01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Ladefoged, P., & Johnson, K. (2015). A Course in Phonetics (7th ed.). Cengage Learning.
章の要約
第7版(2014年初めに刊行、約350ページ)は、故Peter Ladefogedの教科書をKeith Johnsonが共著者として引き継いだものである。三部構成の全11章の後に、用語集、参考文献案内、索引が続く。ほとんどの章は、筆記の練習問題と、音を実際に発音して練習するパフォーマンス練習で終わる。各章に対応したコンパニオン・ウェブサイトには、英語と約100の他言語の4,000を超える録音があり、それぞれに即時表示のスペクトログラムが付いている。ほかに対話型の練習問題と地図もある。出版社が挙げる改訂点には、音韻論とその音声学との関係についての記述の改訂、音響音声学と発話運動制御の節の拡充、声道のMRI画像、そして第1章からのスペクトログラム読解の導入が含まれる。
第1部 基本概念:第1章:調音と音響
発話の産出と音波から始め、調音位置、口腔・鼻腔の切り替え、調音様式(閉鎖音、摩擦音、接近音、側面接近音)、その他の子音的な動作、子音の波形、母音の調音と音響、超分節的特徴を扱う。調音と音響は最初から一緒に導入される。
第2章:音韻論と音声表記
子音と母音の表記法、子音表と母音図、そしてこの版で改訂された音韻論への導入を扱う。
第2部 英語の音声学:第3章:英語の子音
英語の閉鎖音、摩擦音、破擦音、鼻音、接近音、動作の重なり、英語の子音の異音規則、補助記号を扱う。
第4章:英語の母音
表記と発音辞典、母音の音質と聴覚的母音空間、アメリカ英語とイギリス英語の母音、二重母音、r音性母音、弱音節、緊張母音と弛緩母音、母音の異音規則を扱う。
第5章:英語の語と文
連続した発話の中の語、強勢とその段階、文のリズム、目標音調によって記述されるイントネーションを扱う。
第3部 一般音声学:第6章:気流機構と発声の種類
肺臓以外の気流機構、声門の状態、有声開始時間(VOT)、声門の働きのまとめを扱う。
第7章:子音の動作
調音目標と、さまざまな言語の子音の類型、すなわち閉鎖音、鼻音、摩擦音、ふるえ音、弾き音、側面音を扱い、調音様式のまとめを示す。
第8章:音響音声学
音源・フィルター理論、管モデルと摂動理論、音響分析、子音の音響、スペクトログラムの解釈、話者間の個人差を扱う。この章には筆記の練習問題だけがある。
第9章:母音と母音に似た調音
基本母音と第二次基本母音、英語の他のアクセントや他の言語の母音、舌根前進、r音化、鼻音化、半母音、副次的な調音動作を扱う。
第10章:音節と超分節的特徴
音節、強勢、長さとタイミング、イントネーションと声調、そして強勢言語・声調言語・ピッチアクセント言語の区別を扱う。
第11章:言語音声学
締めくくりの章として、共同体と個人の音声学、国際音声記号、素性の階層、言語学的説明のある問題、調音運動の制御、音声の記憶、音声的な力の均衡を扱う。
主要概念
第1部(第1〜2章)
- 調音位置と調音様式:子音を作るために声道のどこを、どのように狭めるか。
- 波形とスペクトログラム:音声の音の視覚的な記録で、第1章から使われる。
- IPA表記:国際音声記号で音声を書き表すこと。
- 音韻論:言語における音のパターン。表記と並行して導入される。
第2部(第3〜5章)
- 異音規則:英語の子音と母音が文脈によってどう変わるかを述べたもの。
- 聴覚的母音空間:母音を聞こえ方によって配置し、アメリカ英語とイギリス英語を比べること。
- 強勢、リズム、目標音調:英語の語とイントネーションの記述。
第3部(第6〜11章)
- 気流機構と発声の種類:空気をどう動かし、声門がそれをどう扱うか。
- 有声開始時間:閉鎖の開放に対する声帯振動の開始のタイミング。
- 音源・フィルター理論:音声を、声道の共鳴によって形作られる音源として捉える考え方。
- 基本母音:どの言語の母音の音質を記述するにも使える固定した基準点。
- 声調とピッチアクセント:語を区別するための音の高さの利用。
批判的分析
長所
- 英語から世界の言語へ。 三部構成によって、基本概念から英語の音、一般音声学へと進むので、学生は気流機構、ふるえ音、舌根前進、声調言語に出会う前に、身近な素材で表記の技能を身につけられる。
- 実践的な技能。 ほぼすべての章にあるパフォーマンス練習によって、学生は音を記述するだけでなく、聞き分け、発音する訓練を受ける。出版社も実践的なIPA表記を中心的な目標として強調している。
- 早い段階からの音響の統合。 スペクトログラムは第1章から登場し、第8章は音源・フィルター理論とスペクトログラムの解釈を本格的に扱う。コンパニオン・サイトではすべての録音にスペクトログラムが付いている。
- 大規模な音声資料。 英語の諸変種と約100の言語の録音が、それらが話される場所の地図とともにウェブサイトにあり、学生は本文が記述する音を実際に聞くことができる。
短所
- 音韻論は導入にとどまる。 音韻論は第2章の一節と第2部の異音規則で扱われるだけで、本書は音韻論の教科書ではない。
- ウェブサイトへの依存。 練習の多くと音声例のすべてはオンラインにあり、Google Booksは本文で言及されるメディアが電子書籍版では利用できない場合があると注意している。学生はコンパニオン・サイトにアクセスできる必要がある。
- 英語中心の中盤。 第2部は英語に充てられ、アメリカ英語とイギリス英語の母音が比較される。主に他の言語に関心がある学生は、一般音声学に至る前に英語に3章を費やすことになる。
コースにおける位置づけ
本書は音声学・音韻論のリストにおける標準的な最初の音声学の教科書である。Carley, Mees and Collinsの Practical English Phonetics and Phonology は英語に焦点を当てたワークブック形式の副読本で、イギリス英語とアメリカ英語を並べて扱っており、第2部と並行して表記練習を増やすのに役立つ。Clarkらの An Introduction to Phonetics and Phonology は同様の範囲を音韻理論も含めて扱い、Oddenの Introducing Phonology は、第2章の音韻論入門を読んだ後に進む自然な次の一冊である。
音響については、Ladefogedの Elements of Acoustic Phonetics とJohnsonの Acoustic and Auditory Phonetics が第8章をさらに先へ進め、後者は音声知覚も扱う。本書の後に読むとよい。
本書の使い方
本書は、言語学の学生、言語聴覚療法の学生、語学教師、独習者のための最初の音声学の授業に向いており、出版社は予備知識は不要だとしている。
- 中核: 第1〜5章を順に。第2〜4章で、全体を通じて使う表記の技能が身につく。
- 一般音声学: 他の言語の音については第6、7、9、10章。音響の第8章は、実習を伴う授業ならもっと早く読んでもよい。
- 任意: 音声学的説明をめぐるより広い問いを扱う第11章。音声学を続けて学ぶ学生に向いている。
パフォーマンス練習は声に出して行い、できればパートナーと組むか、録音して確認するとよい。表記する前に、各章に対応するコンパニオン・サイトの録音を聞くこと。録音に付いたスペクトログラムを読む練習をし、英語を表記するときは発音辞典を手元に置くとよい。
