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The Cell: A Very Short Introduction(細胞:超短篇入門) cover

生物学

生物学

The Cell: A Very Short Introduction(細胞:超短篇入門)

Terence Allen; Graham Cowling

英語原題: The Cell: A Very Short Introduction

生命の基本単位である細胞への、専門用語を抑えた短い入門書。全8章で、細胞とは何か、細胞の構造と核、分裂、DNA複製、運動と細胞死、特殊化した細胞を扱い、さらに幹細胞、細胞治療、システム生物学・合成生物学を含む細胞研究の未来へと進む。

前提知識: 高校程度の生物の知識があれば十分で、化学の予備知識は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Allen, T., & Cowling, G. (2011). The Cell: A Very Short Introduction. Oxford University Press.

章の要約

本書はオックスフォード大学出版局の Very Short Introductions シリーズの一冊である。八つの章が約128ページを占め、その後に用語集、書籍とオンライン資料の読書案内、索引が続く。Company of Biologists のコミュニティサイト『the Node』で本書を書評したサシャ・テラシマ(2012年1月)は、図版を17点と数えており、その多くは白黒の電子顕微鏡写真である。各章は、細胞とは何かから、その構造と過程を経て、幹細胞、細胞療法、細胞研究の未来へと進む。

第1章:細胞の本性

細胞は、自らを維持し複製し、周囲と相互作用する、きわめて効率的な工場として紹介される。この章は、すべての細胞に共通する特徴(構成要素、細胞内の組織化、生命過程)と、細胞の種類の多様性、その特殊な機能とさまざまな環境への適応を示す。書評者は、原核細胞、真核細胞、植物細胞、動物細胞についての大まかな一般論と、ごく具体的な細部とが混在していると指摘している。

第2~3章:細胞の構造/核

細胞の各部分と、それらが日々の機能の中でどのように協働するかを扱う二つの章。核には独立した一章があてられ、ゲノムの組織化と遺伝子構造の簡単な説明を含む。

第4~5章:細胞の生活/細胞にできること

細胞の過程、すなわち分裂、DNA 複製、運動、プログラム細胞死(アポトーシス)を扱い、続いて多細胞生物の特殊化・分化した細胞を扱う。焦点は主に動物細胞にあるが、植物細胞や極限環境に生きる細菌にも触れている。

第6章:幹細胞

胚性幹細胞と成体幹細胞を扱う。幹細胞とは何か、この分野の短い歴史、そしてがん幹細胞である。

第7章:細胞療法

初期の試みや輸血のような日常的な医療から、胚性幹細胞研究が開く可能性までの、細胞に基づく治療を扱う。倫理的な論争にも触れ、筋ジストロフィーや糖尿病などの病気の治療の可能性を論じる。

第8章:細胞研究の未来

システム生物学、合成生物学、再生医療を扱う短い終章(約7ページ)で、いつか老化を逆転できるかどうかについての推測的な議論で締めくくられる。

主要概念

第1~3章:細胞とは何か

  • 自己を維持する工場としての細胞:環境に応答しながら自らを維持し再生産する単位。
  • 細胞の統一性と多様性:すべての細胞に共通する構成要素と過程、そして形と機能の大きな多様さ。
  • 原核細胞と真核細胞:核と膜に囲まれた内部区画をもたない細胞と、もつ細胞。
  • 核とゲノム:細胞の DNA を収め、その遺伝子を組織する区画。

第4~5章:細胞はどのように生きるか

  • 細胞分裂と DNA 複製:細胞が内容物を複製して分裂する仕組み。
  • アポトーシス:プログラム細胞死。多細胞生物の生活の正常な一部である。
  • 分化:多細胞の体の中で、細胞が特定の役割に特殊化すること。

第6~8章:幹細胞と未来

  • 幹細胞:特殊化した細胞を生み出すことのできる、未分化の細胞(胚性または成体)。
  • がん幹細胞:一部の腫瘍は幹細胞に似た細胞によって維持されているという考え。
  • 細胞療法:輸血から提案されている幹細胞治療まで、細胞を供給することで病気を治療すること。
  • システム生物学、合成生物学、再生医療:著者たちがこの分野の未来として示す研究の方向。

批判的分析

長所

  • 小さな紙幅に多くの内容。 テラシマは本書を、数百年にわたる細胞生物学を145ページに凝縮したものと評し、細胞の内部の働きから多細胞生物の中の細胞、疾病、今後の研究に至るまでを「簡潔な小品」の形で示していると述べる。生物学者にとっては手早い復習になり、初心者にとっては「教科書の威圧感なしに」この分野に入る道になる。
  • 歴史と文脈。 書評は、発見にまつわる歴史的な逸話と、今後の生物医学的応用についての議論を、本書を楽しめるものにしている点として特に挙げている。全8章のうち3章が幹細胞、細胞療法、今後の研究にあてられており、短い入門書としては珍しい配分である。
  • さらに学ぶ助けになる。 用語集と、書籍とオンライン資料の読書案内が、もっと知りたい読者を支える。

短所

  • 初期の刷りにある既知の誤り。 初期の刷りでは、遺伝子構造の説明で「イントロン」と「エキソン」が逆になっており、コード配列がイントロンと呼ばれている。用語集には正しい定義があるが、書評者はこの誤りが初学者を混乱させかねないと警告している。著者たちは誤りを認め、以後の刷りで訂正するよう OUP に伝えたと述べている。初期の版を持つ読者は、この箇所を用語集と照らし合わせて確認したい。
  • 図版が初学者向きとは言えない。 少数の図を除き、図版は白黒の電子顕微鏡写真である。テラシマはそれらを適切で興味深いとしつつも、こうした画像に慣れていない読者には、著者の意図ほど多くを伝えないかもしれないと考えている。
  • 動物細胞中心で、刊行から時間がたっている。 本書は動物細胞に集中しており、原核生物や植物は主に対比として触れられる。刊行は2011年なので、幹細胞、細胞療法、今後の研究の章は、変化の速いこれらの分野の当時の状況を反映している。

コースにおける位置づけ

本書は細胞生物学のコースで最も短く、最も専門性の低い本であり、最初の教科書の前に、あるいはそれと並行して読むのに向いている。アルバーツらの『Essential Cell Biology』は次に読む自然な教科書で、本書の第1~5章のテーマをはるかに詳しく扱う。幹細胞と細胞療法を扱う第6~7章は、同書の組織、幹細胞、がんを扱う最終章につながる。『Becker's World of the Cell』と『Karp's Cell and Molecular Biology』はより充実した学部向け教科書で、前者は生化学的な基礎が強く、後者は重要な実験を軸に構成されている。『Molecular Biology of the Cell』とポラードらの『Cell Biology』は後の学習のための包括的な参考書であり、本書と並行して読むものではない。

本書の使い方

本書は一般読者と生物学を学び始める学生を対象としており、書評者は現役の生物学者の復習用としても勧めている。学校レベルの生物学で予備知識は十分である。

読み方の一案:

  • 最初の細胞生物学の授業の前に、数回に分けて通読する。本書の価値は全体像にある。細胞の各部分がどのように組み合わさっているか、そして細胞研究がなぜ重要かである。
  • 第1~5章を、教科書を使った授業の前半の地図として使い、第6~8章を、発生、幹細胞、がんといった後のテーマの背景として使う。
  • 読みながら用語集で用語を確認する。とくに第3章の遺伝子構造の箇所は、用語集のイントロンとエキソンの定義と照らし合わせて読む。

電子顕微鏡写真が読み取りにくいときは、『Essential Cell Biology』のような教科書にある同じ構造のラベルつきの図と比べるとよい。幹細胞と今後の研究の章は2011年時点のスナップショットとして読む。そこで触れられている幹細胞治療や合成生物学などの進展それぞれについて、その後どうなったかを調べ、読書案内をその出発点にするとよい。