01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Clayden, J., Greeves, N., & Warren, S. (2012). Organic Chemistry (2nd ed.). Oxford University Press.
章の要約
第2版は43章、1,234ページである。出版社によれば、本書は3つの原則に立っている。暗記ではなく理解へと動機づける説明的アプローチ、見慣れない化合物や反応にも対処できる力を与える機構的アプローチ、そして反応がなぜ・どのように起こるかを示す証拠に基づくアプローチである。内容は厳密に官能基ごとではなく、考え方と反応の型によって構成されており、分光法は早い段階と後の段階の両方に現れる。
第1~5章:有機化学とは何か;有機化合物の構造;有機化合物の構造決定;分子の構造;有機反応
有機分子の描き方と命名、構造の決定法(第3章)、分子構造とは何かを扱い、有機反応に初めて触れるまとまりである。
第6~11章:カルボニル基への求核付加;非局在化と共役;酸性度、塩基性度、pKa;有機金属試薬を用いた C–C 結合の形成;カルボニル基での求核置換;カルボニル酸素の脱離を伴う C=O での求核置換
第6章(125ページ)から、カルボニル基を題材に個別の反応の学習が始まる。続いて、非局在化、酸性度と塩基性度、有機金属試薬、そしてカルボニル炭素での置換を扱う2つの章が並ぶ。
第12~14章:平衡、速度、機構;¹H NMR:プロトン核磁気共鳴;立体化学
平衡、速度、機構についての物理有機化学的な背景、プロトン NMR、立体化学。
第15~19章:飽和炭素での求核置換;配座解析;脱離反応;分光法の復習;アルケンへの求電子付加
飽和炭素での置換と脱離、それに伴う配座解析、分光法を復習する章、そして求電子付加を扱う。
第20~24章:エノールとエノラートの生成と反応;求電子芳香族置換;共役付加と求核芳香族置換;化学選択性と保護基;位置選択性
エノールとエノラートの化学、芳香環上の置換、共役付加、そして選択性についての2つの章(保護基を伴う化学選択性と、位置選択性)。
第25~28章:エノラートのアルキル化;エノラートとカルボニル化合物の反応:アルドール反応とクライゼン反応;有機化学における硫黄、ケイ素、リン;逆合成解析
エノラートのアルキル化とカルボニル縮合、典型元素である硫黄・ケイ素・リンの有機化学、そして逆合成解析。
第29~33章:芳香族複素環1:構造と反応;芳香族複素環2:合成;飽和複素環と立体電子効果;環状分子における立体選択性;ジアステレオ選択性
3つの章にわたる複素環化学と、それに続く立体選択性についての2つの章。
第34~39章:ペリ環状反応1:環化付加;ペリ環状反応2:シグマトロピー転位と電子環状反応;関与、転位、断片化;ラジカル反応;カルベンの合成と反応;反応機構の決定
2つの章にわたるペリ環状反応、続いて転位と断片化、ラジカル、カルベン、そして反応機構の実験的な決定。
第40~43章:有機金属化学;不斉合成;生命の有機化学;今日の有機化学
最後の章は、有機金属化学、不斉合成、生体系の有機化学、そしてこの分野の現状を見渡す締めくくりに向かう。
主要概念
第1~14章:構造、カルボニル、機構
- カルボニル基への求核付加とカルボニル基での求核置換。
- 非局在化と共役;酸性度、塩基性度、pKa。
- 炭素–炭素結合をつくる有機金属試薬。
- 平衡、速度、機構;プロトン NMR;立体化学。
第15~28章:置換、脱離、エノラート、選択性
- 飽和炭素での求核置換と脱離。
- 配座解析。
- エノールとエノラート:その生成、アルキル化、アルドール反応やクライゼン反応での利用。
- 化学選択性、位置選択性、保護基。
- 逆合成解析。
第29~43章:複素環、立体制御、発展的話題
- 立体電子効果とジアステレオ選択性。
- ペリ環状反応:環化付加、シグマトロピー転位、電子環状反応。
- ラジカル反応とカルベン。
- 不斉合成と有機金属化学。
批判的分析
長所
- **明確に示された教育方針。**出版社の紹介文は3つの原則(説明的、機構的、証拠に基づく)を挙げ、著者が落とし穴や誤解を指摘しながら、読者を話題から話題へと導くと述べている。
- **幅広い範囲。**内容は、構造と分光法から、カルボニル化学、選択性、合成計画を経て、ペリ環状反応、不斉合成、生命の有機化学にまで及ぶので、本書は最小限の2学期のコースをはるかに超えている。
- **選択性と合成についての専用の章。**化学選択性、位置選択性、ジアステレオ選択性、逆合成解析には、それぞれ独立した章がある(第23、24、33、28章)。
- **オンラインの支援。**出版社は、オンラインの学生用資料サイトで、3D 有機化合物のアニメーション、正誤表、章ごとの問題を提供しており、各章に対応する一連の問題があると述べている。
短所
- **大きさと順序。**43章、1,234ページと大部であり、順序は官能基の一覧ではなく考え方と反応の型に従っているため、官能基ごとに組み立てたコースで使うには目次を行き来する必要がある。
- **問題はオンライン。**章末問題は、印刷された本の一部ではなく、出版社のオンラインサイトの学生用資料であり、コードによる登録が必要である。
- **初版から外された内容。**出版社の資料ページは、初版にあって第2版にない5章があることを記している。それらはオンラインの学生用資料に「追加の章」として挙げられている。
- **分光法が本全体に分散している。**構造決定は第3章、プロトン NMR は第13章、復習は第18章にあるので、分光法を1つにまとまった単元として学びたい読者は自分で組み立てる必要がある。
コースにおける位置づけ
Clayden、Greeves、Warren の本は、有機化学の包括的な主教材である。この一覧では、OpenStax の無料の McMurry Organic Chemistry と並ぶ位置にある。後者は2学期用の官能基別の教科書で、官能基ごとに内容を整理し、オンラインで無料で読める。一方 Clayden は、考え方に基づく第二の見方を提供し、通常のコースを超えた内容(複素環、ペリ環状反応、不斉合成)にも及ぶ。Klein の Organic Chemistry as a Second Language は、本格的な教科書と併用する第1学期の演習用の副読本であり、Graham Patrick の Organic Chemistry: A Very Short Introduction は、最初に読む簡潔で読みやすい概観である。
Clayden の先には、この一覧の大学院レベルの本がある。Carey ほかの Advanced Organic Chemistry: Part A と Anslyn・Dougherty の Modern Physical Organic Chemistry は、構造、結合、反応機構をより高度なレベルで展開する。
本書の使い方
出版社は本書を有機化学を学ぶ学生のコースの伴走書として示しており、前提知識は挙げていない。一般化学の知識から始めるのが妥当である。
進め方の一例:第1学期には第1~11章を読み、立体化学、置換、脱離、付加、分光法のために第12~19章を加え、第20~28章(エノラート、芳香族化学、選択性、合成)は第2学期の選択候補とする。第29~43章は、より長いコースや高度なコース向けで、関心に応じて選べる。たとえば、ペリ環状反応の単元の前に第34~35章を読む。主な練習にはオンラインの章末問題を使い、反応機構は自分の手で描き直す。
