01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Charlesworth, B., & Charlesworth, D. (2017). Evolution: A Very Short Introduction. Oxford University Press.
章の要約
本書は2003年に初めて刊行され、約160ページの2017年の再刊版では本文に重要な更新が加えられ、読書案内が全面的に新しくなっている。短い序論と後記を含む8つの章があり、参考文献、読書案内、索引が続く。著者の二人はともにエディンバラ大学に所属し、上級向けの教科書 Elements of Evolutionary Genetics の著者でもある。本書は一般の読者に、進化生物学の最も重要な知見、概念、方法を紹介することを目指している。その順序は独特で、まず進化の仕組みを説明し、次に証拠を示し、そのうえで適応、種、未解決の問題へと進む。
第1章:序論
序論は本書の目的を述べ、進化が生物学全体を統一する原理を与え、人間と他の生物界との関係を照らし出し、実用的にも重要であることを論じる。最後に各章の概要を示す。
第2章:進化の過程
中心となる仕組みが早い段階で導入される。進化的変化は突然変異、すなわち遺伝物質に生じる安定した遺伝性の変化から始まる。次に自然選択と遺伝的浮動(選択に対して中立な変異体の頻度のランダムな変化)が、それらの突然変異の頻度を変える。三つの過程が長い期間にわたってともに働くことで、集団の遺伝的構成が変わり、種が祖先と異なるものになりうる。
第3章:進化の証拠:生物間の類似と相違
証拠を扱う最初の章は、共通祖先からの由来が生命の多様性とその深い類似性の両方を説明すると論じる。分類、胚発生、痕跡器官、有性生殖と遺伝、遺伝子、突然変異、DNA配列を順に取り上げ、外形から遺伝物質に至るあらゆるレベルに類似があることを示す。
第4章:進化の証拠:時間と空間におけるパターン
第二の証拠は地球の歴史と地理から得られる。生命の歴史の唯一の直接の記録である化石記録は、地質学者が地球そのものに適用するのと同じ斉一説の原理によって読み解かれる。種の地理的分布、とりわけガラパゴス諸島やハワイのような大洋島の動植物は、進化の観点からでなければ理解できない。
第5章:適応と自然選択
この章は、設計者という考えを自然選択に置き換える現代の適応の理論を示す。人為選択、遺伝的変異の種類、自然選択と適応度、適応と進化の歴史の関係、選択を検出する方法、性選択を順に扱う。
第6章:種の形成と分岐
著者たちは、共存する種がなぜ区別されたままでいるのか(生殖隔離とその仕組み)、一つの種の集団が地理的にどのように、しばしば適応的に変異するのか、そしてDNAやタンパク質の配列がどのように分子進化と種間の関係を明らかにするのかを説明する。
第7章:いくつかの難問
この章は、批判者がしばしば持ち出す事例に取り組む。飛行、眼、タンパク質分子といった複雑な構造の進化、そして老化の進化とそれが繁殖や死亡率に与える影響である。一般的な答えは、複雑な特徴は既存の構造が改変されたものであり、小さな改良の積み重ねによって作られるということである。細胞の基本的な特徴の起源と人間の意識の起源という二つの問題は、ほとんど未解決であると認められている。
第8章:後記
短い結びでは、現代の進化観はダーウィンとウォレスのものにきわめて近く、二つの進歩によって一世紀前よりはるかに信頼できるものになったと論じる。生物の組織のあらゆるレベルで選択が働いていることを示す豊富な証拠と、遺伝の仕組みの理解である。
主要概念
第1–2章:仕組み
- 突然変異:遺伝物質に生じる安定した遺伝性の変化。変異の究極の源。
- 自然選択:生存や繁殖を高める変異体が増えること。
- 遺伝的浮動:適応度に影響しない変異体の頻度のランダムな変化。
第3–4章:証拠
- 共通祖先からの由来:生物間に共通する特徴を、共通の祖先からの継承として説明すること。
- 痕跡器官:祖先の構造の名残として理解できる、退化した構造。
- 斉一説:化石記録を含む過去の出来事を、現在観察できる過程によって解釈すること。
- 島の生物地理:大洋島に特有の種を、移入と分岐の証拠とみなすこと。
第5–6章:適応と種
- 適応度:選択が作用する、生物の次世代への相対的な寄与。
- 性選択:配偶相手をめぐる競争から生じる選択。
- 生殖隔離:共存する種が交雑しないようにする障壁。
- 地理的変異と分子進化:集団間の違いと、関係の推定に用いられる配列の変化。
第7–8章:難しい事例
- 複雑な適応の進化:働いている構造に小さな改変を重ねて生じる大きな変化。
- 老化の進化:なぜ老化が進化するのか、それが繁殖と死亡をどう形づくるのか。
批判的分析
長所
- 証拠より先に仕組みを置く。 著者たちは進化遺伝学の上級向け教科書も書いており、この短い本にもその背景が表れている。突然変異、選択、浮動が証拠より前の第2章で説明されるため、読者は証拠が何の証拠なのかを理解したうえで読み進められる。
- 証拠を体系的に示す。 二つの章がまるごと証拠にあてられ、一つは生物間の類似(発生からDNAまで)、もう一つは化石と地理を扱う。このため「進化が起こったことをどうして知っているのか」という問いに答えるのに役立つ。
- 反論に向き合う。 第7章は、自然選択への反論としてしばしば持ち出される複雑な器官や老化の進化を取り上げ、細胞の生命と意識の起源を未解決と率直に認めている。
- 実用上の意義。 出版社の紹介文は、細菌の抗生物質耐性やHIVの抗ウイルス薬耐性に対抗するうえで進化の理解がなぜ重要かという本書の議論に触れている。
短所
- 非常にコンパクト。 約160ページで仕組み、証拠、適応、種分化、未解決の問題を扱うため、各話題の扱いは短く、演習もない。
- 部分的に更新された古いテキスト。 再刊版は本文を更新し読書案内を新しくしているが、8つの章は2003年の初版と同じ題名と順序を保っており、本書の枠組みは最近のゲノム研究の多くより前のものである。
- 生命の歴史そのものは少ない。 目次を見る限り、化石は証拠として扱われており、生命史の主要な転換や人類の進化をそれ自体として追う章はない。
コースにおける位置づけ
本書は進化のコースの書目の中で最も短く凝縮された一冊で、授業の前の最初の一冊として、あるいは生物学以外の学生に向いている。入門レベルでの自然な相棒は Carl Zimmer の The Tangled Bank である。サイエンスライターによる図版の豊富な本で、同様の内容をはるかに長く扱い、人類の進化と医学の章を加えている。チャールズワース夫妻は仕組みをより直接的に説明し、ジマーは例と図を提供する。
本格的な授業には、Bergstrom と Dugatkin の Evolution と、Futuyma と Kirkpatrick の Evolution が、本書の各章を多くの章へと展開する教科書となる。ダーウィンの On the Origin of Species は、同じ証拠の筋道に現代の遺伝学を加えてたどる第3–5章と並行して読む価値がある。同じ著者たちの Elements of Evolutionary Genetics は、第2章で素描された過程を数理的に扱う上級向けの本で、集団遺伝学や進化遺伝学へ進む学生のためのものである。
本書の使い方
本書が前提とするのは高校の生物だけであり、1年生、進化について信頼できる説明を必要とする他分野の学生、そして進化の証拠について議論する準備をしている人に向いている。週末で読み通せる。
実践的な読み方は次のとおり。
- 第2章は二度読む。 最初に一度、第5章の後にもう一度。そこで導入される三つの過程(突然変異、選択、浮動)は、後のすべての章と、あらゆる進化の授業の語彙である。
- 第3–4章は証拠の目録として扱う。 証拠の各筋道(分類、発生、痕跡器官、DNA、化石、島)について、例を一つと、それが何を示すかを書き留める。
- 第7章は議論に使う。 その事例(眼、飛行、老化)は、複雑な形質がどのように進化するかについてのゼミやレポートのよい題材になる。
- 2017年に更新された読書案内をたどって 次の段階に進み、数理モデルについては本格的な教科書を使う。
本書は練習ではなく概念と証拠を与えるものなので、教科書の問題演習と組み合わせるとよい。
