索引 / 001 JA
Molecular Biology of the Gene(遺伝子の分子生物学) cover

生物学

生物学

Molecular Biology of the Gene(遺伝子の分子生物学)

James D. Watson; Tania A. Baker; Stephen P. Bell; Alexander Gann; Michael Levine; Richard Losick

英語原題: Molecular Biology of the Gene

ワトソンが1965年に著した原著の流れをくむ分子生物学の教科書です。核酸とタンパク質の構造、ゲノムの維持と発現、細菌・真核生物・発生における遺伝子の制御を、それぞれの結論を支えた実験手法にも目を配りながら解説します。

前提知識: 生物学入門と一般化学、ある程度の有機化学の知識が前提です。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
molecular biologygene expressiondna replicationtranscription教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Watson, J. D., Baker, T. A., Bell, S. P., Gann, A., Levine, M., & Losick, R. (2014). Molecular Biology of the Gene (7th ed.). Pearson.

章の要約

第7版は5部22章に2つの付録(モデル生物と解答)が続き、米国議会図書館の記録によればxxxiv+872ページである。出版社は本書を「6人の著名な生物学者が共同執筆した22の簡潔な章」と説明し、この版は最新の研究成果を反映しており、新しい章末問題とオンライン宿題システム MasteringBiology を備えていると述べている。ジェームズ・ワトソンは第1〜3版(1965年、1970年、1976年)の単独の著者であり、それ以降の版の共著者であった。以下の章題は、この版の図書館の目次注記によるものである。

第I部:歴史(第1–2章)

「メンデル的世界観」と「核酸は遺伝情報を伝える」が、遺伝子の歴史的・概念的背景から本書を始める。

第II部:高分子の構造とその研究(第3–7章)

この部は、「弱い化学結合と強い化学結合」(3)から、「DNAの構造」(4)、「RNAの構造」(5)、「タンパク質の構造とタンパク質–核酸相互作用」(6)を経て、「分子生物学の技術」(7)に至る。このように、構造と方法が、機構を扱うより前に置かれている。

第III部:ゲノムの維持(第8–12章)

この部は、「ゲノムの構造、クロマチン、ヌクレオソーム」(8)、「DNAの複製」(9)、「DNAの変異しやすさと修復」(10)、「分子レベルでの相同組換え」(11)、「DNAの部位特異的組換えと転移」(12)を扱う。

第IV部:ゲノムの発現(第13–17章)

発現の章は、「転写の機構」(13)、「RNAスプライシング」(14)、「翻訳」(15)、「遺伝暗号」(16)で、続いて「生命の起源と初期進化」(17)がある。

第V部:調節(第18–22章)

この部が本書を締めくくる。「原核生物における転写調節」(18)、「真核生物における転写調節」(19)、「調節RNA」(20)、「発生と進化における遺伝子調節」(21)、「システム生物学」(22)である。

付録

「モデル生物」と「解答」(章末問題の)。

主要概念

第I–II部:歴史、化学、構造

  • メンデル的世界観:本書の歴史的な出発点(第1章)。
  • 弱い化学結合と強い化学結合:高分子の構造の背後にある化学的な力(第3章)。
  • DNA、RNA、タンパク質の構造:タンパク質–核酸相互作用を含む(第4–6章)。

第III部:ゲノムの維持

  • クロマチンとヌクレオソーム:染色体レベルのゲノム構造(第8章)。
  • DNAの複製、変異しやすさ、修復:第9章と第10章。
  • 組換え:相同組換え、および部位特異的組換えと転移(第11章と第12章)。

第IV–V部:発現と調節

  • 転写、RNAスプライシング、翻訳:第13〜15章に続いて遺伝暗号(16)。
  • 原核生物と真核生物における調節:第18章と第19章。
  • 調節RNAとシステム生物学:第20章と第22章。

批判的分析

長所

  • 構造から機能への明確な流れ。 5部構成は、歴史と高分子の構造から、ゲノムの維持と発現を経て、その調節へと進む。方法の章(7)が第II部にあるため、読者は第III〜V部で機構に出会う前に実験的な背景を得られる。
  • 権威と継続性。 本書はワトソンの1965年の原著の流れをくみ、現在は6人の研究者が執筆している(著者紹介によれば、コールド・スプリング・ハーバー研究所、MIT、カリフォルニア大学バークレー校、ハーバード大学に所属する)。ワトソンは第1〜3版の単独の著者、第4〜6版の共著者であり、出版社は第7版が最近の研究で更新されていると述べている。
  • 簡潔な章と学習支援。 出版社は、簡潔な章、新しい章末問題、オンライン宿題システムを強調しており、目次に載る「解答」の付録は独学を助ける。
  • モデル生物についての参照用付録。 巻末にはモデル生物の付録があり、遺伝学的・分子的な知見の背後にある実験系を調べるのに便利である。

短所

  • 古い。 第7版は2013年に出版され、2014年の著作権表示がある。その後の発展は扱えないため、より新しい話題を調べる読者は新しい教科書を参照する必要がある。このリストの他の本はその後の年月をカバーしている。
  • 文脈より前に機構。 第II部が化学、構造、技術を先に置くため、過程がどう働くかから始めたい読者は、目次を使って先へ飛ぶ必要がある。
  • 品質に関する主張は出版社のものである。 本書の長所の説明は、出版社の記述、著者紹介、図書館の目次注記に基づいている。
  • 細胞生物学の教科書ではない。 目次は遺伝子、すなわちDNA、RNA、タンパク質の機構、ゲノムとその調節に集中している。膜、細胞骨格、代謝が必要な読者は、細胞生物学の教科書を併用する必要がある。

コースにおける位置づけ

本書は、入門生物学と遺伝学を修めたあとに履修する、分子生物学の専門科目の主教科書である。このコースのリストでは、Molecular Biology: Principles of Genome Function が最も比較しやすい教科書である。あちらはゲノムの機能を軸に構成され、細胞周期、染色体分配、DNA損傷応答に独立した章を与え、細菌、古細菌、真核生物を明示的に比較している。Watson らは、これに対して、5部構成で構造から維持、発現、調節へと進む。

より取り組みやすい出発点としては、中心的な考え方に絞ったコンパクトな教科書である Allison の Fundamental Molecular Biology と、分子生物学の Very Short Introduction がある。より詳しくは、遺伝子の構造、構成、発現を包括的に扱う Lewin's Genes と、分子構造と1分子実験を通してこの分野を説明する Zlatanova の Molecular Biology がある。

本書の使い方

本書は、入門生物学といくらかの遺伝学を修めており、遺伝情報がどのように蓄えられ、複製され、発現されるかを機構的に知りたい学部生向けである。この分野に不慣れな大学院生が全体像をつかむ用途にも使える。

最初は部の順に読む。第II部は土台なので、核酸とタンパク質の構造をすでに知っている人は速く進んでよいが、後の章が頼りにする技術の第7章は読むべきである。第III部と第IV部が中核で、複製、修復、組換え(第9〜12章)を、転写、スプライシング、翻訳(13〜16)より先に取り上げる。第V部は、遺伝子調節や発生生物学の単元と並行して読める。第17章(生命の起源と初期進化)と第22章(システム生物学)は、選択して読むのに適している。

章末問題に取り組み、解答の付録で確認する。後の章で見慣れない実験生物の名前が出てきたら、モデル生物の付録を参照用に使う。