01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Feenstra, R. C., & Taylor, A. M. (2014). Essentials of International Economics (3rd ed.). Worth Publishers.
章の要約
第3版は、著者たちの本格的な教科書 International Economics の1学期版であり、この分野の二つの柱を16章、約720ページで扱う。導入の章の後、第2〜9章が国際貿易を、第10〜16章が国際マクロ経済学を扱う。出版社は、元になった教科書が理論を実証的証拠と結びつけ、先進国だけでなく新興市場や途上国にまで対象を広げていると説明し、この版ではユーロ圏危機が加えられたとしている。
第1章:グローバル経済
グローバル経済を紹介し、本書の両部のテーマを概観する章である。
第2章:貿易と技術:リカード・モデル
貿易の部はリカード・モデルから始まる。このモデルでは、国による技術の違いが貿易のパターンとそこからの利益を決める。
第3章:特殊要素モデルにおける貿易の利益と損失
特殊要素モデルを用いて、どの生産要素がどの産業に結びついているかに応じて、貿易が一国の中に勝者だけでなく敗者も生むことを示す。
第4章:貿易と資源:ヘクシャー=オリーン・モデル
ヘクシャー=オリーン・モデルは、資本や労働などの資源の賦存量の国による違いによって貿易を説明する。
第5章:国家間の労働と資本の移動
貿易理論を財から生産要素へと広げ、国際的な人の移動と資本移動を扱う。
第6章:規模に関する収穫逓増と独占的競争
比較優位を超えて、独占的競争の下での規模の経済と製品の多様性によって生じる貿易を扱う。
第7〜8章:完全競争下の輸入関税と輸入割当/不完全競争下の輸入関税と輸入割当
貿易政策に関する二つの章で、関税と割当の効果を、まず競争的な市場で、次に市場支配力のある市場で分析する。
第9章:国際協定:貿易、労働、環境
貿易の部は、労働基準や環境基準を扱うものを含む国際協定で締めくくられる。
第10章:為替レートと外国為替市場への導入
マクロ経済学の部は、為替レートと外国為替市場の仕組みから始まる。
第11〜12章:為替レートI:長期のマネタリー・アプローチ/為替レートII:短期のアセット・アプローチ
二つの章で為替レートの理論を組み立てる。長期についてはマネタリー・アプローチ、短期についてはアセット・アプローチである。
第13章:国民勘定と国際勘定:所得、富、国際収支
開放経済において所得、富、国際収支がどのように測定されるかを示す。
第14章:短期における産出量、為替レート、マクロ経済政策
産出量と為替レートを組み合わせた短期モデルを示し、金融政策と財政政策の分析に用いる。
第15〜16章:固定相場制か変動相場制か:国際通貨の経験/ユーロ
本書は、国際通貨の経験を通じて検討される為替相場制度の選択と、この版でユーロ圏危機が加えられたユーロで締めくくられる。
主要概念
第1〜6章:国はなぜ貿易するのか
- 比較優位:相対的に低い機会費用で生産できる財に特化することで国が利益を得るというリカードの原理。
- 特殊要素と所得分配:輸入競合産業に結びついた生産要素の所有者は、貿易によって損失を被りうるという結果。
- 要素賦存:資源の相対的な豊富さによって貿易を説明するヘクシャー=オリーンの考え方。
- 収穫逓増と独占的競争:規模の経済と製品の多様性によって生じる貿易。
第7〜9章:貿易政策
- 関税と割当:完全競争と不完全競争で効果が異なる輸入制限。
- 国際貿易協定:貿易、労働、環境に関する国家間のルール。
第10〜16章:国際マクロ経済学
- 外国為替市場:通貨が取引され、為替レートが決まる場。
- マネタリー・アプローチとアセット・アプローチ:為替レートに関する長期と短期の理論。
- 国際収支:一国と世界の他の地域との取引を記録する勘定。
- 為替相場制度:固定相場と変動相場の選択、そしてユーロの場合の通貨同盟。
批判的分析
長所
- 1学期で分野の両面を扱う。 貿易理論、貿易政策、為替レート、開放マクロ経済学、通貨制度を16章で扱うため、両方をカバーしなければならない入門科目一つに使いやすい。
- 実証と広い対象範囲。 出版社によれば、元の教科書は全体を通じて理論を実証的証拠に結びつけ、先進国に偏りがちな従来の焦点を越えて新興市場や途上国も扱う。開発や国際政策に関心のある学生に向いた範囲である。
- 標準的なモデルの順序。 貿易の章はリカード・モデルから特殊要素モデル、ヘクシャー=オリーン・モデル、そして収穫逓増へと進み、マクロの章は為替レートから短期の政策モデルへと積み上げる。この順序は、同じ構成要素を用いる中級・大学院レベルのテキストへの準備になる。
短所
- 長いテキストからの圧縮版。 本格版の International Economics は900ページを超えると記載されており、約720ページの本書はそこから必然的に内容を省いている。あるテーマをより深く学びたい学生や、本書に収められなかった章を必要とする学生は、本格版にあたるべきである。
- データと出来事の古さ。 2014年刊行のため、事例はユーロ圏危機で止まっており、その後の貿易戦争、パンデミック、最近の為替レートの動きは含まれない。
- 経済学原理の知識が必要。 モデルは需要と供給、基礎的なマクロ経済学に慣れていることを前提とする。
コースにおける位置づけ
本書は、国際経済学のリストの中で、貿易と国際金融の両方を1学期で扱う授業のための取り組みやすい教科書である。クルーグマン、オブストフェルド、メリッツの International Economics: Theory and Policy と、サルヴァトーレとヘップの International Economics は、同じ二つの柱をより多くの章で扱う本格的な学部教科書である。2学期の連続科目やより深い学習にはそのどちらかを、時間が限られている場合には本書を選ぶとよい。ダニ・ロドリックの The Globalization Paradox はグローバル化の政治をめぐる非技術的な議論であり、第7〜9章と第15〜16章の副読本に適している。
さらに学ぶには、ロバート・フィーンストラの Advanced International Trade が貿易モデルとその計量経済学的検証を扱う大学院テキストで、同じ著者による第2〜6章の自然な続きである。ウリベとシュミット=グローエの Open Economy Macroeconomics はマクロの部を大学院レベルで扱い、第10〜16章の内容の上に動学的均衡モデルを築く。
本書の使い方
本書は、ミクロ経済学とマクロ経済学の原理の授業を終えた学部生を対象としている。モデルはグラフと基本的な代数を用いる。
1学期の授業のための推奨プラン:
- 貿易(第1〜9章): 第2〜4章は中核であり、各モデルが前のモデルの上に築かれるので順に読むこと。第6章は現代の貿易理論に欠かせない。第7〜8章は貿易政策の中核で、時間が足りなければ第9章は軽めでよい。
- 国際マクロ経済学(第10〜16章): 第10〜14章は外国為替市場から短期の政策モデルまでつながった流れをなすので、順に読むこと。第15〜16章は、その枠組みを為替相場制度とユーロに応用する。
- より短い授業: 貿易のみの授業なら第1〜9章、国際金融のみの授業なら第1章と第10〜16章を使う。
各章の図は自分で描き直しながら理解し、為替レートや経常収支などについて本書のデータと事例を最新の統計で更新して、そのパターンが今も成り立つか確かめるとよい。
