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Human Rights Law(人権法) cover

法学

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Human Rights Law(人権法)

Merris Amos

英語原題: Human Rights Law

1998年人権法と欧州人権条約を軸に、英国の人権法を解説する教科書である。同法が国内裁判所でどのように機能するかを説明したうえで、条約上の主要な権利を一つずつ、英国の裁判所と欧州人権裁判所の判例を通じて検討する。

前提知識: 憲法・行政法の基礎科目を修了していることを前提とする。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
human rightshuman rights act 1998echrcivil libertiespublic law教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Amos, M. (2021). Human Rights Law (3rd ed.). Hart Publishing.

章の要約

第3版は約770ページで、二部構成である。1998年人権法を扱う6章と、個々の条約上の権利を扱う11章からなる。出版社は、本書を英国における同法の解釈と適用を検討するものと説明し、直近7年分の判例を取り込んだとする。著者自身は、本書が同法と、国内の裁判官が条約上の権利に与えてきた「英国流の味わい」を扱うものだと述べている。

第I部:人権法

第I部は、どの権利を援用する場合にも生じる手続的・構造的な問題を扱う。出版社の紹介によれば、扱う事項は、同法の背景、英国の裁判所と欧州人権裁判所との関係、誰が被害者や公的機関にあたるか、不適合性の判断(敬譲と比例性を含む)、同法が議会制定法に及ぼす効果、そして救済である。

第1〜2章:Background and Interpretation(背景と解釈)、The Benefit and Burden of the Human Rights Act(人権法の利益と負担)

冒頭の2章は、同法の背景とその解釈を述べ、次いで同法がもたらす利益と負担を検討する。この2章について、利用できた資料が示すのは章題までである。

第3章:The 'Acts' to which the Human Rights Act Applies(人権法が適用される「行為」)

人権法の適用対象となる行為の範囲を扱う章である。出版社の紹介は、これを公的機関の定義や、被害者として請求できる者の問題と結びつけている。

第4〜5章:Determining Incompatibility(不適合性の判断)、The Defence of Primary Legislation(議会制定法の防御)

第4章は、ある措置が条約上の権利に適合しないかどうかを裁判所がどう判断するかを扱う。出版社の紹介は、そこに敬譲と比例性の問題が含まれることを挙げている。第5章は、同法が他の措置とは異なる扱いをする議会制定法の特別な地位を取り上げる。

第6章:Remedies(救済)

第I部の最後の章で、条約上の権利の侵害に対して得られる救済を扱う。出版社の紹介は、損害賠償とその他の救済に言及している。

第II部:条約上の権利

第II部は、英国の裁判所が解釈し適用してきた権利を検討する。各章は一つの条文を扱い、第8条には3章が充てられている。

第7〜10章:生命、拷問と非人道的・品位を傷つける取扱い、自由と安全、公正な裁判

これらの章は、第2条(生命に対する権利)、第3条(拷問および非人道的もしくは品位を傷つける取扱いまたは刑罰の禁止)、第5条(自由および安全に対する権利)、第6条(公正な裁判を受ける権利)を扱う。

第11〜13章:第8条——私生活、家族生活、住居

第8条は、私生活の尊重(第11章)、家族生活の尊重(第12章)、住居の尊重(第13章)に分けられており、この条文は他のどの権利よりも多くの紙幅を得ている。

第14〜17章:思想・良心・宗教、表現、差別、財産

最後の章は、第9条(思想、良心および宗教の自由)、第10条(表現の自由)、第14条(差別の禁止)、第1議定書第1条(財産の保護)を扱う。

主要概念

第I部:人権法

  • 被害者と公的機関:出版社の紹介が挙げる、誰が同法に基づいて請求でき、誰を相手にできるかを決める基準。
  • 不適合性、敬譲、比例性:裁判所が、ある措置が条約上の権利に反するかどうかを判断し、意思決定者にどこまで敬意を払うかという問題。
  • 議会制定法:議会制定法が条約上の権利と衝突する場合に、同法がそれを他の公的行為と異なって扱うこと。
  • 救済:条約上の権利の侵害に対して、損害賠償を含めて得られる救済。

第II部:条約上の権利

  • 条文ごとの構成:各権利は、ストラスブール裁判所だけでなく、英国の裁判所による解釈と適用の観点から検討される。
  • 第8条:私生活、家族生活、住居の尊重に対する権利で、3章に分けて扱われる。
  • 第14条:他の条約上の権利の享受における差別の禁止。

批判的分析

長所

  • 国内法への一貫した焦点。 著者は、本書が人権法を国内の文脈で検討するものだと述べており、構成もそれに沿う。第I部は英国の裁判所で同法がどう機能するかを軸に組まれ、第II部は英国の裁判所による適用を通して条約上の権利を読む。ストラスブールの条約法ではなく同法を扱う授業の学生にとっては、実際に引用することになる判例を中心に資料が整理されている。
  • 権利に先立つ手続。 同法の仕組み(被害者資格、公的機関、不適合性、議会制定法、救済)を独立した第I部に置くことで、枠組みを一度学べば以後の各章で使える。
  • 授業との適合。 各章は、人権や市民的自由の科目で最もよく教えられる条文に沿っており、一権利一章という構成のため、選んで読みやすい。
  • 刊行時点での新しさ。 出版社は、第3版が直近7年分の判例を取り込んだと述べている。著者自身も、国内の裁判官がすでに同法のもとで多くの判決を出してきたことを語っている。

短所

  • 条約の全体を網羅するものではない。 目次には、集会・結社の自由や婚姻の権利など、いくつかの条文の独立した章がない。これらの条文を扱う科目では、別の資料が要る。
  • 意図的な国内重視。 本書は英国の裁判所による解釈に集中しているため、ストラスブール裁判所自身の判例、手続、解釈方法を体系的に知りたい読者は、条約そのものに焦点を当てた文献を必要とする。
  • 分量と時期。 約770ページの本書は、入門書であると同時に参照書でもあり、2021年のものである。著者の語るところでは、同法の将来は見直しの対象になっていたので、その後の立法、提案、判決は別に確認しなければならない。

コースにおける位置づけ

本書は、このコース一覧における国内法の中心的教科書である。人権法そのものを主題とし、裁判所が出会う順に権利を検討する。短い議論中心の本と専門書の中間に位置する。コナー・ギアティのOn Fantasy Islandは、同法をその政治的・社会的文脈の中で紹介する学部生向けの入門書であり、Civil LibertiesとLiberty and Securityは、権利を歴史的・概念的に扱う。いずれも教科書の前か並行して読む相手として有用だが、判例ごとの網羅性の代わりにはならない。

ストラスブール側については、Harris、O'Boyle、WarbrickのLaw of the European Convention on Human Rightsが、欧州人権裁判所の判決を通して各権利を詳しく学術的に論じており、授業や学位論文で同裁判所の判例を深く扱う必要が出たときの自然な次の一歩となる。アイリーン・カヴァナのThe Collaborative Constitutionは、行政、立法、裁判所が同法のもとで権利の保護をどう分担するかを論じるモノグラフであり、教科書で法理をつかんだあとに読むのがよい。レイモンド・ワックスのPrivacy: A Very Short Introductionとカイ・メラーのThe Global Model of Constitutional Rightsは、より短い主題別の本で、第8条の各章と第4章の比例性の議論に関わる。

本書の使い方

対象は、人権や市民的自由の科目を取る学部生、大学院生、そして特定の権利に関する国内判例を必要とする実務家である。同法の議会制定法や公的機関への効果が第I部で扱われ、それが公法の分野に属するため、憲法と行政法の基礎を学んでおくのが出発点として適切である。

実際的な進め方は次のとおり。

  • 中核: 第1〜6章を順に読む。第3〜5章(同法の射程、不適合性、議会制定法)は同法に基づく請求の組み立て方を示し、第6章の救済が枠組みを完成させる。
  • 主題別: 科目がその条文に差しかかったときに、各条文の章を読む。第7〜10章(生命、拷問、自由、公正な裁判)は刑事司法や国家権力の科目に、第11〜13章はプライバシーや家族法の科目に、第14〜16章は宗教、表現、平等の科目に向く。
  • 任意または参照用: 科目が扱うなら第17章(財産)。学位論文では、シラバス外の条文の章も参照する。

各章は、論じられる主要判例の代わりではなく、それと並べて読むこと。本文は2021年のものなので、その後の立法、政府提案、最高裁判所とストラスブール裁判所の判決は別に確認する必要がある。