction(序論)
冒頭の章(約40ページ)は、力学が始まる前に本書全体の舞台を整える。
第2章:Stress, Strain, and Constitutive Relations(応力、ひずみ、構成関係)
最初の技術的な章(約60ページ)で、連続体の扱いを支える3つの概念、すなわち応力、ひずみ、そしてそれらを結ぶ構成関係を導入する。
第3章:Equilibrium, Universal Solutions, Inflation(つり合い、普遍解、膨張)
第3章(約60ページ)は、この枠組みをつり合い、多くの材料に成り立つ解、膨張の問題に適用する。
第4–5章:Extension and Torsion(伸張とねじり)、Beam Bending and Column Buckling(はりの曲げと柱の座屈)
古典的な固体力学の問題を扱う2章。伸張とねじり(約50ページ)に続いて、はりの曲げと柱の座屈(約75ページ、固体の章では最長)。
第6章:Some Nonlinear Problems(いくつかの非線形問題)
固体部分の最後の章(約70ページ)で、非線形の問題を扱う。出版社が非線形弾性を要すると述べている領域である。
第7–8章:Stress, Motion, and Constitutive Relations(応力、運動、構成関係)、Fundamental Balance Relations(基本的な保存則)
章題は応力と構成関係のパターンを繰り返し、運動が加わる。この並びは本書の流体の部分の始まりと思われる。第8章(約50ページ)は基本的な保存則(バランス関係)を述べる。
第9–10章:Some Exact Solutions(いくつかの厳密解)、Control Volume and Semi-empirical Methods(検査体積と半経験的方法)
第9章(約70ページ)は厳密解を示し、第10章(約70ページ)は検査体積と半経験的方法に移る。
第11章:Coupled Solid–Fluid Problems(固体と流体の連成問題)
固体と流体が相互作用する約70ページの章で、第3版が拡充した連成問題の舞台である。
第12章:Epilogue(エピローグ)
約10ページの締めくくりの章。
主要概念
第1–3章:序論、応力・ひずみ・構成関係、つり合い・普遍解・膨張
- 応力、ひずみ、構成関係:基本量と、それらを結ぶ材料の法則。
- つり合いと普遍解:材料を問わず成り立つつり合い問題の解。
- 膨張:第3章に独立した位置を持つ問題の種類。
第4–6章:伸張とねじり、はりの曲げと柱の座屈、非線形問題
- 伸張とねじり:引かれたりねじられたりした物体の応答。
- はりの曲げと柱の座屈:細長い部材の曲げと安定性。
- 非線形問題:線形な挙動を超える場合。
第7–11章:応力・運動・構成関係から固体・流体の連成問題まで
- 保存則(バランス関係):第8章の基本法則。
- 厳密解と検査体積法:章題に挙げられた2種類の方法。
- 固体・流体の連成問題:両方の材料が相互作用する状況。
批判的分析
長所
- 固体と流体に一つの方法。 出版社は、両種の材料について問題を一貫した方法で定式化し解くことを強調しており、後半の章題は応力と構成関係のパターンを繰り返している。
- 導出と例題。 出版社は、基本方程式の完全な導出、100題を超える例題の解答、350題を超える演習問題に加え、300点以上の図と200件の参考文献を挙げている。
- 1〜2学期の授業に合う分量。 出版社は、1学期または2学期の入門に最適と述べている。
- 第3版の追加。 複雑流体(非ニュートン)と固体(非線形・異方性)の挙動、さまざまな組織の連成問題が加わり、宿題の問題も増えた。
- 教育と機器の実務を知る著者。 Humphrey はイェール大学の生体医工学の教授で元学科長、O'Rourke はメドトロニックでペースメーカーや植込み型除細動器に携わっている。
短所
- 数学的な要求が高い。 連続体力学の完全な導出には、静力学、材料力学、多変数の微積分、微分方程式の確かな基礎が必要となる。
- 高度な話題は導入のみ。 非線形弾性、弾性動力学、粘弾性、流体と固体の相互作用は簡単な導入にとどまり、深く学ぶには専門書が必要になる。
- 人体運動の本ではない。 章の内容は固体と流体の連続体力学であり、筋骨格やスポーツのバイオメカニクスは他の本の領域である。
コースにおける位置づけ
Humphrey と O'Rourke の本は、このコースにおける連続体力学の中核的な教科書である。Duane Knudson の Fundamentals of Biomechanics は人体運動を中心にした入門書で、Nihat Özkaya らの Fundamentals of Biomechanics は、工学の背景を持たない読者のために、静力学、動力学、変形体の力学を基礎から積み上げる。Ross Ethier と Craig Simmons の Introductory Biomechanics: From Cells to Organisms は、工学や物理科学の背景を持つ学生向けの教科書で、固体・流体力学に先立ち各主題の解剖学と生理学を述べる。Peterson と Bronzino の Biomechanics: Principles and Applications は組織力学と運動解析にわたる総合的な論述で、Y. C. Fung の Biomechanics: Mechanical Properties of Living Tissues は生体材料の構成的挙動を扱う大学院向けのモノグラフである。
力学が初めての人は Özkaya か Knudson から始め、次に Humphrey と O'Rourke で連続体の枠組みを学び、その後 Fung で組織の構成的挙動の実験的な基礎に進むのが妥当な順序である。
本書の使い方
本書は、生体医工学の上級の学部生と大学院の初期の学生に向く。静力学、多変数の微積分、微分方程式の基礎があるとよい。
実践的な計画:
- 中核: 固体の枠組みとして第2〜5章、続いて流体の対応部分として第7〜10章。
- 次に: 第6章(非線形問題)と第11章(連成問題)。線形や別々の扱いを超える内容である。
- 流し読みまたは後回し: 第1章は導入として、第12章は締めくくりとして。
方法を学ぶには例題が最適である。解答を見る前に自分で解き、各章から演習問題を選んで解く。購入前に版を確認すること。第2版(2015年)は本第3版とは異なる。
