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Bioengineering Fundamentals(バイオエンジニアリングの基礎) cover

生体医工学

生体医工学

Bioengineering Fundamentals(バイオエンジニアリングの基礎)

Ann Saterbak; Ka-Yiu San; Larry V. McIntire

英語原題: Bioengineering Fundamentals

生体工学を分野別の概観ではなく保存則から導入する初年次向け教科書。質量、エネルギー、電荷、運動量についての収支式を立てて解く方法を教え、それぞれを生体システムや医療機器に適用する。生理学やバイオテクノロジーから取った例題と演習問題が豊富に用意されている。

前提知識: 1年次レベルの微積分、化学、物理。工学の授業の履修は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
bioengineeringconservation lawsmass and energy balancesengineering calculationsproblem solving教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Saterbak, A., San, K.-Y., & McIntire, L. V. (2017). Bioengineering Fundamentals (2nd ed.). Pearson.

章の要約

本書は7章(第2版で約620ページ)と5つの付録(記号一覧、単位換算係数、周期表、生物学的データ表、熱力学データ表)から成る。ピアソンは本書を、バイオエンジニアリング・生体医工学の2年次向けコースの教科書として紹介している。本書は、著者たちがライス大学、ジョージア工科大学、ワシントン州立大学で授業に使いながら試験した原稿から生まれたもので、当初の題名は『Conservation Principles in Bioengineering』であった。初版は2007年に刊行された。著者たちは米国工学教育学会(ASEE)に提出した2本の論文(2004年、2006年)で原稿の各章を詳しく説明しており、以下の要約は刊行前のその説明と、ピアソンによる第2版の紹介にもとづく。ピアソンによれば、第2版では主に第3–5章で密度の高い節が拡充され、第1–6章全体に例題が追加され、全章に計算機による解法を要する問題を含む新しい演習問題が加えられた。

第1章:工学計算入門

単位、次元、単位換算を復習し、示強変数と、保存則で数え上げることのできる示量変数とを区別する。著者たちの説明によれば、約30の物理変数が、ドラッグデリバリー、遺伝子導入、顕微手術支援装置などの短いバイオエンジニアリングの場面を通じて導入される。本章はまた、本書の例題の大半で用いられる4段階の問題解決法(組み立てる、分析する、計算する、仕上げる)を示す。

第2章:保存原理の基礎

本書全体の枠組みを用意する章である。系とその境界・外界の定義、収支式(入力 − 出力 + 生成 − 消費 = 蓄積)とその特別な場合である保存式、代数形・微分形・積分形、そして開いた系と閉じた系、定常系と非定常系、反応系と非反応系という系の分類を扱う。

第3章:質量の保存

枠組みを質量に適用する。冒頭では骨の置換に関する組織工学の課題が示される。定常・非反応の開いた系から、複数の入口と出口、多成分混合物、二区画の腎臓モデルのような複数ユニットの系、反応系(反応速度と転化率を含む)、そしてドラッグデリバリーのような非定常系へと進む。

第4章:エネルギーの保存

運動エネルギー、位置エネルギー、内部エネルギー、エンタルピー、そして熱と仕事によるエネルギーの移動を定義する。収支はまず閉じた系、次に開いた定常系で扱われ、温度・圧力・相変化・反応によるエンタルピー変化の計算に相当な紙幅が割かれる(例として呼吸)。非定常の例には、バイオリアクターの立ち上げや、基礎代謝量を使った体重増加の見積もりがある。

第5章:電荷の保存

電荷の保存からキルヒホッフの電流則を導き、電気エネルギーの収支を立てて抵抗とキルヒホッフの電圧則へと進む。回路の例に加え、反応系(放射性崩壊、酸塩基解離、電気化学反応)やコンデンサの充電のような非定常系も扱う。冒頭の課題は神経補綴デバイスである。

第6章:運動量の保存

自転車走行の力学を導入として、直線運動量の保存を展開する。剛体の静力学と流体静力学を導き、衝突、流れのある定常系(全置換型人工心臓を通る流れなど)、そしてニュートンの第2法則と力積・運動量定理につながる非定常系を扱う。ベルヌーイの式は力学的エネルギー収支から導入され、摩擦損失と軸仕事も扱われる。角運動量は簡単に復習される。

第7章:ケーススタディ

質量・エネルギー・電荷・運動量を組み合わせる3つの統合的なケーススタディである。心臓と血液循環、肺と人工心肺装置、腎臓と透析である。原稿の段階では、各ケーススタディに生理学的背景、例題、外部での調査を要する自由度の高い演習問題が付いていた。

主要概念

第1–2章:計算と枠組み

  • 示量変数と示強変数:系の大きさに比例する量(質量、エネルギー、電荷、運動量)と比例しない量(温度、濃度)。収支式で数え上げられるのは前者だけである。
  • 収支式:入力 − 出力 + 生成 − 消費 = 蓄積。本書のすべての収支はこの一つの関係式から組み立てられる。
  • 保存式:生成も消費もされない保存量についての特別な場合。
  • 系の分類:開いた系か閉じた系か、定常か非定常か、反応系か非反応系か。これによって式のどの項が残るかが決まる。

第3–4章:質量とエネルギー

  • 多成分・複数ユニット系の物質収支:器官の区画モデルを含め、ユニットのネットワークを通じて各成分を追跡すること。
  • 反応速度と転化率:反応がある成分をどれだけ消費・生成するかの記述。
  • エンタルピーと反応熱:温度、相、化学反応によるエネルギー変化の計算。

第5–7章:電荷、運動量、統合

  • 収支としてのキルヒホッフの法則:電流則は電荷の保存、電圧則はエネルギーの記述である。
  • 直線運動量の収支:静力学、ニュートンの第2法則、力積・運動量定理の出発点。
  • 摩擦損失を含むベルヌーイの式:流れのある系の力学的エネルギー収支。
  • 統合的な生理学ケーススタディ:4つの収支すべてを心臓、肺、腎臓に適用すること。

批判的分析

長所

  • すべてを一つの枠組みで。 本書全体が4つの示量的な性質に適用される収支式の上に成り立っているため、学生は一つの方法を学び、キルヒホッフの法則、ニュートンの法則、ベルヌーイの式がそこから導かれることを理解する。著者たちは、テキサスA&M大学の『Conservation Principles and the Structure of Engineering』の方法を生物学・医学の例に合わせて応用し、意図的にこの構成をとった。
  • 教えられる問題解決法。 第1章で導入される4段階の手順が大半の例題で使われ、各章は学習目標を掲げている。ピアソンは、文章で書かれた問題を図に落とし込む過程を示す詳しい例題を特長として挙げている。
  • 生物学的に意味のある例。 例題と演習は生理学、生化学、組織工学、バイオテクノロジー、計測にわたり、実際の数値を用いている。第3–6章はそれぞれ最新の研究または設計の課題から始まる。
  • 柔軟で問題も豊富。 ピアソンは各章が独立していると説明しており、コースは一つか二つの性質に重点を置くことも、問題基盤型学習の形式をとることもできる。第2版では演習問題が増え、計算機を使う問題も加わった。

短所

  • 意図的に範囲が狭い。 本書が教えるのは保存原理であり、分野の概観ではない。生体材料、画像診断、学問分野としてのバイオメカニクス、倫理の章はない。生体医工学の全体像を知りたい学生には、並行して別の教科書が必要である。
  • 前提知識。 著者たちは大学レベルの微積分、一般化学、物理、生物学と、基礎的な計算スキルを推奨している。
  • 初期の試用ではケーススタディと課題問題が最も弱かった。 原稿を使ったライス大学の学生を対象とする著者たち自身の2004年の調査では、演習問題と例題が最も効果的な教材と評価され、課題問題とケーススタディは最も低く評価された。刊行版で変わっている可能性はあるが、教員は第7章を読ませるだけでなく能動的に使う方法を考えておくべきである。
  • 運動量は質量やエネルギーより手薄。 著者たちの概要では、角運動量は簡単な復習にとどまり、流れのある系は流体力学の微分方程式ではなく、ベルヌーイの式と摩擦損失項で扱われる。後の輸送現象やバイオメカニクスの授業がこれを発展させる。

コースにおける位置づけ

生体医工学入門の書目の中で、本書は一つの方法を軸に組み立てられた一冊である。エンダールらの『Introduction to Biomedical Engineering』は分野の下位領域(モデリング、解剖学と生理学、電気工学、バイオメカニクス、生体材料、倫理)を幅広く概観する教科書であり、ソルツマンの『Biomedical Engineering: Bridging Medicine and Technology』は分子・細胞・生理学から外側へと分野を組み立てていく。どちらもサテルバック、サン、マッキンタイアの本書と並行して読めば、本書が意図的に省いている広がりを補うことができ、本書は概論書が軽く触れるにとどまる定量的な収支の技能を補う。

リッターらの『Biomedical Engineering Principles』も定量的な分析と工学設計を重視する入門書で、もう一つの例題の供給源として使える。ホビーとロスの『Intermediate Physics for Medicine and Biology』と、ウィトラップらの『Quantitative Fundamentals of Molecular and Cellular Bioengineering』は、より上の学年向けの要求の高い教科書である。前者は生理学と医用画像全般に物理学を適用し、後者は結合、反応速度論、細胞の挙動のモデルを展開する。どちらも本書が教える収支式を立てる技能を前提としている。

本書の使い方

本書は、一般的な理学・数学から工学の授業へと移る、バイオエンジニアリング・生体医工学の2年次の学生を対象としている。1年次の微積分、化学、物理に慣れている必要があり、生物学の知識があると例題を理解しやすい。

1学期の実際的な計画:

  • 中核: 第1章と第2章を丁寧に読む。系の用語と収支式はあらゆる場面で使われる。次に第3章(質量)。最も長く、後の輸送現象の授業にとって最も重要な章である。
  • 課程に応じて選ぶ: バイオプロセスや輸送現象に進む学生には第4章(エネルギー)、計測や神経工学には第5章(電荷)、バイオメカニクスや流体には第6章(運動量)。各章は独立しているので、4つすべてを浅く扱うより、2つか3つを深く扱うこともできる。
  • 統合: 第7章のケーススタディを一つか二つ、受け身で読むのではなくグループ課題として取り組んで締めくくる。

易しい問題でも、すべての演習に4段階の方法を使うこと。系を図に描き、仮定を述べ、収支式のどの項が消えるかを決めてから計算する。4つの収支の並行した構造を1ページのまとめに整理するとよい。同じ式が質量、エネルギー、電荷、運動量を支配していると理解することこそ、本書が教えようとしている中心である。