01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Sampson, R. J. (2012). Great American City: Chicago and the Enduring Neighborhood Effect (with a foreword by William Julius Wilson). University of Chicago Press.
章の要約
本書は「シカゴ近隣地区人間発達プロジェクト」の研究成果を大規模に総合したもので、約550ページ、5部17章からなり、プロジェクトのデータと、著者自身によるこの都市の観察を組み合わせている。出版社の言葉では、中心的な主張は、人の生活は住む場所によって決定的に形づくられるので、コミュニティは今なお重要だというものである。
第I部、第1〜2章:Placed;Neighborhood Effects: The Evolution of an Idea
第I部は背景と主張を述べる。第1章は、人を周囲にかかわらず自由に選択する個人とみなす見方と、人を制御できないグローバルな力に委ねられた存在とみなす見方に対して、場所の重要性を擁護する。第2章は近隣効果という考え方の展開をたどる。
第II部、第3〜4章:Analytic Approach;The Making of the Chicago Project
この二章は原則と方法を述べる。本書の分析的アプローチ(第3章)と、シカゴ・プロジェクトがどのように設計・実施されたか(第4章)である。知見に出会う前に、データが何であるかをここで知ることができる。
第III部、第5〜9章:Community-Level Processes
第5章 Legacies of Inequality は近隣の不平等の持続を扱う。第6章は「割れ窓」と無秩序の意味を検討する。第7章は集合的効力感の理論を示す。第8章 Civic Society and the Organizational Imperative は組織と市民生活へ、第9章 Social Altruism, Cynicism, and the “Good Community” はコミュニティ水準の性質としての利他とシニシズムへ向かう。
第IV部、第10〜14章:Interlocking Structures
この部は個々の近隣から、近隣どうしのつながりへと移る。第10章は「近隣の近隣」が重要だと論じる(空間の論理)。第11章 Trading Places は実験と近隣効果を論じる。第12章は個人の選択を社会的過程として扱い、第13章は近隣間移動のネットワーク・メカニズムを扱う。第14章はリーダーシップとエリートのつながりの高次構造を考察する。
第V部、第15〜17章:Synthesis and Revisit
第15章 Neighborhood Effects and a Theory of Context は議論をまとめる。第16章 Aftermath—Chicago 2010 は大不況後のシカゴを再訪し、第17章 The Twenty-First-Century Gold Coast and Slum が本書を締めくくる。
主要概念
第I〜II部:主張と方法
- 近隣効果:住む場所が人々の結果に及ぼす影響。第2章がこの考え方の歴史をたどる。
- 文脈分析:個人だけでなく近隣という文脈を説明の対象とする本書の方法。
第III部:コミュニティ水準の過程
- 集合的効力感:第7章の主題で、コミュニティがどう機能するかについての本書の説明の中心。
- 無秩序と「割れ窓」:第6章による無秩序の意味の扱い。
- 市民組織と利他:第8、9章の焦点。
第IV〜V部:構造と文脈
- 空間の論理:ある近隣に隣接する近隣がなぜ重要か。
- 社会的過程としての選択:人がなぜ今の場所に住むようになるかについての第12章の議論。
- 文脈の理論:第15章による近隣効果の総合。
批判的分析
長所
- 理論とデータの珍しい結合。 出版社は本書を、研究プロジェクトであり、社会生活の新しい理論のための説得的な議論であり、また一つの都市の物語であると紹介している。QuillianはContemporary Sociologyの書評で、理論・データ収集・分析方法が互いに益を得る形で結びついた模範だと評した。
- 広い範囲の成果変数。 出版社は、犯罪、健康、市民参加、住宅の差押え、十代の出産、利他、リーダーのネットワーク、移民を検討対象として挙げており、一つのデータと枠組みが多くの主題に適用される。
- 選択の問題への取り組み。 第11、12章は実験と個人の選択を直接扱う。近隣効果の主張に対する最も一般的な批判がこれである。
- 分量のわりに読みやすい。 出版社が引用するChoiceの書評は非常に読みやすいと評しており、序文や著者によるシカゴの個人的観察がデータに物語的な背景を与えている。
短所
- 分量が多く密度が高い。 約550ページで、46の線画、14の地図、豊富な注と文献があり、取り組む負担は大きい。多くの読者は選んで読むことになる。
- 一つの都市。 証拠はシカゴから得られている。著者はシカゴをより広い理論の基礎として示すが、本書の射程がそれ以外に及ぶかどうかはその議論にかかっている。
- 方法論の素養があるとよい。 とくに第IV部(空間の論理、ネットワーク・メカニズム、選択)は、計量社会科学に慣れていることを前提とする。
コースにおける位置づけ
都市社会学のコースの中で、本書は最も研究色の強い専門書である。Jacobs のThe Death and Life of Great American Citiesは、街路や地区の観察に基づく古典的な議論であり、Sampsonがそうした考えをデータで検証する前に、近隣をうまく機能させるものは何かを知る読みやすい入り口になる。SassenのThe Global Cityは、グローバルな経済変化がいくつかの都市に機能を集中させるさまを問うもので、本書の近隣という焦点よりも上の規模を扱う。
Gottdiener、Hohle、KingのThe New Urban SociologyとParkerのUrban Theory and the Urban Experienceは、Sampsonが自らの属するとするシカゴ学派の伝統を、より広い都市理論の領域に位置づける教科書であり、The Urban Sociology Readerはより短い読み物を集めている。これらは良い準備になる。現代のシカゴ学派的研究がどのように行われるかを長い事例で見たいなら、Sampsonを読むとよい。
本書の使い方
社会学、犯罪学、都市研究、公共政策を学ぶ上級の学部生や大学院生、および近隣効果に関心のある研究者に向く本である。
実践的な読み方は次のとおり。
- 中核: 主張を知るために第1、2章、アプローチのために第3章、続いて不平等・無秩序・集合的効力感を扱う第5〜7章。
- 方法: 第4章がシカゴ・プロジェクトを説明する。データになじみがなければ、実証的な章の前に読む。
- 拡張: 市民生活と利他は第8〜9章。空間やネットワークの議論、選択をめぐる論争に関心がある読者は第IV部。
- 総合: 第15〜17章は前の部を読んでから読むと報われる。第16章は都市を2010年まで追う。
出版社の抜粋「Observing Chicago」を読めば、全体に取りかかる前に文体を判断できる。
