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Circuits, Signals, and Systems for Bioengineers: A MATLAB-Based Introduction(生体工学のための回路・信号・システム:MATLABによる入門) cover

生体医工学

生体医工学

Circuits, Signals, and Systems for Bioengineers: A MATLAB-Based Introduction(生体工学のための回路・信号・システム:MATLABによる入門)

John Semmlow

英語原題: Circuits, Signals, and Systems for Bioengineers: A MATLAB-Based Introduction

生体信号処理の電気工学的基礎を生体工学の学生に教える入門教科書。信号の基礎と周波数領域からフィルタ、システム、回路へと進み、全体を通じて生理信号を用いた MATLAB の例題で説明し、各概念を現実的なデータに結びつける。

前提知識: 微分積分学と物理学の入門。回路や信号処理の既習は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
biomedical signalssignal processingcircuitsmatlab教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Semmlow, J. (2024). Circuits, Signals, and Systems for Bioengineers: A MATLAB-Based Introduction (4th ed.). Academic Press.

章の要約

第4版は15章と7つの付録(導出、変換表、三角関数などの公式、換算係数、複素数、オペアンプの仕様、行列式とクラメルの公式)から成り、800ページ近くに及ぶ。著者のジョン・セムロウは、32年にわたりラトガース大学の生体医工学の教授、ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学の外科の教授を務め、循環器の診断と人間の運動制御を研究してきた。本書は3部構成で、多くの電気工学の授業とは異なり、信号、システム、回路の順に並んでいる。出版社は本書を、生体医用システム、医療機器、生体制御、生体信号解析の基礎にある電気工学の原理を紹介し、相関、畳み込み、フーリエ変換、伝達関数といった操作を学生が MATLAB で探究できる計算的手法を用いる教科書だと説明している。補助教材として、解答、講義スライド、問題を解くのに必要な MATLAB のデータと関数がある。

第I部:信号(第1–4章:全体像――バイオエンジニアリングの信号とシステム;時間領域での信号解析;周波数領域での信号解析――フーリエ級数とフーリエ変換;周波数領域での信号解析――その意味と応用)

第1章はバイオエンジニアリングにおける信号とシステムの全体像を示す。第2章は約65ページと本書で最も長く、時間領域で信号を解析する。第3章と第4章はフーリエ級数と変換を導入し、続いてその意味と応用を扱う。

第II部:システム(第5–11章:時間領域での線形システム解析――畳み込み;周波数領域での線形システム解析――伝達関数;複素周波数領域の線形システム――ラプラス変換;離散線形システムの解析――z変換とフィルタへの応用;システムのモデリングとSimulink;確率的・非定常・非線形のシステムと信号;2次元信号――基本的な画像解析)

中心となる最も長い部である。線形システムは、時間領域での畳み込み、周波数領域での伝達関数、ラプラス変換という3つの方法で解析され、その後第8章で離散システム、z変換、ディジタルフィルタへと進む。第9章は Simulink によるシステムのモデリングを導入する。出版社は、呼吸器系のような生理系のモデリングを例とする生体制御への応用を挙げている。第10章は線形・決定論的な信号を越えて、雑音、確率的・非定常・非線形な信号を扱い、第11章は手法を2次元信号と基本的な画像解析に広げる。第10章と第11章は第3版で追加された。

第III部:回路(第12–15章:回路素子と回路変数;アナログ回路とモデルの解析;回路の縮約――簡単化;アナログ電子回路の基礎――演算増幅器)

最後の部は、素子と変数から回路解析を積み上げ、アナログ回路と回路モデルを解析し、回路の縮約を扱い、演算増幅器で締めくくる。付録には特定のオペアンプ LF356 の仕様が載っている。

主要概念

第I部:信号

  • 時間領域の信号解析:相関を含め、時間の関数として信号を直接記述し比較すること。
  • フーリエ級数とフーリエ変換:信号を周波数成分で表現すること。
  • 周波数領域の意味:信号のスペクトルが何を示し、実際にどう使われるか。

第II部:システム

  • 畳み込み:インパルス応答から時間領域で計算される線形システムの応答。
  • 伝達関数:各周波数をどう変えるかによる線形システムの記述。
  • ラプラス変換:過渡的なふるまいに用いられる、伝達関数の複素周波数への拡張。
  • z変換とディジタルフィルタ:離散的な標本化システムのための対応する道具。
  • Simulinkによるモデリング:生理的な制御系を含むシステムモデルの構築とシミュレーション。
  • 確率的・非定常な信号:雑音と、性質が時間とともに変わる信号。
  • 基本的な画像解析:2次元信号への信号処理の適用。

第III部:回路

  • 回路素子と回路変数:アナログ回路を解析するための部品と量。
  • 回路の縮約:回路網を等価な形に簡単化すること。
  • 演算増幅器:アナログ電子回路の基本的な構成要素。

批判的分析

長所

  • 計算が中心にある。 副題が示すとおり、本書は MATLAB を基盤としている。出版社は、相関、畳み込み、フーリエ変換、伝達関数などの操作が計算を通じて展開されることを強調しており、補助教材には問題を解くのに必要なデータと関数が含まれている。
  • 全体を通じた生体医学の文脈。 第3版と第4版の出版社の説明はいずれも生物学・生理学・医学の例を強調しており、生体制御の内容は生理系のモデリングにもとづいている。
  • 3つの科目の統一的な扱い。 一冊で、信号解析から線形・離散システムを経て回路とオペアンプまで学べる。バイオエンジニアリングの課程が1つか2つの授業に詰め込まなければならないことの多い電気工学の基礎である。
  • 4つの版を経て成熟している。 第3版で画像解析と、雑音・確率過程の章が追加され、出版社によれば第4版では明快さのために全体が改訂され、新しい医学的な例が加えられた。

短所

  • 分量が多い。 800ページ近くあり、1学期分を超える内容を含むため、教員はどの部を使うかを選ぶ必要がある。
  • 回路が最後にある。 計測の実習の前など、回路解析を早い段階で必要とする課程では、第III部を順序を変えて読むことになる。これは本書の流れから外れる。
  • 高度な話題は入門的な扱い。 確率的・非線形な信号と画像解析にはそれぞれ約40ページの1章しかない。生体信号や画像に本格的に取り組む学生には専門書が必要である。
  • MATLAB と Simulink に依存する。 例題と補助教材は、これらの商用ツールを使えることを前提としている。

コースにおける位置づけ

本書はこのコースの書目における生体信号処理の基礎となる教科書で、他の本が前提とする信号・システム・回路の基礎を教える。セムロウとグリフェルの『Biosignal and Medical Image Processing』は同じ著者による自然な次の一歩で、生理的な信号のフィルタリング、スペクトル解析、時間周波数解析、そして医用画像を、やはり MATLAB を使って扱う。ランガヤンの『Biomedical Signal Analysis』は、臨床上の問題から出発して実際の記録に適用する事例中心の、より高度な教科書で、心電図、脳波、筋電図などの信号を扱う。

スミスの『The Scientist and Engineer's Guide to Digital Signal Processing』は著者のサイトから無料で入手でき、標本化、畳み込み、フーリエ解析、ディジタルフィルタを最小限の数学で説明している。第3–8章が重いと感じる学生にとってよい伴読書である。トンプキンスの『Biomedical Digital Signal Processing』は、PC 向けの C プログラムと実験を軸にした古い本で、その例は歴史的な関心の対象だが、古典的な生体信号フィルタがどのように実装されていたかを今も示している。

本書の使い方

本書は、信号・システム・回路に初めて触れるバイオエンジニアリング・生体医工学の学生と、他分野の現場の技術者・エンジニアのための本である。微積分と初歩の物理が前提で、複素数と行列式は付録で復習できる。例題に取り組むには MATLAB が、第9章には Simulink が必要である。

実際的な計画:

  • 信号の授業: 第I部をすべて、続いて第II部の第5–8章(畳み込み、伝達関数、ラプラス変換、z変換とフィルタ)。
  • システムまたは生理学的モデリングの授業: 第5–7章、次に Simulink によるモデリングの第9章。雑音とばらつきが重要な授業なら第10章も。
  • 回路または計測の準備: 第III部。独立したまとまりなので、順序を変えて読むことができる。
  • 任意: 医用画像処理への橋渡しとなる、画像を扱う第11章。

読みながら MATLAB の例を実行し、パラメータを変えてみること。本書は、畳み込みやフーリエ変換のような操作を実際に計算することで理解できるよう作られている。章末問題には、合成データではなく付属のデータファイルを使って取り組むとよい。