01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Parham, P. (2026). The Immune System (6th ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
本書は18章、約650ページからなる。Nortonは、第6版が難しい主題をわかりやすくするために再構成されつつ、本全体のおおよその長さは保たれていると説明している。2つの自然免疫の章が整理し直され、旧第12章が2つの短い章に分割されたため、章の順序は以前の版と異なる。各章には、免疫学を疾患に結びつける欄外のCase Connectionsと節ごとのまとめがある。以下の詳細は、出版社による第6版の章別解説に基づく。
第1章:免疫系の要素と防御におけるその役割
免疫系の構成要素と機能の概観。導入ではSARS-CoV-2のパンデミックとmRNAワクチンを扱い、無脾症の臨床例が、構成要素が欠けるとどうなるかを示す。
第2〜3章:自然免疫:感染への即時の応答;自然免疫:感染への誘導性の応答
第2章は、バリアと分泌される可溶性分子、炎症(さまざまな肌の色での臨床徴候を示す)、補体系の3部に分かれる。第3章はcGAS–STING経路を含むパターン認識受容体を整理し、食作用や樹状細胞などの骨髄系細胞を扱う。
第4〜5章:抗体の構造とB細胞多様性の生成;Tリンパ球による抗原認識
第4章は抗体の構造とB細胞多様性の生成を扱い、治療用モノクローナル抗体とその標的疾患の記述が拡充されている。第5章はT細胞がどのように抗原を認識するかを論じる。
第6〜7章:Bリンパ球の発生;Tリンパ球の発生
第6章ではB細胞の発生の全体像を示す新しい図が加わり、アナジーを含む中枢性寛容と末梢性寛容が図示される。第7章はT細胞の発生を扱う。
第8〜9章:T細胞が媒介する免疫;B細胞と抗体が媒介する免疫
第8章はT細胞が媒介する免疫を扱う。第9章は形質細胞をナイーブB細胞・記憶B細胞と比較し、ナイーブB細胞の活性化に必要なシグナルを示し、抗体が防御をもたらす3つの方法を説明する。アレルギー性喘息や全身性エリテマトーデスなどの臨床例との関連も示される。
第10〜11章:粘膜表面での感染の予防;免疫記憶とワクチン接種
第10章は気道の粘膜免疫を新たに加え、経口寛容を示すためにLEAP(Learning Early About Peanuts)研究を用いる。第11章は免疫記憶とワクチン接種を論じ、核酸ワクチン・mRNAワクチン、アジュバント、RSVおよびCOVID-19のワクチン、ワクチン忌避を含む。
第12〜13章:ナチュラルキラー細胞;非定型リンパ系細胞
以前の1つの章が分割された。第12章はNK細胞に集中し、サブセット、受容体、シグナル伝達、教育、記憶、子宮NK細胞を扱う。第13章はこの形としては新しく、NKT細胞、γδ T細胞、B1細胞、自然リンパ球を扱う。
第14〜15章:体の防御の破綻;アレルギーと寄生虫への免疫応答
第14章は、HIVと現在の臨床戦略(PrEP、PEP、U=U)を含む免疫不全から始め、次に微生物による免疫回避に移る。第15章は多細胞寄生虫への応答から始め、IgE媒介のアレルギー疾患とその治療を扱う。
第16〜18章:組織と臓器の移植;適応免疫応答による健康な組織の障害;がん、免疫、免疫療法
第16章は、輸血、固形臓器移植、造血細胞移植を軸に構成され、免疫抑制療法を方法ごとにまとめる。第17章は自己免疫と自己寛容の機構を扱う。第18章はT細胞の疲弊、腫瘍の進化、CAR-T細胞や二重特異性抗体などの免疫療法を扱う。
主要概念
第1〜5章:自然免疫と認識
- パターン認識受容体:誘導性の自然応答のセンサー。第3章。
- 補体系:第2章の即時応答の一部。
- B細胞の多様性とT細胞による抗原認識:第4・5章。
第6〜13章:リンパ球、記憶、その他のリンパ系細胞
- 中枢性寛容と末梢性寛容:自己抗原に結合する発生途上のB細胞がどう扱われるか(第6章)。
- 免疫記憶とワクチン接種:第11章。
- ナチュラルキラー細胞と自然リンパ球:第12・13章。
第14〜18章:健康と疾患
- 免疫不全、アレルギー、移植、自己免疫、がん免疫療法:第14〜18章。
批判的分析
長所
- ヒトと臨床への志向。 各章のCase Connectionsは、疾患、その徴候と症状、免疫系の関与の程度を述べるよう拡充され、臨床写真はさまざまな肌の色での徴候や発疹を示すようになった。
- 感染を追う構成。 順序は、自然免疫の防御から、B細胞とT細胞の認識・発生・エフェクター機能・粘膜免疫・記憶へ、さらに免疫応答の破綻と、アレルギー・移植・自己免疫・がんにおけるその役割へと進む。
- 新しい事例。 第6版は、LEAPピーナッツアレルギー研究、COVID-19およびRSVワクチン、mRNAワクチン、CAR-T細胞、二重特異性抗体、更新されたHIV予防戦略を加えた。
- コンパクトさ。 本全体の長さはおおよそ保たれ、節ごとのまとめがあり、自由記述、批判的思考、データ解釈の問いを含む章末問題が更新された。
短所
- 章番号が動いた。 前版の第12章が2章になり、後続の章が1つずつ後ろにずれたため、古い章番号に基づくノートや授業計画は調整が必要になる。
- 後半のいくつかの章は専門的。 NK細胞と非定型リンパ系細胞(第12〜13章)は主要な適応応答の章の後に来るので、短いコースでは省略されうる。
- 練習問題の一部は本の外。 Smartworkのオンライン課題が以前の版のInQuizitiveに代わり、アニメーションは印刷版ではなくNortonのデジタルパッケージに属する。
コースにおける位置づけ
ParhamのThe Immune Systemは、ヒトの免疫系に焦点を当てた簡潔な免疫学の教科書で、健康と疾患に傾いたコースに向く。Kuby Immunologyは、実験を重視するもう一つの学部向け教科書で、知見がどのように得られたかを見たい読者にはよい併読書である。CoicoのImmunology: A Short Courseも臨床事例を備えた簡潔な1学期向けの教科書で、KlenermanのThe Immune System: A Very Short Introductionは細胞生物学の知識を前提としない入門書である。
さらに学ぶには、Janeway's Immunobiologyが上級学部生・大学院生・医学生向けの詳細な論述であり、Paul's Fundamental Immunologyは、免疫学のコースを一通り終えた読者のための、多数の著者による参考書である。
本書の使い方
本書は、生物学入門と細胞生物学を修了した学部生・医学生が対象で、基礎的な遺伝学と生化学があると役に立つ。実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 第1〜11章を順に。各章が前の章の上に積み上がる(自然免疫、抗体とT細胞の認識、リンパ球の発生、エフェクター機能、粘膜免疫、記憶とワクチン)。
- 臨床への応用: 第14〜18章(免疫不全、アレルギー、移植、自己免疫、がん)。中核を終えた後は任意の順でよい。
- 専門的な内容: NK細胞と非定型リンパ系細胞を扱う第12〜13章。
各節の後にまとめを読み、Case Connectionsで機構を実際の疾患に結びつけ、答えを見る前に各章末のデータ解釈の問題に取り組む。
