01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Hewitt, P. G. (2015). Conceptual Physics (12th ed.). Pearson.
章の要約
本書は36章を八つの部に分け、巻末に五つの短い付録を置く。各章の節には番号が付けられ、各部の終わりには多肢選択式の練習テストがある。
第1章:科学について
科学とは何かを述べる短い導入の章。測定、科学的方法、そして事実・仮説・法則・理論がどう異なるかを扱う。科学を芸術や宗教と並べて論じ、物理学を他の諸科学の土台として位置づける。
第I部 第2〜10章:力学
最も長い部で、『ニュートンの第1運動法則:慣性』と『直線運動』から、『ニュートンの第2運動法則:力と加速度』、『ニュートンの第3運動法則:作用と反作用』へと進む。続いて『運動量』と『エネルギー』(力積、保存、仕事とエネルギーの関係、効率)、『回転運動』(トルク、角運動量)、『重力』(万有引力、潮汐、ブラックホール)、『放物体と衛星の運動』(軌道、脱出速度)を扱う。
第II部 第11〜14章:物質の性質
『物質の原子的性質』では原子、同位体、反物質、暗黒物質を紹介する。続く『固体』『液体』『気体とプラズマ』では、密度、弾性、圧力、浮力、表面張力、そして物質の第四の状態を扱う。
第III部 第15〜18章:熱
『温度、熱、膨張』と『熱の伝わり方』(伝導、対流、放射、温室効果と気候変動)に続き、『相変化』(蒸発、沸騰、融解)と『熱力学』がある。後者は熱力学の第1法則と第2法則を述べ、エントロピーを導入する。
第IV部 第19〜21章:音
『振動と波』は振り子、波の速さ、干渉、ドップラー効果を扱う。『音』と『楽音』では共鳴、うなり、音の大きさ、音の高さ、音色、楽器、フーリエ解析へと続く。
第V部 第22〜25章:電気と磁気
『静電気』(電荷、クーロンの法則、電場、遮蔽、電位)、『電流』(抵抗、オームの法則、回路、電力)、『磁気』(磁場、磁区、電磁石、地球の磁場)、『電磁誘導』(ファラデーの法則、発電機、変圧器、送電)。
第VI部 第26〜31章:光
『光の性質』は光を電磁波として扱い、透明性を論じる。続いて『色』(加法混色と減法混色、散乱、虹)、『反射と屈折』、『光の波動性』(回折、干渉、偏光、ホログラフィー)がある。『光の放出』ではスペクトル、白熱、蛍光、レーザーを、『光量子』では光電効果、波と粒子の二重性、不確定性原理を扱う。
第VII部 第32〜34章:原子物理と原子核物理
『原子と量子』はボーア模型から量子力学、ヒッグス粒子までを扱う。『原子核と放射能』は半減期、検出器、元素の変換、年代測定法を扱う。『核分裂と核融合』は原子炉、質量とエネルギーの等価性、制御核融合の試みを扱う。
第VIII部 第35〜36章:相対性理論
『特殊相対性理論』はマイケルソン・モーリーの実験と基本的な仮定から出発し、時間の遅れ、長さの収縮、相対論的運動量、E = mc²へ進む。『一般相対性理論』は等価原理、光の曲がり、重力による赤方偏移、時空の曲率、重力波を扱う。
付録
A. 測定の体系、B. 運動についての補足、C. グラフの描き方、D. ベクトルについての補足、E. 指数関数的増加と倍増時間。本文が前提とする最低限の数学的補助を与える。
主要概念
第1章:科学について
- 科学的方法:観察、仮説、検証によって科学的主張を確かめるやり方。
- 事実・仮説・法則・理論:科学の中でそれぞれが果たす別々の役割。
第2〜10章:力学
- 慣性と合力:運動は合力が働くときにだけ変化し、その変化の大きさは質量による。
- 作用と反作用:力は常に相互作用の対として現れる。
- 運動量とエネルギーの保存:孤立系で一定に保たれる量で、細部を追わなくても結果を予測できるようにする。
- トルクと角運動量:力と運動量に対応する回転の量。
- 重力と軌道:落下する物体、潮汐、衛星を一つの逆二乗の法則で説明する。
第11〜18章:物質と熱
- 密度・圧力・浮力:固体・液体・気体の巨視的性質で、原子的な構成から生じる。
- 熱の伝わり方:熱エネルギーが移動する三つの経路、すなわち伝導、対流、放射。
- エントロピーと第2法則:自然な過程が進む向き。
第19〜25章:波、電気、磁気
- 重ね合わせと共鳴:波は足し合わさり、外から駆動される系は固有振動数で強く応答する。
- 電荷・電場・電位:電気的相互作用を記述する語彙で、電流と回路の章でさらに広がる。
- 誘導:変化する磁場が電場を生むこと。発電機と変圧器の基礎である。
第26〜36章:光、原子、相対性理論
- 波と粒子の二重性:光は波の性質と粒子の性質の両方を示す。
- 半減期:放射性試料の半分が崩壊するのにかかる特徴的な時間。
- 時間の遅れと長さの収縮:光速が一定であることの帰結。
- 時空の曲率:一般相対性理論による重力の説明。
批判的分析
長所
- 物理学全体への概念的な入口。 本書は、Pearsonの説明によればHewittがサンフランシスコ市立大学で先駆的に行った概念重視の教え方に沿っており、まず考え方を説明し、数学は軽く抑えている。グラフ、ベクトル、指数関数的増加についての付録が、本文に必要な補助的数学を提供する。
- 組み込まれた自己点検。 本文中には「Check Yourself」と「Check Your Answer」の欄があり、「Practicing Physics」の欄は章の考え方を小さな活動に変え、章末には「Conceptual Ranking」の順位付け演習がある。各部の終わりには多肢選択式の練習テストもある。
- 幅の広さ。 一冊でニュートンの法則から一般相対性理論までを扱うので、力学、熱、波、電磁気学、現代物理がどうつながるかが見えてくる。
- 新しい応用題材。 出版社によれば、この版ではデジタル技術、環境、エネルギーに関する扱いが更新され、著者の動画実演にリンクするQRコードが加えられている。
短所
- 計量的な科目の準備にはならない。 本書は設計上、概念重視である。工学や物理学の専攻に進む学生は、問題演習のために微積分を使う教科書が必要になる。本書が与えるのは語彙と直観であって、解法の技術ではない。
- 後半の話題の扱いが短い。 量子物理、原子核物理、相対性理論にはそれぞれ1〜3章が割かれており、主要な考え方には足りるが、計算には足りない。
- 付随資料にはオンライン利用に依存するものがある。 QRコードの先の動画実演やMasteringの課題は、印刷された本文とは別になっている。
コースにおける位置づけ
Hewittは、この入門物理の書目の中で最も取り組みやすく、数学の前提が最も少ない。OpenStaxのCollege Physicsは無料の代数ベースの課程で、定量的な問題解決を加えており、代数と若干の三角法を知っている学生に向く。Fundamentals of Physics、Physics for Scientists and Engineers、Principles of Physics、University Physicsは、理工系の学生向けの微積分ベースの教科書で、問題の数ははるかに多い。同じ主題についてHewittの章を先に読んでおくと、これらの直観をあらかじめ養え、式が登場する前に考え方を理解できているかの確認にもなる。
技術よりも概念の深さを求める読者には、The Feynman Lectures on Physicsがある。これは概念を軸とした入門書で、物理的な議論と思考実験を通じて、同じ主題の多くを論じている。基礎課程を終えた人には、ヒントと完全な解答が付いた問題集200 Puzzling Physics Problemsが使える。KleppnerとKolenkowのAn Introduction to Mechanicsは、力学だけを扱う、要求水準の高い微積分ベースの教科書である。
本書の使い方
本書は、技術的な準備ではなく物理学の全体像を必要とする学生、たとえば一般教養科目の受講者や、微積分ベースの課程の前に直観を養いたい人を対象とする。微積分は不要で、必要な数学は付録が扱っている。
実用的な進め方:
- **中核:**第1〜10章(科学と力学)が他のすべての土台になる。順に読むこと。ニュートンの法則の各章は積み上げ式である。
- **その後は関心や授業に応じて選ぶ:**力学とエネルギーを終えれば、熱、音、電気と磁気、光の各部はほぼ互いに独立している。
- **任意:**第VII部と第VIII部(原子物理・原子核物理、相対性理論)は最後の総覧として、前の部に慣れたあとで単独で読める。
「Check Yourself」の問いは答えを見る前に自分で答え、「Practicing Physics」の活動に取り組み、各部末尾の練習テストで抜けを見つける。微積分ベースの課程に進む学生は、各部を読み終えたあとで、上記の教科書の対応する章を併せて読むとよい。
