01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Carroll, S. B., Grenier, J. K., & Weatherbee, S. D. (2004). From DNA to Diversity: Molecular Genetics and the Evolution of Animal Design (2nd ed.). Blackwell Publishing.
章の要約
第2版は8章から成る短い本で、図書館の記録では258ページ、出版社の一覧では270ページである。出版社は、進化生物学を遺伝学と発生学に結びつけて、形態変化の遺伝的基盤の一般原理を示す総合的な著作と説明している。発生遺伝学と調節機構から出発し、さまざまな遺伝的・形態的レベルでの進化へと論理的に積み上げ、詳しい事例研究、各章の要約、参考文献、用語集を備える。第2版では、比較ゲノミクス、調節タンパク質と調節エレメントの分子進化、動物発生の小進化についての内容が加わり、近縁種間の変異と分岐のモデルを扱う新しい章も加わった。議論の進め方についての以下の詳細の多くは、Hammond と Whitfield による『Heredity』(2006年)の書評に拠る。
第1章:A Brief History of Animals(動物小史)
冒頭の章は、動物の形態的多様性の起源を概観する。Hammond と Whitfield は、化石証拠の説明が物足りないほど短く、カンブリア紀の動物の形の起源と多様化だけに集中していると評し、のちに論じられる他の転換、たとえば脊椎動物の顎の進化についても同様の導入があればよかったと述べている。
第2章:The Genetic Toolkit for Development(発生の遺伝的ツールキット)
発生的な視点へ重点が移り、動物を作り上げる基本的な遺伝的「ツールキット」が紹介される。書評によれば、ここの主な焦点はショウジョウバエで、発生生物学者はこれらの章を飛ばしてもよいだろうが、初期のショウジョウバエ発生の美しさと論理を思い出させてくれる。
第3章:Building Animals(動物を作る)
冒頭のまとまりの3つ目の章で、動物がどのように作られるかを扱う。書評は、ツールキットと発生の各章を併せて基礎と見ている。その基礎が固まって初めて、本書は形態的変異の背後にある遺伝的変化へ向かう。
第4〜6章:Evolution of the Toolkit(ツールキットの進化)、Diversification of Body Plans and Body Parts(ボディプランと体の部分の多様化)、The Evolution of Morphological Novelties(形態的新規性の進化)
続いて本書は、ツールキットがどのように進化し、その変化がボディプランや体の部分の違いをどう生み出すかを問う。書評は、後半の例をいくつか挙げている。節足動物の体節をもつボディプランからの付属肢の消失、昆虫の翅様付属肢(甲虫の鞘翅からハエの平均棍まで)の多様化の背後にあるHox発現の変化、そして新規性(カメの甲羅など)と先祖返り(祖先の形への回帰)に充てた節である。書評はまた、Hox複合体の進化がかなり詳しく扱われていると述べている。
第7章:Morphological Variation and Species Divergence(形態的変異と種の分岐)
第2版で新しく加わった章で、近縁種間の変異と分岐のモデルを扱う。書評によれば、本書は種内の自然変異を論じており、哺乳類の毛色が単純でなじみ深い例で、色素経路の遺伝子の変異に帰される。
第8章:From DNA to Diversity: The Primacy of Regulatory Evolution(DNAから多様性へ:調節進化の優位)
最終章は本書の主張を述べる。書評はそれを、形態の変化を駆動してきたのはタンパク質コード領域の変化ではなく、遺伝子の調節配列の変化であると要約している。最後の数ページで、本書は漸進的な変化か跳躍的な変化かをめぐるダーウィンとベイトソンの論争に戻り、ダーウィンの側に立って、数百万年にわたって累積した小さな漸進的変化が種分化につながりうると結論する。その際、前提と留保を明記している。
主要概念
第1〜3章
- 発生の遺伝的ツールキット:動物に共通して、体を作るために使われる一群の遺伝子。第2章の主題。
- カンブリア紀の多様化:主要な動物の形の起源。第1章。
第4〜7章
- Hox遺伝子とボディプラン:Hox複合体の進化と、昆虫の翅などの体の部分への影響。
- 形態的新規性と先祖返り:新しい構造と、祖先の形への回帰。第6章。
- 種内および種間の変異:第7章。
第8章
- 調節進化の優位:形態変化の基盤は、コード配列の変化よりも調節DNAの変化にあるという見方。
- 漸進主義:突然の変化に対して、小さな変化が長い時間をかけて累積すること。
批判的分析
長所
- 焦点の絞られた短い本。 書評は、本書を、一貫した物語を保てる小ささで、網羅的な教科書ではなく、鍵となる概念を示し、動物界全体から選び抜かれた例で説明する一般的な入門書と評している。
- ほどよい詳しさと十分な文献。 書評によれば、詳しさは各話題を理解するのに十分で、全体の流れを損なうこともなく、参考文献は例を追うのに十分なほど包括的である。
- 図版。 書評は、印象的な例の写真から図や流れ図まで及ぶ図版を称賛しており、出版社も4色刷りの図版を宣伝している。
- 主張が明快。 書評は、著者たちが調節進化の考えを、前の章までの文脈の中に位置づけ、結論の背後にある留保と前提を明確かつ率直に述べている点を評価している。
短所
- 書評が指摘する欠落。 Hammond と Whitfield は、化石の説明が短いと見ており、ゲノム構造の概観や種間の遺伝的差異の範囲の概観があれば役立っただろうと述べている。また、大規模な染色体再編成は本書のどこにも扱われていないという。
- 発生の背景が重複しうる。 書評は、発生生物学者はツールキットの章を飛ばしてよいと述べ、その主な焦点はショウジョウバエである。発生生物学の講義を受けた学生は、第2〜3章になじみがあるだろう。
- 出版時期。 本書は2004年に出ており、比較ゲノミクスの内容は当時利用できたゲノム研究を反映している。考え方への入門として読み、新しい文献は別途確認するのがよい。
コースにおける位置づけ
このコースは、いくつかのレベルで発生生物学を扱う。Wolpert の Developmental Biology: A Very Short Introduction と Davies の Life Unfolding は、胚がどのように形づくられるかを分かりやすく語る読み物で、Essential Developmental Biology(Slack と Dale)と Barresi と Gilbert の Developmental Biology は、主要なモデル生物と機構を順に解説する教科書である。Wolpert's Principles of Development はパターン形成とシグナル伝達の発展的な入門書である。
Carroll、Grenier、Weatherbee の本は、これらすべてに対する進化の側の対応書である。問うのは胚がどう発生するかではなく、発生プログラムが進化の時間の中でどう変わるかである。少なくとも一冊の発生学の教科書の後に読むか、モデル生物の背景のために Essential Developmental Biology と並べて読み、その後に進化発生生物学の研究文献へ進むとよい。
本書の使い方
書評は、本書が主に学部生や非専門家向けだが、専門家も楽しめると述べている。フロントマターは、前提として発生生物学と分子遺伝学を挙げ、進化の入門的な知識も求めている。Hox遺伝子とショウジョウバエのボディプランを知っている学生は、第4章から始めてよい。
実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 順に読む。短い8章なので、数回で読み終えられる。ショウジョウバエの発生を知っている読者は、第2章と第3章を流し読みしてよい。
- 中心の章: 第4〜6章に、調節の変化が新しいボディプランや構造を生む主な例がある。
- 結びの議論: 第8章が主張を述べる。例を読む前と読んだ後の2回読むとよい。
- その後: 参考文献を使って、関心のある例に対応する論文を選び、用語集で用語を確認する。
