01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
White, F. M., & Xue, H. (2021). Fluid Mechanics (9th ed.). McGraw Hill.
章の要約
第9版は11章と5つの付録(流体の物性、圧縮性流れの表、換算係数、円柱座標での運動方程式、実験データの不確かさの見積もり)からなる。出版社は、くだけた学生本位の文体で、「対話的な講義の味わい」があると説明し、この分野を「理論と実験の賢明な折衷」と位置づけ、実験結果を理論の自然な補完として示すとしている。McGraw Hillは、Frank Whiteを長年の教師で、流体力学と伝熱の教科書を4冊著した人物として紹介している。カタログは章題を挙げているが節のリストはないので、以下の各項目は題名が指す内容を述べる。
第1章:序論(Introduction)
冒頭の章。カタログは題名だけを示している。
第2章:流体中の圧力分布(Pressure Distribution in a Fluid)
流体の内部で圧力がどう変わるかを扱う章。出版社の更新の説明によれば、学生の意見を踏まえて第2章から第7章が改訂されており、これらの章に「流体力学の骨格」がある。
第3章:検査体積に関する積分関係式(Integral Relations for a Control Volume)
検査体積について積分形で書いた保存則。
第4章:流れの微分関係式(Differential Relations for Fluid Flow)
第3章の積分的な方法に対応する微分的な方法。
第5章:次元解析と相似(Dimensional Analysis and Similarity)
次元解析と相似の章で、応用の章より前に置かれている。
第6〜7章:ダクト内の粘性流れ、没水物体まわりの流れ(Viscous Flow in Ducts; Flow Past Immersed Bodies)
応用の2つの章。粘性をもつダクト内の流れと、流れの中に置かれた物体のまわりの流れである。インド版は巻末資料にムーディ線図を挙げている。
第8章:ポテンシャル流れと数値流体力学(Potential Flow and Computational Fluid Dynamics)
McGraw Hillの米国のページでは、この章の題は「Potential Flow and Computational Fluid Dynamics」で、インド版では「Potential Flow」となっている。この章は古典的なポテンシャル流れと数値流体力学の入門を組み合わせている。
第9章:圧縮性流れ(Compressible Flow)
圧縮性流れの章で、付録Bの圧縮性流れの表が支える。
第10〜11章:開水路の流れ、ターボ機械(Open-Channel Flow; Turbomachinery)
最後の2章は、自由表面をもつ水路の流れとターボ機械を扱う。
主要概念
以下の説明は、章題が挙げている概念の一般的な定義である。
第1〜5章:圧力、検査体積、相似
- 圧力分布:流体の中で圧力がどう変わるか。第2章の主題。
- 検査体積:空間内に定めた領域で、積分形の保存関係式はこれについて書かれる。
- 微分関係式:1点で書いた流れの方程式。
- 次元解析と相似:問題を無次元数で表し、結果を異なる規模の間で移せるようにすること。
第6〜9章:ダクト、没水物体、ポテンシャル流れ、圧縮性流れ
- ダクト内の粘性流れ:粘性摩擦が効く内部流れ。
- 没水物体まわりの流れ:物体のまわりの外部流れ。
- ポテンシャル流れと数値流体力学:理想化された流れの解と、流れを求める数値的方法。
- 圧縮性流れ:密度の変化が無視できない気体の流れ。
第10〜11章:開水路の流れとターボ機械
- 開水路の流れ:自由表面をもつ流れ。
- ターボ機械:ポンプ、タービンなどの機械。
批判的分析
長所
- 意図された文体。 出版社は、くだけた学生本位の文体が改訂を通じて保たれ、強化されてきたと述べている。McGraw Hillのページが引用する評者(アルバニー大学のJohn Paccione)は、本書を、圧倒的でなく十分に厳密な、よい基礎を与える教科書と評している。
- 広い主題の範囲。 11章は基本関係式から、次元解析、粘性流れ、外部流れ、ポテンシャル流れ、圧縮性流れ、開水路、ターボ機械にまで及ぶので、最初の科目にも、専門的な主題を扱う2番目の科目にも使える。
- 理論と並ぶ実験。 出版社は、本書が実験結果を理論の補完として示すと述べており、実験データの不確かさの見積もりを扱う付録Eがそれを裏づけている。
- 大量の問題。 インド版は、主題別に整理された1,681題の問題を挙げている。版の説明には、更新された例題とデータ、改められた図版と写真、読みやすさへの重視も挙げられている。
短所
- 分量と幅広さ。 内容の濃い11章に、圧縮性流れ、ポテンシャル流れ、開水路、ターボ機械の章もあるため、1学期の科目では取捨選択が必要になる。出版社のページは、どの章が任意かを示していない。
- 数値流体力学は章の一部に過ぎない。 McGraw Hillの米国のページでは、数値流体力学はポテンシャル流れと第8章を共有しているので、流れの数値解法が必要な学生には専門の教科書が必要になる。
- 地域による違い。 インド版は第8章の題が少し異なり、付録の一覧もMcGraw Hillの米国のページと異なるので、手元の版の目次を確認すること。
コースにおける位置づけ
このコースの書籍リストにある2冊の工学入門教科書のうち、WhiteとXueの本のほうが充実している。Young、Munson、Okiishiの A Brief Introduction to Fluid Mechanics(第3版)は、より短い分量で11章を扱い、圧縮性流れとポテンシャル流れの章はない。WhiteとXueはこの2つを加え、微分関係式の章を次元解析の前に置いている。1学期の入門には簡約版を、科目が微分解析、圧縮性流れ、ターボ機械を扱う場合や、後の科目の参考書としたい場合にはWhiteとXueを選ぶ。
Nakayamaの Introduction to Fluid Mechanics は、可視化を中心にしたやさしい代替であり、Laugaの Fluid Mechanics: A Very Short Introduction は、中心的な考え方を数式を使わずに概観する。大学院レベルの次の段階は、Kundu、Cohen、Dowling、Capecelatroの Fluid Mechanics で、支配方程式から出発してこの分野を展開する。航空宇宙系の学生には、Andersonの Fundamentals of Aerodynamics が翼型、翼、圧縮性流れへと続く。
本書の使い方
本書は、流体力学の最初または2番目の科目を取る、機械、土木、化学、航空宇宙系の学生向けである。出版社は予備知識を挙げていない。通常の背景は微積分と入門力学である。
- 核心: 第1〜7章。圧力分布から、検査体積、微分関係式、次元解析、ダクト内の流れと外部流れまで。出版社は第2〜7章をこの分野の骨格と強調している。
- 科目に応じて追加: 第8章(ポテンシャル流れと数値流体力学)、第9章(圧縮性流れ。付録Bの表を併用)、第10章(開水路の流れ)、第11章(ターボ機械)。シラバスに合わせる。
- 全体を通して: 主題別に整理された章末問題と付録の表を、標準的な作業道具として使う。
