01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Halliday, D., Resnick, R., & Walker, J. (2021). Fundamentals of Physics, Extended (12th ed.). John Wiley & Sons.
章の要約
拡張版は44章、約1,500ページからなる。また2巻に分かれており、第1〜20章(力学、波動、熱力学)と第21〜44章(電磁気学、光学、現代物理)である。各章は番号付きのモジュール(たとえば1.1 測定、長さを含む)に分けられ、章末には「Review & Summary」(復習とまとめ)、問い、問題が付く。
第1〜3章:測定、直線に沿った運動、ベクトル
本書はSI単位、連鎖式の単位換算、有効数字から始まり、続いて直線運動(位置、速度、加速度、等加速度運動、自由落下、グラフによる積分)を記述する。第3章ではベクトル、成分、単位ベクトル、ベクトルの積を導入する。
第4章:2次元および3次元の運動
位置、変位、速度、加速度を複数の次元で扱い、放物運動、等速円運動、1次元と2次元の相対運動を含む。
第5〜6章:力と運動(I)、力と運動(II)
ニュートンの3法則とその応用、続いて摩擦、抗力と終端速度、動力学の問題としての等速円運動。
第7〜8章:運動エネルギーと仕事、位置エネルギーとエネルギー保存
重力のする仕事、ばねの力のする仕事、一般の変化する力のする仕事、そして仕事率。第8章では位置エネルギー、力学的エネルギーの保存、位置エネルギー曲線、外力が系にする仕事、エネルギー保存を展開する。
第9〜11章:重心と運動量、回転、転がり・トルク・角運動量
質点系、運動量、力積、1次元および2次元の衝突、ロケット。回転の章はその後、角変数、慣性モーメント、トルクについて同じ流れを繰り返す。第11章は転がり、ヨーヨー、角運動量とその保存、ジャイロスコープの歳差を扱う。
第12〜14章:つり合いと弾性、重力、流体
静的つり合いと弾性、ニュートンの万有引力の法則、地表付近と地球内部の重力、重力による位置エネルギー、ケプラーの法則、衛星、そして「アインシュタインと重力」という結びの節。さらに流体の静力学と動力学(圧力、パスカルの原理とアルキメデスの原理、連続の式、ベルヌーイの式)を扱う。
第15〜17章:振動、波動(I)、波動(II)
単振動、エネルギー、振り子、減衰と強制振動。弦を伝わる横波、波動方程式、干渉、フェーザー、定常波。音波、強さ、うなり、ドップラー効果、衝撃波。
第18〜20章:温度・熱・熱力学第1法則、気体分子運動論、エントロピーと熱力学第2法則
温度目盛、熱膨張、熱の吸収、第1法則、熱の移動機構。気体分子運動論では、二乗平均平方根速さ、平均自由行程、分子の速さの分布、断熱膨張を扱う。そしてエントロピーを、熱機関、冷凍機、エントロピーの統計的な見方とともに扱う。
第21〜25章:クーロンの法則、電場、ガウスの法則、電位、電気容量
静電気学を通常の順序で扱う。電荷、電場(双極子を含む)、電束とガウスの法則、電位、そしてコンデンサーと誘電体である。
第26〜27章:電流と抵抗、回路
電流、電流密度、抵抗、オームの法則。続いて単一ループ回路と多重ループ回路、電流計と電圧計、RC回路。
第28〜32章:磁場、電流がつくる磁場、誘導とインダクタンス、電磁振動と交流、マクスウェル方程式・物質の磁性
磁気力とホール効果、サイクロトロン、電流ループにはたらくトルク。磁場の源とアンペールの法則。ファラデーの法則、レンツの法則、インダクタンス。LC回路とRLC回路、変圧器。そしてマクスウェル方程式、変位電流、物質の磁気的性質。
第33〜36章:電磁波、像、干渉、回折
電磁波、偏光、反射と屈折。鏡、レンズ、光学機器による像。ヤングの実験、薄膜、マイケルソン干渉計を含む干渉。スリット、円形開口、回折格子による回折で、X線回折で締めくくられる。
第37章:相対性理論
同時性と時間の遅れ、長さの相対性、ローレンツ変換、速度の相対性、光のドップラー効果、運動量とエネルギー。
第38〜40章:光子と物質波、物質波についてのさらなる話題、原子のすべて
光子と光電効果、物質波、シュレーディンガー方程式、不確定性原理、トンネル効果。閉じ込められた電子、波動関数、水素原子。原子の性質、シュテルン・ゲルラッハの実験、磁気共鳴、周期表、レーザー。
第41〜44章:固体中の電気伝導、原子核物理、原子核からのエネルギー、クォーク・レプトン・ビッグバン
金属、半導体、pn接合の電気的性質。原子核の性質、崩壊の様式、年代測定、放射線量。核分裂、原子炉、核融合。そして粒子、クォーク、媒介粒子、宇宙論。
主要概念
第1〜14章:力学
- ニュートンの法則の応用:第5〜6章は、3法則を力の問題を解く方法に仕立てる。
- エネルギーと運動量の保存:第8〜9章の中心的な道具で、第10〜11章で回転に拡張される。
- トルクと角運動量:力と並進運動量に対応する回転の量。
- ケプラーの法則と重力による位置エネルギー:第13章の軌道に関する結果。
第15〜20章:波動と熱力学
- 単振動と共鳴:基本となる振動子のモデルと、外力に対する応答。
- 干渉と定常波:重ね合わせの原理の弦や音への応用。
- 第1法則と第2法則:熱を含むエネルギー保存と、不可逆性の尺度としてのエントロピー。
第21〜32章:電磁気学
- ガウスの法則:閉曲面を貫く電束と内部の電荷を結びつける。
- ファラデーの法則:変化する磁束が起電力を誘導する。
- 変位電流とマクスウェル方程式:場の方程式を完成させる補いである。
第33〜44章:光学と現代物理
- 干渉と回折:光の波動性を示す波動光学の証拠。
- ローレンツ変換:特殊相対性理論における、観測者どうしの座標の関係。
- 物質波とシュレーディンガー方程式:原子、トンネル効果、固体の振る舞いの基礎。
- 放射性崩壊と核分裂:第42〜43章の原子核の過程。
批判的分析
長所
- 明快なモジュール構造。 各章はモジュールに分かれ、各モジュールは学習目標と要点で始まる。出版社はさらに、各モジュールのチェックポイント、例題、各章末の復習とまとめを挙げている。読者はモジュールごとに学び、進み具合を確かめながら進められる。
- 一つの資料で広い範囲を扱える。 拡張版は測定から宇宙論まで及ぶので、第二の教科書なしで、微積分ベースの2〜3学期の課程全体を支えられる。
- 豊富な問題。 Wileyによれば、第12版では章末問題が300問近く追加され、船が水路で深く沈む現象や、打者が一瞬視力を失う状況など、実際の状況に基づくいくつかの研究型問題も加わった。
- 新しい内容。 出版社は、最初のブラックホール画像と重力波の検出に関する新たな議論、医用画像や放射線治療の例、自動運転車に関する例題を挙げている。
短所
- 分量。 約1,500ページあり、ほとんどの授業が扱える範囲をはるかに超える。教員は章を選ぶことになり、学生にはどの部分が必須か見分けにくいかもしれない。
- 微積分が前提。 グラフによる積分は第2章からすでに登場し、一般の変化する力のする仕事は第7章にあるので、学生は課程と並行して微積分に慣れている必要がある。
- 対話的な演習は別売り。 Wileyが説明する演習、シミュレーション、動画はWileyPLUSの一部であり、印刷された教科書とは別に販売される。
- 現代物理は駆け足。 現代物理の章(37〜44)は、相対性理論、量子物理、原子核、素粒子を8章で扱っており、完全な課程ではなく概観である。
コースにおける位置づけ
この書目の入門物理の中で、Fundamentals of Physicsは、理工系の学生向けの、微積分ベースで2〜3学期にわたる完全な教科書の一つである。Physics for Scientists and Engineers、Principles of Physics、University Physicsも同じ種類で、どれを選ぶかは主に、説明の好み、問題集、担当教員の授業の進め方による。モジュール構造と問題の多さは、全課程を通して使える一冊の参考書がほしい学生に向く。もっとやさしく一巡したいなら、HewittのConceptual Physicsがほとんど数学を使わずに考え方を示しており、OpenStaxのCollege Physicsは無料の代数ベースの課程である。
特定の分野をさらに深めたい読者には、KleppnerとKolenkowのAn Introduction to Mechanicsが要求水準の高い微積分ベースの力学の教科書であり、200 Puzzling Physics Problemsがヒントと解答付きの問題集、The Feynman Lectures on Physicsが概念を軸にした、同じ主題の多くについての別の説明を与えてくれる。
本書の使い方
本書は、微積分ベースの一般物理の課程を履修する学生、とくに理工系の学生向けである。代数、三角法、入門的な微積分の知識を前提とする。
実用的な進め方:
- **第1学期の中核:**課程の進度に合わせて、第1〜20章を順に学ぶ。力学(1〜11)は後に続くすべての土台なので、第5〜9章を飛ばさないこと。
- **第2学期:**第21〜36章。静電気学(21〜25)が回路と磁気(26〜32)に先立ち、その後に光学(33〜36)が来る。
- **第3学期または独習:**第37〜44章。相対性理論、量子物理、原子、固体、原子核、素粒子。
- **最初は飛ばしてよいもの:**13.8(アインシュタインと重力)や34.6(三つの証明)のような章末近くのモジュールは、核心を築くというより広げるものである。
各モジュールでは、まず学習目標を読み、次に要点を読み、例題を見る前にチェックポイントに取り組む。章末の復習とまとめで復習し、章末問題は奇数番号から始める。奇数番号の問題の答えは巻末に載っているからである。
