01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Kundu, P. K., Cohen, I. M., Dowling, D. R., & Capecelatro, J. (2024). Fluid Mechanics (7th ed.). Academic Press (Elsevier).
章の要約
第7版は印刷版が15章、オンライン限定の章が1つ、付録が4つからなる。出版社は、例題144、演習問題568を数え、そのうち例題10と演習問題66がこの版の新規で、MATLABを使う計算の例題と演習問題も加わったとしている。また、本文の多くが書き直され、章の順序が改められたとも述べている。本書はピジュシュ・クンドゥ(Pijush Kundu)とアイラ・コーエン(Ira Cohen)が始め、デイヴィッド・ダウリング(David Dowling)とジェシー・カペラテロ(Jesse Capecelatro)がこの改訂を担当した。
第1–3章:序論;デカルトテンソル;運動学
本書は序論で始まり、物理に先立って数学の言語であるデカルトテンソルを置き、続いて流体の運動の記述である運動学に進む。
第4–6章:保存則;渦度の力学;数値流体力学
保存則が力学の中核である。続いて渦度の力学があり、数値流体力学の章もこの位置に置かれている。これは、この版が計算の内容を加えたという出版社の説明と符合する。
第7–9章:理想流れ;重力波;層流
古典的な解析の3章である。理想流れ、重力波、層流を扱う。
第10–12章:境界層と関連主題;不安定性;乱流
境界層から、流れがいつ不安定になるかという問いへ、さらに乱流へと進む。
第13–15章:地球物理流体力学;空気力学;圧縮性流れ
本書は、出版社が挙げる3つの応用分野で締めくくられる。地球物理流体力学、空気力学、圧縮性流れである。
オンラインの章と付録
第16章「生体流体力学入門」はオンライン限定である。付録は、換算係数・定数・流体の性質、数学的道具と資料、現代流体力学の創始者たち、視覚資料である。
主要概念
第1–6章:基礎
- デカルトテンソル:支配方程式を簡潔に書くための記法。
- 運動学:原因を考える前の、流体運動の記述。
- 保存則:流体に適用される質量、運動量、エネルギーの収支。
- 渦度の力学:流れの中の回転がどう発展するか。
- 数値流体力学:流れの問題の数値的な解法。
第7–12章:古典的な流れ
- 理想流れ:粘性のない流れ。
- 重力波:界面で重力によって駆動される波動。
- 層流と境界層:粘性流れと、表面近くの薄い層。
- 不安定性と乱流:流れが定常な層流からどのようにそれていくか。
第13–15章:応用
- 地球物理流体力学:大気と海洋の大規模な流れ。
- 空気力学:空気中を動く物体にはたらく力。
- 圧縮性流れ:密度の変化が無視できない流れ。
批判的分析
長所
- 1冊で幅広い。 内容はテンソルと保存則から出発し、波動、不安定性、乱流を経て、地球物理的な流れ、空気力学、圧縮性流れに至る。出版社によれば、大学院の最初の授業にも2つ目の授業にも使える。
- 豊富な問題。 演習問題568と例題144により、教員にも独習者にも複数のレベルの教材がある。この版では66問が新規である。
- 計算の例題。 新しいMATLABの例題・演習問題と数値流体力学の章が、古典的な解析を現在の実践に結びつける。
- 改訂と書き直し。 出版社によれば、明快さのために本文の多くが書き直され、章の順序も改められた。
短所
- レベル。 出版社は上級学部生と大学院生を対象とし、流体力学の予備知識が少ない上級の学生にも対応すると述べている。ただし配列はデカルトテンソルと保存則から始まるため、序盤の章は応用が現れる前は数学的である。
- 専門家には広く浅い。 空気力学と圧縮性流れはそれぞれ1章で、航空宇宙分野の読者には専門の教科書が必要になる。
- オンライン限定の内容。 生体流体力学の章は印刷版に含まれない。
コースにおける位置づけ
この流体力学コースの書目のなかで、Kunduは広い範囲を扱う大学院向けの論述である。Fluid Mechanics: A Very Short Introduction と、流れの可視化を重視するNakayamaの Introduction to Fluid Mechanics が最もやさしい出発点で、A Brief Introduction to Fluid Mechanics とWhiteとXueの Fluid Mechanics は、流体静力学、保存則、粘性流れを扱う標準的な工学の道筋であり、WhiteとXueのほうが包括的である。Kunduはそのうえで同じ主題をさらに進め、テンソル記法、渦度、波動、不安定性、乱流、地球物理的な流れを扱う。Andersonの Fundamentals of Aerodynamics は、空気力学と圧縮性流れの章に対する専門的な続編である。
本書の使い方
機械、土木、航空宇宙、化学、生体医工学の上級学部生・大学院生のほか、物理、気象、地球物理、応用数学の学生にも向く。流体力学の入門的な授業、ベクトル解析、微分方程式を事前に学んでおくと、はるかに読みやすい。
大学院の最初の授業では、第2〜5章と第7章を通読し、第9〜12章から選ぶ。第13〜15章は授業の重点に応じて選ぶ。地球物理的な流れ、空気力学、圧縮性流れのいずれかである。数値面を補うには、計算の章と例題にあるMATLABの演習を使い、付録、とくに数学的道具を参照用に使う。演習問題は568あるので、段階的に出題できる。各章で例題と演習を少数選んで理解を確かめ、難しい問題は授業の中心となる主題のために取っておく。付録には視覚資料と現代流体力学の創始者たちの一覧もあり、各章を読む際の背景として参照できる。
