01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Gregory, D., Johnston, R., Pratt, G., Watts, M. J., & Whatmore, S. (Eds.). (2009). The Dictionary of Human Geography (5th ed.). Wiley-Blackwell.
章の要約
本書は約1,070ページの参考図書であり、通常の意味での章はない。本体はアルファベット順の項目が1ページから817ページまで続き、その後に統合された参考文献(818ページから)と索引(957ページから)が置かれている。Wileyは本書を、人文地理学における論点と観念、方法と理論への案内であり、分野の変化と他分野との結びつきを反映して改訂されたものだと説明している。以下の見出しは、本書の構成と、出版社が第5版で新規または拡充されたと特に挙げる領域に沿っている。
前付:序文、本辞典の使い方、寄稿者
項目の前には、第5版への序文、本辞典の使い方、謝辞、寄稿者一覧、編集諮問委員会がある。本書は直線的な叙述ではなく、見出し語の相互参照と別立ての索引によって機能するので、「本辞典の使い方」は一度読んでおく価値がある。
辞典本体:主要項目と短い項目
Wileyは項目を2種類に分ける。主要項目は、人文地理学の概念、貢献、論争の発展を記述するだけでなく、それらを前進させる。短い定義的な項目は、手早い参照を可能にし、より広い主題領域をカバーする。項目は専門の寄稿者が書いており、第5版は「分野の最前線にいる」多くの新しい寄稿者を迎え、300を超える主要用語が初めて登場する。
新規・拡充された範囲:学問分野とその隣接分野、世界の諸地域
出版社によれば、第5版は人文地理学と地理学全体(自然地理学や生物地理学を含む)との関係、また人文・社会科学との対話を扱い、国際関係論、文学、哲学、社会理論を挙げている。さらに、アフリカ、アメリカ大陸、アジア、オーストラレーシア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東、グローバル・サウスという主要な世界の諸地域の概念的・文化的形成をたどる。
新規・拡充された範囲:地政学、地経学、環境
Wileyは、地政学・地経学上の問題の拡充として、アメリカ帝国、庇護、民族浄化、冷戦、ジェノサイド、人権、国際通貨基金、正戦、麻薬資本主義、テロリズム、石油資本主義、アーバサイド(都市破壊)、戦争、世界社会フォーラムなどを挙げる。生態・環境の扱いは、生物多様性、バイオセキュリティ、気候、地球温暖化、持続可能性、熱帯性、都市の自然、水などの項目で強化されている。
新規・拡充された範囲:理論と方法
理論については、出版社は、情動(affect)、複雑性理論、非表象理論、ポストヒューマニズム、例外の空間を挙げる。方法については、デジタル地図作成、地理情報科学、方法論、量的・質的分析のためのソフトウェア、視覚的方法を挙げる。
参考文献と索引
初めて、参考文献が各項目に散在するのではなく、本の最後(818ページから)に統合された。索引は957ページから始まり、その注記自体が、人文地理学の内部の相互関連への案内だと述べている。広範な小見出しと「see」「see also」の参照網が別の見出しや関連する話題を示し、太字のページ番号が主題の主要な議論を示し、個々の著者への言及は、その仕事が引用または詳しく論じられている場合にのみ含まれる。
主要概念
索引に挙がる概念と立場
- 中核的な概念:索引には、場所、空間、スケール、自然、ジェンダー、人種、帝国、移動、資本主義などの見出しがあり、人文地理学の大部分が拠って立つ語彙である。
- 理論的アプローチ:実証主義と論理実証主義、人間主義地理学、実在論、構造化理論、フェミニスト地理学、マルクス主義地理学、アクターネットワーク理論が見出しとして現れる。
- 方法:地理情報科学と地図作成は、出版社が更新されたと述べる領域に含まれる。
第5版の新規部分
- 情動、非表象理論、ポストヒューマニズム、例外の空間:出版社が挙げる、人文・社会科学の最近の理論的展開。
- 熱帯性と都市の自然:追加または強化された環境関連項目のうちの2つ。
- 地域の形成:世界の諸地域の概念的・文化的形成をたどる項目。
批判的分析
長所
- 2種類の項目。 論争を前進させる長めの項目と短い定義的な項目を併せ持つことで、最初の参照にも、より深い読みにも使える。Wileyは主要項目を、単なる要約ではなく貢献として示している。
- 案内機能。 索引の注記は、小見出し、相互参照、主要な議論を示す太字のページ番号を説明しており、Wileyは、見出し語の体系的な相互参照が、アルファベット順と並ぶ第二の構造をもたらすと述べている。そのため、単一の用語を引くだけでなく、概念の周辺を読むことができる。
- 統合された参考文献。 すべての参考文献を巻末の文献表にまとめたことで、出版社が指摘するように、読書リストを作る人にとってそれ自体が資料となる。
- 評価の高い推薦。 出版社は4人の研究者を引用している。Linda McDowell(オックスフォード大学)はすべての人文地理学者に不可欠と呼び、Gerard Toal(バージニア工科大学)は現代の思考への概念的な地図だと述べ、Mei-Po Kwan(オハイオ州立大学)は幅と深さのバランスを称え、Noel Castree(マンチェスター大学)はこの分野に匹敵する単巻の参考書はないと述べている。これらは出版社が選んだ書評である。
短所
- 通読には向かない。 アルファベット順の参考書には学習の順序がない。この分野に初めて触れる学生には教科書が併せて必要であり、項目は基本用語が既知であることを前提としている。
- 規模と巻末の文献表。 約1,070ページと大きく、参考文献が統合されている(957ページの索引の前の818〜956ページ)ため、引用をたどるには常に巻末へ移る必要がある。
- 2009年で固定。 この版はその後の議論より前のもので、最新の理論的・政治的な展開は含まれない。
- 多数の著者。 多くの専門の寄稿者が項目を書いているため、項目ごとに調子や難度が異なる可能性がある。
コースにおける位置づけ
本書は、人文地理学入門の一覧における参考書棚にあたり、最初に読む本ではない。DorrellとHendersonのIntroduction to Human Geographyは人口、文化、政治、経済、都市化を扱う総合的な入門、DaleyとKlinkeのHuman Geography: A Very Short Introductionは簡潔で新しい入口、Berglee他のWorld Regional Geographyは世界の諸地域の概観である。辞典はこれらの傍らにあり、どの本で出会った用語であれ、学生が調べる場所となる。
AitkenとValentineのApproaches to Human Geographyは、最も近い相棒である。その本は哲学、理論、実践を章として示し、辞典の索引は同じ立場のいくつか(実証主義、人間主義地理学、実在論、構造化理論、フェミニスト地理学、マルクス主義地理学、アクターネットワーク理論)を見出しとして挙げているので、学生は章を読んでから対応する項目を引くことができる。
本書の使い方
本辞典は、人文地理学の入門課程を始めた学生と、概念の簡潔で権威ある概要を必要とする研究者向けである。まず序文と「本辞典の使い方」を読み、そのあとは必要に応じて使う。
実践的な進め方は次のとおり。
- 教科書を読むとき: なじみのない用語を引き、「see also」の参照をたどって2〜3の関連項目を見て、その観念を文脈の中で捉える。
- エッセイを書き始めるとき: 概念の項目から始め、そこに記述された論争を書き留め、巻末の統合された参考文献で一次文献を探す。
- 文献検索を計画するとき: 索引の小見出しで主題が扱われている場所を探し、太字のページ番号で主要な議論を確認する。
- ある分野を復習するとき: 環境に関するテーマや世界の1つの地域など、ある領域の主要項目を、アルファベット順ではなく一度にまとめて読む。
