01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Miesfeld, R. L., & McEvoy, M. M. (2021). Biochemistry (2nd ed.). W. W. Norton.
章の要約
第2版は5部23章、約1,400ページである。著者はアリゾナ大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校で教えており、本書を3つの大きなテーマ、すなわち構造と機能の関係、エネルギー変換過程の相互依存、そして代謝調節におけるシグナル伝達の役割を軸に組み立てた本として紹介している。出版社はまた、なぜその話題が重要かを示すために「everyday biochemistry(日常の生化学)」の例を用いていると述べている。
第1部:生化学の原理(第1–3章)
第1章「生化学の原理」に続き、「物理生化学:エネルギー変換、水、膜」(第2章)と「核酸の構造と機能」(第3章)が置かれる。エネルギー変換、水、膜は序盤の1つの章にまとめられ、核酸はタンパク質より先に導入される。
第2部:タンパク質の生化学(第4–8章)
この部は「タンパク質の構造」(4)から、「タンパク質生化学の方法」(5)、「タンパク質の機能」(6)、「酵素の機構」(7)へと進む。最後は「細胞シグナル伝達系」(8)で、シグナル伝達は代謝のあとではなく前に導入される。
第3部:エネルギー変換経路(第9–12章)
4つの章がエネルギーの流れをたどる。「解糖:代謝調節の典型例」(9)、「クエン酸回路」(10)、「酸化的リン酸化」(11)、「光合成」(12)である。第9章の題名は、解糖が、その段階の内容だけでなく、経路がどのように調節されるかを導入するために用いられていることを示している。
第4部:代謝調節(第13–19章)
この部は、「糖質の構造と機能」(13)と「糖質代謝」(14)、「脂質の構造と機能」(15)と「脂質代謝」(16)、「アミノ酸代謝」(17)と「ヌクレオチド代謝」(18)を扱い、「代謝の統合」(19)で終わる。糖質と脂質はそれぞれ構造の章のあとに代謝の章が置かれ、アミノ酸とヌクレオチドには代謝の章が1つずつあり(構造は先の第3章と第4章に出ている)、最後の章が経路をまとめる。
第5部:ゲノムの調節(第20–23章)
本書は情報の流れの生化学で終わる。「DNAの複製、修復、組換え」(20)、「RNA合成、プロセシング、遺伝子サイレンシング」(21)、「タンパク質合成、翻訳後修飾、輸送」(22)、「遺伝子調節」(23)である。
主要概念
第1–2部:原理とタンパク質の生化学
- 構造と機能の関係:出版社が挙げる3つの大きなテーマの1つで、第4–7章を通じて展開される。
- 酵素の機構:酵素がどのように反応を触媒するか(第7章)。出版社は、第2版が生物学的過程の背後にある化学的機構に新たな重点を置いていると述べている。
- 細胞シグナル伝達系:代謝より先に導入される第8章の経路。
第3–4部:エネルギー変換と代謝調節
- 代謝調節:経路の制御で、第9章が解糖を通じて導入する。
- エネルギー変換:解糖、クエン酸回路、酸化的リン酸化、光合成の連関(第9–12章)。
- 代謝の統合:糖質、脂質、アミノ酸、ヌクレオチドの代謝がどのように協調するか(第19章)。
第5部:ゲノムの調節
- 遺伝子サイレンシング:第21章で、RNA合成およびプロセシングと並べて扱われる。
- 翻訳後修飾と輸送:タンパク質合成の章(22)の一部。
- 遺伝子調節:本書の最終章(第23章)。
批判的分析
長所
- 参考書ではなく教えることを意識した設計。 出版社は、著者が学部生向けに書いたと述べ、教員のための百科事典のようだと自ら評する他の教科書との対比で、網羅的であるより大きなテーマを重視していると説明している。これは出版社自身の位置づけである。
- 機構と文脈を1冊で。 出版社の説明は、「everyday biochemistry」の例と、生物学と化学のバランスとを組み合わせており、第2版では「Your Turn」という批判的思考の演習と、CRISPRやクライオ電子顕微鏡の扱いが加わった。目次もこれに合致する。第2部は酵素の機構に1章を充て、細胞シグナル伝達と代謝の統合にもそれぞれ独立の章がある。
- 復習しやすい構成。 第4部では糖質と脂質にそれぞれ(構造と機能、続いて代謝の)2つの章があり、第3部のエネルギー経路はまとめられているため、経路のグループごとに復習しやすい。
- デジタル教材。 電子書籍には動く3D分子が含まれ、Smartworkのコースには分子ビューアーを用いた問題があり、構造と機能というテーマの学習に役立つ。
短所
- 非常に長い。 23章で約1,400ページあり、1学期の授業が全部を扱える量を超える。目次は任意の章を示していないため、教員も独学の読者も、何を省くかを決める必要がある。
- 出版社のページには前提知識が書かれていない。 化学的機構の重視から、一般化学が必要で有機化学も役に立つと考えられるが、これは目次と、化学に重点を置いた問題が拡充されたという説明からの推測であって、明示された要件ではない。
- 品質に関する主張は出版社のものである。 読みやすさや図版の質についての記述は出版社によるものであり、採用する前にサンプル章を確認するとよい。
- シグナル伝達が早い。 細胞シグナル伝達を代謝より前の第8章に置くことは調節というテーマには役立つが、読者はシグナル伝達を、それが調節する経路より先に学ぶことになる。
コースにおける位置づけ
Miesfeld と McEvoy は、化学と生物学のバランスを求める学部の生化学の授業の主教科書である。このリストで最も近い代替は、化学的な厳密さで主題を扱い、熱力学と反応機構を全体を通じて用いる Voet、Voet、Pratt の Fundamentals of Biochemistry と、包括的な扱いの Lehninger Principles of Biochemistry である。Miesfeld と McEvoy は、出版社が挙げる構造と機能、エネルギー変換、シグナル伝達というテーマと、日常的な例に重点を置いている。
より軽い出発点としては、Trudy McKee と James McKee の Biochemistry: The Molecular Basis of Life が化学の背景が限られた学生向けに書かれており、Pratt と Cornely の Essential Biochemistry は1学期の入門課程向けに設計された簡潔な教科書である。Kuriyan、Konforti、Wemmer の The Molecules of Life は、高分子の物理化学を通して生化学を説明しており、入門課程のあとで熱力学と速度論の側面を求める読者に向く。
本書の使い方
本書は、生物学、生化学、化学、医療系の課程で、1〜2学期の生化学の授業を受ける学部生向けである。一般化学は必要で、機構を重視しているため有機化学も役に立つ。
実践的な進め方は、第1部と第2部を土台とし、第4、6、7章(タンパク質の構造、機能、酵素の機構)に最も時間をかけ、第5章は方法の参照先として扱うことである。第3部と第4部の代謝の章(9–12、14、16–19)が典型的な授業の代謝の中核になる。構造の章である13と15は、それぞれの代謝の章への導入として読める。第5部は分子生物学の授業と合わせて教えることもでき、DNA、RNA、タンパク質合成の総まとめとして使うこともできる。
学習するときは、各経路を描き直して調節点を書き込み、第9章の調節というテーマを残りの章の型紙として使う。「Your Turn」の演習に取り組み、電子書籍が使えるなら第4、6、7章と並べて3D分子の表示を使うとよい。
